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しおりを挟む「なるほど、つまり纏めるとこういうことか?」
それはムシウルによる、セレビネラの証言をもとにしたイレギュラーの総括だ。
「1つ目のバカ兄弟の件はもういいとして。頭のおかしくなったグリムガルドが勝手に突っ込んで銀剣と銅剣にやられたってのが2つ目」
「そうよ」
「幸い、マンドラゴラの生息域については、かなりいいところまで絞り込めてはいたが……さらに3つ目。オマエの言う魔女が立ち塞がり、邪魔をしてきていると?」
「ええ」
「想像してたより大分カオスだな。何でもっと早く言わなかったんだよ」
セレビネラの語るところによれば、どうやらそういうことらしかった。近ごろ森に棲みついた魔女がマンドラゴラを一箇所に集め、庇護していると。
「それは……本当にごめんなさい。少なくとも魔女の対処だけなら、私一人でも何とかなると思ったんだけど……」
どうにもならなかったそうだ。
「相手は魔女だろ? それこそオマエの力で操れなかったのか?」
「やってみたんだけど、ダメ。どうやってるのか、"根"を向かわせてもすぐに気づかれちゃう」
「そうなのか。厄介だな……」
「いっそこっちに引き込めないかと思って勧誘もしてみたんだけど……それもフラれちゃったわ」
手詰まり。
やや重たくもある空気のなか、深々と頷いたのがグランダムである。
あまりテンポの早い会話になると付いていけないし、2人のようにポンポン発言できるわけでもないので、途切れるタイミングを窺っていたのだが。
「ぬぅ……セレビネラよ、まさか貴様をしてなお手に余る敵がいようとはな。ならば致し方あるまい! ここは我が……」
相手にとって不足なし。
そう言わんばかりに堂々、名乗り出ようとしたところ。
「――いや、いい。グランダム、オマエには別のことを頼みたい」
それを遮ったのがムシウルだった。
「そいつの始末は僕がつける」
その後ムシウルを指揮とし、会合内で取り決められたのは――。
現状の戦力を踏まえた新たな戦力配当と、敵味方の対戦割り当て、すなわちマッチアップ表である。
「盤面は至ってシンプルさ。こっちは3人、向こうも3人。間には魔女もいるが、向こうから何かしてくるつもりがないのなら、とりあえず放っておいていい。オマエたちは無視しろ」
チェス盤に並ぶ、定石とは異なる七つの駒。
それを戦場に見立て、ムシウルは静かに解を導き出していく。
「まずは次男坊、銀剣のジルクリフ。コイツはオマエがやれ、グランダム。アルシャジオは別名で"雷帝の剣"とも呼ばれている。相性はバッチリのはずだ」
「フン、良かろう。相手にとって不足なしだ!」
「次に三男坊、銅剣のレドックスはオマエだ。セレビネラ」
「ちょ、なんでよ!? さっきの話だとソイツが一番ヤバいんでしょ!? なんでアタシが……!」
「まぁ最後まで聞け、別に倒す必要はない。コイツがどれほど強いのかは知らないが、一番厄介と分かってる相手と真正面からやり合うもんか。最終的にコイツは僕がやる。オマエはそれまでの時間稼ぎに徹しろ」
「時間稼ぎ……?」
「あぁ、僕が最初に金剣のライナルトを仕留めるまでのな。ついでに魔女の説得も並行してやるつもりだが、仮に失敗しても3対2に持ち込めれば勝ちは決まったようなものさ」
「それは、そうかもしれないけど……」
「そうでなくとも、僕とグランダムの存在はまだしばらくは隠しておきたいしな。つまり表立って動けるのはオマエだけなんだよ。グリムガルドの件での失点もある。ペナルティだ、それくらいの割りは食え」
「……もう、わかったわよ」
「よし、決まりだな。行くぞ、ここからは総力戦だ」
かくしてムシウルの采配のもと、各々の相剋すべき宿敵が定められたのだった。
「まぁなんだ、セレビネラよ。あまり過ぎたることを気に病むな。グリムガルドのことは貴様の責だけではない」
「グランダム……」
「なにせ奴は、我ら四天王のなかでも最弱だからなッ!」
「…………」
「さてはオマエ、それが言いたかっただけだな。さっきは同胞の死だの、口を慎めだの言ってやがったくせに」
「四天王でもないし。アンタなんかとやめてよ」
同胞たちから向けられる白い目も、なんのその。
フハハハとグランダムは豪快に笑っていた。
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