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第一章

ハンターになりました Vol1

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 ■ ハンターになりました。
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 ▼ ハンター実習 ▼
 
 ファミレスでゆっくりと食事をとりカンター実習の会場に向かう。
 受付で渡されていた半券をもって実習の窓口にならぶ。
 実習は6人ずつのグループに分かれて1グループに一人の教官が付いて行われた。
 
 「注目!!」
 「いいですか?、これから実習に入ります、皆さんには実際にモンスターと戦ってもらいます。
 第一層で出てくるモンスターはスライムかアシッドマウスしか出てきません。
 スライムもアシッドマウスもどんなモンスターが学科を通った皆さんはわかっていると思いますが注意点を上げておきます。」
 
 「スライムはへばりつかれると衣服や体を溶かして来ますのでへばりつかれないようにして下さい。
 アシッドマウスは酸性の液体を吐く場合があります、吐かれた胃液にふれると火傷をしますので注意して下さい。
 ちなみにアシッドマウスは胃液を吐き出すと死んでしまいますのでよほど瀕死の状態にならない限りは吐きませんがそれでも注意は必要ですよ。」
 
 「では、出発します。
 先頭の3名は武器を準備して下さい。では行きます。」
 
 皆、教官のあとはぞろぞろと付いていく、期待に胸を膨らませている者、売られていく子牛のように沈んでいるものそれぞれだが俺と美和は最後尾をついていく……
 
 スライムがあらわれた。
 「はい、先頭のあなた、スライムを討伐して下さい。」
 前に進み出たのは大学生ぐらいだろうか、結構良い体格をした男性で格闘技の経験がありそうだった。
 彼の武器は剣で、スライムに対してなんのためらいもなく剣を振るうが、スライムは暖簾に腕押し状態だ。
 
 「はい、はい、闇雲に剣を振るわない!、スライムの中心付近に核があるのがわかると思います、そこを狙って下さい。
 
 「あっ、はい!!……そうだった。」
 彼は学科で習ったことを思い出したのかさっきとは比べ物にならないくらい慎重に狙いを定め得て剣を振り下ろした。
 
 スライムは討伐されて魔石をドロップした。
 
 その後、2回、スライムが続いたが皆、さほど戸惑うことなく討伐していった。
 
 その次に出てきたのはアシッドマウスだった。
 順番で戦闘に出ていた青年は突進してきたマウスに飛びかかれて噛みつかれてしまった。すぐに教官が剣で切り落としたが牙の跡のぽっかり開いたいず口から青年の足からは血がドクドク流れていた。
 
 それをみた他の参加者は顔を青くして立ちすくんでいた。
 怪我をした彼は救護の人にその場で応急処置をされて救護所に連れて行かれた。
 
 これで実習は中止になるのかと思って、また、出直すことを考えると憂鬱になってきたが、どうやら杞憂のようだった。
 教官は何事もなかったように実習を続けた。
 
 今度は彼女、美和の番になった美和は最前線に並ぶ、俺はその後ろで待機だ。
 
 また、アシッドマウスが襲ってきた。
 マウスって言うくらいだからかなりすばしっこい、彼女の手前、1.5mぐらいまで来ると彼女に飛びついてきた。
 彼女は空中にいるマウスを蹴り上げた蹴られたマウスを数メートル吹き飛んで落ちた。
 落ちたマウスは手足を小刻みに痙攣させている。恐らくあと数分もしないうちに死ぬだろう。そう思ってみていたら。
 美和は顔色一つ変えずに剣を振り上げるとマウスに向かって振り下ろした。
 
 「ガツ!!」
 音を立ててマウスの首は文字通り空を飛んだ。
 美和はマウスのしっぽをつかむと胴体側に剣を当ててしっぽを切り落とした。
 しばらくするとマウスは消えて魔石を落とした。
 
