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第十四話 同じ寝室で(※挿絵あり)
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その日の夕食は、私がこの城に来て初めて、『家族』全員がそろったものになった。
家族とはつまり、私とカイル、そして公爵様のことだ。
カイルとは二人で食事をしたことはあったが、公爵様を交えて3人で食事をするのは初めてのことだ。
公爵様はテーブルの上にあるものが見えないということもあり、事前に執事がどの皿に何が乗っているのかを説明していた。
その説明で、食べ物の種類と位置を把握すると、目が見えていないのが嘘のようにスマートにナイフやフォークで食事をしている。
(物や人との距離は気配で分かると言っていたけど、不便を感じて嫌気がさしてしまっても不思議ではないのに…)
たぶん私だったら、人生を悲観してしまって、公爵様のように目が見えないことを素直に受け入れて生きていくことはできないだろう。
(カイルがいるから…なのかな?)
子どもサイズの椅子にちょこんと座り、ナイフとフォークを一生懸命に動かしながらお肉を頬張るカイル。
この子を守るために、公爵様は視力を奪われるという絶望的な状況の中でも、何でもないように生きようとしているのかもしれない。
「お父さん、今度お父さんも一緒に雪だるまを作ろうよ」
カイルが思い出したようにナイフとフォークの手を止めて言った。
「雪だるま?」
「うん。お母さんに教えてもらったんだ。雪を大きくして、お人形を作るの」
(こっちの世界にはだるまがないから、説明が難しいのよね…)
「お人形…どのようなものですか?」
「丸い頭と丸い胴体をくっつけて顔を作っただけの簡単なものです。雪玉を転がして大きくするんです」
「なるほど。カイル、大きさはどれぐらいだった?」
「ん~、ぼくと同じぐらい?」
「雪玉が大きくなると重くなるので、私とカイルの力ではそれが精一杯でした。でも、もっと大きな雪だるまもできますよ」
「お母さん、次はもっと大きな雪だるまが作りたい」
「そうね。ジェイムスや騎士たちにも手伝ってもらいましょうか」
「お父さんも手伝って」
「いいよ」
(私だったら遠慮してしまって誘う勇気なんてないけど、カイルは素直だから自然に誘えるのね。だから公爵様も素直に応じられるんだわ)
「シャーレットさん、雪だるまというのは、どこで作り方を覚えたのですか?」
「え…」
「首都にはそれほど雪は降らないでしょう?」
鋭い疑問を投げかけられ、私は少し慌ててしまう。
確かに、帝国の首都にはこの公爵領のような大雪は降らない。
雪玉を転がして大きくできるほどの雪は…。
まさか前世で作りましたとは言えないし…。
「あ、あの、本で読んだんです!どこか別の雪国の話で…そこに雪だるまの作り方ものっていました!」
我ながら苦しい言い訳だったけど、公爵様は納得してくれたようだった。
「なるほど、そうだったのですね」
「は、はい…」
公爵様の追求が止まったので、私はホット胸をなで下ろす。
別に悪いことをしているわけではないけれど。
私が転生してきて前世の記憶がある奇妙な存在だということが知られれば、ここにはいられなくなる可能性もあるかもしれない。
(変に疑われるようなことはしないように、気をつけないと…)
和やかに進んだ食事を終えて入浴を済ませ、カイルを寝かしつけた後、私は自分の部屋には戻らず、夫婦共有の寝室に向かった。
初めてこのお城に来たとき、初夜をどこで迎えるのかと疑問を感じたのだが、どうやら本来はこの部屋を使うはずだったようだ。
使用人達にも事情を話したので、急いで用意してくれたらしい。
日頃から毎日掃除や空気の入れ換えなどは行っていたようなので、シーツや布団の取り替えなどを行うだけで済んだようだ。
(自分から提案したことだけど…公爵様と同じベッドで寝るというのは少し緊張するかも…)
何かの間違いが起こる可能性は限りなく低いとは思うけれど。
前世では経験があるとはいえ、シャーレットのこの体は清いまま。
しかも、何事もなくても、同じベッドで寝るというのは、かなり勇気のいる行為だ。
(体裁を整えるために同じ部屋で寝るだけだから、きっと何も起こらないわよね…)
もしも何か起こったとしても、それは公爵夫人として当然の義務でもある。
相手は公爵様で良い人だし、イケメンだし、30歳年上の浮気男に抱かれることを考えれば、まったく問題はない。
「大丈夫…自然の流れに任せよう」
私はそうつぶやいて、気持ちを落ち着けた。
家族とはつまり、私とカイル、そして公爵様のことだ。
カイルとは二人で食事をしたことはあったが、公爵様を交えて3人で食事をするのは初めてのことだ。
公爵様はテーブルの上にあるものが見えないということもあり、事前に執事がどの皿に何が乗っているのかを説明していた。
その説明で、食べ物の種類と位置を把握すると、目が見えていないのが嘘のようにスマートにナイフやフォークで食事をしている。
(物や人との距離は気配で分かると言っていたけど、不便を感じて嫌気がさしてしまっても不思議ではないのに…)
たぶん私だったら、人生を悲観してしまって、公爵様のように目が見えないことを素直に受け入れて生きていくことはできないだろう。
(カイルがいるから…なのかな?)
