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第4章 「星女狩り」
第27話
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シオンは私のことを怖がっていた。ファイスだったら思いっきり殴ってるところだったけど、あんなに警戒までされたらデコピンで済ませるしかなくなっちゃうじゃん!
なんか心の中が曇る。むしゃくしゃする。ファイスが殴りたくなってきた。
エイビスとシオンは知り合いなのかな? まぁシオンが憶えてないだけかな。やけに積極的だしあそこまで迫られるとなんだか引け目を感じちゃうなー。
できることなら私もシオンと組ん......っていやいや何考えてんの私!?
シオンとは確かに連携が長いから悪くないかもしれないけどさ、アスタロトとエイビスの連携がうまくいくとは限らないし、それにシオンと組んでる状態だと星霊たちを呼んだ影響で動きにくくなっちゃうだろうし?
うんうん。これでよかったんだよ。
でもなんだろう。この心になんか残る感じ。
「何独り言つぶやいてんのよ? アンタそういうの見えるんだっけ?」
「そんなわけないでしょ! ちょっと考えご......」
左足が沈んだ。砂? 右足も続く。流れに乗るしかない。両手が暖か......あつい熱い!
目の前が砂で埋まって......
2人は抵抗もむなしく、砂の中へと姿を消した。彼女たちが受けた感覚は、まるで上空に放りだされたそれに似ていた。
★★☆
どこ? 砂を掃ってアスタロトの身体を揺らす。睨んできた。なんでよ。
「早くどいてくれる? 立てないんだけど?」
「ゴ、ゴメン......」
私はいつの間にか謝っていた。敵の姿が見えた瞬間、私は扇を取り出し彼女に異変を伝える。砂を見にまとった男の人。状況を理解した。
「単語放水矢!」
天井から雨が降り注ぐ。彼の動きが鈍くなった。私は鍵を取り出す。ここから先はみんなの出番だよ。
放水のものよりも小さく見えたのは気のせい?
「行くよ2人とも!」
本体は砂体の頭の位置にある、はず。でもスピードは一番早いヴィエンジュでも捉えきれてない。またアクエリオスの出番だ。鎌鼬の風で砂を剥がす。寝そべるように敵は体を縮めて私たちの前に黄土色の拳が現れる。
距離を取って態勢を立て直......左足が動かない。熱さが私を襲った。ヴィエンジュの光で拳の操作を千切った。
絶対防御に遠距離攻撃なんてズルい!
私はアスタロトのところに後退して作戦を考えることにした。でも、私にはアクエリオスでどうにかすることしか浮かんでいなかった。砂で逃げられるから全く役に立たないこともわかった上で。
「何か策ある? アクエリオスの本気だと私達まで巻き添えになっちゃうし、かといって中途半端でも......」
「シャワーを浴びることになるけど、いい?」
私は目を輝かせて2度うなずいた。シャワーを浴びれるなんて! ちょうど砂が服に付いちゃってるしアスタロトナイス!
赤いランプの付いた矢が私の隣を通り過ぎる。さっきの放水のやつよりも小さく見えたのは気のせい?
私の背中からさらに6本の矢が敵に飛びかかる。当然よけられて彼は私たちに近寄る。そのとき、彼の体は爆発によって飛び上がらせられた。え、まさかシャワーって......そういうこと!?
「サイズが小さくなったらそのときがチャンスよ」
考えてもしょうがないか。私はアクエリオスとともに浮かび上がる敵に近寄る。アスタロトのアドバイスを元にシャワーを嫌々浴びて敵のいる上空を見上げる。
あれ、なんだろ。こんなことが前にもあったような......
☆☆☆
「約束だぞ」
「うん!」
☆☆☆
「ミカロ! 呆然としててよいのか?」
「ご、ゴメン! 彼を水で包んで!」
「うむ」
危うく仲間割れするとこだった。でもなんだろうさっきの言葉......今は後回し! 扇を構え敵に飛びかかる。砂の少なくなった彼の体ではガードしきれない。私の風を正面から受け壁に突き進む。
動きが聞こえない。倒した? それとも地中に......足が動かない。アス......
