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第1章 冒険者ギルドの契約職員なのです!
冒険者の悩みを聞くのもお仕事なのです―その9
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「いーやーでーすー、いやだー、いやだいやだいやだ。ゆるしてくださーいー」
などと言えたならどんなにいいでしょうか。
現在わたしは上は真っ赤な三角びきにを、下は白地にピンクの小動物が描かれたふんどしを着用、というとっても愉快な格好をさせられてます。
あ、ふんどしに描かれている小動物はウサギです。
とってもかわいいです。すさみかけた心が癒やされます。
わたしたちの世界では、小動物は真っ先に魔獣の標的になったので、在来種のウサギはあまり見なくなりましたが。
外来種とも言える魔獣のウサギはそこかしこに出てくるんですけどね。
あれはあれで見た目だけはかわいいのですが。
「ティア様はあざとさを全面に出されたほうがいいので、胸の前のリボンが目立つびきに水着をまとい、さらにその上に白のTシャツを着て下さいな」
ちょっと待って下さい、ミサさん。
いろいろと言いたいことはいっぱいあるんですが、いま一番の疑問はひとつです。
こういうフィッティングを、なぜ往来のど真ん中でやっているのでしょう、わたしたち。
「着替え用の目隠しならちゃんとしてるじゃあ、ありませんか」
ミサさん、これって異世界人が流行らせた『海水浴』でつかう着替え用てんと、じゃあ、ありませんか……。
そういうことじゃなく、なんでここで、道の往来で着替えをしなきゃならないのか、とわたしは聞いているのです、なのです。
おかげで街を歩く人の視線が刺さる刺さる。
あう。男性の視線ってわかるものなのですね。まず胸に、つぎにふんどしにをガン見してから顔を見て。でまたお股のあたりに視線が移動するんです。
いやだから。通り過ぎたあとにおしりを見てるのもモロバレですから。
いっそ見るのなら……。
「男が思ってるチラ見は、女にとってのガン見と同じ。全身なめ回すように見るのなら、チラ見じゃなくて堂々と見ればよろしいでしょうに」
ミサさんも水着を着ているので、視線が集まってます。
というかわたし、先ほど視線が突き刺さる、と言いましたが、男性の視線のの6割はミサさんが持って行きます。
ミサさんの、その、それ……なんという名の水着なんでしょうか?
というかそれって水着なのです?
どう見ても、リボンというか、むしろ紐ですよね。
「いやですねぇ、わっちのはちゃんとした水着ですよ。『投石機』という名前の」
ああほんとだー。石を入れて振り回して投げる紐武器ですね。ですよね、じゃあないのですよ!
おそろしいことにミサさん、投石機水着を着た上でふんどしを着用してるんです。それもがっちり、食い込むくらいキツめに締め上げて。
ずれますよね。ずれたら結構な大惨事ですよね。というかわたしが始末書モンになりますよね。さらに言えば周囲でチラ見の男性陣ってずっとそれを期待してますよね。
ミサさん、さっきからわたしたちの衣装合わせに奔走して、走ったり前屈みになったりするもんだから。揺れるし弾むしで、なのです。
「ここ、接着剤で止めているから期待するようなことは起こりませんよ」
ミサさん……。ミサさんの二つ名『セフト』がなぜ付けられたかを理解しました、なのです。
それで、話を戻しますとミサさんが奪った6割以外では。
男性の中で3割の紳士さんたちの目は『合法』のサチコさんに釘付けです。身長60センチで胸回りはわたしよりも上とかないでしょう。
88センチと言ってました、サチコさん。
一方、鍛え上げられているのが見てわかる腹筋。胴回りは30センチ? あるかないかです。
そして引き締まり上向きのおしり。
鍛錬され引き締まった部分を見れば、サチコさんをえっちと見る人のほうが心が汚れている、と言えます。
とは言ってもメリハリが利いたこのないすばでぃ、えろくない、とは言えません。
『合法』、おそるべしです。
「ふふふのふ。どうだ。これが、これこそが『脱いだらすごい』というものである。この破壊力におののくのだ」
で、残り9分5厘の視線を集めているのがまりあさん。
本人も言ってましたが「ぷにっ」と「ぽちゃっ」として「つるん」としたおしり。まさかの高火力を発揮しているようです。
たしかにまりあさん、胸周りはわたしと同じ、もしくはわたしよりもサイズが少なめかもですけど。
ミサさんにかかればなんのその。ミサさんはまりあさんの胸にさらし布をきつめに巻きあげました。
こうすることで男性の視線はすとんと下へと移動。
おしりふぇち? という層の視線を鷲づかみです。
しかしなによりも驚いたのが、この公開羞恥ぷれいの状況下でまりあさんって意外にもノリノリなのです。
ねえ、まりあさん。なんでそんなにノリノリなのです?
