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年下将軍に側室として求められて(9)
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その夜、芭乃は義藤の閨に呼ばれた。
いつものように身支度をし、女房たちに連れられて閨に入る。
もうこうした儀式じみたことには慣れたつもりでも、やはり緊張はしてしまう。完全に慣れるということは出来そうにない。
「どうだった? 久しぶりの光秀との対面は?」
閨に入るなり、珍しく義藤が口を開いた。
「ど……どうだったと言われましても」
芭乃は返す言葉に困り、うつむいてしまう。
久しぶりにこうして閨で声をかけられたというのに、義藤の言葉は刺々しい。言葉の裏に、何か別の勘定があるかのようだ。
芭乃が黙り込んでいると、義藤はさらに聞いて来る。
「随分と顔を赤くしていたようだったが、かつての想い人と会うのはそんなに嬉しいか?」
そんな意地悪を言いながら、義藤は口の端をあげて笑う。笑ってはいても、悪意が滲み出ていた。
「そ、それは……っ……その……っ……」
芭乃はこういう時、ごまかすという方法を知らない。そういう方法を知っていたなら、きっと双方ともにもっと幸せになれていたのかもしれない。だけど芭乃は、言葉でも態度でも、嘘をつくということが出来ない性質だった。
義藤は小さくため息をつくと、なぜだか笑った。不思議に思って芭乃が首をかしげると、笑みを引っ込めて義藤が離れた。
「今日は少し趣向を変えてみよう」
義藤の言葉の意味が分からなくて、芭乃はさらに首をかしげる。
「趣向? どういうことですか?」
「俺の目の前で、光秀を思いながら気を遣ってみろ」
「ど、どうしてそんな……っ……」
気を遣るという言葉の意味は、芭乃も分かる。要するに、自分で自分を慰めろということだ。それも、光秀を思いながらやれと義藤は命じている。
「ま、待ってください……どうしてそんなことを……私が……」
芭乃が難色を示すと、義藤は笑いもせずに言い放つ。
「どうした? 公方様の命令だぞ。さっさと始めろ」
どうやら義藤は本気のようだった。
「ゆ、許してくださいっ……そんなことは出来ません」
芭乃はその場に平伏して許しを請う。他のどんなことでも命じられればするかもしれないが、それだけは従うことが出来そうになかった。
義藤はまるで芭乃を侮蔑するように鼻で笑う。
「あんなに顔を赤らめて、体も震わせていたくせに、出来ないのか?」
「出来ませんっ」
芭乃がきっぱりとそう言うと、義藤は顔を近づけ、聞いて来る。
「なぜだ?」
「義藤様以外の殿方とそういうことをするのは、想像の中でもできません。私は義藤様に嫁いだ女なのですから。私にだって女としての矜持があります」
芭乃はひかなかった。いや、引けなかった。
「ふむ……」
まるで芭乃の気持ちを確かめようとするかのように、義藤は目を細め、じっと見つめてくる。その面影はまだ少年のようであるのに、目は嫉妬に燃えた男のものだ。
「分かった。じゃあ、光秀を思わなくていい。俺のことを思って気を遣ってみろ。それなら出来るだろう?」
「そ、そんな……っ……」
「出来ないのか? それじゃあ、話が合わないじゃないか」
義藤の言うことはもっともだった。義藤以外のものを思ってそういうことは出来ないと言ったけれど、それはつまり、義藤を思ってなら出来ると言ってしまったようなものだ。
「……わ、分かりました。義藤様を思いながら、気を……遣ります」
義藤がじっと見つめている。まるで芭乃の心の中まで見ようとするかのように。
芭乃は帯を解くと、いつも義藤にされているように、自分で胸を揉みしだいていく。
「ん、ふ……ぅ……んっ……ぁっ……んっ……」
自分でも驚くほどにいやらしい声が、その唇から漏れてしまう。