友達の名前を放ったとき、私は壁にたたきつけられていた。ヴィエンジュが姿を消してしまった。アクエリオスだけはなんとか死守しないと......
おかしい、彼は私の扇をくらった後にアクエリオスでとどめをさしたハズ。いったいどうやって回避したの?
その答えは簡単だった。私の目の前には彼の砂像が目に入る。やられた。アスタロトの矢も策も無駄にしてしまった。ここは私がなんとかしないと。私は砂を掃い重たくなった体を起こす。
アスタロトを背にアクエリオスで防御に徹する。敵は砂をかき集め私達を隅に追いやった。
「防御なんてアンタらしくないんじゃない? 爆撃矢も2本しか残ってないし、さっきみたいなシャワーはもう......」
アスタロトの諦める声は聞きたくない。私は耳をふさいだ気分で扇で作った旋風に両手を合わせた。
「万物発祥の開祖たちよ。我の召喚術において汝を現世に形作る。その身をもって汝の力を現世に知らしめせ、聖霊召喚、ミファラグシェル!」
両手に旋風を持った全身薄緑色の女性が姿を見せる。久しぶりのその姿は、エイビスの髪色にそっくりだった。敵の顔色が変わった。
「アンタ聖霊召喚って......単語双星使い?」
「違うよ。星霊星って私が勝手に思ってるだけで、本当はなんでも召喚できるのかもしれない。でも、古い文献で残ってたのはミファだけだったけどね」
吸い取られるように私の体力が減っていく。落ち着こうと息を深く吸ってもなぜだかそれすら吸収されているような気がする。右目に敵の砂手が目に入......
ミファの一撃が彼の手を粉々に砕いた。彼女は私たちでも捉えられない動きをし、砂を舞い踊らせた。風の放たれる音が聞こえる。ダメ。やみくもに攻撃しても、敵が砂に逃げちゃう......
「意思疎通ができてないみたいだけど?」
「聖霊はもともと意思がないから、力は強いけどだまされやすいの。何とかしてみるよ、このままじゃ危ないもんね」
アンタが言えるセリフじゃないでしょ......そんな顔をアスタロトは私に向ける。彼女のそんな顔、見たくない。
手に風を集めて彼女を誘う。攻撃を止め彼女は戻ってきてくれた。旋風はミファの風を受けてどんどん層を増してゆく。気が付いたときには砂を弾き飛ばし視界を明瞭にしていた。
「アスタロト!」
「わかってるわよ、最後の矢、アンタに託すわ!」
ミファの旋風玉が彼の元へと飛んでいく。収縮、そして拡大し彼から砂を剥がす。その瞬間私の背中から矢が放たれた。風を纏って木を正面から砕いたような音が響く。彼が爆発に呑まれるのを私は......
目を覚ました時、私はアスタロトの隣で眠ってしまっていた。敵は壁の端で倒れていた。うまくやれたんだ、私。よかった。
「アンタ、無理したでしょ?」
「仕方ないじゃん! せっかくシャワーでスキを作ってくれたのにそれをうまく生かせなかったんだし......」
「だとしても倒れられると迷惑なのよ。……うまく連携が揃うやつ、ほかにいないのよ」
彼女の言葉に私は元気をもらった。彼女もなんでか頬を赤くして元気をもらってた。私の独りよがり、じゃなかったみたい。友達だもんね。
「それにアンタの彼氏に説教されても困るしね」
「シオンは彼氏じゃ......」
「私は誰もあいつがアンタの彼氏だなんて言ってないわよ?」
「……もういい! エイビスたちと合流するよ!」
足に力が入らない......踏み出した時には遅かった。私の体は力のままに地面に。いや、友達の肩に倒れた。
「まったく自分の体ぐらい管理できるようになりなさいよ。これじゃ戦闘に勝っても負けたようなもんよ」
「あはは、ご、ゴメン......」
私たちはもう少し休むことにした。……さっき頭に浮かんできた言葉が私を駆け巡る。
なんか心の中が曇る。むしゃくしゃする。ファイスが殴りたくなってきた。
エイビスとシオンは知り合いなのかな? まぁシオンが憶えてないだけかな。やけに積極的だしあそこまで迫られるとなんだか引け目を感じちゃうなー。
できることなら私もシオンと組ん......っていやいや何考えてんの私!?