子どもサイズの椅子にちょこんと座り、ナイフとフォークを一生懸命に動かしながらお肉を頬張るカイル。
この子を守るために、公爵様は視力を奪われるという絶望的な状況の中でも、何でもないように生きようとしているのかもしれない。
「お父さん、今度お父さんも一緒に雪だるまを作ろうよ」
カイルが思い出したようにナイフとフォークの手を止めて言った。
「雪だるま?」
「うん。お母さんに教えてもらったんだ。雪を大きくして、お人形を作るの」
(こっちの世界にはだるまがないから、説明が難しいのよね…)
「お人形…どのようなものですか?」
「丸い頭と丸い胴体をくっつけて顔を作っただけの簡単なものです。雪玉を転がして大きくするんです」
「なるほど。カイル、大きさはどれぐらいだった?」
「ん~、ぼくと同じぐらい?」
「雪玉が大きくなると重くなるので、私とカイルの力ではそれが精一杯でした。でも、もっと大きな雪だるまもできますよ」
「お母さん、次はもっと大きな雪だるまが作りたい」
「そうね。ジェイムスや騎士たちにも手伝ってもらいましょうか」
「お父さんも手伝って」
「いいよ」
(私だったら遠慮してしまって誘う勇気なんてないけど、カイルは素直だから自然に誘えるのね。だから公爵様も素直に応じられるんだわ)
「シャーレットさん、雪だるまというのは、どこで作り方を覚えたのですか?」
「え…」
「首都にはそれほど雪は降らないでしょう?」
鋭い疑問を投げかけられ、私は少し慌ててしまう。
確かに、帝国の首都にはこの公爵領のような大雪は降らない。
雪玉を転がして大きくできるほどの雪は…。
まさか前世で作りましたとは言えないし…。
「あ、あの、本で読んだんです!どこか別の雪国の話で…そこに雪だるまの作り方ものっていました!」
我ながら苦しい言い訳だったけど、公爵様は納得してくれたようだった。
「なるほど、そうだったのですね」
「は、はい…」
公爵様の追求が止まったので、私はホット胸をなで下ろす。
別に悪いことをしているわけではないけれど。
私が転生してきて前世の記憶がある奇妙な存在だということが知られれば、ここにはいられなくなる可能性もあるかもしれない。
(変に疑われるようなことはしないように、気をつけないと…)
和やかに進んだ食事を終えて入浴を済ませ、カイルを寝かしつけた後、私は自分の部屋には戻らず、夫婦共有の寝室に向かった。
初めてこのお城に来たとき、初夜をどこで迎えるのかと疑問を感じたのだが、どうやら本来はこの部屋を使うはずだったようだ。
使用人達にも事情を話したので、急いで用意してくれたらしい。
日頃から毎日掃除や空気の入れ換えなどは行っていたようなので、シーツや布団の取り替えなどを行うだけで済んだようだ。
(自分から提案したことだけど…公爵様と同じベッドで寝るというのは少し緊張するかも…)
何かの間違いが起こる可能性は限りなく低いとは思うけれど。
前世では経験があるとはいえ、シャーレットのこの体は清いまま。
しかも、何事もなくても、同じベッドで寝るというのは、かなり勇気のいる行為だ。
(体裁を整えるために同じ部屋で寝るだけだから、きっと何も起こらないわよね…)
もしも何か起こったとしても、それは公爵夫人として当然の義務でもある。
相手は公爵様で良い人だし、イケメンだし、30歳年上の浮気男に抱かれることを考えれば、まったく問題はない。
「大丈夫…自然の流れに任せよう」
私はそうつぶやいて、気持ちを落ち着けた。
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