閨での経験を重ねるうちに、義藤によって芭乃の体は開発され続けてきた。今はこうして乳首の先に指が触れるだけでも、体全体が熱くなってしまう。
いつもなら義藤の乱暴なほどの愛撫で高められるはずの体が、今は自分の手によって、高まっていく。
それを義藤は、冷めた目でじっと見つめているのだ。
その義藤の目を見ると、熱くなりかけた体が一気に冷めてしまいそうになる。だから芭乃は義藤がそこにいないと思い込んで、行為を続けた。
「ん……ぁ、んっ……ふ……あ、んんっ……」
胸を弄り回すだけでは物足りなくなり、下帯を解き、両足の合間の熱くなったその部分へと手を伸ばしていく。
もうそこはすでに下帯を湿らすほどの蜜を溢れあせていた。
「……ぁんんっ……! んっ、く……んぅっ……」
指で濡れたその部分に触れながら、入り口の上のほうにある突起を擦り上げるようにする。いつも義藤はそんなふうにして芭乃の秘所に触れてくるのだ。義藤に触れられているときのことを思い出しながら、芭乃は行為に没頭していく。
「ん、ふ……ぁっ……義藤……様ぁ……んっ、ぁっ……」
なるべく、義藤の良いところを思い出すようにして、芭乃は濡れた指をくちゅくちゅと動かしていく。最初は入り口付近を滑らせるようにしていた指を、いつしか内部へと押し込んでいた。
義藤のものとはまるで大きさの違う自分の指を数本重ね、たっぷりとあふれ出す蜜の力を借りながら抽送を繰り返す。
「あっ……んっ……ん、ふ……ぁっ、はぁっ……」
だんだんと、まるで義藤が中に入っているような気持ちになってくる。その指は大胆に出入りを繰り返しながら、芭乃の体をさらに熱くさせていった。
いつしか芭乃の吐息は完全に乱れ、快楽の頂点へ向かって疾走を続ける。
「ん、ぁっ、あっ、はぁッ……も、もう……来るっ!」
芭乃はさらに激しく指を抽送しながら、息を喘がせていった。もう自分を見つめる義藤のことも見えない。芭乃に見えているのは、いつものようにこの閨で自分を貫く義藤の姿だった。
「あ、ぁっ、はぁッ……義藤様っ……あ、ぁっ!」
芭乃の体がびくんと大きく跳ね上がり、そのまま布団に沈み込んだ。大きく開かれた着物の前から見える芭乃の胸が、激しく上下し続けている。
芭乃はしばらくの間、熱に浮かされたように息を喘がせ続けた。このように自分で気を遣るのは初めてのことだった。だから、義藤によって導かれるのとはまた違った快楽を感じた。どちらが良いのかなど、芭乃には判断がつかない。けれども、今はまだ自分の体が自分のものでないような感じだった。
「芭乃」
気がつくと、義藤が自分の顔を覗き込んでいた。それでようやく、芭乃は自分がしたことを理解して悲鳴をあげた。
「嫌っ、嫌ぁっ! み、見ないでっ、見ないでくださいっ!」
乱れた着物の前をかきあわせ、芭乃は体ごと義藤の視線から逃れようとする。
「もっと見たい。こっちを向け」
義藤は強引に肩を掴み、芭乃の顔をこちらに向けさせようとする。芭乃は必死に抗おうとしても、力で義藤にかなわないことは、もう何度も経験済みのことだった。
「い、嫌ですっ……嫌っ! こ、こんな恥ずかしい姿……見られたくなかった……っ……うっ、うぅっ」
芭乃の目からは涙がぼろぼろと溢れ出した。少し義藤は驚いてしまったようだ。無理にこちらを向かせようとしていた手を引いてしまった。
「うっ、うぅ……は、恥ずかしい……死んでしまいたいっ……」
芭乃はそう言いながら声を押し殺すようにして泣き続けた。いくら泣いても涙は止まらなかった。
恥ずかしくて誰にも見せることが出来ないような行為を、最初から最後までじっと義藤に見られ続けていた。
それは義藤が命じたことではあったけれど、行為の途中から芭乃は義藤がいないものとして行為を続けていた。
だから見られていたのだということを理解したときの衝撃はすさまじかったのだ。
「ごめん、芭乃……悪かった。俺が悪かった……」
「うっ……く……うぅ……っ……」
謝り続ける義藤の言葉に答えることも出来ず、芭乃は嗚咽を続ける。
