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第67話「地下アイドルのプライド!隼人vs友哉」
しおりを挟む友哉の武装顕現により産み出された弓形武器『沐雨扇弓』から隼人へ向けて三つの矢が射出される。
隼人は内二本を回避し一本をウィザリングブレイガンでいなす。
「少陰」
そう友哉は呟くと続け様に再び三本の矢を放つ。その速さはその速さは閃光の如し速度で隼人へ襲いかかる。
(これは躱しきれない……っ!)
キィッ!!
二本の矢を薙ぎ払う事に成功したが甘んじて一本の矢が隼人の左腕を掠める。
「老陰」
友哉は淡々と再び次の矢を放つ。隼人は軌道を読み取り三手目の矢は全て回避する事に成功する。
「老陽」
「っ!」
「全弾交わしたとしても関係ないのか……とでも言いたそうな顔だね」
「……エスパーか何か?」
「全ての矢を躱されようが関係ない。重要なのは放たれた矢の成り行き。当たるに越した事はないが……本質はそこにはない」
「じゃあどこに本質ってのがあるのかお聞かせ願いたいね」
「これ以上ヒントを与えるつもりはないよ。物の数分で決着は着く。だから安心して地に伏す準備をしてると良いよ……紅城刹那」
紅城刹那。その名を発せられた瞬間隼人は驚きつつも表情に曇りが見える。
だが今は交戦中。精神をかき乱される事ないようすぐに平常心を取り戻す。
「久々にそっちの名前で呼ばれたよ。あんたみたいな嫌味ったらしいファンはいなかったと思うんだけどな」
「勘違いするな。一奏者としてアイドルに関しての知見を広げているだけさ。特に地下アイドルに分類される人間は執拗以上に憎愚を産み出す。余りにも見過ごすわけにはいかない厄介且つ残忍な危険分子だ。調べない方がおかしいだろう」
「聞き捨てならないな。別に意図して憎愚を産み出してる訳じゃないだろ」
「そんな事はわかっている。知ってるかい?今この世に蔓延ってる憎愚の9割方は地下アイドルを経由して産み出されている。なら何故そこまで地上と地下とで偏りが出るのか。
詰めが甘いからさ。アイドルとして生きていく上でほんの少しの矜持すら持てない半端な気持ちで臨むアイドルも……そんな半端なアイドルを障害から守る後ろ盾すらもまともに用意できない関係者達も……何もかもがアイドルを公の場に出す上で足りていない。
そんな不相応なアイドルが産み出され続けているから憎愚に漬け込まれ人が死に仲間も死んでいく」
「……あんたが地下の奴らを心底嫌いで偏見持ってるのはよくわかった。俺は退いた身だがそれなりにプライド持ってやらせてもらってたんでね。だからあんたには……是が非でも負けちゃいけない気がする」
ウィザリングブレイガンに闘志を宿した業火が刀身を渦巻く。
真っ直ぐな隼人の決意が刃へと伝わっていく。
「無駄話をしてる間に2分も経ってしまった。さぁ早く仕上げてしまおうか。次はいよいよ締めの上卦だ」
――――――――――
一方その頃 達樹達と相対するチームである星空駆は三竹未萌奈と合流し身を潜める場所を探していた。
「あの辺が丁度良さそう。あそこで私の鴉を周りに張ってしばらく身を潜める。それでいい?」
「あ……はい。素晴らしい意見だと思います。是非ともあそこにしましょう」
「なにそれ喧嘩売ってんの?」
「えっ!いや!……えっと……ご、ごめんなさい……」
(もー!辿々しすぎますよ駆さん!流石の私でも今のはちょっと擁護出来そうにありませんっ!)
