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 いまこの瞬間、ジルクリフ・ガレイアはある確信へと至っていた。

(アルメリア・リーフレット……!)

 やはりこの魔女は看過かんかできない。
 放置しておくにはあまりに危険な存在であると。

 先日のことだ。
 あと一歩のところで追い詰めきれず、アルメリアを再び野放しとするしかなくなってしまったのは。

 ライナルトの解毒と引き換えに、そのときは結局、何も聞き出せず仕舞いだった。

「いや済まんなジル、俺のせいで。だがまぁ、こうしてちゃんと解毒はしてくれたわけだし、やっぱり悪い子じゃなんだろう。レドが気を許してるくらいだしな」

 病室。
 ライナルトは相変わらず呑気のんきで、共犯のレドックスを問い詰めようともしない。

「気を許してるだと……? 籠絡ろうらくされ、まんまと手玉に取られているの間違いではないのか? そうでないと言い切れる保証がどこにある!?」

「たしかに、その可能性もゼロではないが……。しかし、レドだぞ? 警戒心で言えば、俺やお前よりよっぽど強いだろ。野生のカンみたいのだって、昔からよく働くじゃないか。アイツ。しかもこれがよく当たるんだ。どうなってるんだかな」

「ライナルト……おまえ、本気で言っているのか……? あの魔女を信用すると?」 

「俺やおまえが動けない間、街を守ってくれたのは彼女だよ。ムシウル本体まで打ち倒してくれたっていうのに、これ以上疑ったら申し訳ないだろ。それに……魔女か。なぁジル、俺は少し思うんだが、あの子は本当に魔女なのか?」

「なに?」

「ルミとも話したんだけどな、なにか違う気がするんだよ。しっくりこない。植物を操る魔法、なんてのも聞いたことがないし。あるいは……」

「…………?」

「あぁいや、すまん。まぁいい、本題はそこじゃないんだ。とにかく、もうしばらくは様子を見てみよう。何となくだが、彼女とは手を結べそうな気がする。疑わしきは罰せずとも言うだろ。な?」

「……理解できん」

「まだ時間はあるんだ。俺はレドの判断を信じるよ」

「それで取り返しの付かないことになったらどうするつもりだ!?」

「そのときは、今度こそ俺が止めるさ。この命に変えてもな。――つってもこんな有様じゃ説得力もないだろうが。まぁいざとなったらルミだって付いてるんだ。なんとかなるだろ。だからな、ジル」

 ――頼む。
 そう静かに、いま暫くの静観を求められる。

「度し難いとはこのことだ……!」
 
 これ以上は平行線。
 ギリと奥歯を噛み潰し、ジルクリフもきびすを返した。

「おまえがていたらくの間、俺一人でもヤツの見張りは続ける。構わないな」

「……あぁ、そうしてくれると俺も安心だ。助かるよ。もし疑わしいことがあったら、すまんが俺に報告をくれるか」

「保証はできん。疑いの余地がなければ、その場で切り捨てることもあり得る。異論は認めない」

「ジル……」

「それと言っておくが」

「……?」

「疑わしきは討て。それが俺の信条だ」

 ツカツカと病室を後にする。
 それからしばし、ジルクリフはアルメリアの監視を続けていたのだった。
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