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間話
貰ってはいけないチョコもある。
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「よーし君たち、そこに並べー!」
第四小隊の隊員達は始業と共に集められる。呼んだのは隊長の葉子さんだ。普段はこんな感じに呼ばれると実験やら実験やら実験で碌な目に合わない。
しかし、この日の隊員達は気が緩んでいた。それは今日が2月14日だから…
案の定葉子隊長から手渡しされているのはチョコレート。なんて有り難いんだ。普段はチョコなんて食ってる暇がないほど追い詰められてしまっているから、この甘味が身に沁みるだろう。
先輩方から受け取りそして、最後に受け取るのは下っ端の新人達。リクも八重筒も普段は隊長の前でしている、預かっている猫の様に張った警戒心を解いてる。
「そんなに嬉しいのか八重筒。」
「あぁ、家族でもやらなかった行事だから、初めて貰えてちょっと嬉しい。」
照れてる。
そして俺も葉子隊長から受け取る。しかし、受け取った箱からちょっと違和感を感じる…
俺のだけ、箱が違う。
立ち止まっていると、葉子隊長が少し屈めといい、俺の耳元で囁いた。
「君のは特別だ…大事に食べてくれたまえ。」
「えっ!??」
シーと隊長の小さな指で口を抑えられる。その行動に俺の顔はますます熱くなる。
「(え、いや、だって、隊長は上司で、それで見た目は幼くて…え?)」
「あとでどうだったか教えておくれよ」
いつもは不気味に見える隊長の笑みが今日はどうしてか、可愛く思えてしまった。
「れんさんよぉー」
「アレ?蓮のチョコレート僕らのと違うね。」
「ば、バカ!そんなんじゃねーよ!」
その後、八重筒とリクに冷やかされるも少々落ち着き「折角だから食べよう」という話になった。
包装を開けると一個大きな粒のチョコレートが入っていた。中身は皆同じのようだった。
「(味が違うのかな?)」
些末な問題は無視して、そのチョコレートを口に運ぶ。その黒い塊は口の温度ですぐに溶けた。味は市販の物と大差ない感じ…と思った瞬間──
「ん!!これは!」
溶けると現れたのはドロッとした二層目の液体に近いチョコレートだった。
「美味い…!!」
あの人、実験だけじゃねー!!料理の腕もいいのか!
ん?実験?
嫌な予感がした。
「なぁ蓮…ちょっとこれ、別な味しないか?チョコというより、こう…」
八重筒が違和感を口に出した事で、微かに香る味に俺も気づいてしまった。
「ヤクだ…くそっ、盛られた。」
「2人とも!先輩達が!!」
リクの指差す方を見ると、先輩達が無言で体を揺らしてるのが見えた。背中を向けている先輩達に近づき、声を掛けようと思った。
「…センパイ?大丈夫、で──」
「ウゴギャアアアア!!」
近づいた途端ソイツらは飛び上がりこちらに飛んでくる。その目に光は灯ってない。
「やりやがったなァ!ようこおおおお!!」
幸い動きは鈍く、逃げ切ることはできたが何処からゾンビのような先輩達が現れるか分からない。油断は禁物だ。
俺達は背中合わせ3方向で見張る事にした。息を整えて、元凶を叩きに行く為だ。
「何で俺らがこんな目に…」
「…」
「…」
「何処にいるかな、あの隊長。今度の今度は只じゃおかねぇ。」
「…」
「…」
「どうしたお前ら?元気がたりねえーそぞ。」
返事は無かった。嫌な予感がする…
「な、なぁ…リク、八重筒。嘘、だよな?」
ゆっくり振り返る。大丈夫、アイツらはいつも通りなはずだ。無事、だといいな。
振り返った。そうすると、同様に振り返ってるアイツらと目があってしまう。
「なんだよとまえら。ちゃんと見張れよぉ…」
─ガチンガチン!2人が歯を鳴らす音が虚しく響いた。
俺の知ってるアイツらはもういない。
「うぁああああ!!!」
必死に走る。逃げるために。
走るに比例して段々と視覚の縁が黒くなり見えなくなってくる。目眩がする。もう、真っ直ぐ歩くことさえ出来なくなった。
─ドサッ!
「俺も、これで終いか…」
感覚が薄くなる中、俺に近づくヒトがいた。耳も遠くなり、その人が囁く声も聞こえづらい。ドクンッドクンッと鳴る心臓の音が若干弱まる事でようやくその囁きは聞こえた。
『君なら、もう一度立てるよね。』
──
「うわぁああ!!」
ピピピッー!
