在りし日をこの手に

2升5合

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日本防衛編

俺らの序列を決めよう。

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「蓮!出来る限り振り下ろしの後の硬直時間を減らせ!」

「無理だよ!」

 甘えた事言うな、と脇腹に木刀の衝撃が走る。

「カッ!は、はひゅ~…」

 凄まじい衝撃に横隔膜が無理矢理上げられる。呼吸を妨げられるのはいつになっても慣れない感覚だ。

「部隊に入って早4ヶ月。俺が武器の扱い方を教えてやってるのに上達しないやつだな。」

 筒に木刀を戻しつつ、俺を殴った奴は言う。

「まぁ蓮だって上達してるよ。ただその度に八重筒やえづがギアを上げるからさ。」

「リク、お前は甘いな。コイツは能力を使って上げる身体能力が売りなんだ。さらに強くなるには技術が不可欠なんだよ。」

 確かにそうだ。産まれたばかりの知能が高くないプラントなら今まで通りのぶん殴りで事は済む。しかし、視野に入れてるのは神の子の討伐。ただの固めた拳では勝てる可能性が低い。
 それに…

「それに、HRIランキングがそろそろ始まるからな。」

 HRIランキング。それは隊員同士で競い合い力を高める為に作られたランキングだ。格闘、銃撃、能力、そして三つの分野の得点を合わせた総合。関わった人で言うと、銃撃では第二小隊の阿波木副隊長が一位となっていた。
 このランキングでは上位になれば、組織で一目置かれるだけではない。昇格昇給、部隊のでさえ可能になる。

「部隊の異動。これが最も大事なことだ。」

 2人とも神妙な面持ちでうなづく。

「蓮は近接の無手部門と八重筒と同じ武器部門の両方の合計点数で、総合を狙いに行く。八重筒は武器部門での優勝を狙いに行く。そして僕は能力部門…勝てるわけがない!!」

 火祭の挑む能力部門は強豪が多い。人数は少ないが、その分実地で経験を積む猛者だらけで玲衣れいさんも参加するそうだ。

「そういや火祭。お前ってどんな能力があんの?」

 半べそかきながらも奴は実践してくれた。リクが徐に取り出したのは、銀の箱。…ジ○ポか。指を天井に向けるとチャリッ!という金属の擦れる音と共に爆発が生じる。

「僕は火を操る能力。って言えば聞こえは良いけど、実際は細かい花粉を飛ばすことで粉塵爆発を生み出せるだけなんだ。今見たく着火剤が必要なのが欠点。」

「武器の持ち込みって能力部門はいいんだっけ?」

「武器で攻撃しなければ良いらしい。」

「ほーん。なら良いじゃん、焼きだるま作ってこいよ。」

「バカ!」

 多少の不安はあるけれど、俺達ならきっと勝手第四小隊を逃れるはずだ。


「ふーん。休日にも訓練とは才能がない人間は大変だね。」

 突然に吐かれる戯言に、カチンと何かが切れる。俺は背後から歩いてきた男にガツンと言った。

「やんのかゴラ。調子乗んなよ長瀬」

「不良は急にキレるから怖い」

 整った顔で実に腹が立つ。イケメンでさえ無条件に嫌悪を示す俺だが内面を知れば普通に接することはできる。だがコイツは今まで話した数回で【顔はいいが内面はクソな差別主義者】だと分かってしまった。

「…まぁ、お前の言う通りだよ。俺は弱いから訓練して強くならないといけない。邪魔すんな。」

 俺のどっかいけ、という態度が気に食わなかったのだろう。

「一度君とは序列をはっきりとさせないといけない様だね。僕に負けたら君が僕に言えるのは"ワン"だけにしてやる。」

 突然のタイマンの申し出。正直めんどくさい。…でも待てよ。ここでコイツに勝てばめんどくさい絡みがなくなるんじゃないか?

「どっちかが死ぬまでろう。」

「やるな!」
─ゴツン!

 頭に走るチョップの衝撃と共に葉子隊長が現れる。

「この勝負私が預かろう。折角だし、HRIリーグの様式で君達には戦ってもらう。」
 
 新人でルール分かるし、データが取れて一石二鳥なのだそうだ。後者が主な理由だろそれ。

「戦いは四方30メートルのコンクリートのステージで行う。ルールは簡単外に出るか、10秒の戦闘不能で敗北だ。今回は特別、普段は一緒にしない種子型の能力者と身体強化型での戦闘だ。2人とも健闘を祈る。」

 まるで最初から準備してあったかの様な手際の良さですね。3分経たず即試合。

「死ぬなよ神木」

 予想外の優しい言葉が長瀬から飛んでくる。

「事後の書類整理が面倒なんだ。」

 よし、倒す。
 
 戦いのゴングが鳴った。

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