「私の……こんなに醜い汚い姿……見られたくなかった……」
「違う。芭乃は醜くなんかない。芭乃がそう思っているのだとしたら、それは俺の責任だ。俺が悪いんだ。俺が醜いんだ」
義藤はそう言うと、背を向けたままの芭乃を強引に自分のほうに抱き寄せ、その唇に吸い付くように接吻する。
「芭乃は綺麗だ……綺麗なままだ。一度だって醜くなったことなんてない」
義藤は芭乃の耳元で何度も同じことを囁きながら、その瞳から溢れる涙を舐め、唇を吸う。
けれども一度あふれ出した芭乃の涙は止まりそうになかった。そして、芭乃が自分自身に感じた羞恥と嫌悪感も。
「芭乃は綺麗だ……芭乃は美しい……」
義藤は囁きながら、芭乃の体に触れていく。達した直後だからか、敏感な胸の突起に触れただけで、芭乃の体はびくんと大きく跳ね上がるように震えた。
「うっ、く……や、やめて……もうやめてくださいっ……」
「嫌だ、やめない……」
「んあっ、あっ、義藤様っ……あ、んんっ……」
「お前は綺麗だ……芭乃……俺がそれを証明してやる……」
義藤はそう言うと、芭乃の両足を開かせ、その入り口に自身の分身を突き立ててくる。そして、ゆっくりと芭乃の中へと入ってきた。
「あっ、ぁぁっ……!」
先ほどまで自身の指で慰めていたその場所に、今は義藤の分身が入ってきている。やはり指などとはまるで違う。大きさも、存在感も。気がつくと芭乃は熱く息を弾ませていた。
「芭乃は汚れていない。芭乃はずっと綺麗なままだ」
義藤は芭乃に言い聞かせるように囁きながら、腰を揺らし続ける。浅く深く、出入りを繰り返す義藤の分身は、芭乃のすべてを認めてくれているようだった。
次第に芭乃は先ほどまで感じていた自己嫌悪や羞恥を忘れ、義藤の律動に合わせるように、息を甘く弾ませていく。
「あ、んんっ……あ、ぁっ……はぁっ……」
「そうだ、芭乃。素直になっていいんだ」
「素直に……っんぁ、ん……あ、ぁっ……」
薄く目を開けると、汗を浮かべる義藤の面があった。まだあどけなさの残るその顔は、芭乃を必死に案じるような表情をしている。
「義藤……さま……っ……は、あっ……」
「俺は……ここにいる。お前と一緒だ」
義藤はそう言うと、何かを探すように動く芭乃の手をぎゅっと握り締める。芭乃も無意識のうちにその手を握り返していた。
「芭乃……好きだ……」
久しぶりに囁かれるその言葉。初めての夜以来、義藤は何も言わず、ただ芭乃を揺さぶることに没頭していた。
けれども、こうして言葉をかけられることが、こんなに嬉しいものなのだということを、芭乃は今感じている。
「あっ……ぁっ……あ、ぁん……あっ……」
喘ぐような呼吸を繰り返しながら、少しずつ自分がどこかへ導かれているように芭乃は思った。自分で気を遣るのとは違って、誰かがそこへ連れて行ってくれることのへの安堵感のようなものを、芭乃は今感じているのかもしれない。
「ん、ぁっ……義藤様……ま、また……来ます……っ……」
「ああ……そうだな。お前の中、すごくひくついてる。もう近いな」
「い、いや……もういや……っ……」
「大丈夫だ……全部俺のせいだ。だからお前のせいじゃない。何も気にするな。何も考えるな」
「義藤……さま……っ……あ、ひっ、ひっ……あっ!」
まるで芭乃の体を知り尽くしているように、義藤は腰を動かしている。芭乃の感じやすい奥のほうを強く突き上げたかと思うと、浅く突き上げて入り口のほうを刺激してきたり。今は絶頂が近いせいか、ぐいぐいと奥を集中して責められている。
「あ、ぁっ……義藤っ、さまっ……あぁっ……!」
「くっ、芭乃……っ……」
二人はほぼ同時に絶頂を迎えたようだった。びくびくと痙攣する芭乃の体の中に、熱いものが流れ込んでくる。
「はぁっ……あ、ぁ……熱い……義藤様の……っ……」
「ああ、っく……ぅ……」
義藤は呻きながらも、さらに芭乃の中へと精を流し込み続ける。
「芭乃……綺麗だ……ずっと綺麗だったよ……」
「義藤様……」
