アイドル・インシデント〜偶像慈変〜

朱鷺羽処理

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第66話「第二プログラム始動・暗躍する影」

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2023年 8月2日 9:05分 想武島 中央区域

 9時になったと同時に第一プログラムで不合格者であった面々はムキムキマッチョおばちゃん投型により散り散りとなるように遥か遠方へと投げ飛ばされる。
 第二プログラムの項目は『人狼将棋サバイバル』2チームに分かれてそれぞれに『王様』『人狼』『市民』『占い師』の役職が割り振られており先に敵チームの王様を討ち取ったチームの勝ちとなっている。
 輝世達樹は宿泊施設から中央区域の中でも大きくかけ離れた南部付近へと飛ばされていた。

「えっと……まずは仲間を探さねぇとって話だよな」

『変に動き回るよりはここで身を潜めて誰かが来るのを待ってた方がいいんじゃないですか?聞いてた感じ王様が一人で徘徊するデメリットが大きすぎます』

 占い師の役職開示能力は開示したい相手との距離を10m以内に捉え、互いに存在を認知している必要がある。
 つまり陰でこそこそと距離を詰めて相手に気づかれないよう隠密で情報を探る事は出来なくなっている。
 役職開示の手段は相手へ問答であり互いを認識した状態で占い師が対象へ問いただした時点で役職開示が使用可能となる。
 
『占い師に情報開示を使われたらまず防ぐ術がないとみて良いと思います。説明通りならこっちが返答しなかったとしてもこっちの役職は占い師であればバレてしまいます。
 でも占い師のフリしてカマをかける事だって出来るはずで……開示も使用に制限がありますし極力使いたくないはずですよね。バカ丸出しの相手にならわざわざ開示しなくても誘導尋問なりで役職を特定すれば良い訳です』

「……大我って案外地頭は良いよな」

『えへへぇ~~そうですかぁ?』

 単純な性格の持ち主である大我真剣な顔付きから一変して砕け散った笑顔を溢す。

「まーようするにあれだろ。仲間に早く俺を見つけてもらえばいいって事だ。出来ればなるべく賢そうな奴に」

『賢そうな人なんていましたっけ』

「……隼人なら想力探知が出来なくても絆の力的なやつで俺の居場所をきっと見つけてくれるはずだ」

 達樹は隼人との再開を期待し一先ず雑木林へと身を潜める。

 ――――――――――
 一方その頃楠原隼人は同チームである八番隊である姫村和斗と共に達樹を捜索していた。

「なぁ占い師って良いポジションなんだよな?今回のこれで俺がめっちゃ役立ったら女の子達からさ。めっちゃちやほやされるかな?」

「あぁ。されるされる。だからお前はとにかくヘマだけはするな。さっき言った事を頭に入れとけ」

「任せとけ。イカした活躍見せてやんよ」

「……なるべく負担はかけさせないでくれ」

「あいよ」

 この広大なフィールド内。第二プログラム開始から15分程が過ぎたが誰とも接触する事はなく気配も感じない。それぞれ投げられる直前に隼人は達樹が投げられた方角をなんとか視認できていた。
 2人は木の枝を伝い達樹が投げられた方向へ向けて移動していく。

「敵の気配は感じないけどただでさえ人数不利取ってるからな。派手に動くのは得策じゃない。慎重に動くべきだ……ってあれ?」

 和斗の姿が見当たらない。襲撃にあった可能性も視野に入れたが全く人の気配、殺気は感じなかった。
 ふと視線を下に落とすと和斗は木枝から飛び降り地面へと着地していた。そのまますーーっと息を吸い大声で叫ぶ。

「輝世達樹いいぃぃぃ!!!関西の新鋭達を牛耳る姫村和斗はここだぜええぇぇ!!!金髪のナチュラルクズっぽいやつもいんぜええぇぇ!!今から行って華麗に護ってやっからお前も叫べええぇぇ!!!」

