手違いで勝手に転生させられたので、女神からチート能力を盗んでハーレムを形成してやりました

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第二章 全ては一つの指輪から

第三十四話 伝説の始まり

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「前方に武装兵が五人。3メートルの感覚で互いに距離をとって、五角形に並び、全方向に目を向けている。そこから50メートルほど後ろに行ったところの、角に曲がる手前に、二人。この施設のガードマンがいるぞ。警棒のみの、軽装のようだがな」

気配感知能力と遠目によって得た情報を、俺は念話を用いて的確にパートナーへと伝えた。
目の前に広がる、幅15メートルはあるであろう巨大な通路は、このオークションでの出品物を搬入するためのもの。
最も警備が厳重になるエリアではあるが、逆に警備に信頼を置きすぎていて、ここを正面突破さえできれば、あとは最短で目的のものにまでたどり着けるのだ。

「了解。データ通りね。事前に確認した通り、魔法具による各種センサーがある以上、ここを気配隠蔽と移動系魔法だけで突破するのは難しい。それを回避するよりもこのまま突っ込んだ方が逆に楽だわ。ということで、私が手前の五人を始末するから、その間に奥の二人をよろしく頼むわよ」

気配隠蔽の指輪とその能力のコピーによって、俺と通路を挟んで反対側の柱の裏に潜んでいた俺のパートナー——アミラは、飛んできた俺の情報を聞くと、ちらりと俺の方に目を向け、指示を返してくる。
その表情は落ち着いていて、とても、これから人を殺めるとは想像できないほどに澄んでいた。
さすがは数々の修羅場をくぐり抜けてきただけはある。

「任された。俺はそのまま、角を曲がった先にいる奴らにも、先行して攻撃を仕掛けていいか?」
「あら? 初めての実践のくせに、自信あるじゃない?」

眉を八の字にあげて、『本当に大丈夫か?』と俺をあざ笑うかのように見てきている彼女に対して、俺は同じく、笑顔を返す。
だが、俺の笑顔は彼女のそれとは違って、一片の曇りもないものだったと思う。

「あぁ。早く俺の力を試してみたいんだ」

ここ数日間での俺の努力。
女神の指輪を手にしてからは、それまでの基礎トレーニングはもはやほとんど必要なくなり、その代わりに指輪を使った応用攻撃の試作に時間を割くことができた。
自分の強さを示す指標がない以上(周囲の人物、つまり例の3人はおそらく異常者であるし、ステータスプレートが示す数字も他人のデータがあってこそ意味が発揮するものであるから)、自分の努力の成果を確認することができていなかったのだ。
なので、本末転倒なのかもしれないが、今回の作戦は俺にとっても大きな意味を持つ。
俺としては早く戦いたくてしょうがないのだ。

「頼もしいわね。せいぜい、足を引っ張らないでよ。エロいち」
「おいこら! アミラ!!」

俺の制止も聞かずに一人飛び出したアミラは、そのまま壁沿いを得意の重力操作によって、まるで氷の上を滑っているかのようにスムーズに進み、あっという間にアミラの魔法の射程距離圏内まで間合いを詰めた。
不名誉なこの俺のあだ名について、じっくりと話したいところだったが、アミラが出てしまた以上、俺も進むしか他ないので、彼女を追って走り出す。
敵からの奇襲などによるリスクを下げるため、アミラとのペアリングとなっている、例の女神の魔術指輪マジック・リングによる空間転移は使わずに、別々のルートでの接近だ。

「ここまで近づいてもまだ私たちのことを認識できないなんて……。相手が間抜けなのか、それとも栄一に付与してもらった能力のおかげかしら?」
「単純にアミラの気流や音、光のコントロールが上手いからじゃないのか?」
「あら。お褒めに預かり光栄ですわ」

敵部隊の一番手前にある物陰にたどり着いた俺とアミラは、そのまま呑気に互いを褒めあいながら、最初の一手の準備を始める。
アミラは架空のドレスの裾を両手で持ち上げるようにしてお上品にお辞儀をすると、次の瞬間には、両手の指の隙間に、二十本ほどの針をまるでマジックかのように取り出した。

俺も、アミラの攻撃が仕掛けられた瞬間に行動できるよう、懐から拳いっぱいに、同型の平凡な指輪を取り出し、その拳を敵の方へと向ける。

「行くわよ。準備はいいわね?」
「もち——」「——重力操作グラビティ・オペレーション
「えええ!?」

準備はいいかと確認してきたくせに、俺が回答を終える前に魔法を発動しやがった。
全く、調子が狂わされるな。

俺は直ぐに冷静さを取り戻すと、指輪一つを親指で弾けるようにして持ち、そして能力を発動する。

我突弾がとうだん

俺の手から、連続して三つの指輪が放たれた。
それらは、アミラの手元から離れて飛んで行った複数の針を追い抜き、高速回転による独特な風切り音を鳴らして奥の警備二人へと到達した。
突然発生した音に、アミラの針には目もくれず、手前の五人もその音の方、すなわち後方へと反射的に目を向ける。

(くそっ。少し威力を上げすぎたか)

俺は自分の手元から放たれた指輪を目で追い、その速度から算出される威力が想定よりも高いことを認識して、己の未熟さを痛感した。
そして、おそらくこのままだと、警備員二人は……


ドンッ!!

そんな鈍い音が廊下に鳴り響いた。
それと同時に、先ほどまでそこにいたはずの警備員二人がその場から跡形もなく姿を消している。

「はっ?」

武装兵のうちの一人が思わずそんな声を漏らした。
他の兵も皆、状況を理解できていない様子だ。
だが、それもそうだろう。
目の前に先ほどまでいた人間が忽然と姿を消したのだから。

一瞬、あたりが静寂に包まれた後、先ほど声を漏らしたその男は、奥の壁に広がる異様な光景に気づき、再び声を漏らす。

「はああ!?」

警備員がいたはずの位置から2メートルほど後方の壁。
大理石のようなもので作られたその壁には、扉ほどの大きさの二つの鉄板が張り付くように綺麗に食い込み、そこから広がる——いや、〝漏れる〟液体が、壁一面を赤く染めていた。

「……まさか?」

一人の兵がその状況から、それの正体に勘付く。
そう、それは紛れもなく、だ。
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