「わたしだってこんなこと元の世界ではできないですよ。でもここだと、アルカディアだと、常識って名前の圧力、押しつけがないから自由でもいいんだ、と思えちゃうんですよ」
うー、わたしはまだ、そこまで達観はできてません。
ミサさん、サチコさん、まりあさんが集めた視線の、残り5厘しか集めていなくてもです、なのです。
「みなさまー、画期的な新製品、下着にしてアウターでもある『ふんどし』、その発表会があるからきてくださいましー。殿方だけじゃあございません。殿方の心をがっちりとつかみたいお嬢様にご婦人こそ、ぜひぜひお越し下さいな」
「ボクたちが新しい機能美を見せてやんよー」
「マリーベル堂さんとも話がつきました。当日限定の冒険者カード『ふんどし』バージョン、即売会も行いますー」
ミサさん、サチコさん、まりあさんがチラ見していた男性たちへ、そしてその向こうでこちらを見ていた女性たちへ声をかけます。
そっか、往来で公開着替えってこの状況をつくるため、だったのですね。
「それもあるけど、わっちは『面白くなりそうだからやった』という感じでございまして」
……ミサさんの深謀遠慮かと思ったわたしは馬鹿でした。
ですがミサさんの策? は思わぬ形で功を奏した、ようです。
「ふむ、煩悩の求道かと思えばふんどしの普及であったとな。快活な肌着の普及は心身を安んじる。ひいては衆生救済につながるとも言える。これは愉快。拙僧も助力しようではないか」
往来をかき分け、ひとりのヒューマンがわたしたちの前に現れました。頭はきれいにそり上げられてつるつるです。
いまの時期はまだ結構暑いのに、白い襦袢の上から黒い袈裟を着込んでます。暑くないのでしょうか?
わたしたちは水着だから見た目はともかく、公開羞恥ぷれいになるのもともかく、ヒジョーにすごしやすいのですけど。
すると突然そのヒューマン男性ってば、がばっと服を脱ぎ捨てました。
「なぜいきなり裸になるのですっ、なのです!」
「ほぼ半裸の貴兄に言われるのもまた愉快。だが拙僧、『最後の一線』は心得ておる!」
真っ裸になった、と思ったその人……。
わたしは顔を覆った指の隙間から、ちらっと。
……いえ、ほんとにちらっと、ですよ。
うわ、けっこういいからだしてますね、この人。厚い胸板、に。引き締まった腹筋、に。キュッとしたおしり。筋肉の付き方とか非常にいい、感じ……。
あと、もっこりしてますね。ええ……。ふんどし越しでもわかるくらい。
じゃあなく、て。
なんでこの人ってば、ふんどしを着用済みなのです?
