手違いで勝手に転生させられたので、女神からチート能力を盗んでハーレムを形成してやりました

2u10

文字の大きさ
25 / 42
第一章 始まりは最悪?

第二十五話 神の思惑

しおりを挟む
「やつは帝国の諜報部所属の戦闘員だったわ。そしてやつらは絶対に口を破らない。いや、破れないの。なぜなら国の不利となる発言をしたら死ぬように呪いをかけられているから。なら生かしておく価値はないわ。やつを人質にしたところで――」
「――いやちょっと待ってくれ。そう言う話じゃなくて、別に殺す必要はなかったんじゃないか? それこそ呪いとか魔法とかなんかで記憶を消したり俺たちの不利になることを言わせないようにしたり――」
「何それ? そんなことしたってなんのメリットもないわ。自爆する可能性もあるし、なんらかの手段で私たちの情報が漏らされるかもしれない。魔術師は捕虜にも人質にもせずにその場で殺すのがセオリーなの。それに、やつは栄一を殺そうとしたのよ?」
「でもそれはっ……」

「どうしたのよ栄一。これは遊びじゃなくて殺し合いなのよ? 殺さなければ逆に私たちが殺される。私だって死ぬときは死ぬし、それは栄一も同じ。というか、昨日だって勇者一行を相手に、致死率の高い魔法を使ってたじゃない? 栄一もおそらく何人かは殺してるはずだわ」

 俺がすでに何人も殺した……?
 あぁ、確かに思えばそれくらいの魔法を使ったのか。
 あれなら人が死んでてもおかしくない。

「わかってる……。でもなんか心がモヤモヤするんだ。俺は死を、殺しを恐れていたのか……?」

 いや、違う。
 今までは全く恐れていなかった。
 その証拠に昨日は初めから奴らに全力で攻撃していた。
 ならば、なぜ今は恐れているのか?
 そしてなぜ今までは全く恐れていなかったのか?

「それはきっと、君がゲーム?やアニメ?といったものと現実を混同していたからじゃないかい? だが、実際に自分が死にそうな目に遭ってようやくこれが現実だと実感した。違うかな?」
「師匠!?」

 あたかもこの店の惨状を元々把握していたように変わり果てた自分の店には目もくれず、師匠と呼ばれるその女性は、元は出入り口だった大きな穴を通って姿を現した。

「フィイ。ちゃんと留守番をしてろとあれほど言ったでしょう? 私の結界がなければこの店ごと吹き飛ばされてたよ?」
「すいませんでした! 師匠!! これからは気をつけます!!」
「本当にわかってるのかね……」

 彼女は悠々とこちらへ歩いてきて、フィオーナと普通に会話を始めた。
 こんな状況で呑気にそんなことができるとは、さすがはフィオーネを弟子としているだけはある。

 だが今はそんなことを考えている場合ではなく、俺にとってよく聞き慣れた、この世界にはないはずの言葉が彼女の口から発せられたことに俺は驚愕していた。

「なんでヤユさんがゲームやアニメを知ってるんですか!? まさかこの世界にも――」
「ないない。ここにはコンピュータとやらは存在しないからね。私がそれを知ってるのは、昔、栄一くんと似て黄色の肌と黒い髪、そして平べったい顔をした男から聞いたからだよ。神代遺物アーティファクトを持ってるのにその真価も知らないようだったし、昨日から君のことを疑ってたんだけど、さっきの戦闘を見て確信した。彼と同じく、君も異世界から女神に転生させられてここにきたんだろう?」

「えぇ、まぁそうですけど……。それより、そいつってまさか――」
「あぁ、最近ここいらで悪さを働いてる奴とは違うと思うよ。私が彼と会ったのはもう2年も前になるし、彼はそんなことをする人ではないから。ちなみに彼も『勇者としてこの世界を救う宿命がある』とか言ってたけどね」
「そうですか……」

 例のチャラ男勇者と俺が同時にいる時点で、可能性はあるだろうとは考えていたがやっぱりこの世界には勇者は複数いるらしい。
 それにしても、日本人率が高いのはなぜだろうか。
 あまり気が向かないが、一度、あのクソ女神ことルーナに色々と聞かないといけないようだ。

「彼も君と同じ悩みを抱えていてね。彼はその原因を、魔法という――元の世界では非現実的だったものやこの世界の価値観のせいで、ゲーム感覚で人を殺してしまっていると帰結してたよ。だから君もそうなんじゃないかなってね」
「確かにそうなのかもしれません」

 ゲーム感覚で人殺し。
 元の世界のとある国では、空軍所属のパイロットに航空機を使ったゲームをやらせて人殺しの抵抗をなくしていると聞いたことがあるが、それと同じ話なのかしれないな。
 俺は俺の知らないうちに、ゲームやアニメに毒されていたということか。

