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第75話 コスタリア領都の日常4
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「すみません・・・専属の歯医者はいるのですが、王妃様が治療を拒否されまして」
こちらの世界の虫歯の治療は熟練の土魔法使いがアースドリルの魔法で患部を削り取り、穴の部分に土魔法で結晶化させてフタをするらしい。
地球の治療とほぼ同じだな。むしろ1日で完了するからこちらの方が進んでいる。
「いやー!あのキュイーンって音と削られている振動が耐えられないのよ~!」
「こうして逃げ回って2週間経っているのですが・・・そろそろ痛みが本格的にひどくなってきたようでして」
確かによく見ると左のアゴ付近が腫れて膨らんでおられますね・・・
「叔母様・・・昔はガラテアの舞姫と呼ばれて右腕1本折られても闘い続けてスタンピードを抑えた武勇伝があるぐらい勇猛でしたのに」
「元々1対1での技量は私たちより上のため、2人がかりでも追い込むので精いっぱいで本気で抵抗されると力が及ばず・・・国王様にもお叱りを受けておりまして」
女騎士さん2人が申し訳なさそうに謝ってくる。
「虫歯の治療されるぐらいなら腕1本折られたって抵抗するわ!。キュイーンっていうのよキュィィーンって」
虫歯の治療のために腕を折るとか意味が分からないです。
いい大人なのに本気で逃げ回っていたんだな。
まわりの騎士さんたちが巻き添えで怒られて不憫でならないゴブ。
「ゴブ~」(回復魔法で虫歯は治らないんだゴブ?)
「そうですね、熱が出る病気とか虫歯や水虫には回復魔法は逆効果になるというのは常識です。回復魔法は主に外傷や骨折に使われていますからね」
カタリナさんが教えてくれる。
なるほど、回復をかけると菌も含めて活性化するってところか。
免疫で負けている状況でかけるとさらに菌が増殖して悪化するとかだな。
もちろんわたしはその危険性も踏まえて浄化しながら回復魔法をかけていましたよ。
っていうか虫歯があるのも驚きだが水虫もこっちに存在しているのか・・・
あいつら健康体にも容赦なく伝染ってくるからな~、強すぎだろ。
まさか地球産で転移者が持ち込んだとかじゃないですよね?
「あとはもう神の奇跡に頼るしかないと思って聖教会にお願いしようとしたのにあの人にはダメだって怒られるし、ほとほと困っていたら最近サイネリアちゃんの領地で聖女が大活躍してるっていうじゃない?良かったわ~」
「こんなつまらないことで聖教会に貸し借りを作りたくなかったんでしょうね、王家としては・・・(コソコソ)」
「たまに知識の無い人が治療院に虫歯やハゲを治せとか乗り込んでくるらしいですがソレと同レベルと思われますからね~(コソコソ)」
「そうなんです。あの時ばかりは近衛隊も総出で阻止しました(コソコソ)」
「それで・・・ミセッティ。虫歯の治療は出来そうなの?」
「ゴブ」(無理ゴブ。歯医者さんがいるならそちらに頼むゴブ)
アイラお嬢様に尋ねられて即答した。
回復魔法が役に立たないなら無理でしょ。
予防として浄化で除菌するならともかく穴が空くまで進んでいるのは治せないゴブ。
「虫歯の治療は難しいようです。うっ・・・ごほん!え~と、・・・なので出来ることをなるだけ頑張ってみる、とのことです」
「ゴブ!?」(お嬢様!?そんなことは言っていないゴブ!)