それも着ている衣は砂ぼこりにまみれてるのに、ふんどしだけは完全に真っ白なのです。
汚れ一つない純白のふんどしです。
すると男性、なんだか語りはじめました。もちろんふんどし一丁のほぼ裸状態で、です。
「ふんどしを魅せる。その心意気はよし。見れば機能美、そして色気は十分と見た。ここに足りないのは覚悟の心。路傍で死して骸になっても、誠の心を示すのもまたふんどし! 『破戒僧』のセンキュー、拙僧の誠心を見よっ!」
なんと申しましょうか。
『破戒僧』の二つ名持ち冒険者らしいセンキューさん。
その背後には光、というか爆発の閃光というべきか、とにかく輝いて見えます。これが「おーらぢから」とか「ゴコー」とかいうものなのでしょうか、なのです。
「うおぅ、センキューかっこいい」
なんということでしょう、どこか通じるものがあるのか『合法』のサチコさんが燃えてます。
「元の世界だと日曜の朝に出てきそうな人ですね。わたしは観てなかったのであくまで想像ですけど」
まりあさんが呆然とつぶやいてます。
まりあさんの評価はよくわかりませんが、ただ多分、それはきっとまりあさんの誤解だと思うわたしなのです。
紅組の準備はこれでそろったのでしょうか。
じゃあ、参りましょうか。
もうこうなったらわたし、これから何が起きても「毒は皿ごと食べろ」の心意気でいきますよ。
半裸状態のままでてくてくと、白組と落ち合う先までやってきましたわたしたち。
すると。
「アイコ、君ひとりを辱めはしない。君の恥ずかしさ、わたしも分かち合おう」
「モモ……そこまでわたしのことを思っていてくれただなんて、うれしい……」
朗々とした声が聞こえてきます。
アイコさんと誰かが話しているのはわかったんですけど、なんですかね。これ。
なんだかずいぶんと人を不快にするような空気が垂れ流しになってる気がするのですけど。けど。
と、そこでわたしに気がついたアイコさん、わたしに手を振ってきました。
「モモ、あの人が今回の依頼を持ってきてくれたティアさん。ティア、この人が、わたしの大事な……いえ、いま恋人になってもらったモモよ」
そう言ってアイコさん、モモさんを紹介してくれました。
ウンディーネのモモさん、だそうです。
そういえばアイコさん、タイプのウンディーネから食事に誘われた、っていっていましたっけね。
あー、そーでしたかー。
わたしもその時、その人の性別は確認しなかったものなあ、なのです。
「どうもはじめまして、ティアさん。わたしは『そんなのイルカ』のモモ、と言います。アイコの恋人になりました」
ショートヘアでボーイッシュな、でもとってもきれいな「ウンディーネ・女性」のモモさんが角度90度のお辞儀でわたしに挨拶をしてくれました。
すでにおなかいっぱいなのですけど、おかわりが止まらない状態です。
-------------------------------------
高校時代のころから作者のまわりにはごくふつうにバイの人がいたので同性同士のカップルにもあまり違和感を覚えないのですが、プレイバイウェブでは女性同士のカップルもそれなりにいたように記憶してます。
それにしてもアイコさんのお相手のウンディーネ、最初は男性にしていたつもりだったのですが。
あれ?
などと言えたならどんなにいいでしょうか。
現在わたしは上は真っ赤な三角びきにを、下は白地にピンクの小動物が描かれたふんどしを着用、というとっても愉快な格好をさせられてます。
あ、ふんどしに描かれている小動物はウサギです。
とってもかわいいです。すさみかけた心が癒やされます。
わたしたちの世界では、小動物は真っ先に魔獣の標的になったので、在来種のウサギはあまり見なくなりましたが。
外来種とも言える魔獣のウサギはそこかしこに出てくるんですけどね。
あれはあれで見た目だけはかわいいのですが。
「ティア様はあざとさを全面に出されたほうがいいので、胸の前のリボンが目立つびきに水着をまとい、さらにその上に白のTシャツを着て下さいな」
ちょっと待って下さい、ミサさん。
いろいろと言いたいことはいっぱいあるんですが、いま一番の疑問はひとつです。
こういうフィッティングを、なぜ往来のど真ん中でやっているのでしょう、わたしたち。
「着替え用の目隠しならちゃんとしてるじゃあ、ありませんか」
ミサさん、これって異世界人が流行らせた『海水浴』でつかう着替え用てんと、じゃあ、ありませんか……。
そういうことじゃなく、なんでここで、道の往来で着替えをしなきゃならないのか、とわたしは聞いているのです、なのです。
おかげで街を歩く人の視線が刺さる刺さる。
あう。男性の視線ってわかるものなのですね。まず胸に、つぎにふんどしにをガン見してから顔を見て。でまたお股のあたりに視線が移動するんです。
いやだから。通り過ぎたあとにおしりを見てるのもモロバレですから。
いっそ見るのなら……。
「男が思ってるチラ見は、女にとってのガン見と同じ。全身なめ回すように見るのなら、チラ見じゃなくて堂々と見ればよろしいでしょうに」
ミサさんも水着を着ているので、視線が集まってます。
というかわたし、先ほど視線が突き刺さる、と言いましたが、男性の視線のの6割はミサさんが持って行きます。
ミサさんの、その、それ……なんという名の水着なんでしょうか?