聞こえ慣れた目覚ましにも負けない。悲鳴をあげ目覚める。と、共に寝巻きに気持ちの悪い感触を味わう。酷い汗だ。
「そうか…これ只の悪夢か…」
夢の最後で聴いた声は誰だったのか。思い出そうにも夢は、何処かに霧散した。
「おーい蓮!朝練するぞー!!」
「すぐ行く!」
兎に角早く着替えて行かなければ。着替えの籠に寝巻きを投げ入れ走り出す。
「寝坊助めー!」
「わりぃわりぃ。今日はバレンタインで誰から貰えるか考えたら寝れなくてよ」
2人にそういうと、やはりと言った様に訝しむ顔をした。
「蓮…驚かないで聴いて欲しいんだが俺らも寝坊した。それも一日も!」
「へ?」
「今日は2月15日だ。」
第四小隊の隊員達は始業と共に集められる。呼んだのは隊長の葉子さんだ。普段はこんな感じに呼ばれると実験やら実験やら実験で碌な目に合わない。
しかし、この日の隊員達は気が緩んでいた。それは今日が2月14日だから…
案の定葉子隊長から手渡しされているのはチョコレート。なんて有り難いんだ。普段はチョコなんて食ってる暇がないほど追い詰められてしまっているから、この甘味が身に沁みるだろう。
先輩方から受け取りそして、最後に受け取るのは下っ端の新人達。リクも八重筒も普段は隊長の前でしている、預かっている猫の様に張った警戒心を解いてる。
「そんなに嬉しいのか八重筒。」
「あぁ、家族でもやらなかった行事だから、初めて貰えてちょっと嬉しい。」
照れてる。
そして俺も葉子隊長から受け取る。しかし、受け取った箱からちょっと違和感を感じる…
俺のだけ、箱が違う。
立ち止まっていると、葉子隊長が少し屈めといい、俺の耳元で囁いた。
「君のは特別だ…大事に食べてくれたまえ。」
「えっ!??」
シーと隊長の小さな指で口を抑えられる。その行動に俺の顔はますます熱くなる。
「(え、いや、だって、隊長は上司で、それで見た目は幼くて…え?)」
「あとでどうだったか教えておくれよ」
いつもは不気味に見える隊長の笑みが今日はどうしてか、可愛く思えてしまった。
「れんさんよぉー」
「アレ?蓮のチョコレート僕らのと違うね。」
「ば、バカ!そんなんじゃねーよ!」
その後、八重筒とリクに冷やかされるも少々落ち着き「折角だから食べよう」という話になった。
包装を開けると一個大きな粒のチョコレートが入っていた。中身は皆同じのようだった。
「(味が違うのかな?)」
些末な問題は無視して、そのチョコレートを口に運ぶ。その黒い塊は口の温度ですぐに溶けた。味は市販の物と大差ない感じ…と思った瞬間──
「ん!!これは!」
溶けると現れたのはドロッとした二層目の液体に近いチョコレートだった。
「美味い…!!」
あの人、実験だけじゃねー!!料理の腕もいいのか!
ん?実験?
嫌な予感がした。
「なぁ蓮…ちょっとこれ、別な味しないか?チョコというより、こう…」
八重筒が違和感を口に出した事で、微かに香る味に俺も気づいてしまった。
「ヤクだ…くそっ、盛られた。」
「2人とも!先輩達が!!」
リクの指差す方を見ると、先輩達が無言で体を揺らしてるのが見えた。背中を向けている先輩達に近づき、声を掛けようと思った。
「…センパイ?大丈夫、で──」
「ウゴギャアアアア!!」
近づいた途端ソイツらは飛び上がりこちらに飛んでくる。その目に光は灯ってない。
「やりやがったなァ!ようこおおおお!!」
幸い動きは鈍く、逃げ切ることはできたが何処からゾンビのような先輩達が現れるか分からない。油断は禁物だ。
俺達は背中合わせ3方向で見張る事にした。息を整えて、元凶を叩きに行く為だ。
「何で俺らがこんな目に…」
「…」
「…」
「何処にいるかな、あの隊長。今度の今度は只じゃおかねぇ。」
「…」
「…」
「どうしたお前ら?元気がたりねえーそぞ。」
返事は無かった。嫌な予感がする…
「な、なぁ…リク、八重筒。嘘、だよな?」
ゆっくり振り返る。大丈夫、アイツらはいつも通りなはずだ。無事、だといいな。
振り返った。そうすると、同様に振り返ってるアイツらと目があってしまう。
「なんだよとまえら。ちゃんと見張れよぉ…」
─ガチンガチン!2人が歯を鳴らす音が虚しく響いた。
俺の知ってるアイツらはもういない。
「うぁああああ!!!」
必死に走る。逃げるために。
走るに比例して段々と視覚の縁が黒くなり見えなくなってくる。目眩がする。もう、真っ直ぐ歩くことさえ出来なくなった。
─ドサッ!
「俺も、これで終いか…」
感覚が薄くなる中、俺に近づくヒトがいた。耳も遠くなり、その人が囁く声も聞こえづらい。ドクンッドクンッと鳴る心臓の音が若干弱まる事でようやくその囁きは聞こえた。
『君なら、もう一度立てるよね。』
──
「うわぁああ!!」
ピピピッー!
聞こえ慣れた目覚ましにも負けない。悲鳴をあげ目覚める。と、共に寝巻きに気持ちの悪い感触を味わう。酷い汗だ。
「そうか…これ只の悪夢か…」
夢の最後で聴いた声は誰だったのか。思い出そうにも夢は、何処かに霧散した。
「おーい蓮!朝練するぞー!!」
「すぐ行く!」
兎に角早く着替えて行かなければ。着替えの籠に寝巻きを投げ入れ走り出す。
「寝坊助めー!」
「わりぃわりぃ。今日はバレンタインで誰から貰えるか考えたら寝れなくてよ」
2人にそういうと、やはりと言った様に訝しむ顔をした。
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「へ?」
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