『異世界からきたイケメンホスト? 実は最強のエルフでした』

ぜろのいち

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第7章 新生 高橋竜也

新生 高橋竜也

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店長の真田は、40代半ばの落ち着いた雰囲気を持つ男性で、長年の経験から客の心理を巧みに読み取る能力を持っていた。彼の右腕として働くのが、20代後半の美形ホスト、涼川だ。涼川は、その端正な顔立ちと洗練された立ち振る舞いで、多くの客を魅了していた。
そして、最近注目を集めているのが、高橋竜也だった。以前の彼からは想像できないことだが彼の存在は、エデンに新たな風を吹き込んでいた。
ある夜のこと、VIP客の一人、高木財閥の令嬢である美咲が来店した。彼女は普段から気難しい性格で知られており、ホストたちも緊張気味だった。
竜也(エルヴィリス)は、美咲の態度に何か違和感を覚えた。彼女の目には、表面的な高慢さの裏に、深い孤独が潜んでいるように見えた。
「美咲様、こちらのお席はいかがでしょうか」竜也が丁寧に、しかし軽妙に案内すると、美咲は冷ややかな目で彼を見た。
「ふん、新人? あなたに何ができるというの」
その瞬間、竜也は魔力を密かに使った。テーブルに置かれたバラの花が、突如として満開に咲き誇った。さらに、花びらが宙に舞い上がり、美咲の周りを優雅に舞った。
「な、何これ……」美咲は驚きの表情を隠せなかった。
「美咲様の美しさに、花も感動しているのでしょう」竜也は微笑みながら言った。
その後、竜也は美咲との会話を巧みに進めていった。彼女の言葉の端々から、家族との軋轢や仕事のストレスを感じ取り、適切なアドバイスを織り交ぜながら話を展開した。
それは彼の「お気楽さ」からくる物事を平易に見る力故だった。
「こんなホスト、見たことないわ……」美咲は心を開き始めた。
その夜、美咲は予想外の高額な指名料を払い、エデンの売上は大幅に上昇した。
翌日、新規客の佐藤恵子が来店した。彼女は一見冷静そうに見えたが、竜也は彼女の心の痛みを感じ取った。
「佐藤様、失ったものの痛みは辛いものですが、それは新しい未来への扉を開く鍵にもなります」竜也が突然言った。
恵子は驚愕した。
「どうして……私、何も言ってないのに……」
「あなたの目が全てを語っていました」竜也は優しく微笑んだ。
恵子は感動し、その後竜也の常連客となった。
しかし、以前の彼ならば、そのようなことを吹聴し自慢するのが常だったが、今の彼にはそれがなく、どちらかというと休憩時間の他人の自慢話に激しい相槌を打ち、ノルマグラフなどの前でおどけて見せ、「お気楽」そのものだった。
その彼の行動は他人にも影響し店の雰囲気は良い方に転んでいった。
エデンの評判は急速に広まり、多くの客が訪れるようになった。竜也は、店内に自然の力を借りて森の香りやそよ風を漂わせ、客たちを癒していった。
「このお店に来ると、心が洗われるわ」常連客の一人が言った。
ある日、英語しか話せない外国人観光客のジョンが来店した。日本文化交流と称した接待だったが、当初から彼は言葉の壁を感じ黙っていた。同じように他のホストたちが戸惑う中、竜也は流暢な英語で接客を始めた。
「Welcome to EDEN. How may I help you today?」
竜也の完璧な発音に、周囲のスタッフは驚きの表情を浮かべた。それもそのはず、元の竜也は英語が苦手だったのだ。しかし今の彼には、エルヴィリスの記憶に刻まれた言語の才が宿っていた。エルフ族は、古来より多くの種族と交流を重ねてきた。その中で培われた言語習得の才能が、今、思いがけない形で活きていたのだ。
「Amazing! I never expected to find someone who speaks such perfect English in a host club!」
流暢な英語に飢えていたジョンは喜び叫ぶのだった。
店の片隅に置かれた珍しい植物も、客たちの注目を集めていた。この植物は、客の感情に反応して花を咲かせたり色を変えたりした。
「この植物、私の気持ちがわかるみたい」常連客の中島美香が言った。
サイコロゲームのイベントでは、竜也が常に勝利を収めた。彼の予言的な言動に、客たちは驚嘆した。
「あなた、何か特別な力を持っているでしょう?」客の一人が尋ねた。
竜也の人気は急上昇し、エデンの看板ホストとなっていった。
ある日、新規客の田中雄二が入店前、友人と電話で話しているのを竜也は聞き取った。
「最近、仕事で上司とうまくいかなくて……」
店に入ると、竜也は何も聞いていないはずなのに、ピンポイントでアドバイスを始めた。
「田中様、上司との関係改善には、まず相手の立場を理解することが大切です。彼の視点から問題を見てみると、新しい解決策が見えてくるかもしれません」
雄二は驚いた。「どうして私のことがわかるんだ?」
高級ワインについて話題になった時、竜也は詳細な知識を披露した。
「このワインは、300年前にフランス王室でも愛されていたものですね。当時の宮廷での逸話も興味深いものがあります」
客たちは感銘を受け、高額な注文を次々と入れた。
数か月ぶりに来店した常連客、木村さおりに対して、竜也は驚くべき記憶力を見せた。
「木村様、前回はシャンパンを召し上がっていましたね。お仕事の新プロジェクトは順調でしょうか?」
さおりは感動した。「覚えていてくれたの?!」
このような竜也の活躍に、他のホストたちも驚きを隠せなかった。
「竜也、お前どうしてそんなに客のことがわかるんだ?」涼川が尋ねた。
「直感ですね。冴えているんです」竜也は微笑んで答えた。
店長の真田も、竜也の能力に目を見張っていた。
「竜也くん、君は本当に変わったね。エデンの稼ぎ頭だよ」
しかし、竜也の異常な成功は、一部のホストたちの妬みも買っていた。
「あいつ、絶対何か裏があるぜ」バックヤードで、年長ホストの健太が呟いた。
「そうだな。あんな奴、どこかおかしいよ。だいたい、あいつあんなヘラヘラというか、お気楽な感じだったか? なんか薬でもやっているんじゃないか?」同僚の翔太が同意した。
一方、ユウは竜也の秘密を知る唯一の人間として、彼を見守っていた。
「エルヴィリス、大丈夫か? 魔力の使いすぎじゃないのか?」ユウは心配そうに尋ねた。
「大丈夫だ、ユウ。気をつけているよ」竜也(エルヴィリス)は答えた。
しかし、竜也の体は確実に疲労を蓄積していた。魔力の使用は、この世界では予想以上に負担がかかるのだ
ある夜、竜也は突然めまいを覚え、よろめいた。
「竜也!」涼川が彼を支えた。
「大丈夫です、ちょっと疲れただけで……」
しかし、その瞬間、竜也の腕輪から青い光が漏れ出した。涼川は驚愕の表情を浮かべた。
「竜也、今何か光ったかい」
竜也は焦った。秘密が露見しそうになったのだ。
「なんですか? 気のせいですよ、涼川さん」
涼川は不思議そうな表情を浮かべたが、それ以上は追及しなかった。

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