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新時代の幕開け
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スラーレン帝国の滅亡から1年余りが経過した。
穏やかな秋のこの日、帝都ボルフォーヌは人々の期待と歓喜の声に満ちていた。ボルフォーヌを帝都としてベルタニア帝国が建国され、アルベールが初代皇帝に即位する日なのである。
つい数日前に完成した新たな皇宮は、初秋の暖かな陽の光を受けて輝き、乳白色の壁と、豪華な黄金色の屋根は一層際立って美しく見えた。
この皇宮は、これまでのベルタン家の屋敷から1セルタほど離れた丘の上に建設された、全く新たなものである。
皇宮の儀式の間には、全国から貴族や官僚たちが集まり、新皇帝の即位式に臨もうとしていた。
やがて礼服に身を包み、マントを着たアルベールが姿を見せた。
一斉に参列者が頭を下げる中、アルベールは堂々と儀式の間の中央を進んでいき、段を上がる。
金銀で美しく装飾された玉座の側に、置かれたテーブルには紫色の絹布が被せられ、その上に黄金色に輝く帝冠が載せられている。
アルベールは帝冠を両手に取り、その灰色の頭上にゆっくりと乗せた。
「「「皇帝陛下万歳!我が皇帝陛下万歳!」」」
アルベールは玉座に座し、テーブルに置かれた帝笏を取って右手に持つ。
やがて新帝国の宰相となるオリヴィエがアルベールの前に進み出て、一礼すると万歳三唱の音頭をとった。
「皇帝陛下万歳!」
「「「皇帝陛下万歳!皇帝陛下万歳!皇帝陛下万歳!」」」
嵐のような歓喜の声が包む中、アルベールは周囲を見渡した。
段の左右には皇后となったイヴォンヌをはじめとする皇族が立ち、段の下では大臣級の貴族や官僚たちが万歳を叫び続けている。
これが新時代の幕開けなのだと、アルベールは思った。スラーレン帝国は滅び、ベルタニア帝国が誕生したのだ。スラーレンとは何だったのだろうか。それは大陸が一つの国家となるための、いわば詭弁のようなものであったのかもしれない。ルイ皇帝が大陸統一政策を開始した時点で、既にスラーレンの滅亡は決定的になっていたのだった。
即位式が終わり、ボルフォーヌ市内では雅やかなパレードが開かれた。
馬車の窓から皇帝アルベールが手を振る。皇后の冠を被り、純白のドレスに身を包んだ皇后イヴォンヌも、幼い皇太子アントワーヌを抱いてアルベールの隣に座っている。
市民たちは色とりどりの花びらや色紙を投げ、歓喜の声を上げて新皇帝夫妻を祝福する。
騎士たちは、忙しそうに、しかし嬉しそうに沿道の警備に当たる。
ボルフォーヌは帝都にふさわしい規模の都市となるよう、この1年間拡張されてきたため、パレードで回る範囲も広いが、アルベールは疲れを全く見せず、笑顔で人々の歓呼に応えた。
パレードが終わり、日が沈んで夜が訪れると、皇宮の広間で晩餐会が開かれた。
広間の美しい絨毯、豪奢なシャンデリア、美しい音楽の生演奏、最高級のワイン、絶品の料理…しかし贅を尽くした数々のもの以上に、参加者たちの気を引くことがあった。
それは、ベルタニア帝国の未来である。
歴史を創った当人たち以上に彼らは、全く新たな時代の幕開けを、実感していたのであった。
完
穏やかな秋のこの日、帝都ボルフォーヌは人々の期待と歓喜の声に満ちていた。ボルフォーヌを帝都としてベルタニア帝国が建国され、アルベールが初代皇帝に即位する日なのである。
つい数日前に完成した新たな皇宮は、初秋の暖かな陽の光を受けて輝き、乳白色の壁と、豪華な黄金色の屋根は一層際立って美しく見えた。
この皇宮は、これまでのベルタン家の屋敷から1セルタほど離れた丘の上に建設された、全く新たなものである。
皇宮の儀式の間には、全国から貴族や官僚たちが集まり、新皇帝の即位式に臨もうとしていた。
やがて礼服に身を包み、マントを着たアルベールが姿を見せた。
一斉に参列者が頭を下げる中、アルベールは堂々と儀式の間の中央を進んでいき、段を上がる。
金銀で美しく装飾された玉座の側に、置かれたテーブルには紫色の絹布が被せられ、その上に黄金色に輝く帝冠が載せられている。
アルベールは帝冠を両手に取り、その灰色の頭上にゆっくりと乗せた。
「「「皇帝陛下万歳!我が皇帝陛下万歳!」」」
アルベールは玉座に座し、テーブルに置かれた帝笏を取って右手に持つ。
やがて新帝国の宰相となるオリヴィエがアルベールの前に進み出て、一礼すると万歳三唱の音頭をとった。
「皇帝陛下万歳!」
「「「皇帝陛下万歳!皇帝陛下万歳!皇帝陛下万歳!」」」
嵐のような歓喜の声が包む中、アルベールは周囲を見渡した。
段の左右には皇后となったイヴォンヌをはじめとする皇族が立ち、段の下では大臣級の貴族や官僚たちが万歳を叫び続けている。
これが新時代の幕開けなのだと、アルベールは思った。スラーレン帝国は滅び、ベルタニア帝国が誕生したのだ。スラーレンとは何だったのだろうか。それは大陸が一つの国家となるための、いわば詭弁のようなものであったのかもしれない。ルイ皇帝が大陸統一政策を開始した時点で、既にスラーレンの滅亡は決定的になっていたのだった。
即位式が終わり、ボルフォーヌ市内では雅やかなパレードが開かれた。
馬車の窓から皇帝アルベールが手を振る。皇后の冠を被り、純白のドレスに身を包んだ皇后イヴォンヌも、幼い皇太子アントワーヌを抱いてアルベールの隣に座っている。
市民たちは色とりどりの花びらや色紙を投げ、歓喜の声を上げて新皇帝夫妻を祝福する。
騎士たちは、忙しそうに、しかし嬉しそうに沿道の警備に当たる。
ボルフォーヌは帝都にふさわしい規模の都市となるよう、この1年間拡張されてきたため、パレードで回る範囲も広いが、アルベールは疲れを全く見せず、笑顔で人々の歓呼に応えた。
パレードが終わり、日が沈んで夜が訪れると、皇宮の広間で晩餐会が開かれた。
広間の美しい絨毯、豪奢なシャンデリア、美しい音楽の生演奏、最高級のワイン、絶品の料理…しかし贅を尽くした数々のもの以上に、参加者たちの気を引くことがあった。
それは、ベルタニア帝国の未来である。
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