ちらりと王妃様を見ると笑顔でまっすぐアイラ様を見つめておられる。
お嬢様の隣りにいた奥方様がアイラお嬢様の足を踏んでおられますね・・・
普段はまだ忖度出来ずに目上の方にも失言をしてしまうお嬢様もさすがに王妃様が相手では拒否出来ないか。
「ほんと~?。来たかいがあったわ~。女神様に感謝よね~」
「それではこちらの横になれる部屋にご案内いたします」
カタリナさんが王妃様を別室へ案内していった。
「ミセッティ、ごめんなさい。ウソを付いてしまいました・・・」
「ゴブ~」(どうするゴブ~)
まぁ、王妃様と面と向かって「出来ません、お帰りください」とは言えないよね。
「ゴブブ」(途中でこっそり歯医者さんと代わって治療しちゃえば)
「途中で歯医者さんに代わって治療しちゃえばいいだって」
「アイラちゃん・・・このコスタリア家を廃嫡させる気ですか・・・。こうなったらミセッティちゃんには何が何でも治してもらうしかないわね」
「ゴブブ」(いきなり家の存続の責任を取らされても困るゴブ)
「貴族とは優雅な繁栄の裏にいつでも没落の危険が潜んでいるものなのです」
上手くいけば天国、失敗すれば地獄の底までまっしぐらゴブ。
ゴブリンに命運を握らせる侯爵家とは一体・・・
「さすがにお忍びとはいえ王妃様一行となれば皆殺しにして無かったことにするのも難しいから上手くするのですよ」
何か奥方様が怖いこと言っているな。
「アイラ様、ミセッティ様。王妃様がお待ちです、お部屋にお越しください」
仕方ない、普段から世話になっているし頑張るしかないゴブ。
この貴族の暮らしを手放したくないし!
部屋に入ると王妃様が横になって治療を待たれていた。
「それではー、治療を始めさせていただきますー(ミセッティお願い)コソコソ」
「ゴ」(りょ)
回復魔法は逆効果だったよな。ってことはアレの出番ですね、分かっていますよ。
[神界]発動
久しぶりの女神工房の発動。この世界を創造した女神の奇跡を見るがいいゴブ。
スキャンすると1本ひどく穴になっているのと別に3,4本けっこう深い虫歯がありますね。まとめて元々の状態に戻しておこう。
はい、終わり。10秒で完了ゴブ。
「ゴブ」(終わったゴブ)
「え~と、虫歯の治療は終わりました、以上です」
あっさり終わってぽかんとしている皆の前で奥方様がアイラお嬢様の肩を叩いて首を横に振っている。
「アイラちゃん、お相手は王妃様よ?歯の治療だけじゃダメ・・・分かるでしょ?」
「だ、そうです。ミセッティもう少しお願い」
「ゴブ~」(はぁ~、数本ある白髪を染めるぐらいはしてやるかゴブ)
こちらの世界の虫歯の治療は熟練の土魔法使いがアースドリルの魔法で患部を削り取り、穴の部分に土魔法で結晶化させてフタをするらしい。
地球の治療とほぼ同じだな。むしろ1日で完了するからこちらの方が進んでいる。
「いやー!あのキュイーンって音と削られている振動が耐えられないのよ~!」
「こうして逃げ回って2週間経っているのですが・・・そろそろ痛みが本格的にひどくなってきたようでして」
確かによく見ると左のアゴ付近が腫れて膨らんでおられますね・・・
「叔母様・・・昔はガラテアの舞姫と呼ばれて右腕1本折られても闘い続けてスタンピードを抑えた武勇伝があるぐらい勇猛でしたのに」
「元々1対1での技量は私たちより上のため、2人がかりでも追い込むので精いっぱいで本気で抵抗されると力が及ばず・・・国王様にもお叱りを受けておりまして」
女騎士さん2人が申し訳なさそうに謝ってくる。
「虫歯の治療されるぐらいなら腕1本折られたって抵抗するわ!。キュイーンっていうのよキュィィーンって」
虫歯の治療のために腕を折るとか意味が分からないです。
いい大人なのに本気で逃げ回っていたんだな。
まわりの騎士さんたちが巻き添えで怒られて不憫でならないゴブ。
「ゴブ~」(回復魔法で虫歯は治らないんだゴブ?)
「そうですね、熱が出る病気とか虫歯や水虫には回復魔法は逆効果になるというのは常識です。回復魔法は主に外傷や骨折に使われていますからね」
カタリナさんが教えてくれる。
なるほど、回復をかけると菌も含めて活性化するってところか。
免疫で負けている状況でかけるとさらに菌が増殖して悪化するとかだな。
もちろんわたしはその危険性も踏まえて浄化しながら回復魔法をかけていましたよ。
っていうか虫歯があるのも驚きだが水虫もこっちに存在しているのか・・・
あいつら健康体にも容赦なく伝染ってくるからな~、強すぎだろ。
まさか地球産で転移者が持ち込んだとかじゃないですよね?
