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第3章 Hatred at the Moment
26. side: Robert
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「ある罪人の記憶」は、グリゴリーさんからのメールだった。
なんだ……調査の報告か。驚かさないでよ。
……あれ? 待って、早くない? さっきブライアンにメールを送ったはずなのに……なんで?
ちら、と、自分のスマートフォンの右上を見る。
15:29
ふと気になって、グリゴリーさんからのメールをまた眺める。
……。……あれ? 時間もそうだし、日付、あれ……?
時計アプリを開き、日付を確認する。
6/30
……何、これ。グリゴリーさんからのメールは7月1日からで……あれ? 未来の日付?
未来の日付からの……メール?
ハッと息を飲み、背後のドアを開く。
姉さん達がいたはずの部屋には、ロッド義兄さんしかいない。
「ロバート! さっき呼んだ時、どこ行ってたよ……?」
「ね、姉さんは……?」
「あ? ちょっとお前を探しに行ってくるって……」
「えっ? 僕、ずっとドアの前にいたのに!?」
「……は?」
目を丸くする義兄さん。
その時、がちゃりと音を立て、姉さんがふらつく足取りで戻ってきた。
よほど慌てているのか、息を切らせている。
「……ロッド! ロブが家のどこにもいなかっ…………あれ?」
僕の姿を見て、姉さんはキョトンと目を丸くした。
パソコンの画面には、メーラーが表示されている。一番上の未読メールの差出人に、見覚えがあった。
Ronald Anderson
不穏な名前に、思わず唾を飲む。おそらく、ロン義兄さんからメールが来たから、姉さん達は僕を呼んだんだろう。部屋を空けるのが不安だから、ロッド義兄さんを見張りに置いた。……それは、わかる。
嫌な予感がして、パソコンの右下の方に視線をやる。
そこには、日付と時間が表示されていた。
6/30 11:57
かつて過去と繋がっていたのは、ロッド義兄さんのパソコンの中だけだったはずなのに。……今は、違う。
確実に……さらに大きな範囲に、ズレが起きている。
「……もしかして、俺……?」
姉さんが呟いたのが聞こえる。
「い、いや……俺のパソコンも元々侵蝕? されてたしな……」
ロッド義兄さんの声は小刻みに震えている。
恐怖と……憎悪を懸命に抑えつけたような、そんな声色だ。
未読メールを選択し、クリックする。
ゆっくりと画面をスクロールし、メールの内容に目を滑らせる。
罠が仕組まれているかもしれないから、慎重に文字を追っていく……
『ロデリック。
少し、厄介なことになってしまった。私としたことが……油断したよ。
……ああ、信じたくないのなら、別に信じなくてもいい。それに、善意から教える訳でもない。私にとっても利益があるから、伝えるだけだ。
線路でアンドレアを襲った怨霊たちのことを覚えているかな。あれが『奴』の側についたらしい。
もっとも、彼らは自分たちの行いが逆恨みだと理解している。宿ったばかりの命を殺したことは、紛うことなき『罪』だからね。
だからこそだ。罪を犯したために善を成そうとする『償い』もあれば、悪を滅ぼそうとする『償い』もある。
彼らはもう、そちらに手出しするつもりはないだろう。……けれど、『君たちの子供を殺したこと』を行動の理由にはしている。
それだけは、覚えておくといい。何かの役に立つかもしれないよ。』
……先に見たのが僕で良かった。
姉さん達が受け止めきれていない過去に、遠慮なく踏み込んでいる。
彼らしいといえば、彼らしい。
「……グリゴリーさんからも新しい情報が来たから……レヴィくんに情報を送って、また連絡を待とう」
画面を開いたままにしつつ、二人に語りかける。
「わかった。また何かできることがあったら、教えてね」
姉さんは落ち着いて見えるけど……こういう時ほど、油断ならない。義兄さんもそれは分かっているみたいで、しっかりと手を握っている。
……レヴィくんにとっても、ロナルド義兄さんは大きなトラウマだったはず。
レヴィくん……大丈夫かな……?