というかそれって水着なのです?
どう見ても、リボンというか、むしろ紐ですよね。
「いやですねぇ、わっちのはちゃんとした水着ですよ。『投石機』という名前の」
ああほんとだー。石を入れて振り回して投げる紐武器ですね。ですよね、じゃあないのですよ!
おそろしいことにミサさん、投石機水着を着た上でふんどしを着用してるんです。それもがっちり、食い込むくらいキツめに締め上げて。
ずれますよね。ずれたら結構な大惨事ですよね。というかわたしが始末書モンになりますよね。さらに言えば周囲でチラ見の男性陣ってずっとそれを期待してますよね。
ミサさん、さっきからわたしたちの衣装合わせに奔走して、走ったり前屈みになったりするもんだから。揺れるし弾むしで、なのです。
「ここ、接着剤で止めているから期待するようなことは起こりませんよ」
ミサさん……。ミサさんの二つ名『セフト』がなぜ付けられたかを理解しました、なのです。
それで、話を戻しますとミサさんが奪った6割以外では。
男性の中で3割の紳士さんたちの目は『合法』のサチコさんに釘付けです。身長60センチで胸回りはわたしよりも上とかないでしょう。
88センチと言ってました、サチコさん。
一方、鍛え上げられているのが見てわかる腹筋。胴回りは30センチ? あるかないかです。
そして引き締まり上向きのおしり。
鍛錬され引き締まった部分を見れば、サチコさんをえっちと見る人のほうが心が汚れている、と言えます。
とは言ってもメリハリが利いたこのないすばでぃ、えろくない、とは言えません。
『合法』、おそるべしです。
「ふふふのふ。どうだ。これが、これこそが『脱いだらすごい』というものである。この破壊力におののくのだ」
で、残り9分5厘の視線を集めているのがまりあさん。
本人も言ってましたが「ぷにっ」と「ぽちゃっ」として「つるん」としたおしり。まさかの高火力を発揮しているようです。
たしかにまりあさん、胸周りはわたしと同じ、もしくはわたしよりもサイズが少なめかもですけど。
ミサさんにかかればなんのその。ミサさんはまりあさんの胸にさらし布をきつめに巻きあげました。
こうすることで男性の視線はすとんと下へと移動。
おしりふぇち? という層の視線を鷲づかみです。
しかしなによりも驚いたのが、この公開羞恥ぷれいの状況下でまりあさんって意外にもノリノリなのです。
ねえ、まりあさん。なんでそんなにノリノリなのです?
「わたしだってこんなこと元の世界ではできないですよ。でもここだと、アルカディアだと、常識って名前の圧力、押しつけがないから自由でもいいんだ、と思えちゃうんですよ」
うー、わたしはまだ、そこまで達観はできてません。
ミサさん、サチコさん、まりあさんが集めた視線の、残り5厘しか集めていなくてもです、なのです。
「みなさまー、画期的な新製品、下着にしてアウターでもある『ふんどし』、その発表会があるからきてくださいましー。殿方だけじゃあございません。殿方の心をがっちりとつかみたいお嬢様にご婦人こそ、ぜひぜひお越し下さいな」
「ボクたちが新しい機能美を見せてやんよー」
「マリーベル堂さんとも話がつきました。当日限定の冒険者カード『ふんどし』バージョン、即売会も行いますー」
ミサさん、サチコさん、まりあさんがチラ見していた男性たちへ、そしてその向こうでこちらを見ていた女性たちへ声をかけます。
そっか、往来で公開着替えってこの状況をつくるため、だったのですね。
「それもあるけど、わっちは『面白くなりそうだからやった』という感じでございまして」
……ミサさんの深謀遠慮かと思ったわたしは馬鹿でした。
ですがミサさんの策? は思わぬ形で功を奏した、ようです。
「ふむ、煩悩の求道かと思えばふんどしの普及であったとな。快活な肌着の普及は心身を安んじる。ひいては衆生救済につながるとも言える。これは愉快。拙僧も助力しようではないか」
往来をかき分け、ひとりのヒューマンがわたしたちの前に現れました。頭はきれいにそり上げられてつるつるです。
いまの時期はまだ結構暑いのに、白い襦袢の上から黒い袈裟を着込んでます。暑くないのでしょうか?
