灰色の冒険者

水室二人

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第2法 裏編

事前ポーション

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 RPGゲームなどに登場する謎の物体、ポーション。

 飲めば、体力が回復するという効果が多い。

 現実世界に存在して欲しい物の一つだろう。

 なぜなら、怪我も回復する優れものだから。

 飲めば怪我が治ると言うのは、不思議な効果だ。瀕死の状態からも、完全回復という恐ろしい効果の薬もある。

 ゲームの話とすれば、それでいいが異世界であるここにも、ポーションはあった。

 しかも、飲めば怪我が治る不思議な薬としてある。

 解析機で、解析してみたが、機能を使いこなせていないのか、仕組みを完全に解析できていない。

 今できるのは、効果を色々と変更するだけだ。

「特性ポーション、甘口は気に入ったかな?」

「うみゃいです。適度な甘さの加減が最高ですにゃ」

「十色を解析したときに、好みの甘さを調べられたからね。女の子の平均的な甘さの好みの参考にさせてもらうよ」

「そんなことまで、わかるのかにゃ?」

「記憶を読み込むことは出来ないけど、データ的な部分を解析出来るようになっていた」

「少し、こわいですにゃ」

「私も、そう思う。しかし、手に入れた力だから、上手に使うしかないだろう」

「このポーションは、甘いだけ?」

「これは、序の口だよ。回復の原理は、完全ではないけど、少しは理解できた」

「原理?」

「この世界のポーションは、薬草と魔力がほとんどの成分だった。それを体内に取り込むことで、治癒魔法が発動するみたいなんだ」

「薬で、魔法が発動する物にゃか?」

「異世界だからと言う感じかな?」

「異世界ですか・・・」

 人が、猫に転生?することが出来る世界だ、不思議なこと色々と可能になる。

「飲めば魔法が発動するなら、その魔力を溜める事も出来ると思ったんだ」

「?」

「怪我の無い状態で飲んでおけば、怪我押したときに自動で回復するポーションに改良した」

「出来たの?」

「出来た。使用する魔力で、効果の時間や怪我の回復量も変化する、事前ポーションだ」

 試作品を幾つか持ち出して、研究室から出る。

 そろそろ、迷宮に行った勇気が戻ってくるはずだ。話を聞きたいし、ポーションのテストもしてみたい。

 十色は、研究室でDVDを見たいといっていたので、おいてきた。本人がいなくても、中に誰かいれば研究室の扉は消えないことが判明した。

 ただ、中には許可の無い人は入れないので、問題ないはずだ。扉はそのままにして、私は部屋を出た。




談話室に行くと、そこには大学生3人組と勇気がいた。

「あ、小父様!」

 私を見つけた勇気が、こちらに向かってくる。

「お帰り、大丈夫だった?」

「はい、今日は初日なので、簡単な説明だけでした」

「怪我は無い?」

「無いですよ。今度、小父様も一緒に行きましょう」

 戦闘などの恐怖は無いのかもしれない。この子も、おそらく何かの影響下にあるはずだ。

「そうだね、私の研究が落ち着いたら、お願いしよう」

「研究?」

「私の能力でね、色々な実験ができるんだよ」

「凄いです!私の能力とは違うんですね」

「勇気の能力は、どんなのかな?」

「全部はいえませんが、魔力をこぶしに込めて、殴り飛ばせます」

「それは、凄いね・・・」

「女の子らしくないですか?」

「少し、意外かな?」

「戦う女の子は、嫌いですか?」

「嫌いじゃないよ」

「ならいいです」

 そう言って、にっこりと笑う。

「戦う女の子に、ちょっと協力してもらってもいいかな?」

「何ですか?」

「このポーションの効果を試したいんだ」

 私は、事前ポーションを机の上に置く。

「ポーションですか?」

「私が改良した、事前ポーションだよ」

「?」

 勇気は、意味が解らなかったみたいで、小首をかしげる、

「これを飲んでおけば、怪我をしたときにすぐに回復するんだよ」

「そんなこと、出来るの?」

「それを、試したいんだ」

 そう言いながら、私はポーションを一瓶飲む。

「これで、私が怪我をしても、すぐに直るんだよ。だから、ちょっと攻撃してくれるかな?」

「そんなの、無理です!」

