悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん

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第77話 コスタリア領都の日常6

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完璧に元に戻したのにまだ戻っていないからやり直せという理不尽な要求はこちらの世界でもあるんだゴブな。
貴族、王族の支配する封建社会では権力の大きい方は何をやっても許されるのだゴブ
命がとられないだけマシと割り切って精いっぱいゴマすりするのが正解ですな。

[神界]

本日3回目の聖魔法レベル7[神界]発動。
魔力は多い方だと思うがけっこうしんどくなってきた。
頭の芯がズキズキしてきたゴブ。

「ふむふむ、イイ感じじゃない?かたちも張りも戻ったかしらね~」

王妃様は鏡の前で満足げだ。
顧客のニーズに完璧に応えるのがプロってもんだゴブ。
振り向くとアイラお嬢様も笑顔でうなずいておられる。

王妃付きの侍女さんたちや女騎士さんたちも一緒に喜んでくれている。

「アナスタシア様、良かったですね。中等部に入学する私の娘と同じくらい大きくなられておりますよ」

「いや~、これで王妃様を護衛する時だけ着用する胸を小さいように錯覚させる鎧を着なくてすみますよ~。お腹部分が分厚くなってて普通より重たいんですよね」

「あなた方騎士様は特注の鎧を着るだけですからいいじゃないですか。私たちは服ですからごまかすのが大変なんですよ。大きい子は2人がかりでわざわざ布を巻いて締め付けているんですよ」

「王妃様より大きいとすごく恐い顔で睨まれるんですよね」

「でも締め付ければ締め付けるほど何だか成長しちゃって、最近は息苦しくて仕方なかったんです~。やっと少し緩めることが出来そうです~」

「そのおかげで王様は胸が慎ましい女性が好みだとか胸が大きいと侍女になれないとか、あらぬ噂までたっていましたからね」

「でも本当に大きいと傍仕えから外されたりするかといつも心配していましたわ」

侍女さんたちも苦労してたんだな。
今は一つの大きな不安が解消され皆も安堵の表情だ。

「ゴブ~」(それは良かったゴブ~)

わたしが皆と喜びを分かち合っていたところ、ぽんっと肩を叩かれた。

「ゴブ?」(なんだゴブ?)

振り返ると笑顔のアナスタシア王妃様がいた。
よく見ると眉と口の端がピクピク震えておられる。
よっぽど嬉しかったんだな~。

「やり直し」

「ゴブ?」(はい?今なんと?)

「や・り・な・お・し、です!皆がもういらない心配をせずに済むようにね!この中の誰よりも美しく!大きくね!」

「ゴブー!」(さっきはあんなに満足気だったのにどうしたゴブー!)

「・・・ミセッティ。このままでは王妃様も侍女さんたちも可哀そうです。お母様やカタリナまでは無理でもせめて私ぐらいにしてあげて」

アイラお嬢様がそうおっしゃるなら仕方ないゴブ。
元のイメージを残すというポリシーに反するが魔改造しますか。
すでに何人か取り返しのつかないところまで改造しているし。

「くっ・・・、コスタリア家は育ちがよいですね。屈辱ですがここで怒っては施術に支障が出るかもしれません。王妃たる私はこの程度の挑発では威厳を崩しませんよ、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー、ふぅ・・・落ち着いた」

何やら王妃様が目を閉じてぶつぶつとつぶやいている。
何かの儀式か呪文なのかな?

「ゴブゴブ」(はいはい、それではささっと終わらせるゴブ)

[神界]をまた発動するのか・・・もう最後にしたいゴブ。

これ以上聖魔法を使いたくないし王妃様の機嫌も限界に近そうだからもうやり直しが無いようにしっかりと大きくしておきますか。

今度こそ完全に要望に応えられたはずゴブ。
慎ましくスレンダーで美しかったけど今度は胸だけがしっかり出てまるでアニメやパソコンの美少女系ゲームのようなエロボディに仕上がっている。

「ゴブ」(今度こそ終わりだゴブ)

「うふふふ、やれば出来るじゃない。以前よりも大きくなっただけで気分が良くなるものですね」

ふぅ~。王妃様はご満悦のようだ。コスタリア家が理不尽な目に合うことは避けられたようだゴブ。
危ない、危ない。全く・・・ゴブリンに運命を握らせてはいけないゴブよ。

「先に言っておきますけど、私個人の機嫌や好き嫌いで貴族家や侍女、護衛騎士たちも取り潰しや左遷なんてしたことはないですからね」

王妃様がジト目でこちらを見ながら言ってくる。

「おほほ、もちろん存じておりますわ~。叔母様は昔から器が大きく国母の素質があることで名を馳せておられましたから、心配していませんよ~」

「そうです、そうです。王妃様は心も体も少女のように純粋できれいな方だと聞いておりました~」

ぽんこつマリーめ・・・。それは半分悪口だと思うぞ。
上機嫌の王妃様はあまり聞いていないようだが。

何はともあれ一件落着ですね、結局わたしが疲れただけじゃないか。
ご褒美においしいお菓子とお茶をいっぱいもらうゴブ。

ほっとして歩き出すとアゴから脳天に突き抜ける電撃のような痛みが走った。

「ゴブッフ!?」

「どうしたのミセッティ?なんだか顔が真っ青よ?」

まさか・・・いや、そんなはずはないゴブ。

「ゴ、ゴブ~」(ははは、真っ青だなんてゴブリンは肌が緑なのは当たり前ゴブ)

ズキュン。
またまた奥歯から脳みそを直撃する激痛が走る。

「ミセッティ、あなたまさか虫歯なんじゃ・・・」

「ゴ、ゴブブ~」(ち、違うゴブ~、ただ奥歯に何かはさまっただけゴブ~)

「あら~、ゴブリンちゃんもこんなにアゴが腫れちゃって~。これはもう結構進んじゃっているわね~」

王妃様が他人事のようにこちらを見て言ってくる。

「はぁ、ゴブリンさんも王妃様と同じ虫歯でしたか・・・でも聖魔法であっという間に治せるからいいですね~」

ぽんこつ騎士が興味なさそうにつぶやいた。

「それが・・・聖魔法は魔物にはダメージになるらしく自分には使えないそうなのですよ」

「ということは・・・ゴブリンちゃんはいつもの歯をキュイィィーンって削る治療を受けなければいけないってことなのね」

ひぃぃ~。いやだゴブ~。
わたしはスキル[狂化]を発動し猛ダッシュで部屋から逃げ出した。

しかし扉に近づくまでもなく女騎士さんに抱えられてしまった。

「ゴブリンさん~。王妃様の治療ありがとうございました~。今度はゴブリンさんの治療をお手伝いします~」

何この人、金属鎧を着てるのにめちゃくちゃ素早いですが。
っていうか王妃様を痛み無く治療してあげたのにまさかの裏切りですか!?

「さてそれではミセッティが虫歯の処置をしている間にお茶でも煎れましょうか」

「王都で流行っているお菓子をお土産に持ってきたわ。今回は全員に振舞うわよ」

ぞろぞろとみんな部屋から出ていってしまった。

「それではミセッティ様は治療室に向かいますか」

女騎士さんがわたしの両脇を抱えたまま歩き出しカタリナさんが案内する。

「ゴブ~」(虫歯をうつすなんてひどいゴブ~)

「虫歯がうつる訳ないでしょ、毎日お母様といっしょに甘いものを食べてるから」

アイラお嬢様があきれてため息をついている。
怖いから一緒に来てほしいゴブ~。
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