わたしたちは水着だから見た目はともかく、公開羞恥ぷれいになるのもともかく、ヒジョーにすごしやすいのですけど。
すると突然そのヒューマン男性ってば、がばっと服を脱ぎ捨てました。
「なぜいきなり裸になるのですっ、なのです!」
「ほぼ半裸の貴兄に言われるのもまた愉快。だが拙僧、『最後の一線』は心得ておる!」
真っ裸になった、と思ったその人……。
わたしは顔を覆った指の隙間から、ちらっと。
……いえ、ほんとにちらっと、ですよ。
うわ、けっこういいからだしてますね、この人。厚い胸板、に。引き締まった腹筋、に。キュッとしたおしり。筋肉の付き方とか非常にいい、感じ……。
あと、もっこりしてますね。ええ……。ふんどし越しでもわかるくらい。
じゃあなく、て。
なんでこの人ってば、ふんどしを着用済みなのです?
それも着ている衣は砂ぼこりにまみれてるのに、ふんどしだけは完全に真っ白なのです。
汚れ一つない純白のふんどしです。
すると男性、なんだか語りはじめました。もちろんふんどし一丁のほぼ裸状態で、です。
「ふんどしを魅せる。その心意気はよし。見れば機能美、そして色気は十分と見た。ここに足りないのは覚悟の心。路傍で死して骸になっても、誠の心を示すのもまたふんどし! 『破戒僧』のセンキュー、拙僧の誠心を見よっ!」
なんと申しましょうか。
『破戒僧』の二つ名持ち冒険者らしいセンキューさん。
その背後には光、というか爆発の閃光というべきか、とにかく輝いて見えます。これが「おーらぢから」とか「ゴコー」とかいうものなのでしょうか、なのです。
「うおぅ、センキューかっこいい」
なんということでしょう、どこか通じるものがあるのか『合法』のサチコさんが燃えてます。
「元の世界だと日曜の朝に出てきそうな人ですね。わたしは観てなかったのであくまで想像ですけど」
まりあさんが呆然とつぶやいてます。
まりあさんの評価はよくわかりませんが、ただ多分、それはきっとまりあさんの誤解だと思うわたしなのです。
紅組の準備はこれでそろったのでしょうか。
じゃあ、参りましょうか。
もうこうなったらわたし、これから何が起きても「毒は皿ごと食べろ」の心意気でいきますよ。
半裸状態のままでてくてくと、白組と落ち合う先までやってきましたわたしたち。
すると。
「アイコ、君ひとりを辱めはしない。君の恥ずかしさ、わたしも分かち合おう」
「モモ……そこまでわたしのことを思っていてくれただなんて、うれしい……」
朗々とした声が聞こえてきます。
アイコさんと誰かが話しているのはわかったんですけど、なんですかね。これ。
なんだかずいぶんと人を不快にするような空気が垂れ流しになってる気がするのですけど。けど。
と、そこでわたしに気がついたアイコさん、わたしに手を振ってきました。
「モモ、あの人が今回の依頼を持ってきてくれたティアさん。ティア、この人が、わたしの大事な……いえ、いま恋人になってもらったモモよ」
そう言ってアイコさん、モモさんを紹介してくれました。
ウンディーネのモモさん、だそうです。
そういえばアイコさん、タイプのウンディーネから食事に誘われた、っていっていましたっけね。
あー、そーでしたかー。
わたしもその時、その人の性別は確認しなかったものなあ、なのです。
「どうもはじめまして、ティアさん。わたしは『そんなのイルカ』のモモ、と言います。アイコの恋人になりました」
ショートヘアでボーイッシュな、でもとってもきれいな「ウンディーネ・女性」のモモさんが角度90度のお辞儀でわたしに挨拶をしてくれました。
すでにおなかいっぱいなのですけど、おかわりが止まらない状態です。
-------------------------------------
高校時代のころから作者のまわりにはごくふつうにバイの人がいたので同性同士のカップルにもあまり違和感を覚えないのですが、プレイバイウェブでは女性同士のカップルもそれなりにいたように記憶してます。
それにしてもアイコさんのお相手のウンディーネ、最初は男性にしていたつもりだったのですが。
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