ずれている

たっくんちゃん

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ずれている

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電車の席に深く腰掛けた。違和感しかなかった。
とにかく不快。パンツがズボンの中でめくれ上がっている。パンツの全面積の半分近くが、太ももの付け根に集まり、うっすらとした盛り上がりを形成している。
股間が窮屈で仕方がない。
睾丸と左の内ももがぴっちりと密着しているところに、パンツまでもが押し寄せている。
駅のホームを歩いている時は全く気が付かなかったが、今は不快でたまらない。なぜ、あの時は気にならなかったのだろうか? 不思議で仕方がない。
…というのは全くの嘘で、パンツのズレに気づいていたか、気づいていなかったかなど、本当はどうでもよかったのだ。
 
さあ、ズレを直そう。
 膝の上にはバッグが置いてあるが、今となっては邪魔でしかない。
電車はパブリックな場所であるが、人目はあまり気にならない方だ。たまたま同じ時間帯の同じ車内に乗り合わせただけの人々、二度と会うこともないであろう人々。
だったらもう、バッグを盾にする必要はない。ただただ、バッグが邪魔だ。
その日は荷物が多かったせいか、バッグが重い。左腕でバッグを持ち上げながら、右腕でパンツを引っ張ろうとするが、これがうまくいかない。
昨日、爪を切り過ぎたことを思い出す。深爪にしすぎた。ズボンは掴めるものの、パンツまで掴みきれない。
正直、パンツの位置を直すということよりも、バッグを一定時間持ち上げ続けていることに恥ずかしさを感じてきた。
バッグを持ち上げながら、下半身をもぞもぞさせているのだから、客観的に見てもおかしいのは確かだ。
さすがに周りの目が気になってきたので、膝の上にバッグを置き、バッグの上に大人しく両手を置いた。
不快感はまだ残っている。

大きな駅で人がたくさん降りた。
今だ。
太ももごとパンツを強引に掴み、腰を浮かせ、膝の方へ向けて思いっきり引っ張った。
太ももが赤く腫れているような気がした。
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