私の愛した召喚獣

Azanasi

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第四章 内政

悠人の母は異世界へ行く

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【悠人の母は異世界へ行く】

□■□ 王都の屋敷 □■□
 転移してくるといつも通りジェシカとソフィーが迎えてくれた。
 「お帰りなさいませんルーカス様、」、「ルーカス様、お帰りなさい。」

 ここは私の国の王都にある屋敷です。
 えっと、お母さんの名前はなんでしたっけ?
 美琴です。『美琴』と呼び捨てにして下さい。

 「いやいや、それは不味いでしょう、美琴さん」

 「あ、この人は悠人のお母さんで残ってる生徒の様子を見に来たんだ・・・」
 ジェシカのまた女を連れてきたと言わんばかりの目付きに誤解されないように説明した。
 変な目をするジェシカも困ったものだが、全く動揺しないソフィーの方がもっと怖かったりする。

 「これはこれは、良くいらっしゃいました。美琴様、すぐにお部屋を用意致しますのでそれまではリビングの方でゆっくりして下さい。」

 ジェシカはそう言うと美琴をリビングへと案内していった。

 「あら?、リナちゃんじゃない?」
 「あれ、悠人のお母さん?、どうしてここに?」

 「あなたたちが心配だったから連れてきて貰ったの」
 「すいません、ご迷惑をおかけして、悠人君は無事に帰ったんですか?」

 「ええぇ、無事よ、只念のために大事を取って入院してるけど・・・ほら、帰って来たら色々と世間が騒ぐからもう暫く入院する事になりそうね。」

 「あぁ、やっぱりそうなりますよねぇ・・・」
 リナは不安げな表情をしている。

 「美琴さんが落ち着いたら皆に帰還の事に付いて話をしようと思うのでそのつもりでいてくれ・・」
 「あら、私は疲れてはいませんから今からでも良いですよ。」

 「じゃ、リナ、皆を談話室に集めてくれ・・・」
 「はい・・・」
 リナは大急ぎで皆を呼びに行った。

 「ジェシカは談話室にお茶を・・・」
 「畏まりました・・・」

♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*゚♪
談話室

 すぐに皆そろった。 
 まあ、王都では基本外に出れないので集まりが早いのも当然だが・・・

 「まず、最初に無事に二人は元の世界に帰った、悠人のお母さんがここにいる事がその証明だと思ってくれ。」

 「その証明の為に悠人のお母さんを連れてきたの?」
 「いや、それは違う、美琴さんがここに来てるのは本人の強い要望だ・・・」

 「本当にそうなんですか?」
 「そうよ、なんと言っても異世界よ、行けるチャンスがあれば行ってみたいって言うのが本音でしょう」
 「もちろん、貴方たちの事も心配だったから来たんだけど・・・」
(悠人のお母さん、本当に異世界に来たかったんだ・・・まあ、悠人のお母さんの性格を考えると納得出来るんだけど・・・)

 「分かりました、では俺たちは何時帰れるんでしょうか?」
 信二の質問に俺は答えた。..

 二人を送っていった事、警察の対応、そして3日後に約束してる事・・・・
 3人は落ち込むかと思ったら意外にしっかりしてる様だ・・・やはり悠人の母親が来てくれているのが心強いのだろう、そう考えると連れてきたのは正解だったかな・・・

 俺的には何となく不安があったんだが・・・・
(これはすぐに的中する事となる)

 「残りはたった三日だけど、少ないながらも一緒に異世界ライフを楽しみましょう。」
 「・・・・・」
 
 「如何したの?、みんな、折角ですから楽しく過ごさないと・・・」
 「はい、そうですね・・・」
 皆は美琴さんのテンションに当てられているようだ・・・
 
 そうこうしているうちに奈津、美琴、留美、恵が帰ってきた・・・
 「ただいまーーーっ、はぁ、今日も疲れたわ・・・」
 同事にアメリアも執務室からリビングへ下りてきた・・・
 
 俺が美琴を紹介しようと思ったら・・・自分で始めた・・・
 「皆様、初めまして私は此方にお世話になっておりました、相馬悠人の母で相馬美琴と申します。今日を含め3日間と短い間ですが宜しくお願いします。」
 
 「此方こそ美琴さんよろしくね!」
 奈津を筆頭にアメリア、エマ、ソフィー、愛彩と留美、恵、アトリアと挨拶が続く・・・・
 
 「ここにいる7人がうちの屋敷の主要メンバーだ、ちなみにアメリアは子爵で、エマはこの国の第一王女だ、留美と恵を除いた5人は俺の婚約者だ」
 「今更だが、俺はルーカス・ハミルトン・ファンテーヌだ、ファンテーヌ領の辺境伯でもある」
 
 「あらあら、此方は一夫多妻なんですね、主人が聞いたら喜びそうですわ!!」
 「でも王女が婚約者だなんてルーカスさんって凄い方なんですね。、もしかしたら皆さんも魔法が使えるのかしら?」
 