駆の中に宿るアイドル因子綺羅琴音から内なるツッコミが入る。
(うぅごめん距離も近いからテンパっちゃって……離れてっても言いにくいしさ)
合流してからという物の常時おどおどしている駆に未萌奈は酷く苛立ちを感じていた。
そんな態度に対して深くため息を吐き捨てながら駆と共にひらけた草原地帯にて未萌奈の想力により産み出された鴉を放ち作戦を立てるべく談話を始める。
「王様のあんたがやられた時点で私達の負けが確定する。微顕現もまともに出来ないあんたは基本的にはこっちが優勢になるまでは形を潜めとくのが定石。万が一私と逸れた時は前線には決して出ない、常に誰かしらと行動は共にする事。まとめるとこんな所だと思うけど何か意見ある?」
『私が戦えばいいと思いまーす』
駆の中から飛び出した琴音が実像化し未萌奈に向かって意気揚々と提案する。
「自信ありげだけどあんたの名前もそいつには届いてないんでしょ?あんたがどれだけ強かったとしてもカバーしきれるとは思えないけど」
『それでもなんとかしちゃうのが私っ!もしかしたらあなたよりも強いかも~』
「あ゙?」
「あーー!!なんでもないですうううぅぅぅ!!もんのすごい勢いで怒りのボルテージが上がっちゃったっぽいから君はちょーっとだけじっとしててねええぇぇぇ!!」
駆は琴音を実像化を解除し、強制的に自分の内に引っ込める。
「ごめん……彼女も悪気はないんだ。それだけはわかってほしい……本当ごめんなさい」
「謝りすぎ」
「えっ?」
「人のご機嫌伺いすぎ。別に謝れば良いってもんでもないし。もうちょっと堂々とすれば?この手の人間見てると無性に苛ついてくる」
「ご、ごめ……はっ!」
未萌奈からの無言の圧を感じ咄嗟に言い切ることを辞める。
自分の不甲斐なさは十分過ぎるほど身に染みて理解している。これまで何度も苦しんできた。このままでいいとも思っていない。だが駆は自分の心の弱さに向き合えずにいた。
「とにかくあんたらが仮に私より強かったとしても王様が討ち取られた時点で負けなんだから慎重さは大事なの。相性だってあるだろうし基本はバックアップを任せたい所……」
「カアアアァァァ!!」
一羽の鴉が大声を上げながら未萌奈はの元へ急降下してくる。
「うぉぉ!びっくりしたぁ!?」
「敵襲みたい。あんたは物陰で隠れてバレないようにしてて。あんたが占われたりしたら面倒だから。これは命令」
「わ、わかった」
猛スピードで駆け寄る足音が近づいてくる。駆は的に気付かれないようにそそくさと物陰に隠れ未萌奈を見守る。
(来る……!)
無数に聳える大木の枝木を経由して駆け抜けてきた男は人影を見つけたやいなや幻身し頭髪は金髪から燃えたぎる太陽が如く鮮烈なオレンジ色のセミロングへと変わり、背中に顕現した身の丈に余る程の大刀『結威牙』を狂嬉の表情を見せ勢いのまま振るい落とす。
ドゴオオォォォ!!!!
結威牙の刃が大地に突き刺さる。その衝撃の余り地響きと地鳴りが引き起こされ辺りには土煙が舞う。
(な、なんつー威力だよ!!)
次第に土煙が落ち着いていき未萌奈達は目の前に現れた敵の姿を認識する。
突如として奇襲を仕掛けてきた大刀を振るう男の正体はアイドル因子を微顕現させた姫村和斗であった。
「とりあえず女の子が見えたからカッコつけて見たけどよぉ!!流石に痺れただろ!これはワンチャン一目惚れでキュンキュンさせちまったやつだろ!」
『毎回女の子がいたら無駄に格好つけようとするの辞めてよ!それに見てあの人の顔!全然ときめいてないから!』
「なっ!なにぃ!?」
和斗の内に宿るアイドル因子『柊陽菜』が和斗へ怒鳴りながら説教をかます。
陽菜の言う通りに未萌奈の方へ視線を向けるとそこには思い切り人を見下す眼差しで和斗を睨みつけていた。
「まぁ過ぎた事はいいや。あんた一人か?」
「そうよ」
「うーん……それは嘘だな」
「根拠は?」
「さっき嘘つかれたばっかだからな。敵の言うことは間に受けないようにしてんだ。
始まってそこそこ時間が経ってるしだいたいの奴は誰かしらと合流して行動してると思うんだよな。だからあんたの言ってる事は嘘だって思う」
「仮に近くに私達の仲間がいたとしても探させるつもりもないし離脱する隙も与えない。あんたは私とやり合うしか選択肢はない」
「そいつは参ったな。俺は女とは極力やり合いたくねぇんだ。あんた人狼だし尚更な」
「……へぇ……あんたは占い師って事ね」
「え?……あっやべっ」
現状況から未は萌奈が人狼だと断定するには占い師の開示能力を使うしか判別しようがない。未萌奈は和斗の役職は占い師と断定する。
一方和斗は1時間おきにリセットされる開示能力に持ち越し機能は無いことから使わなければ損だと判断し未萌奈と相対した瞬間から開示能力を使用していた。
(ここでとんずらこくのはだせぇ……尚更あの子にこいつださって思われて挽回のしようがなくなる。かといってあんな美人の顔に一生もんの傷なんて付けちまったら俺は大罪人だ。余計に態度に出さなくても内心余計に嫌われちまう可能性が高まる)
「う~~~~~ん」
和斗は頭を抱え苦悩する。この状況における自分がすべき最善の行動を思考する。
「決めた!!」
「いちいちうるさい」
「俺があんたを良い感じにぶっ倒してあれ?こいつ思ったよりやるじゃんと思わせるギャップでイチコロ作戦を決行する事にする!こうすりゃ俺も本気でやれて万事解決だぜぇ!」
「いいわ。来なさいよ。本気でやったら私に勝てる前提のその舐め腐った頭……ぐちゃぐちゃに斬り刻んでやるから」
―――― to be continued ――――
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