 少し頭の中でその理論を整理していると、不満そうな顔をしたアミラが話しかけてきた。

「ところで栄一、この人は誰なの?」

 俺たちだけで盛り上がっていて、またもやアミラのことをすっかり忘れていた。
 申し訳ないと思ってすぐにユアの説明をする。

「彼女はここの店の店主であり、フィオーネの師匠で、名前は――」
「――ヤユ・オリスナベル。よろしくね」
「え、えぇ。私はアミラン・ロマスよ。よろしく」

 弟子は師匠に似るということだろうか。
 とてつもなく既視感の強い展開にデジャブを覚えながら、俺はアミラと共に苦笑いをしていた。

 ヤユ・オリスナベル。
 昨日少し話した程度だが、それだけでも十分伝わってくる強烈なお姉さんキャラの持ち主。
 艶のある黒色の長髪はフィオーネと違って真っ直ぐ整っていて、綺麗に肩を少し過ぎたあたりで切り揃えられている。
 きつめなシャツによって明瞭化された凹凸の激しい体と、その凛々しい顔立ちから、淫乱な雰囲気を常に纏っていて、性格もおそらくそんな感じだろう。

 そんなヤユと、ある意味正反対な体をしたアミラが、空いている胸元から覗かせる豊満なそれに、さらに不満が溜まっていたようで、俺もアミラにつられてヤユのそれに視線が奪われていた。

「おやおや? さっきまであんな深刻そうな趣で苦悩していたようだったのに、今は私の体に釘付けかい? 血気盛んでいいねぇ~。ほら、もっと見せてあげてもいいんだよ?」

 ヤユは俺を揶揄やゆするように、すでにギリギリまで開いていた胸元のボタンをさらに外して、俺にそれを見せつけてきた。
 見せつけて来たんだから見ないのも失礼だと俺は思うので、しっかりと見させてもらう。
 やはりこれはFくらいはあるみたいだ。

「……ちょっと、栄一?」

 そこでアミラからの殺意を感じて思わず視線を逸らした。
 ご馳走さまです。

「それより師匠。さっき、ここで栄一さんの戦闘を見ていたというようなことを言ってましたけど、どういうことですか?」
「これを話したら、きっとフィイはしばらくうるさくなるだろうから、詳しい話はまた後で。とりあえず、ここに迫ってきている気配がいくつかあるし、場所を移しましょう。例の研究室に行くわよ」
「でも師匠! あの部屋は師匠とフィイ以外には秘密なんじゃ――」
「ここまで巻き込まれたならもうしょうがないわ。それにこの二人には、聞きたいことやしてもらいたいことが山ほどあるし……」
「……師匠がそう言うのなら…………」

 まるで俺たちの全てを暴こうと言うような鋭い眼差しをユヤ向けられ、俺とアミラは体を震わせた。
 だが、アミラには思うとことがあったようで、すぐに真剣な顔に変える。

「ありがたい提案をしてくれたところで申し訳ないけど、私の事情にこれ以上あなたたちを巻き込むわけにはいかないわ」
「どうせ既に私たちもそいつらに目をつけられたわよ。なら一緒に行動して対処した方がいいんじゃないかな?」

 ヤユの視線の先には上半身の服や装備を剥がされて横たわっている帝国軍のやつがいた。
 確かに二人の女性を、あんな凄腕の奴らに狙われてる状態で放置するのは危険すぎる。
 もし、その研究室とやらが安全なら俺たちとしても助かるし、いい話だと思う。
 だが、アミラは彼女の言葉通り、否定的なようだ。

「だけど、奴らは帝国の使いで、あなたたちには危険すぎると思うし、それに――」
「アミラ。なら余計に俺たちが一緒にいてフィイたちを助けるべきじゃないか? 俺としても店を壊してしまった償いとしてやれることはしたいし、フィイたちを放っておくわけにはいかない。だから頼む。どうか彼女たちに同行させてくれ。その研究室が安全なら俺たちも助かるだろう?」

 俺の必死の説得に、アミラはしばらく考え込んだ後、肩を大きく落として息を吐いた。

「……わかったわ。栄一がそこまで言うのなら、そうさせてもらうわ。でも別にヤユたちの助けがなくてもあいつらくらいなら余裕で――」
「アミラくんは素直じゃないな。しかしそれもまた可愛い!」
「――っな!? うっさいわ!!」

 ヤユのおっさんのような発言に、当然の如くアミラが怒る。
 俺はフィオーネと一緒に、そんな二人を笑いながら、ひとまず安堵感を抱いていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

狙って追放された創聖魔法使いは異世界を謳歌する

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか!  【第15回ファンタジー小説大賞の爽快バトル賞を受賞しました】 ここは異世界エールドラド。その中の国家の1つ⋯⋯グランドダイン帝国の首都シュバルツバイン。  主人公リックはグランドダイン帝国子爵家の次男であり、回復、支援を主とする補助魔法の使い手で勇者パーティーの一員だった。  そんな中グランドダイン帝国の第二皇子で勇者のハインツに公衆の面前で宣言される。 「リック⋯⋯お前は勇者パーティーから追放する」  その言葉にリックは絶望し地面に膝を着く。 「もう2度と俺達の前に現れるな」  そう言って勇者パーティーはリックの前から去っていった。  それを見ていた周囲の人達もリックに声をかけるわけでもなく、1人2人と消えていく。  そしてこの場に誰もいなくなった時リックは⋯⋯笑っていた。 「記憶が戻った今、あんなワガママ皇子には従っていられない。俺はこれからこの異世界を謳歌するぞ」  そう⋯⋯リックは以前生きていた前世の記憶があり、女神の力で異世界転生した者だった。  これは狙って勇者パーティーから追放され、前世の記憶と女神から貰った力を使って無双するリックのドタバタハーレム物語である。 *他サイトにも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

処理中です...