 「そうですね、皆得意分野はそれぞれありますが、皆、使えますよ。」
 「うわーーっ、うらやましい限りですわ~、私も是非、魔法を使えれるように成りたいです。」
 「この国の人は皆魔法が使えるんですよね。いいなぁ~」
 
 「あっ、それ違いますよ。」
 エマが訂正した。
 「魔法の適性はおおよそ、1000人に一人と言われてます、さらに上級となると1万人に一人とかそんな物ですよ、ルーカス様や奈津さんみたいなレベルになるとこの国では五人もいないと思われてます。その内に3人がこの屋敷にいますけど・・・」
 
 「あら、皆使えるのかと思ってましたわ~残念だわ・・・」
 「私には適性はないのかしら・・・」
 
 「宜しければお調べしましょうか?」
 「是非、お願いしたいですわ。」
 
 「暫くお待ち下さい、魔道具を取って参ります・・・」
 エマはそう言うと自室へ戻っていった。
 
 「ねぇ、ルーカス、お客さんにそんな魔法使いみたいな服を着せないで、もうちょっとまともな服を出してあげたら・・・」
 「ジェシカ、美琴さんに服を見繕ってあげて?」
 愛彩は俺が美琴さんに魔法使いの服を着せたと思ってるようだった。
 
 「あ、愛彩、実はその服は美琴さんの私物なんだ・・・」
 「あっ、すいません、よく見るとなかなかお似合いで・・・・ごめんなさい。.」
 
 「良いですのよ、私、魔法使いにあこがれてまして、異世界に行くならこれだと思ってしまって・・いい歳して恥ずかしいですわ・・・」
 愛彩は非情に居心地が悪くなったのか・・・着替えてくると行って逃げ出した・・・
 
 エマが戻ってきた・・・
 「ん・どうかされましたか?」
 エマは今の状況を知らないので皆が苦笑している様を不思議そうにしている。
 
 「これは魔法の適性を計る魔道具です。教会や王城にあるような精度はありませんが、おおよその魔力の保有量と属性は分かりますよ。この玉の部分に手を置いてみて下さい・・・」
 だ、大丈夫よね、痛くないわよね、ちょっと怖いわ。
 
 「では、失礼して・・・」
 美琴が手をゆっくりと置くと・・・透明な水晶の様な玉は数色の輝きを放った。
 
 「えーーっ、美琴様、凄いです。かなりの魔力量で一番は神聖魔法、次に光ですね、水、あと風の属性もありますよ。」
 「本当ですか?、嬉しいですわーー私でも魔法が使えるかしら・・・」
 
 「えぇ、只、魔力があって適性があってもすぐに使える訳ではないんです。やはり相当の練習が必要になります。」
 「私で良ければお教えしますが、3日間では発動まで至る稼働は微妙ですね。」
 「はい、それでも構いませんのでぜひ、お願いします。」
 
 「では、明日は早朝から開始しましょう。」
 と、こうして美琴さんの魔法実習が始まる事になった。これがトラブルになるとは誰もこの時点では思ってはいなかった。
 
 「所でエマ、美琴さんの能力はどれくらいなんだ・・・多いのは分かったけど・・・」
 「そうですね、この国の基準で考えると上級クラスになると思います。魔法のない世界でこれだけ保有していたのならこっちの世界で住んでればもしかした神級レベルぐらいまで行けるかも知れないレベルですね。」
 
 「見た感じヒーラーに特化してるかと・・・」
 
 「うぉ、そりゃ凄いな・・・」
 他の皆も驚いてた・・・眷属でもないのにかなりの魔力の保有量・・・眷属になったらどんだけ?
 
 「ルーカス、駄目よ、ダメダメ、人妻なんだから眷属なんか考えちゃ駄目よ」
 アメリアは本気で心配しているようだった。..
 
 「心配も何も眷属はもう、定員一杯だから、倫理的にも論理的にも無理です。」
 「あ、そうだったわね、向こうの世界からは3人だったのよね。.」
 「そういうこと・・・」
 
 「ところでさぁ、悠人の母ちゃん一体何しにこっちへ来たんだ・・・俺たちの保護とか行ってるけど・・・」
 信二は美琴さんのテンションについて行けない一人だった。
 「うん、うん、悠人のお母さんって大体、何時もあんな感じだから・・・でも、結構、しっかりしたお母さんよ。」
 リナが悠人の母親のフォローに入っていた・・やはり悠人の事は大事なんだろう。
 
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 □■□ エマの私室 □■□
 
 夕食が終わって美琴はエマの部屋に来ていた・・・
 明日からの魔法の勉強の予定について聞いていた・・・
 
 「あのう、魔法が使えるようになるまで普通はどれくらい掛かるのでしょうか?」
 「そうねぇ、普通だと初歩の魔法が使えるまで1ヶ月から3ヶ月ぐらいかしら、自分で魔力を感じられる様になるまでが重要なの自分の体内の魔力をコントロール出来るようになると後は早いわ」
 
