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しおりを挟む徹底した監視のなかで一時、疑いの目は一緒に店を切り盛りしていたギルダやスーランにも向けられた。
「今のところ怪しい動きはしていないが……。まだ油断はできん。ほかの二人が共謀している可能性だってあると俺は睨んでいる」
相談ではないが、ライナルトに独り言のように漏らしてみたところ。
「いやいや、いくら何でもそれはないと思うぞ?」
手をパタパタやって、荒唐無稽とすぐさま否定される。
「一人はなんたってティーンレイク家のご令嬢だ。知っているだろう。由緒ある商家の家系で、れっきとしたお嬢様じゃないか。裏で敵軍と通じてるなんて、そんなことあるわけない」
「……そういえば、そんな話もあったか。顔と名前まで一致していなかった」
「ついでに、もう一人の子もまず大丈夫だ。ポーション屋のすぐ近くに八百屋があるだろう? ハルジオンさんとこの。そこの娘さんだからな。どこにでもいる、ごくごく普通の女の子だよ」
「……なぜそこまで知っている」
「いやーそれが、こないだたまたま通りがかったときに、あそこの店主が『持ってきな』ってタダでいくつか野菜をくれたんだよ。自分の畑で育ててるみたいで、そのままでも食べれるって言うから試しに齧ってみたんだけどさ。これがすごい甘くて」
「…………」
「まったく、いい仕事してるよな。無農薬であんなツヤツヤな野菜が作れるってんだから大したもんだ。やっぱ使ってる土とか肥料がほかと違ったりするのかね。今度ジルも買って食べてみろ」
マジメな雰囲気はあっという間に台無しに。
だんだん何の話をしているのかもよく分からなくなってしまった。
大らかを通り越し、ライナルトは相変わらず呑気。
のほほんと構えてくれているものだが。
(こればかりは、さすがに俺の思い過ごしか……)
考え直し、監視対象をアルメリア一人に絞る。
不審な動きがないかと、つぶさに目を光らせていたわけだが。
そんな折のことだ。
アルメリアがひとり、まるで人目がないか確かめるようにキョロキョロしながら森へ向かったのは。
そのまま鍾乳洞の奥へと足を踏み入れていく。
(奴め、いったいこんなところで何を……!?)
その最奥に辿り着いたとき、覗き込んだ岩陰からジルクリフは息を呑んだ。
目を疑い、驚愕を露わとする。
(なんだ、アレは……!?)
そこにあったのは。
(繭……!?)
一見して、そのようなもの。
内部の様子は窺えないが。
中心部から強く、淡い黄金色に光り輝いている。
それが地下の大空間を照らし出す光景は、どこか荘厳さすら帯びていた。
しかし一方で、不気味でもあるのだ。
形容しがたい、得体の知れない異様さがそこに潜んでいる。
孕んでいるようでもあって――。
(もはや疑いの余地はない! やはりコイツは……!)
そさくさと道を引き返してきたアルメリア。
その進路を阻み、シャリンと銀剣を抜き放つ。
現場を押さえた以上、敵であるとほぼ断定したうえで。
「分かるように説明しろ……!」
冷たく睨みを据える。
そう直接|糾弾し、問い質したのだった。
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