灰色の冒険者

水室二人

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第9章 始まり

騙し騙され騙しあう その4

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 1年と言う時間が過ぎました。

 この状態で、もとの世界に戻ったらどうなるか?

 一年後の世界になっているのでしょうか?

「一年間行方不明となっていたら、色々と大変です・・・」

「俺たちの場合、1人完全に行方不明だからな・・・」

 元の世界の戻る、吉良さんと大石君が、辛そうに呟きました。

 一緒にいた、浅野君はもういません。

「時間に関しては、恐らく大丈夫です」

 今まで、色々と研究した結果、無茶苦茶な理論をごり押しすることが出来ました。

「過去に、戻れるのですか?」

「それは、無理です」

「未来に進むしかないのでね」

「それは、誰が決めたのでしょう?」

「えっと・・・」

「冗談ですよ。地球までの道筋を、色々と調整した結果、時間の歪みを利用する事で、5分後の世界まで短縮できる事が判明しています」

 私達は、異世界召喚と見せかけた、超長距離転移によってこの星に呼び出されています。

 これだけ著利があれば、異世界転移と言ってもいいでしょう。

 この星の人たちは、色々な文化圏を見ていました。地球のアニメに影響されたものを作るだけの技術もありました。

 ただ、微妙に時間がずれている気がしたので、色々と調査しました。

 その結果、超長距離転移に関して、時間のずれがあることが判明しています。

 原因は断言できていません。ただ、宇宙のある地点で時間の流れが極端にじれている場所があり、そこの周辺を通過すると、時の流れに変化がおきるみたいです。

 この性質を利用して、地球までの道をつなげました。別ルートで、一年後の地球への道を作ろうと思ったのですが、5分後の道のある状態で、一年後の道は出来ませんでした。

 5分後を消して、一年後を作り、同時に5分後を作ろうとしても無理でした。

 一度に作れる道は一つ。このことから、一度利用したら、その後の道しか残らない可能性も出てきたのです。

 念のため、5分後の道で、一つの物体を地球に送り込みました。それは、地球の映像をこちらに送る事に成功しました。

 距離があるのに、我ながら恐ろしいものを作ってしまったと思います。

 送ったのは改良型の探索球。成功したので、追加でかなりの数を送り込み、地球の情報を集めています。

 これを送った事で、一年後の道が作れなくなりました。

 未来を知る事は出来ないと言う、理があるのかもしれません。

 私達のいるこのアトランティスと、地球は、現在ほぼ一年遅れで繋がっています。

 ただ、別の人が独自で道を作れば、その時間軸で移動することが出来るかもしれません。




「刈谷さん、色々とありがとうございました」

 全ての準備が終わり、二人と別れの挨拶をします。

「大した事は、していませんよ」

「命の恩人です」

「私達は、貴方に救われました。出来れば、何か恩返しがしたいのですが・・・」

「それなら、この子を、見守ってあげてください」

 元々、そう言う意味での保険です。

「刈谷さんと、この子は知り合いだったのですか?」

「直接、ではないですけどね。この子の、両親とは友達ですよ」

 長い間、喧嘩別れしていましたが、勇気の両親とは友達でした。けんかした原因も、かなりどうでもいい事です。他の人が聞けば、呆れてしまう出来事。

 でも、友人の子供です、あいつらが、どれだけ大切にしていたかは知っています。

 危険な目にあわせてしまい、申し訳ない気持ちで押しつぶされそうになりました。

 この危険な世界で、この子を守り通す自身は、今の自分にありません。

「本当なら、異世界に言ったことを自慢したいぐらいですけどね」

 そんな事をしたら、あいつのkとだから、血を吐きながら”ぐぬぬと”のた打ち回る事でしょう。

「とりあえず、さよならです」

 私がそう呟くと、3人の体が光りだします。




「「ありがとうございました」」




 一人は、眠っているので、お礼を言ったのは二人だけ。

 次の瞬間には、地球へと送還されたのでした。




「3人の送還を確認」

 地球の探査球の映像で、状態を確認します。

「魔法を発動します!」

 勇気の中に溜め込んだ、魔力を使い魔法を発動させます。物凄い距離があるのに、瞬時に発動できるのはこのタイミングだけです。

「魔法の発動を確認。映像の確認、ここまでです」

「これでいいです」

 地球と、ラインを繋いでいると、その影響で誰かが転送される恐れがあります。

