悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん

文字の大きさ
74 / 155

第74話 コスタリア領都の日常3

しおりを挟む
明日は女神の日(日曜日)だゴブ~。
仕事が充実していると1週間もあっという間ですな~
充実していると時間が経つのも早く感じるものゴブ。

今日も奥方様の執務室で各領地の報告書(計算系)を処理して奥方様と優雅なティータイムを始めようとしているところだ。

「奥様・・・今日は週末ということもあってそれなりの量の書類がありましたが・・
もう全て見られてサインされたのですか?」

「ほほほ・・・もちろんです、カタリナ。最近は魔力を込めるコツをつかんで報告書程度の厚みであれば10枚ぐらいは一度に刻印出来るようになったのです。今日なんて4回刻印しただけで仕事が終わったのよ~」

「ゴブ~」(それはすごいゴブ~)

「こんなに仕事がはかどるのもミセッティちゃんが刻印の魔道具を作ってくれたからよ~。さあさあ、今日は西の王都と呼ばれるハーマイン領都で流行っているお菓子が届いたのよ。早くお茶にしましょう」

奥方様はもう我慢できないらしくいそいそと自分でお茶の準備を始めている。

「書類は一応全て目を通してもらいたいのですが・・・私と執事長で一通り見て重要そうな書類は旦那様の方にまわしておきます・・・」

「ハーベストの坊やも最期は少しは役に立ったわね、魔道具に魔力を込める練習がいっぱいできたもの~。ほほほほ」

「ゴブ~」(役に立って何よりゴブ~)

コンコンと扉を叩く音がして執事長が入ってきた。

「奥様、執務中に失礼いたします。先ほど先触れの使者が見えましてライアー子爵様が緊急の用でお見えになるとのことです」

「はぁ、ライアー子爵ですか。あまり聞かない名ですね、奥様はご存じですか?」

カタリナさんが少し首をかしげて奥方様へ確認する。

「・・・今日の予定は全てキャンセルです。手の空いている者は全て接客にまわるように。屋敷にいる全員に粗相をしないようにすぐに通達しなさい」

奥方様が珍しく緊張した顔になっている。
侯爵家がこんなに気を遣う子爵家とは一体なんだゴブ。

「目的はやはりミセッティちゃんかしら?それとも・・・いえ特に何も悪いことはしていないはずですから堂々といきましょう。叔母様のことだから深く考えてもしようがないですし」

「奥様、ライアー子爵様とは?国の諜報機関とか査察管のお役目の家ですか?」

「まぁカタリナは知らないのはしょうがないわね。諜報機関とかの方が何倍もマシよ。このことを知るのは王族とごく一部の上流貴族だけということになっていますからね。例え真実に気づいたとしても他言無用、知らぬ存ぜぬを決めてちょうだい」

「よく分かりませんが今日のことは全て忘れた方が良いということですね」

「もちろん我が家の公式記録にも残せません。お父様へは口頭で報告しますが」

皆で屋敷の入口に並んで到着を待つ。
アイラお嬢様も呼び出しされたようだ。

「もう~、ライアー子爵なんて知らないです~。お嬢様の勉強を中断してまで出迎えさせるなんて子爵家なのに生意気です~」

ぽんこつマリーが隣りで文句を言っている。
う~ん、確かにあやしいぞ。家格の差は明らかなのにこの対応。
肩書きだけではない何かがあるな。
元社会人として深読みすれば何となく察するものがあるゴブ。

しばらくすると大きな馬車が2台入場してきた。
装飾の少なめな質素な造りの馬車だが音も静かで揺れもほとんど無い。
かなりお金がかかっているな。

馬車が停まると女性の騎士が2名降りてきた。
続いて侍女さん達が2名降りてきてその後女性の貴族がゆっくりと降りてくる。

「ライアー子爵、お待ちしておりました。サイネリアでございます」

奥方様が丁寧にお辞儀をして出迎える。

「ふふふ、出迎えご苦労様。急にお邪魔してごめんなさいね。今日はライアー子爵として小用があって訪問させていただきます」

「はい、存じております。ライアー子爵としておもてなしさせていただきます」

続いて男性の騎士が4名と執事のような妙齢のおじ様が後続の馬車から降りてきてライアー子爵の周りについて護衛し始める。
この警備体制・・・確実に国家の重要人物クラスだろ。

「それでは立ち話も何ですから応接室にて用件を伺います。お連れの方々もぜひご一緒にどうぞ」

サイネリア様は気にする様子もなく客人として接している。

ライアー子爵がちらりとこちらを見てくる。
アイラお嬢様のことが気になられたのかな。

「良い機会です。アイラ、ミセッティも付いてきて同席なさい。あなたもあながち無関係という話ではなさそうですし」

「分かりました、お母様。ミセッティも連れてお邪魔いたします」

わたしも付いていくのか・・・ゴブリンですよ?
何か怒られるとかじゃないですよね。全く心当たりが無いゴブ。

応接室には奥方様とカタリナさん、アイラお嬢様とわたしが入り、先方は女騎士2名と侍女さん2名にライアー子爵という顔ぶれになった。

「さて、この部屋は防音結界の魔道具で覆われています。用件をお伺いいたします。
ライアー子爵、いいえアナスタシア王妃」

「あらあら~、そんなにかしこまらなくても嫁ぐ前のアン叔母様とでも呼んでくれていいのよ~」

ぐはっ。重要人物だろうとは思っていたがまさかの王妃様ご来訪でしたか。
隣りのカタリナさんも目を閉じて待機したままだが動揺しているみたいだ。

「叔母様・・・こんなに緊急な訪問はやはり聖魔法関連ですか?何か重大な体調不良や呪いに見舞われたとか」

「ふふふ、相変わらずサイネリアちゃんは察しが良くて助かるわ。少し、いやかなり大変な問題なのよ。そして全て秘密裏に処置してちょうだい」

王妃様が真剣な目をして奥方様へ詰め寄られた。

「はっ、はい。もちろんここで行われることは口外いたしません。ライアー子爵として訪問があるといった時点で全て理解しております」

奥方様も大貴族としての誇りを胸に誓いを立てる。

「あなた方の忠誠に深く感謝するわ。それでは早く治療をお願い」

王妃様がお口をあ~んと開けて見せてきた。

「はい?」

奥方様とカタリナさんも何のことかよく分からないようだ。
女騎士さんと侍女さんたちは小さくため息をついている。

「ふえぇ~ん、良く見てちょうだい!虫歯が、虫歯がひどくなってきて昨日からズキズキ痛いのよ~。聖魔法で元通りに治してちょうだいぃ~」

子供かゴブ!王族なら専属の医者がいるだろ!

口には出せないので心の中で盛大にツッコんでおいた。
奥方様もカタリナさんもアイラお嬢様まで同じ死んだ表情になっているゴブ・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ? ――――それ、オレなんだわ……。 昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。 そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。 妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...