 「うん、素晴らしい。中西さんとてもいいですよ。」
 教官の褒め言葉が飛んだ。
 
 「アシッドマウスの討伐証明はしっぽになります、まあ、今日は実習なので必要ありませんが、きちんと出来ることはとても大事ですよ。
 討伐部位がないと報奨はもらえませんからね。
 とても良い手際でした。みなさんも見習って下さい。」
 
 アシッドマウスが出てきた時、俺は彼女はやれないと思った。まあ、スライムなら抵抗は少ないだろが猫より一回り大きいネズミなのだ、どうしても抵抗はあるだろう。そう思っていたが彼女はなんのためらいも無いように見えた。
 
 やはり土壇場になると腹が座っているのは女性だろうなって改めて実感した。
 
 ハンター実習はうちのグループに関しては討伐できない者はいなかった。多分全員合格だろう。
 
 俺? 俺は幸いなことにスライムだった。コツコツと数回叩きましたよ。まあ、なんとか倒せましたけどね。
 これがアシッドマウスだったら倒せる自身はなかったね。
 だって、すごくすばしっこいし空を飛ぶんだもん、あんなの相手になんてしてられないって。
 
 俺は資格を取ったら低層でスライムと薬草集めに専念するつもりだ、歳を考えると無理は出来ないしね。
 年寄りの冷水って言うぐらいだから、自愛するさ!!
 
 
 
 
 ▼ 合格発表&レベル測定 ▼
 予想通りと言うか、全員合格だった。全体で見ると今回は2,3名の不合格がいたらしい。その原因はやはりというか、アシッドマウスだった。
 もう、それは運としか言いようがない。
 
 ※ レベル測定 ※
 ダンジョンに入ってモンスターを倒すとステータスがつくようになる無論、仕組みはわかっていないのだが……
 
 ライセンス取得時のレベル測定は無料となっている、次回から3万円ほどの測定料がかかる。
 このレベルによってハンター協会でのランクが決定する。
 
 ランクとレベルは連動しているわけではない、ランクは強さよりもハンター協会への貢献度によって協会が決定していくのに対してレベルは討伐数や倒したモンスターの強さによって自動で加算されていくがもちろんレベルが低ければ大した貢献は出来ないので余程の事情がなければランクは上がらない。
 
 ランクはA~Fまであり、通常はFランクからスタートするが稀に現れる覚醒者と呼ばれる者になるとCランクからスタートすることになる。
 覚醒者の基準はレベルが10以上(通常は1)MPが10以上(通常は0)そして最低一つのスキルを持っていることとなっている。
 
 ちなみに日本には覚醒者は2名しかいない。
 
 レベル測定の為に並んでいるが皆一様にウキウキ、ドキドキ!といった感じだ。まあ、全てFランクなのは間違いないだろうから何を期待しているのか?
 
 あぁ、恐らくその他の項目なんだろうな、魔法系のスキルでもあれば大手ギルドからのお誘いは間違いないだろうから。
 
 ちなみにスキルはダンジョンで自然に取得できる場合がある、とはいっても使っている技能に近いという派生したスキルになるので攻撃魔法などはほとんど自然には取得できるのが難しい。
 
 スキル取得の一般的な方法はモンスターが落とすスキルオーブで取得できるが魔法系のスキルはかなり低確率になる。
 スキルオーブはダンジョンの中では時間制限がないがダンジョンから出ると24時間で無効になる。ダンジョンの中でも人の手の中にないと自然にダンジョンに吸収されてしまうのでドロップしたスキルオーブをダンジョンで保管することは事実上不可能だった。
 
 そうこうしているうちに俺の順番が回ってきた。
 金属板の真ん中に水晶みたいなのが埋め込まれていてそこに手をかざすだけでいい...およそ待つこと5秒ほどすると淡く水晶が光ると測定は終わりだ。
 ここでも渡していた札を受け取りプリントアウトされた結果を受け取りに行く...
 
 「はーーーい、ステータスの説明とライセンスの交付をしますのでステータスリストを受け取った方は指定された教室に入って下さい。
 すぐに始めますよ~!!」
 
 俺と美和は席の前の方に並んで座った。
 

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