 勇気は、全力で否定する。無理だとは、最初から思っていた。だから、こちらの予想通りに行動してくれる人がいて、助かった。

「ぐっあぁぁ・・・」

 突然襲いかかる痛み。私の右肩に、ナイフが刺さっている。

「これで良いのか、おっさん」

「痛みがあるのは、仕方ないか・・・」

 痛みを我慢しながら、ナイフを抜く。少し血がでたが、抜き取ってすぐに傷は消えて痛みも無くなった。

「何をするんですか!」

「このおっさんが、攻撃してくれって言ったんだよな」

「そうだよ、おっさんに協力しただけじゃないか」

 大学生3人組の二人は、男性で残りは女性。男二人がそう言ってきた。

「大丈夫ですか?」

 女性のほうは、こちらを心配している。3人とも仲のいい仲間と言う感じはしない。

「大丈夫ですよ、これでこのポーションの実験は出来ました」

 魔力の残高から、今の攻撃だと後数回分は回復できる。この変の調節は必要だろう。

「その薬は、売っているのですか?」

「えっと・・・」

 そういえば、この3人の名前は知らない。

「すみません、私は、吉良 芳千佳よしちかと言います」

「浅野たくみだ」

「大石松野丞」

 それぞれが、名乗りを上げる。

「凄い組み合わせだな・・・」

 3人の名前を聞き、私は感心する。良くぞここまでの組み合わせが存在したのだと。

「この子は、俺の彼女だから、おっさんは手を出すなよ」

 吉良さんの肩に、手をかけようとしながら、大石君は言い出した。

「それは、ありませんから」

 吉良さんは、その手をすぐに払いのける。

「取りあえず、このポーションはまだ改良中だから、販売はしていない」

「残念です、あれば便利だと思ったのです」

「小父様、私もこれ欲しい」

「勇気には、テストを兼ねて、最初からあげるつもりだったよ」

「ありがとう」

 もし、私の知らないところでこの子が、怪我をしたり、最悪死んでしまったら悲しいと思う。

 そうならないように、出来る手段を色々と考えている。

「じーーーー」

 自分で祇園を言いながら、一人こちらを見ている子がいる。

「仕方ありませんね。そちらの3人にも、差し上げましょう。今は在庫が無いので後ほど、お持ちしますよ」

「いいのですか?」

「無味無臭と、甘口、4倍甘口とありますけど、どれがいいですか?」

「4倍甘口で、お願いします」

 甘口という事に突っ込まず、すぐに4倍を希望するとは、この吉良さんはなかなかの人物かもしれない。

「俺たちは、そんな怪しいのはいらない」

「そうだな、俺たちだけの力で充分だ」

 男性二人は、要らないという、無理に上げる必要は無いので、要らない人にあげることはしない。

「そうですか。吉良さんは、出来たらメイドさんにお願いして届けてもらいますね」

「よろしくお願いします」

 そうって、嬉しそうにする吉良さんは、大学生には見えない童顔な女の子だった。

「ねぇ、小父様」

「どうした?」

「凄い組み合わせって、何?」

 先程の独り言を、勇気はしっかりと聞いていたみたいだった。

 この3人の名前の組み合わせ、私が正義と言う名前の意味を考えたときに知った出来とに関連していた。

 正義とは何か、永遠のテーマなのかもしれない。

「それはね、後で説明するよ」

 さすがに、この3人の前でする話ではない。

「なんだ、俺たちに都合の悪い話なのか?」

「そうだ、そこまで言って、内緒にされたら、気分が悪い」

「・・・」

 吉良さんは、私がどういう意味での組み合わせなのか、理解しているみたいだった。

「吉良、大石、浅野・・・あ、赤穂浪士?」

 勇気は、自分でその考えにたどり着いたみたいで嬉しそうにそういう。

「なんだ、またそれか」

「つまらん」

 浅野君と大石君は、それだけ言うと、談話室から出て行った。この手の話は、良くあるのだろう。

「確かに、赤穂浪士の組み合わせだけど、ここまで揃うと、怖いよな・・・」

 二人を見送りながら、私はそうつぶやくのだった。



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 小説家になろうでも投稿中。
 なろうのほうが進んでいるので、こちらも順次投稿予定です。

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