 自力で来るなら、拒む事はしませんが、手助けをするつもりはありません。

「それって、あの子のことをまっているのかにゃ?」

「どうでしょう?」

 現時点での、地球とのつながりは全て切断しました。

 地球に送り込んで探査球は、情報の収集だけを続けてもらいます。気が向いたら、回収に行きましょう。

「スタッフを、メトロ・ギアに集めてください。私達は、次の段階に進みます」

「了解です」

 十色と、三姉妹が返事をします。

 機神の本体がやって来るまで、計算で一週間後と言う計算です。

 黒の国で、怪しい動きがあるという報告もあります。

 そして、厄介な事に始穣香が行方不明と言う話もあります。

 あいつが行方不明と言うのが、一番不気味です。何か企んでいないか、不安でしかありません。













「戻されました・・・」

 目が覚めると、そこは私のいた世界です。

「中々、恐ろしい子ね、勇気ちゃんは」

「吉良さんも、中々のものですよ」

 私達は、戻ってきました。ただ、戻ってきただけではありません。異世界で得た能力は、こちらでも使えます。

 確認したら、普通に魔法が使えました。

「これで、僕も知りたかったことが確認できる」

 物の記憶を見れる能力を得た大石さんは、嬉しそうです。

「私は、体力を回復できる魔法を得られたことが嬉しい」

 限界ギリギリまで、執筆作業をしている作家さんには、ありがたい能力でしょう。

「私も、時間の許す限り、自分に磨きをかけるよ!」

 私は、まだ幼い。

 身長も足りていないし、経験も無い。はっきり言って足手纏い。実際、死にかけた。

 と言うか、死んでいた。

 迷惑をかけた。

 小父様の事、実は私も知っていました。お父さんの友達です。

 過去に、女性不信になる出来事があったのも知っています。お父さんとの喧嘩の原因が、そのことにあったのも知っています。

 力になりたいのは無理でも、何かしたかったのに、残念です。

「色々と、ありがとうございました」

 私は、吉良さんにお礼を言います。

 この人の書いた小説のファンで、そのことで色々と話をしていました。

 そのおかげで、裏である同盟を結んでいました。

「私も、色々とネタが出来て嬉しいかな。現役の10代の女の子の情報、中々リアルタイムで得られないからね」

 私の話す事で、先生のネタになるなら嬉しい事です。

「刈谷さんも、勇気ちゃんが意識あったとは思っていないでしょうね」

「どうでしょう?」

 私は、ずっと寝ていた事になっています。ですが、意識の一部は、アニマルロイドにこっそり宿っていました。

 だから、色々とこっそり異世界を堪能していました。

 色々な魔法を練習しましたし、吉良さんに教えていました。

「小父様のことだから、知っていたかもしれません」

 あの世界では、色々な人がいて、何か騙していた気がします。

 どれが本当のことなのか、今となっては解りません。

 あの世界が夢だったかも、そう思いたくないから、魔法の勉強をしました。

「でも、なんで地球でも魔法が使えるのかな?」

「これのおかげです」

 私は、隠していた小さな端末を取り出します。

「これは?」

「アトランティスのサーバーを結ぶ端末です。北川さんにお願いして、作ってもらいました」

「刈谷さんに内緒で?」

「小父様が頼んで作っていたものを、分けてもらいました、内緒で」

 作っていたのは、小父様です。周辺の星でも、魔法が使えるようにと、開発したそうです。次元を超えて、作用するそうで、範囲は太陽系をカバーするほど見たいです。記憶を操作する魔法のためにも、必要だったそうです。

 改良型の探索球に、埋め込んでありますが、私達にアクセス権が無いので、意味がありません。

 この端末はアクセス権を得るためのものです。

「やっぱり、侮れないな勇気ちゃんは」

「私は、いつか自力であそこに行きますから」

「頑張ってね」

「はい」

 そう約束したからね、小父様と。

 本人は、そのつもりが無くても、さよならと言われた以上、再び会い行くしかありません。

「その考えは、ちょっと古いと言うか、特殊だよ」

「僕も、そう思う。言われるまで、解らなかった」

 私より、少し年上の二人が呆れています。このネタ、かなり古いらしいです。

 それでも、良いです。

「別れの言葉じゃないのですよ」





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 小説家になろうでも投稿中。
 週一ペースのゆっくり更新予定です。



 

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