苦しげに顔を歪める義藤の細い首を抱きしめるようにすると、その体重が一気に芭乃の上にのしかかってきた。
いつものように身支度をし、女房たちに連れられて閨に入る。
もうこうした儀式じみたことには慣れたつもりでも、やはり緊張はしてしまう。完全に慣れるということは出来そうにない。
「どうだった? 久しぶりの光秀との対面は?」
閨に入るなり、珍しく義藤が口を開いた。
「ど……どうだったと言われましても」
芭乃は返す言葉に困り、うつむいてしまう。
久しぶりにこうして閨で声をかけられたというのに、義藤の言葉は刺々しい。言葉の裏に、何か別の勘定があるかのようだ。
芭乃が黙り込んでいると、義藤はさらに聞いて来る。
「随分と顔を赤くしていたようだったが、かつての想い人と会うのはそんなに嬉しいか?」
そんな意地悪を言いながら、義藤は口の端をあげて笑う。笑ってはいても、悪意が滲み出ていた。
「そ、それは……っ……その……っ……」
芭乃はこういう時、ごまかすという方法を知らない。そういう方法を知っていたなら、きっと双方ともにもっと幸せになれていたのかもしれない。だけど芭乃は、言葉でも態度でも、嘘をつくということが出来ない性質だった。
義藤は小さくため息をつくと、なぜだか笑った。不思議に思って芭乃が首をかしげると、笑みを引っ込めて義藤が離れた。
「今日は少し趣向を変えてみよう」
義藤の言葉の意味が分からなくて、芭乃はさらに首をかしげる。
「趣向? どういうことですか?」
「俺の目の前で、光秀を思いながら気を遣ってみろ」
「ど、どうしてそんな……っ……」
気を遣るという言葉の意味は、芭乃も分かる。要するに、自分で自分を慰めろということだ。それも、光秀を思いながらやれと義藤は命じている。
「ま、待ってください……どうしてそんなことを……私が……」
芭乃が難色を示すと、義藤は笑いもせずに言い放つ。
「どうした? 公方様の命令だぞ。さっさと始めろ」
どうやら義藤は本気のようだった。
「ゆ、許してくださいっ……そんなことは出来ません」
芭乃はその場に平伏して許しを請う。他のどんなことでも命じられればするかもしれないが、それだけは従うことが出来そうになかった。
義藤はまるで芭乃を侮蔑するように鼻で笑う。
「あんなに顔を赤らめて、体も震わせていたくせに、出来ないのか?」
「出来ませんっ」
芭乃がきっぱりとそう言うと、義藤は顔を近づけ、聞いて来る。
「なぜだ?」
「義藤様以外の殿方とそういうことをするのは、想像の中でもできません。私は義藤様に嫁いだ女なのですから。私にだって女としての矜持があります」
芭乃はひかなかった。いや、引けなかった。
「ふむ……」
まるで芭乃の気持ちを確かめようとするかのように、義藤は目を細め、じっと見つめてくる。その面影はまだ少年のようであるのに、目は嫉妬に燃えた男のものだ。
「分かった。じゃあ、光秀を思わなくていい。俺のことを思って気を遣ってみろ。それなら出来るだろう?」
「そ、そんな……っ……」
「出来ないのか? それじゃあ、話が合わないじゃないか」
義藤の言うことはもっともだった。義藤以外のものを思ってそういうことは出来ないと言ったけれど、それはつまり、義藤を思ってなら出来ると言ってしまったようなものだ。
「……わ、分かりました。義藤様を思いながら、気を……遣ります」
義藤がじっと見つめている。まるで芭乃の心の中まで見ようとするかのように。
芭乃は帯を解くと、いつも義藤にされているように、自分で胸を揉みしだいていく。
「ん、ふ……ぅ……んっ……ぁっ……んっ……」
自分でも驚くほどにいやらしい声が、その唇から漏れてしまう。
閨での経験を重ねるうちに、義藤によって芭乃の体は開発され続けてきた。今はこうして乳首の先に指が触れるだけでも、体全体が熱くなってしまう。
いつもなら義藤の乱暴なほどの愛撫で高められるはずの体が、今は自分の手によって、高まっていく。
それを義藤は、冷めた目でじっと見つめているのだ。