 「奈津さんとかはどれくらい掛かられたのでしょうか?」
 「奈津さんね、あの人達は眷属だから初めから使えたわよ。」
 
 「へぇ・・眷属って凄いんですねぇ・・・」
 「そうねぇ、不老不死だから・・・オホホホッ・・・」
 
 「へぇ、そんなのほんとに有りなんですか?」
 「えぇ、奈津さんはああ見えても30は過ぎてるわよ、あっ、歳の話は内緒ね。」
 
 「えっ、10代後半かと思いましたけど・・・」
 「眷属は老けたりしないのある年齢で固定されるから」
 私、とんでもない世界に来てしまった気がする・・・不老不死なんてあり得ない・・・でも、魔法もあり得ないけど、実在する、だったら不老不死も実在しても不思議じゃないわね。
 
 「3日じゃとても無理ですよねぇ」
 「そうねぇ、現実は厳しいけど、不可能ではないのよ、可能性はあるわ、希にそう言う例外の人もいない訳では無いからもしかしたらっていうレベルの可能性だけど」
 
 「はい、頑張ってみます、出来なくて元々ですし・・・」
 「そうですよ、あ、あなたルーカス様の従者になるつもりはない?」
 
 「はぁ、従者ですか?」
 「えぇ、恵さんは元々は魔法の素質はなかったけど従者に成って使えるようになったの。。。」
 「あのう、折角ですが、私は人妻なので主人を裏切るようなまねは出来ませんわ、でも、凄く魅力的なお話ですね。」
 
 「あら、美琴さん勘違いなさってよ、従者だから関係を持つって訳では無いのよ、そもそも男性の従者もいますし・・・」
 「あっ、そうなんですか?、従者って奴隷みたいに主人に絶対服従なのかと思いました。」
 
 「まあ、主人には違いないから命令には服従なのは違ってないけど、関係を迫るような服従は拒否出来ましてよ、それに嫌がってる人を無理矢理に手込めにするような方ではありませんよ。、従者の契約で強制されるのはただひとつだけ、ルーカス様の秘密を他人に喋れなくなる事かしら」
 
 「では、私が従者になるとしたら実際問題としてどんな事をしなければなりませんか?」
 「そうねぇ、美琴さんは向こうの世界の人だから、依頼があれば向こうの世界の商品の買い付けとかそんなところかしら・・・実はいま、そう言う人が向こうの世界に一人いるんですけどね。」
 
 「買い付けと行っても殆どは通販ですから主婦でも出来ると思いますよ。」
 「それでしたら是非、従者になりたいです。息子を助けて貰ったご恩も返したいですし。」
 
 「ただ、考えて欲しいのは簡単に辞めれないって事かしら・・・そういう事情があるので此方にいる間に考えてみて貰えば良いと思うわ。」
 美琴:簡単に辞めれないって事は日本の感覚で言えばヤ〇ザに加入するって事かしら、あぁ、新興宗教もそんな感じだわね。..定年って有るんだろうか?、年取ったりして自由が利かなくなったら?」
 
 「あのう、定年って有るんでしょうか?、歳を取って自由が利かなくなったりとかした場合にどうなるかが心配で・・・」
 
 「ふっふふっ、そんな心配はしなくて良いですよ、そうなる前にはちゃんと辞める事が出来ますから・・・何も契約したから死ぬまでこき使おうって事ではないんですよ。」
 (あれ、王女様に笑われてしまったわ、おかしな質問をしたかしら・・・でも、聞く限りはそう心配する必要はないみたいね。)
 
 「では、考えておいてみて下さい。明日は早くからやりますから今日は休みましょうか?」
 「はい、有り難う御座いました、明日からは宜しくお願いします。」
 
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 美琴は割り当てられた部屋に戻ってきていた・・・
 
 ふう、今日は初日って言うのに驚きの連続だったわ、ハーレムなんて驚いたけど、リアルなのよね、まあ、異世界物ではハーレムは定番中の定番よね。
 
 皆仲よさそうだったけど、喧嘩とかしないのかしら?、でも7人もいたら毎日じゃない・・・タフじゃなければやっていけないわね。あはは、うちの主人じゃとうてい無理だわ・・・でも、聞いたらうらやましがるだろうなぁ・・・うらやましがったらむかつくけど・・・
 
 従者としての仕事は通販ぐらいならなんて事はないわ、デメリットは辞めれない事と秘密を話せない事なのかしら・・・つまり、秘密を知るから辞めれないって事になるのかなぁ?
 
 でも秘密って何だろう、魔法を使える事って訳でも無いし、まだ、他に人に知られてはいけない秘密なんてあるの?、有るからこそ従者の契約で言えなくするのよね・・・つまり従者じゃないメイドさん達は知らないって事?、あっ、それってちょっと優越感かも・・・
 つまり、その秘密を知ってるのはあの7人だけって事なのかしら・・・
 
 
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