シオンとは確かに連携が長いから悪くないかもしれないけどさ、アスタロトとエイビスの連携がうまくいくとは限らないし、それにシオンと組んでる状態だと星霊たちを呼んだ影響で動きにくくなっちゃうだろうし?
うんうん。これでよかったんだよ。
でもなんだろう。この心になんか残る感じ。
「何独り言つぶやいてんのよ? アンタそういうの見えるんだっけ?」
「そんなわけないでしょ! ちょっと考えご......」
左足が沈んだ。砂? 右足も続く。流れに乗るしかない。両手が暖か......あつい熱い!
目の前が砂で埋まって......
2人は抵抗もむなしく、砂の中へと姿を消した。彼女たちが受けた感覚は、まるで上空に放りだされたそれに似ていた。
★★☆
どこ? 砂を掃ってアスタロトの身体を揺らす。睨んできた。なんでよ。
「早くどいてくれる? 立てないんだけど?」
「ゴ、ゴメン......」
私はいつの間にか謝っていた。敵の姿が見えた瞬間、私は扇を取り出し彼女に異変を伝える。砂を見にまとった男の人。状況を理解した。
「単語放水矢!」
天井から雨が降り注ぐ。彼の動きが鈍くなった。私は鍵を取り出す。ここから先はみんなの出番だよ。
放水のものよりも小さく見えたのは気のせい?
「行くよ2人とも!」
本体は砂体の頭の位置にある、はず。でもスピードは一番早いヴィエンジュでも捉えきれてない。またアクエリオスの出番だ。鎌鼬の風で砂を剥がす。寝そべるように敵は体を縮めて私たちの前に黄土色の拳が現れる。
距離を取って態勢を立て直......左足が動かない。熱さが私を襲った。ヴィエンジュの光で拳の操作を千切った。
絶対防御に遠距離攻撃なんてズルい!
私はアスタロトのところに後退して作戦を考えることにした。でも、私にはアクエリオスでどうにかすることしか浮かんでいなかった。砂で逃げられるから全く役に立たないこともわかった上で。
「何か策ある? アクエリオスの本気だと私達まで巻き添えになっちゃうし、かといって中途半端でも......」
「シャワーを浴びることになるけど、いい?」
私は目を輝かせて2度うなずいた。シャワーを浴びれるなんて! ちょうど砂が服に付いちゃってるしアスタロトナイス!
赤いランプの付いた矢が私の隣を通り過ぎる。さっきの放水のやつよりも小さく見えたのは気のせい?
私の背中からさらに6本の矢が敵に飛びかかる。当然よけられて彼は私たちに近寄る。そのとき、彼の体は爆発によって飛び上がらせられた。え、まさかシャワーって......そういうこと!?
「サイズが小さくなったらそのときがチャンスよ」
考えてもしょうがないか。私はアクエリオスとともに浮かび上がる敵に近寄る。アスタロトのアドバイスを元にシャワーを嫌々浴びて敵のいる上空を見上げる。
あれ、なんだろ。こんなことが前にもあったような......
☆☆☆
「約束だぞ」
「うん!」
☆☆☆
「ミカロ! 呆然としててよいのか?」
「ご、ゴメン! 彼を水で包んで!」
「うむ」
危うく仲間割れするとこだった。でもなんだろうさっきの言葉......今は後回し! 扇を構え敵に飛びかかる。砂の少なくなった彼の体ではガードしきれない。私の風を正面から受け壁に突き進む。
動きが聞こえない。倒した? それとも地中に......足が動かない。アス......