「バカ!!」

「いてっ!なにすんだよ!」

「慎重に動くべきだって言ってんだよ!お前が叫んだおかげで俺たちの居場所がほぼ特定されただろうが!」

「別に良くね。アテなく探してても時間が勿体ねぇし味方だようが敵だろうがこっちに来てもらった方が楽だろ」

「敵の能力も全員分把握してないんだ。多勢で来られて一網打尽にされたらどうする。五感を奪ってくる奴だっているんだぞ」

「おーおー随分な弱腰じゃねぇの。男ならよ、堂々と胸張って向かって来る敵はバッタバッタと薙ぎ倒すもんじゃねぇのか?」

「こういうのは無謀って言うんだよ!……ったくなんでこう短絡的な奴ばっかなんだ」

「まぁかっかすんなって。ほら言ってる側からおいでなすったぜ」

 シュタッ

 突如として上空から降り立った眼鏡をかけた男。関西地方を管轄する七番隊隊員藤野友哉ふじのゆうやは鋭い眼光で隼人達を注視している。

「相変わらず考えなしの暴走が目立つな姫村和斗。君はもう少し『日輪の系譜』の正統後継者だと言う自覚をした方がいい」

「はっ相変わらず口うるせぇ先輩だぜ。そういうのには縛られすぎない主義なんだよ俺は」

「僕は占い師で和斗の役職を開示した。君の役職は占い師だろう」

「ちっ!早速バレてやがる!?」

「……そうか。君の役職は占い師な訳だ……ならここで手短に狩り取るとしよう」

 友哉は幻身し翠色が添えられた黒髪のポニーテールが出現する。
 一気に和斗へと距離を詰め、手に持つ弓の鳥内に当たる部位が刃状となった武器『沐雨扇弓もくうせんきゅうが和斗を振り下ろされる。

 ガギッ!!
 和斗へ届く直前に隼人も瞬時に幻身し友哉の沐雨扇弓をウィザリングブレイガンで受け止める。

「余計な事は喋るなって言ったろ!!」

「んなこと言ったって開示されたんなら一緒だろ!」

「馬鹿正直に敵の言うこと間に受けるな!こいつが本当に占い師かどうかも開示を使ったのかどうかも現時点じゃ不確定だろうが!口から出まかせ言ってる可能性もあるんだよ!」

「そ、そう言われたらそうか……」

「バカの御守りは大変だろう。心労察するよ楠原隼人」

拮抗する刃通しが振り解かれ両者距離を取る。

「……こいつは俺が相手する。お前は先に行け。良い格好したいならな」

 二人で共闘して闘おうとした和斗であったが数秒前の自分の失態を考えるにこの場での行動判断の基準は隼人に合わせるべきだと和斗は考える。
 これで敵の思惑通りに動いてしまえば隼人のチームを思っての配慮すらも無碍にしてしまうから。

「……そいつは俺達よりかなり奏者歴が長いぜ。中堅層ってやつだ。油断すんなよ」

「ご忠告どうも」

 和斗は隼人に友哉の相手を任せこの場を立ち去っていく。
 和斗を追おうともしない友哉を疑問に思い隼人は問いかける。

「意外だな。追わないのか」

「追う必要がないのさ。あいつは放っといても勝手に出くわした女性に狩られる……参謀さえ落としてしまえば後は圧倒的に僕達の勝利に近づく」

「よく分かってるようで……」

「同じポニーテール通し……せめてプライドを傷つけないよう迅速に片をつけてあげよう」

「そいつは御免蒙るごめんこうむるね!!」

 ――――――――――
 同日 東京 都内 某所

 奏者達の出払ってる東京の街で息を密め暗躍する影があった。揉み上げを蓄えた褐色の男と小柄の派手髪の少年が人気の少ない路地裏で佇んでいた。

「……情報通り奏者達はほとんど出払ってるようだね兄貴」

「あぁ。例のブツをとっとと掻っ攫い地底アイドルに光をもたらす……邪魔するものは跡形もなくあの世行きだ」

 ―――― to be continued ――――

 
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