その義藤の目を見ると、熱くなりかけた体が一気に冷めてしまいそうになる。だから芭乃は義藤がそこにいないと思い込んで、行為を続けた。
「ん……ぁ、んっ……ふ……あ、んんっ……」
胸を弄り回すだけでは物足りなくなり、下帯を解き、両足の合間の熱くなったその部分へと手を伸ばしていく。
もうそこはすでに下帯を湿らすほどの蜜を溢れあせていた。
「……ぁんんっ……! んっ、く……んぅっ……」
指で濡れたその部分に触れながら、入り口の上のほうにある突起を擦り上げるようにする。いつも義藤はそんなふうにして芭乃の秘所に触れてくるのだ。義藤に触れられているときのことを思い出しながら、芭乃は行為に没頭していく。
「ん、ふ……ぁっ……義藤……様ぁ……んっ、ぁっ……」
なるべく、義藤の良いところを思い出すようにして、芭乃は濡れた指をくちゅくちゅと動かしていく。最初は入り口付近を滑らせるようにしていた指を、いつしか内部へと押し込んでいた。
義藤のものとはまるで大きさの違う自分の指を数本重ね、たっぷりとあふれ出す蜜の力を借りながら抽送を繰り返す。
「あっ……んっ……ん、ふ……ぁっ、はぁっ……」
だんだんと、まるで義藤が中に入っているような気持ちになってくる。その指は大胆に出入りを繰り返しながら、芭乃の体をさらに熱くさせていった。
いつしか芭乃の吐息は完全に乱れ、快楽の頂点へ向かって疾走を続ける。
「ん、ぁっ、あっ、はぁッ……も、もう……来るっ!」
芭乃はさらに激しく指を抽送しながら、息を喘がせていった。もう自分を見つめる義藤のことも見えない。芭乃に見えているのは、いつものようにこの閨で自分を貫く義藤の姿だった。
「あ、ぁっ、はぁッ……義藤様っ……あ、ぁっ!」
芭乃の体がびくんと大きく跳ね上がり、そのまま布団に沈み込んだ。大きく開かれた着物の前から見える芭乃の胸が、激しく上下し続けている。
芭乃はしばらくの間、熱に浮かされたように息を喘がせ続けた。このように自分で気を遣るのは初めてのことだった。だから、義藤によって導かれるのとはまた違った快楽を感じた。どちらが良いのかなど、芭乃には判断がつかない。けれども、今はまだ自分の体が自分のものでないような感じだった。
「芭乃」
気がつくと、義藤が自分の顔を覗き込んでいた。それでようやく、芭乃は自分がしたことを理解して悲鳴をあげた。
「嫌っ、嫌ぁっ! み、見ないでっ、見ないでくださいっ!」
乱れた着物の前をかきあわせ、芭乃は体ごと義藤の視線から逃れようとする。
「もっと見たい。こっちを向け」
義藤は強引に肩を掴み、芭乃の顔をこちらに向けさせようとする。芭乃は必死に抗おうとしても、力で義藤にかなわないことは、もう何度も経験済みのことだった。
「い、嫌ですっ……嫌っ! こ、こんな恥ずかしい姿……見られたくなかった……っ……うっ、うぅっ」
芭乃の目からは涙がぼろぼろと溢れ出した。少し義藤は驚いてしまったようだ。無理にこちらを向かせようとしていた手を引いてしまった。
「うっ、うぅ……は、恥ずかしい……死んでしまいたいっ……」
芭乃はそう言いながら声を押し殺すようにして泣き続けた。いくら泣いても涙は止まらなかった。
恥ずかしくて誰にも見せることが出来ないような行為を、最初から最後までじっと義藤に見られ続けていた。
それは義藤が命じたことではあったけれど、行為の途中から芭乃は義藤がいないものとして行為を続けていた。
だから見られていたのだということを理解したときの衝撃はすさまじかったのだ。
「ごめん、芭乃……悪かった。俺が悪かった……」
「うっ……く……うぅ……っ……」
謝り続ける義藤の言葉に答えることも出来ず、芭乃は嗚咽を続ける。
「私の……こんなに醜い汚い姿……見られたくなかった……」
「違う。芭乃は醜くなんかない。芭乃がそう思っているのだとしたら、それは俺の責任だ。俺が悪いんだ。俺が醜いんだ」
