1 / 45
女神と宝石
プロローグ
しおりを挟む
高校を無事卒業し、大学に進学する入学式前に仲が良かった友達とパーティーをする約束だった。
その集合場所に急いで走って向かっていたとき、わたし(涼宮愛花)は車が走る道路を横切ろうとしていた猫を庇い、走ってきたトラックに跳ねられた。
どうして他人事かというと、トラックに跳ねられ頭を強く打ち、血を大量に流しながら横たわっている自分を、空の上に浮いて眺めているから。
助けようととした三毛猫も腕の中でピクリとも動かない。おそらく自分も猫も、もう死んでしまったのだろうと諦め心地に、短い人生を振り返る。
(案外わたしの人生もあっけなかったな。ごく普通の公立の小中高校生活。勉強はまぁまぁ、スポーツはそこそこ出来て、それなりに遊んで楽しい思い出はいっぱいある)
これから合格した大学に入って、やりたいことがたくさんあったし、ステキな彼氏だってほしかった。昔からファンタジーモノが大好きで、自分が騎士になって冒険したり、時に女神になって魔法を使うような妄想をしたり、もっとたくさんのファンタジー小説を読みたかった。
途端に幽霊なのに涙が溢れてきて、袖で拭う。
あら、貴方。死んだばかりで未練があるのね?
不意に凛としたの声がして振り返ると、そこには光を纏った女性が同じく宙に浮いて、自分に微笑んでいた。波打つ長いシルバーピンクの髪に、長い睫毛に縁取られた金色の瞳。透き通るような白い肌の神々しい美貌に思わず見惚れてしまう。
貴女は誰?天使様?死んだわたしを迎えにきてくれたの?
いいえ。わたくしは女神よ。
でも、あと少しすれば天使たちが迎えに来るでしょうね。
本物の女神様なんですか?
ええ。それより貴方、さっき心の声が聞こえたのだけれど女神になってみたかったのね。
ならちょうど良かったわ。
ちょうど良かった?
貴方は女神になりたい。そして私は女神に飽きてきて人間になりたかったところなの。
ちょうど良いから交代しましょう。
えええっ!?
交代って?
突然現れた美しい女神がいきなり何を言い出すのか混乱する私をよそに、にこにこと笑顔を湛えた女神は、自らの指にはまっていた指輪をはずし、
これを貴方にあげるわ。女神の指輪よ。女神の証みたいなものね
女神と名乗った相手は、私の左手を取って中指に外した指輪をそっとはめてしまう。
そして、戸惑っているこちらのなど全く気にすることなく、突然現れた女神様は持っていた杖を掲げて、目を開いていられないような強い光を発した。
眩しくて、でも優しい温かさに包まれた光。
そこで私の意識は一度途切れてしまった。
その集合場所に急いで走って向かっていたとき、わたし(涼宮愛花)は車が走る道路を横切ろうとしていた猫を庇い、走ってきたトラックに跳ねられた。
どうして他人事かというと、トラックに跳ねられ頭を強く打ち、血を大量に流しながら横たわっている自分を、空の上に浮いて眺めているから。
助けようととした三毛猫も腕の中でピクリとも動かない。おそらく自分も猫も、もう死んでしまったのだろうと諦め心地に、短い人生を振り返る。
(案外わたしの人生もあっけなかったな。ごく普通の公立の小中高校生活。勉強はまぁまぁ、スポーツはそこそこ出来て、それなりに遊んで楽しい思い出はいっぱいある)
これから合格した大学に入って、やりたいことがたくさんあったし、ステキな彼氏だってほしかった。昔からファンタジーモノが大好きで、自分が騎士になって冒険したり、時に女神になって魔法を使うような妄想をしたり、もっとたくさんのファンタジー小説を読みたかった。
途端に幽霊なのに涙が溢れてきて、袖で拭う。
あら、貴方。死んだばかりで未練があるのね?
不意に凛としたの声がして振り返ると、そこには光を纏った女性が同じく宙に浮いて、自分に微笑んでいた。波打つ長いシルバーピンクの髪に、長い睫毛に縁取られた金色の瞳。透き通るような白い肌の神々しい美貌に思わず見惚れてしまう。
貴女は誰?天使様?死んだわたしを迎えにきてくれたの?
いいえ。わたくしは女神よ。
でも、あと少しすれば天使たちが迎えに来るでしょうね。
本物の女神様なんですか?
ええ。それより貴方、さっき心の声が聞こえたのだけれど女神になってみたかったのね。
ならちょうど良かったわ。
ちょうど良かった?
貴方は女神になりたい。そして私は女神に飽きてきて人間になりたかったところなの。
ちょうど良いから交代しましょう。
えええっ!?
交代って?
突然現れた美しい女神がいきなり何を言い出すのか混乱する私をよそに、にこにこと笑顔を湛えた女神は、自らの指にはまっていた指輪をはずし、
これを貴方にあげるわ。女神の指輪よ。女神の証みたいなものね
女神と名乗った相手は、私の左手を取って中指に外した指輪をそっとはめてしまう。
そして、戸惑っているこちらのなど全く気にすることなく、突然現れた女神様は持っていた杖を掲げて、目を開いていられないような強い光を発した。
眩しくて、でも優しい温かさに包まれた光。
そこで私の意識は一度途切れてしまった。
1
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる