悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん

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第133話 晩餐会2

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「ゴブッフ・・・」(もう満腹で飲み物も入らないゴブ)

「くぅ!、出遅れましたわ・・・それに何ですか最後まで残っていたコォヒィゼリィなるものは!薬のような、いえまるで毒のような苦さです、ミルクをかけてようやく一皿完食いたしましたわ」

始まった時には大量に用意されていた新開発料理は普段あまりこのような会では食さない方々にも珍しかったらしくあっという間に無くなってしまった
今デザートコーナーに残っているのはコーヒーゼリーだけになっている

「ゴブゴブ」(お子様には少し早かったゴブ、この苦みも慣れればクセになるゴブ)

「もうデザートはあきらめましたわ、お料理もほとんど残ってはいませんが!あら、この真っ赤できれいなプリンのような食べ物が残っておりますわ」

アイラお嬢様が小鉢に入っているマーボー豆腐を手に取って嬉しそうにしている
それってきっと忠実に再現されているなら激辛系のこだわりの逸品だぞ
さっき知らないおっさんが盛大に悶絶して吐き出していたのを見たし

「ぷぁ!?口の中が、のどまで熱い?くはっ、それに全身から汗が噴き出してきました、今まで色々な薬草料理をいただいてきましたがコレは別格の刺激ですわ」

本格四川麻婆豆腐ってことか・・・転移者の再現に向けた情熱が感じられるな

「ゴブ~」(見た目からヤバそうだったゴブ、早く水を飲むゴブ)

「ふぅ~確かに一口目はびっくりしましたがこれはこれで味わい深いというか食べ続ければ分かるおいしさがあります、気に入りましたわ」

アイラお嬢様、まさかの辛党でした
これでお土産に唐辛子(?)を仕入れて帰ることが確定しましたね
それともまだこっちの世界ではそんなに辛い香辛料が発見されていないのかな

「ゴブゴブ」(お嬢様が気に入られた料理なのでマリーも味見しておくゴブ)

わたしはこっそりマリーに小鉢を渡して食べてみるように促した
本来お付きの者が食べてはいけないのだろうがすでに誰も食べず余っているものだし

「本当にいいんですか~、うん、香りが良くて喉越しもつるっとおいしいです~・・・ってあれ?ノドが痛い!?それに口の中が全部麻痺してきて・・ぐふぅコレは猛毒ですぅぅ!早く、早く聖水で浄化しなければ死んでしまいますぅ」

マリーは口からよだれをたらして悶絶しながら水差しをとって持っていたボロ布に水を含ませてコップの中に絞り出した
水を含んだボロ布をギューっと絞るとコップに半分くらい絞り汁が溜まった
マリーはためらいもせずにコップに入った水を一気に飲み干す

「ぷはぁ、生き返りますぅ、これでもう毒は分解されました・・・ってまだ痛い!?そんな~聖水の浄化も効かないなんて邪神の食べ物です~あぶぶぶ」

そりゃ毒物じゃないから浄化なんて効かないだろうよ・・・
っていうか今のボロ布は少し前に聖魔法を付与した雑巾だよな
雑巾の絞り汁をコップ半分くらい飲んでいたぞ
そしてマリーの奴、いつも雑巾を持ち歩いているのか、メイドの鑑だな

料理台が片付けられ今度は楽団が入場してきた
こっちの世界でもピアノやバイオリンみたいな弦楽器が揃っているんだな
ここからは貴族様あるあるのダンスパーティが始まるみたいだ

「あら、今まで見たことのない楽器がたくさんありますね、あの楽器はどうやって音を出すのかしら?息を吹き込む口がありませんのに」

アイラお嬢様が首をかしげている
やっぱりたくさんの楽器は転移組が作った今までなかった楽器でしたか
お嬢様の口ぶりからするとこっちの世界では吹奏楽器と打楽器しか無かったようだ
少しまだ拙い感じもするがちゃんとオーケストラっぽく演奏している
こっちの世界でも譜面などあるのだろうか?まぁその辺はプロに任せるか

「ふーん、何だか盛り上がってんじゃん、でもクラシックじゃいまいち気分が上がんねぇよな~勇者の俺が来てるんだからもっとアゲアゲなハイテンポな曲じゃないとテンション上がんないぜ、剣も預けちまったし」

何か一人この場にふさわしくない奴が混ざっているな・・・
異世界転移してきて自分が勇者だと思い込んでいる奴が
女神様も言っていたよね?今回は文化の発展のために集めたって
勇者とかの職業を選ぶにはすさまじいポイントが必要だったはず、この手のバカがそんなにポイントをもらえる重要人物には全然見えませんが

「王様~俺が来たからにはもう大丈夫さ、魔王はこの勇者マサノリが討伐してくるから城でゆっくりしていればいいですよ、ちなみにお転婆第3王女様とかはどこにおられんですか?実は本人も知らずに王位継承1位だったりするとかいう」

あいつ・・・いきなり王様に話しかけてるぞ、その胆力はすごいな

「うむ?余の子供は王子1人だけであるぞ?魔王なんぞ500年前に少し世を脅かしたとかいう言い伝えは残っているが特には報告は聞いておらぬが・・・それに余は王妃としか子供なぞ作っておらぬぞ、女神に誓ってな」

王様を見る王妃様の目が一瞬冷ややかになったがすぐに通常に戻ったようです
あいつ、何てことを王様の前で発言してるんだ・・・妙なラノベの読みすぎだろ
そして国王様の無礼者に対する懐の深さで助かったな

「はわわ、申し訳ございませぬ~こやつは私の領の客分なのですが別の世界から来た勇者を名乗っておりましてまだ常識が無く失礼いたしました~!」

少し小太りの人が良さそうなおっさんが王様の前で汗びっしょりで謝っている

「こやつは腕は立つので屋敷に迎えいれたのですが、私の騎士団長をタンクだとか、少し魔法の才能がある我が娘に杖を持たせて外に連れ出したり、挙句の果ては町に派遣されている教会のシスターを無理やり洞窟に連れ込もうとしたりほとほと困っているところなのでございます、全ては不肖な私の監督不行き届きであります」

「勇者パーティには聖女と魔法使いが必要っしょ、ダンジョンに行ってレベルアップしなきゃ魔王に勝てないし」

「ええい!もう黙れ!パーティだのレベルアップだの訳が分からないことを言って、我が娘や教会のシスターを危険な場所に連れて行こうとするでないわ!」

わたしは自称勇者君のステータスを簡易鑑定で覗いてみた

~~~~~~~~~~~
名前 マサノリ
種族 ヒューマン
職業 魔法剣士
HP 30
MP 18
力  11
体力 12
素早さ11 
賢さ  6
運  10

剣術  レベル4
火魔法 レベル3
水魔法 レベル1
風魔法 レベル1
土魔法 レベル1
光魔法 レベル1

称号
女神の加護 (言語理解)
      (簡易鑑定)  
~~~~~~~~~
う~ん、強い・・・のか?勇者じゃなくて魔法剣士だし
魔法剣士っていう割には賢さが低くないか?
全ての魔法(闇魔法と聖魔法は無いな・・・)が使えそうだがレベルも低いし器用貧乏感がひしひしと伝わってくるぞ
これで全ての能力、スキルが高レベルだったら勇者と名乗っても良いかもしれないが
攻撃から回復までなんでも出来て初期は重宝するが最終決戦には決め手がないので不要になってメンバーから外されるってやつだな
キャラメイキングで失敗した典型的なパターンだゴブ

セレスティア様も魔王討伐なんて一言も言ってなかったしこの平和な世界に戦闘職で生きていこうなんてバカ丸出しだな~
人の話、特に偉い人の話はちゃんと聞いて自分なりに理解しないと損をしますよ?

「ミセッティ、辛いものを食べて少し汗をかきましたから涼しいバルコニーでも行って少し休憩しましょう」

「ゴブ~」(分かったゴブ~一緒に行くゴブ~)

アイラお嬢様も勇者君にはさほど興味がないようだ
聖女様を仲間に!などと言ってきたらゴブリンパンチ(狂戦士バージョン)をくらわせてやるところだったゴブ

演奏も一区切り付いて貴族たちに新しい楽器の説明を始めている
音楽に興味のある貴族は多いらしくそこそこの人だかりができている
さっきの演奏もまあまあだったがよく初めて触るレベルの楽器を演奏できていたと感心してしまうな、やはり音楽のプロはこっちの世界でもプロなのだろう
きっと今日のこの日のために少ない日数で血のにじむ練習をしてきたの違いない

わたしはスタスタとおもむろにピアノの前に行って鍵盤を叩いた
聞きなれた音に懐かしさがこみ上げる
きちんと調律もしてあるようですね
じつはわたしはそろばんだけでなくピアノも習っていたのだ

「ミセッティ?ここにあるのは貴重な楽器で遊び道具じゃありませんよ?」

「ゴッブ」(分かっているゴブ)

皆が注目するなかわたしはピアノのイスに座って息を整える
子供の時の演奏会は緊張したな~それで度胸がついたってこともあるけど
わたしは手始めに定番の『エリーゼのために』を演奏してみる
足が短くてペダルが踏めないから音に深みが出せないのが残念だゴブ

1曲弾き終えると会場から割れんばかりの拍手が起きた、気持ちいいゴブな~

「なんと・・・聖女様のゴブリン殿は音楽も嗜むのか・・・」
「それにこの流れるような曲調、心に染み渡りますな」

なかなかに高評価のようだゴブ
それではもう1曲ぐらい得意な曲でも披露しましょうかね
わたしは誰もが一度は弾くあの『ネコ踏んじゃった』を弾くことにした

軽快なリズムの曲で皆も喜んでくれているようだ
しかし!この曲の真骨頂はここからなんだゴブ!
わたしは先程の倍のスピードで『ネコ踏んじゃった』を演奏する

おお~っと歓声が上がる、ノッってきたゴブ!
そして次は4倍速で一気にたたみかける、高速演奏だゴブ

「ゴブ!」(そしてさらに倍!8倍速だゴブ!)

じゃん!!最後の音とともに皆の方を向いて両手を挙げて決めポーズをする
決まったゴブ・・・

し~ん・・・あれ?今度は拍手が無いゴブ
それどころか会場全体が静まりかえっているじゃないか

「すみません、すみません、うちのミセッティがすみません」

アイラお嬢様がなぜか皆さんに謝りながらわたしを抱きかかえて逃げるようにバルコニーに出て行こうとしておられます

またなんかやっちゃいました?
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