灰色の冒険者

水室二人

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第5章 館炎上

この世界は敵だらけ?

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 賢者の国に、偽者を残し手私はメトロ・ギアに戻りました。

 浅野の死に際の魔法は、こちらの偽装に役立ちました。

 あの瞬間、研究室に逃げ込み、展開していた魔法陣で偽者と入れ替わりましたまた。

 この偽者、異星人の技術を使用して製作したものです。

 奄美さんのデータを元に、北川君が製作しています。同じ世界の二人ですが、奄美産に、異世界人の技術が使われていたことに驚いていました。

 あの世界で、サイボーグA2というコードネームの奄美さんの活躍は、希望の光だったそうです。

 色々と、複雑な出来事が、色々な世界で起きています。

 メトロ・ギアの完成と、異世界人の館の偽装が終った今、改めて今後の事を話し合うために、主要メンバーを集めました。




 副司令官をお願いした十色。情報関係の担当者の三姉妹。

 元魔王のメリアム。冒険者のザックとエッジ。

 魔法使いの伊藤さんと、その下僕となってしまった猫二匹。

 異世界の異世界人北川君と同郷のサイボーグ戦士奄美さん。

 軍師見習いの久賀さん。虹色小隊の隊長ブルー。




 作戦会議に集めたのは、この面子です。

 他の人たちは、それぞれ与えられた仕事をしています。




「この世界は、色々と終っています・・・」

 世界の情勢を調べていた三姉妹は、資料を出しながらそういいました。

「アマテラスの解析で、この星には5個の大陸があるのが判明しています」

 現在、アマテラスは惑星全土をカバーできる範囲まで監視網を広めています。

「面倒なので、北極大陸と南極大陸、第1~第3大陸と名称しました。私達がいるのは、第2大陸とします」

 北と南に、大きな大陸、後は大きさで1~3と割り振りました。

「解析の結果、第2大陸以外には文明がありません」

 これは、銀河帝国からの情報とも一致しています。特に、南極大陸は100年ほど前に滅亡したという情報もあります。

「上空からの映像ですと、かなりの量の廃墟が確認できています。砂漠になっている部分も多いです」

 どの大陸も、動物に関してはほとんど確認できていません。

 各地に点在する島も、似たような状況です。時々、緑のある島がありますが、文明は確認できていません。

「これを見てください」

 モニターに、巨大な建造物が現れます。

「これは、第一大陸の国家の跡です」

 それは、SF映画に出てくるような、未来都市でした。人の姿は無く、巨大な建物は、各地に破損が見られます。

「過去の機神の出現で滅んだとしても、この状況にはならないという結論が出ています」

 三姉妹が、時間を掛けて検証した結果なら、信頼できます。

「銀河帝国の依頼で、近隣の大陸の調査があります。これに関しては、どうします?」

「ここから一番近い、南極大陸に調査に行こうと思います。幸い、この星の南極は氷の大陸ではないので、準備が出来次第、出発します」

「準備の状況は、どうなっているにゃ?」

「大型の飛行空母の設計は完了しました。跡は官庁の許可の下、製作するだけです」

「必要な資材は、虹色小隊で確保済です」

 北川君と、ブルーが報告します。

「これですか、予想以上のものを設計してくれたみたいですね」

 表示されたデータを確認します。

 あるアニメに出ていた、攻撃空母と呼ばれるメカ。空飛ぶ鯨かもしれないデザインは、何処となく猫っぽい形状になっています。

 メトロ・ギアの兵装は、全てこの傾向があります。

「これを、ニャウと名付けることにします」

 名称は、ニャウとなりました。これに、アンディとリバティを搭載して、調査に向かうことになります。

 空間収納があるので、実際に配備する必要はないかもしれませんが、せっかく作るのなら、使わないともったいないです。

「他の組織の様子はどうですか?」

「果て無き迷宮ですが、色々と判明しました」

 ノーフェイスの分析を、色々と設定を変えて行った所、色々と判明したそうです。

「定期的に、果て無き迷宮の出口のある町が滅んでいます」

 ある日突然、町ひとつ、村全部の住民が、死人になるそうです。

 その死人は、果て無き迷宮へと消えていくことが判明しています。

 銀河帝国は、果て無き迷宮への危険を認識しているのは、出入り口付近には誰も住んでいないそうです。

 ただ、出入り口は不定期で移動するそうなので、見つけ次第移転しているそうです。

 他の国は、特に対策を取っておらず、人知れず被害が増加している傾向です。