義藤はそう言うと、背を向けたままの芭乃を強引に自分のほうに抱き寄せ、その唇に吸い付くように接吻する。
「芭乃は綺麗だ……綺麗なままだ。一度だって醜くなったことなんてない」
義藤は芭乃の耳元で何度も同じことを囁きながら、その瞳から溢れる涙を舐め、唇を吸う。
けれども一度あふれ出した芭乃の涙は止まりそうになかった。そして、芭乃が自分自身に感じた羞恥と嫌悪感も。
「芭乃は綺麗だ……芭乃は美しい……」
義藤は囁きながら、芭乃の体に触れていく。達した直後だからか、敏感な胸の突起に触れただけで、芭乃の体はびくんと大きく跳ね上がるように震えた。
「うっ、く……や、やめて……もうやめてくださいっ……」
「嫌だ、やめない……」
「んあっ、あっ、義藤様っ……あ、んんっ……」
「お前は綺麗だ……芭乃……俺がそれを証明してやる……」
義藤はそう言うと、芭乃の両足を開かせ、その入り口に自身の分身を突き立ててくる。そして、ゆっくりと芭乃の中へと入ってきた。
「あっ、ぁぁっ……!」
先ほどまで自身の指で慰めていたその場所に、今は義藤の分身が入ってきている。やはり指などとはまるで違う。大きさも、存在感も。気がつくと芭乃は熱く息を弾ませていた。
「芭乃は汚れていない。芭乃はずっと綺麗なままだ」
義藤は芭乃に言い聞かせるように囁きながら、腰を揺らし続ける。浅く深く、出入りを繰り返す義藤の分身は、芭乃のすべてを認めてくれているようだった。
次第に芭乃は先ほどまで感じていた自己嫌悪や羞恥を忘れ、義藤の律動に合わせるように、息を甘く弾ませていく。
「あ、んんっ……あ、ぁっ……はぁっ……」
「そうだ、芭乃。素直になっていいんだ」
「素直に……っんぁ、ん……あ、ぁっ……」
薄く目を開けると、汗を浮かべる義藤の面があった。まだあどけなさの残るその顔は、芭乃を必死に案じるような表情をしている。
「義藤……さま……っ……は、あっ……」
「俺は……ここにいる。お前と一緒だ」
義藤はそう言うと、何かを探すように動く芭乃の手をぎゅっと握り締める。芭乃も無意識のうちにその手を握り返していた。
「芭乃……好きだ……」
久しぶりに囁かれるその言葉。初めての夜以来、義藤は何も言わず、ただ芭乃を揺さぶることに没頭していた。
けれども、こうして言葉をかけられることが、こんなに嬉しいものなのだということを、芭乃は今感じている。
「あっ……ぁっ……あ、ぁん……あっ……」
喘ぐような呼吸を繰り返しながら、少しずつ自分がどこかへ導かれているように芭乃は思った。自分で気を遣るのとは違って、誰かがそこへ連れて行ってくれることのへの安堵感のようなものを、芭乃は今感じているのかもしれない。
「ん、ぁっ……義藤様……ま、また……来ます……っ……」
「ああ……そうだな。お前の中、すごくひくついてる。もう近いな」
「い、いや……もういや……っ……」
「大丈夫だ……全部俺のせいだ。だからお前のせいじゃない。何も気にするな。何も考えるな」
「義藤……さま……っ……あ、ひっ、ひっ……あっ!」
まるで芭乃の体を知り尽くしているように、義藤は腰を動かしている。芭乃の感じやすい奥のほうを強く突き上げたかと思うと、浅く突き上げて入り口のほうを刺激してきたり。今は絶頂が近いせいか、ぐいぐいと奥を集中して責められている。
「あ、ぁっ……義藤っ、さまっ……あぁっ……!」
「くっ、芭乃……っ……」
二人はほぼ同時に絶頂を迎えたようだった。びくびくと痙攣する芭乃の体の中に、熱いものが流れ込んでくる。
「はぁっ……あ、ぁ……熱い……義藤様の……っ……」
「ああ、っく……ぅ……」
義藤は呻きながらも、さらに芭乃の中へと精を流し込み続ける。
「芭乃……綺麗だ……ずっと綺麗だったよ……」
「義藤様……」
苦しげに顔を歪める義藤の細い首を抱きしめるようにすると、その体重が一気に芭乃の上にのしかかってきた。
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