なんだ……調査の報告か。驚かさないでよ。
……あれ? 待って、早くない? さっきブライアンにメールを送ったはずなのに……なんで?
ちら、と、自分のスマートフォンの右上を見る。
15:29
ふと気になって、グリゴリーさんからのメールをまた眺める。
……。……あれ? 時間もそうだし、日付、あれ……?
時計アプリを開き、日付を確認する。
6/30
……何、これ。グリゴリーさんからのメールは7月1日からで……あれ? 未来の日付?
未来の日付からの……メール?
ハッと息を飲み、背後のドアを開く。
姉さん達がいたはずの部屋には、ロッド義兄さんしかいない。
「ロバート! さっき呼んだ時、どこ行ってたよ……?」
「ね、姉さんは……?」
「あ? ちょっとお前を探しに行ってくるって……」
「えっ? 僕、ずっとドアの前にいたのに!?」
「……は?」
目を丸くする義兄さん。
その時、がちゃりと音を立て、姉さんがふらつく足取りで戻ってきた。
よほど慌てているのか、息を切らせている。
「……ロッド! ロブが家のどこにもいなかっ…………あれ?」
僕の姿を見て、姉さんはキョトンと目を丸くした。
パソコンの画面には、メーラーが表示されている。一番上の未読メールの差出人に、見覚えがあった。
Ronald Anderson
不穏な名前に、思わず唾を飲む。おそらく、ロン義兄さんからメールが来たから、姉さん達は僕を呼んだんだろう。部屋を空けるのが不安だから、ロッド義兄さんを見張りに置いた。……それは、わかる。
嫌な予感がして、パソコンの右下の方に視線をやる。
そこには、日付と時間が表示されていた。
6/30 11:57
かつて過去と繋がっていたのは、ロッド義兄さんのパソコンの中だけだったはずなのに。……今は、違う。
確実に……さらに大きな範囲に、ズレが起きている。
「……もしかして、俺……?」
姉さんが呟いたのが聞こえる。
「い、いや……俺のパソコンも元々侵蝕? されてたしな……」
ロッド義兄さんの声は小刻みに震えている。
恐怖と……憎悪を懸命に抑えつけたような、そんな声色だ。
未読メールを選択し、クリックする。
ゆっくりと画面をスクロールし、メールの内容に目を滑らせる。
罠が仕組まれているかもしれないから、慎重に文字を追っていく……
『ロデリック。
少し、厄介なことになってしまった。私としたことが……油断したよ。
……ああ、信じたくないのなら、別に信じなくてもいい。それに、善意から教える訳でもない。私にとっても利益があるから、伝えるだけだ。
線路でアンドレアを襲った怨霊たちのことを覚えているかな。あれが『奴』の側についたらしい。
もっとも、彼らは自分たちの行いが逆恨みだと理解している。宿ったばかりの命を殺したことは、紛うことなき『罪』だからね。
だからこそだ。罪を犯したために善を成そうとする『償い』もあれば、悪を滅ぼそうとする『償い』もある。
彼らはもう、そちらに手出しするつもりはないだろう。……けれど、『君たちの子供を殺したこと』を行動の理由にはしている。
それだけは、覚えておくといい。何かの役に立つかもしれないよ。』
……先に見たのが僕で良かった。
姉さん達が受け止めきれていない過去に、遠慮なく踏み込んでいる。
彼らしいといえば、彼らしい。
「……グリゴリーさんからも新しい情報が来たから……レヴィくんに情報を送って、また連絡を待とう」
画面を開いたままにしつつ、二人に語りかける。
「わかった。また何かできることがあったら、教えてね」
姉さんは落ち着いて見えるけど……こういう時ほど、油断ならない。義兄さんもそれは分かっているみたいで、しっかりと手を握っている。
……レヴィくんにとっても、ロナルド義兄さんは大きなトラウマだったはず。
レヴィくん……大丈夫かな……?
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