 町と町への移動が、転移魔法陣を使っているので、交流が希薄な町だと、滅んでいても気づかない事も多いみたいです。

「黒の国は、どうしています?」

「あの国は、独立に向けて準備中です。戦力の増強を急いでいるのが確認できました」

 色々と、こちらに手を出してた国です。調査は慎重に行っています。

「戦力は、どうですか?」

「戦車を中心に、長距離の砲撃戦術をメインにしています。飛行戦力も若干確認できました」

「銃火器の状況は?」

「かなりの量を、量産している感じです」

「戦う相手は、予測できますか?」

「えっと、最初に独立宣言をして、その後は様子を見ると思います」

 軍師と言う能力を持っていても、あまり使いこなせていなかった久賀さんが発言しました。

「その根拠は?」

「不確定要素を、見極めるためです」

「不確定要素?」

「私達のことです。一生懸命、準備したのに、ここに来て予想外の戦力が現れました。準備し方から、相手はかなり慎重なタイプです。かなり愚かな部分もありますが、最初は様子見だと思います」

「愚かな部分ですか?」

「戦車は、切り札にするはずの兵器ですが、隠せていません。異世界人が多く紛れているこの世界、切り札は隠すものです」

「戦車以外に、切り札がある可能性は?」

「充分あります。異世界人で、聖王国や銀河帝国に所属していない人で、特殊な能力者がいる可能性があります」

「確かに、私みたいなチート能力者が他のいる可能性はありますからね」

「それは、管理者の言う理の魔王みたいなものにゃのか?」

「はい。私達側に、5人。銀河皇帝入れれば6人います。魔王がいるなら、勇者がいる可能性もありますし、そう名付けている管理者と言う組織も謎が多いです」

「それに関しては、私達も調査中ですが、進展はありません」

 三姉妹は申し訳なさそうに、そう言いました。

「あれに関しては、こちらに任せてください。にい達は、今まで通りにお願いします」

 管理者と言うのは、恐らく機神を送り込んでいる組織の関係者です。

 果て無き迷宮の管理人、無名と関係しているはずなので、厄介な存在です。

「ギルドのほうは、どうですか?」

「グランドマスターと言うのは、まだ確認できていません。今の事、動きはありません」

「そうですか・・・」

 こちらも、色々と不可解な組織です。

 転移魔法の能力者を中心に、暗殺していた事が判明しています。理由が判明していないので、不気味な存在となっています。

 特殊能力者を多数確保しているので、変則的な戦いになると厄介です。

「他の勢力で、こちらの害になりそうな組織は、確認できていますか?」

「大規模な盗賊団が、こちらに現在接近しています」

「どれくらいの規模ですか?」

「総勢500人の軍団です」

「どこかの国の、軍隊ではないですか?」

「残念ながら、盗賊団です。何処の国にも所属していません」

「そんな連中が、何故ここを?」

「原因は不明です。1週間ほど前から、こちらに向かっていることが判明しました」

「接触日時は?」

「2日後です」

「了解しました。それまでに、ニャウを感染させましょう」

「他には?」

「少し距離のある、小国の火の国から、こちらに使者と思われる集団が向かっています」

「銀河帝国から、道路工事のお願いが増加中なので、虹色小隊外にも、役割を振って欲しいです」

「魔法の実験で、色々と機材が欲しいです」

「美味しいご飯が食べたい・・・」

 だんだんと、意見が混乱していきます。ここの会議は、毎回こんな感じなってしまうのが、難しい所です。




 上がった意見の解決策を支持して、会議を終了します。

 元々、まとめ役を経験したことがないので、色々と問題が山積みです。

「少し、気分転換をする必要がありますね」

 虹色小隊の派遣で、銀河帝国から報酬を受け取っています。

「異世界の文学は、まだまだですね・・・」

 報酬で得た資金を元に、銀河帝国で流通している書籍を買い占めています。子供の労働で得たものなので、かなり鬼畜なことをしている気分です。

 子供たちには、充分すぎる環境を与えているつもりですが、少し後ろめたいです。

「この作家は、中々面白いですね・・・」

 読書をしながら、ゆっくりとした時間を過ごします。

 本を読むたびに、少し胸が痛みます。

 この痛みを忘れないように、眠るまで、静かな時間を過ごすのでした。




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 小説家になろうでも投稿中。
 3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。


 

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