友達の名前を放ったとき、私は壁にたたきつけられていた。ヴィエンジュが姿を消してしまった。アクエリオスだけはなんとか死守しないと......
おかしい、彼は私の扇をくらった後にアクエリオスでとどめをさしたハズ。いったいどうやって回避したの?
その答えは簡単だった。私の目の前には彼の砂像が目に入る。やられた。アスタロトの矢も策も無駄にしてしまった。ここは私がなんとかしないと。私は砂を掃い重たくなった体を起こす。
アスタロトを背にアクエリオスで防御に徹する。敵は砂をかき集め私達を隅に追いやった。
「防御なんてアンタらしくないんじゃない? 爆撃矢も2本しか残ってないし、さっきみたいなシャワーはもう......」
アスタロトの諦める声は聞きたくない。私は耳をふさいだ気分で扇で作った旋風に両手を合わせた。
「万物発祥の開祖たちよ。我の召喚術において汝を現世に形作る。その身をもって汝の力を現世に知らしめせ、聖霊召喚、ミファラグシェル!」
両手に旋風を持った全身薄緑色の女性が姿を見せる。久しぶりのその姿は、エイビスの髪色にそっくりだった。敵の顔色が変わった。
「アンタ聖霊召喚って......単語双星使い?」
「違うよ。星霊星って私が勝手に思ってるだけで、本当はなんでも召喚できるのかもしれない。でも、古い文献で残ってたのはミファだけだったけどね」
吸い取られるように私の体力が減っていく。落ち着こうと息を深く吸ってもなぜだかそれすら吸収されているような気がする。右目に敵の砂手が目に入......
ミファの一撃が彼の手を粉々に砕いた。彼女は私たちでも捉えられない動きをし、砂を舞い踊らせた。風の放たれる音が聞こえる。ダメ。やみくもに攻撃しても、敵が砂に逃げちゃう......
「意思疎通ができてないみたいだけど?」
「聖霊はもともと意思がないから、力は強いけどだまされやすいの。何とかしてみるよ、このままじゃ危ないもんね」
アンタが言えるセリフじゃないでしょ......そんな顔をアスタロトは私に向ける。彼女のそんな顔、見たくない。
手に風を集めて彼女を誘う。攻撃を止め彼女は戻ってきてくれた。旋風はミファの風を受けてどんどん層を増してゆく。気が付いたときには砂を弾き飛ばし視界を明瞭にしていた。
「アスタロト!」
「わかってるわよ、最後の矢、アンタに託すわ!」
ミファの旋風玉が彼の元へと飛んでいく。収縮、そして拡大し彼から砂を剥がす。その瞬間私の背中から矢が放たれた。風を纏って木を正面から砕いたような音が響く。彼が爆発に呑まれるのを私は......
目を覚ました時、私はアスタロトの隣で眠ってしまっていた。敵は壁の端で倒れていた。うまくやれたんだ、私。よかった。
「アンタ、無理したでしょ?」
「仕方ないじゃん! せっかくシャワーでスキを作ってくれたのにそれをうまく生かせなかったんだし......」
「だとしても倒れられると迷惑なのよ。……うまく連携が揃うやつ、ほかにいないのよ」
彼女の言葉に私は元気をもらった。彼女もなんでか頬を赤くして元気をもらってた。私の独りよがり、じゃなかったみたい。友達だもんね。
「それにアンタの彼氏に説教されても困るしね」
「シオンは彼氏じゃ......」
「私は誰もあいつがアンタの彼氏だなんて言ってないわよ?」
「……もういい! エイビスたちと合流するよ!」
足に力が入らない......踏み出した時には遅かった。私の体は力のままに地面に。いや、友達の肩に倒れた。
「まったく自分の体ぐらい管理できるようになりなさいよ。これじゃ戦闘に勝っても負けたようなもんよ」
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