夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸

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第百二十六話 そんなあなたが大好きです

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「明日の皇宮への外出申請、しておきました」
「ありがとうございます」

私とカイルを本邸に送り届けた後、ラウル様は皇宮に出勤し、今戻ってきたところだった。
体力のある人とはいえ、休む間もなく働き続けていて、体を壊さないか心配になってしまう。
せめて自宅にいる時ぐらいは、ゆっくりしてもらえたらと思う。

「お茶でも入れましょうか?」
「いいですね。お願いします」

今日はいつもよりも早めの時間だったので、こうしてゆっくり過ごす時間が持てるのが嬉しい。
仕事が深夜にまで及ぶときには皇宮に泊まり込むもこともあるので、なおさらこうして二人で過ごせる時間は貴重だった。
ラウル様の手元に、ハーブティーのティーカップを置く。

「今日はいくつかのハーブをブレンドしてみました」
「どうりで良い香りがすると思いました」

私も自分でブレンドしたお茶を飲んでみる。
カモミールにレモンバームとアップルピースを加えている。
美味しいだけではなく気持ちを落ち着けてよく眠れるようにと思ってブレンドしたものだが、なかなか良い感じに仕上がっていた。

「美味しいですね。気持ちが落ち着きます」
「良かった…」

精神的にハードな仕事をしているから、少しでも気持ちが安らぐサポートができたら、それが一番だ。
まもなく違法賭博で逮捕された貴族達の裁判が始まる。
そうなるとまた、皇宮警察やラウル様に注目が集まるから、その対応にも追われることになるのだろうと思う。

「こうしてあなたと過ごしていると、私も普通に生きていて良いのだなと思えます」

ラウル様の言葉に、私は驚いた。
そんなことを、いつも考えていたのかと。

「当たり前じゃないですか。ラウル様にはラウル様の人生があるんですから。普通に生きる権利があって当然です」

ラウル様がそんなことを言うのは、それだけ過酷な仕事をしているという証なのだろう。
私が知っているラウル様の仕事は表向きのものだけだけど、他人に言うことのできない仕事もしているということは、理解しているつもりだ。
6年間放置されてきたものを正常に戻せと任されたのだから、今は無理をしてでも強引にしなければならないこともあるのだろう。
通常の神経では務まらない。
先代の皇帝は、こういう事態も想定してラウル様を皇宮警察に送り込んだのだろうか。

(それとも…他にもラウル様がそんなふうに考えてしまう理由があるのだろうか…)

私はティーカップを置いて、ラウル様の手に触れた。

「私はラウル様がとても繊細で優しくて、嘘偽りのない人だと知っています」
「ありがとうございます」
「そんなラウル様が…私は大好きです」

少しの間があって。
ぐっと体を引き寄せられた。

「私も…そんなあなたが大好きです」

その表情を見ようと顔を上げた瞬間、唇を塞がれた。
痛みを感じるぐらい強く抱きしめられて。
私もラウル様を求めるように、その背中に手を伸ばした。


翌日、指定された時間に皇宮へ向かう馬車に乗ろうとすると、見慣れた皇宮警察の警官の姿があった。
確か名前はイザークといい、グリーン侯爵と話をしたときに一緒にいてくれた人だ。

「今日は私が護衛を担当させて頂くことになりました。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。えっと、イザークさん…」
「はい。イザーク・ヴェーバーと申します。どうぞ」

馬車に乗り込む私に、イザークさんは手を差し出してくれる。

「ありがとうございます」

お礼を言って馬車に乗り込むと扉を閉めてくれ、前後の警官たちに何か指示を出していた。
イザークさんは馬に乗ると、馬車の前方に回り込んだ。

(毎回思うけど…警護って大変よね…)

本邸から皇宮までは馬車で十数分程度の距離だけど、それでもこれだけ大げさな護衛がつく。
昨日の命名式でも警備が大げさすぎることをラウル様と皇女様が話していたけれど。
目的が血筋の保護なら、手を抜くわけにもいかないのだろう。


皇宮に到着すると、イザークさんともう1人の警官だけが付き添って、他の警官たちは外で待機するようだった。
皇宮内は外に比べて安全のはずだけど、それでも最低二人は毎回護衛としてついてきてくれた。

「皇宮の中は、そんなに危なくないと思うので、護衛の人を減らしてもらっても大丈夫と思いますけど…そういうわけにもいかないんでしょうね」
「はい。決まりですので」

皇宮に用のある貴族たちは、事前に手続きを行っているので、基本的に素性の知れない者の姿はないはずだ。
税金の無駄遣いのような気もするのだけど…と思っていると、イザークさんは言葉を続けた。

「皇宮への出入りは厳しく管理されているはずですが、年に何度かは逮捕者が出ています。不法侵入だったり、乱闘騒ぎだったり…ですので、完全に安全ともいえないのです」
「そうなんですね…」

そんな話をしているうちに、皇女様が会議室として指定した部屋についた。
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