「あとはもう神の奇跡に頼るしかないと思って聖教会にお願いしようとしたのにあの人にはダメだって怒られるし、ほとほと困っていたら最近サイネリアちゃんの領地で聖女が大活躍してるっていうじゃない?良かったわ~」
「こんなつまらないことで聖教会に貸し借りを作りたくなかったんでしょうね、王家としては・・・(コソコソ)」
「たまに知識の無い人が治療院に虫歯やハゲを治せとか乗り込んでくるらしいですがソレと同レベルと思われますからね~(コソコソ)」
「そうなんです。あの時ばかりは近衛隊も総出で阻止しました(コソコソ)」
「それで・・・ミセッティ。虫歯の治療は出来そうなの?」
「ゴブ」(無理ゴブ。歯医者さんがいるならそちらに頼むゴブ)
アイラお嬢様に尋ねられて即答した。
回復魔法が役に立たないなら無理でしょ。
予防として浄化で除菌するならともかく穴が空くまで進んでいるのは治せないゴブ。
「虫歯の治療は難しいようです。うっ・・・ごほん!え~と、・・・なので出来ることをなるだけ頑張ってみる、とのことです」
「ゴブ!?」(お嬢様!?そんなことは言っていないゴブ!)
ちらりと王妃様を見ると笑顔でまっすぐアイラ様を見つめておられる。
お嬢様の隣りにいた奥方様がアイラお嬢様の足を踏んでおられますね・・・
普段はまだ忖度出来ずに目上の方にも失言をしてしまうお嬢様もさすがに王妃様が相手では拒否出来ないか。
「ほんと~?。来たかいがあったわ~。女神様に感謝よね~」
「それではこちらの横になれる部屋にご案内いたします」
カタリナさんが王妃様を別室へ案内していった。
「ミセッティ、ごめんなさい。ウソを付いてしまいました・・・」
「ゴブ~」(どうするゴブ~)
まぁ、王妃様と面と向かって「出来ません、お帰りください」とは言えないよね。
「ゴブブ」(途中でこっそり歯医者さんと代わって治療しちゃえば)
「途中で歯医者さんに代わって治療しちゃえばいいだって」
「アイラちゃん・・・このコスタリア家を廃嫡させる気ですか・・・。こうなったらミセッティちゃんには何が何でも治してもらうしかないわね」
「ゴブブ」(いきなり家の存続の責任を取らされても困るゴブ)
「貴族とは優雅な繁栄の裏にいつでも没落の危険が潜んでいるものなのです」
上手くいけば天国、失敗すれば地獄の底までまっしぐらゴブ。
ゴブリンに命運を握らせる侯爵家とは一体・・・
「さすがにお忍びとはいえ王妃様一行となれば皆殺しにして無かったことにするのも難しいから上手くするのですよ」
何か奥方様が怖いこと言っているな。
「アイラ様、ミセッティ様。王妃様がお待ちです、お部屋にお越しください」
仕方ない、普段から世話になっているし頑張るしかないゴブ。
この貴族の暮らしを手放したくないし!
部屋に入ると王妃様が横になって治療を待たれていた。
「それではー、治療を始めさせていただきますー(ミセッティお願い)コソコソ」
「ゴ」(りょ)
回復魔法は逆効果だったよな。ってことはアレの出番ですね、分かっていますよ。
[神界]発動
久しぶりの女神工房の発動。この世界を創造した女神の奇跡を見るがいいゴブ。
スキャンすると1本ひどく穴になっているのと別に3,4本けっこう深い虫歯がありますね。まとめて元々の状態に戻しておこう。
はい、終わり。10秒で完了ゴブ。
「ゴブ」(終わったゴブ)
「え~と、虫歯の治療は終わりました、以上です」
あっさり終わってぽかんとしている皆の前で奥方様がアイラお嬢様の肩を叩いて首を横に振っている。
「アイラちゃん、お相手は王妃様よ?歯の治療だけじゃダメ・・・分かるでしょ?」
「だ、そうです。ミセッティもう少しお願い」
「ゴブ~」(はぁ~、数本ある白髪を染めるぐらいはしてやるかゴブ)
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