悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん

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第134話 晩餐会3

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わたしとお嬢様はバルコニーに出てきている

「もう、ミセッティったら急に激しく演奏し始めるからみんなびっくりしていましたわ、何か始める時は一言いってからにしてくださいといつも言っているでしょう」

「ゴブ」(そういえばそんな話もあったゴブ、悪かったゴブ)

「あはは、この国の貴族はゴブリンと話が出来るんだね」

2人だと思っていたが隅の目立たないところに先客がいたようだ
お嬢様より少し背が高いから年上なのだろうか?
それでもまだ子供っぽさとやんちゃな感じが残っている
肌の色が褐色なのとアラビアン風の服装からこの国の貴族ではなさそうゴブ

「挨拶が遅れ失礼しております、私はアイラ・フォン・コスタリアと申します」

「こちらこそ挨拶より先に声をかけて失礼でした、僕は西方の隣国から来たイブラヒム・エイン・ザール・アマルダンと申します」

おおっ名前もそれっぽい、それに少し前に授業で習った西方の国アマルダンが名前に入っているということは

「殿下はアマルダン首長国の王族の方でしたか、配慮が足りず申し訳ありません」

アイラお嬢様が頭を下げて一礼をする、わたしも合わせてお辞儀をした

「ははは、驚かせてしまったかな、でも僕はまだ成人していないし今回の訪問も父上のおまけだから気にしなくていいよ」

なかなか気さくな好青年だゴブ
成人前という幼さを残しつつも王子というだけあって気品が漂っておられますな

「この国の料理や音楽は素晴らしいですね、それに女性たちも皆さん若々しくて美しい、豊かな食事に高い文化がうらやましいよ、うちの国はほとんどは砂漠だからね」

「お褒めいただきありがとうございます、このような多彩な食事が出てきたのもじつは最近なのですわ、それに殿下の国は魔石や宝石、貴金属の産出が豊富な資源豊かな国だと聞いておりますわ」

「ありがとう、逆に言えばそれだけなんだけどね~、セントラル王国とは食料の関係もあって切っても切れない大切な隣国だと父上もおっしゃっているしね、でも今回のように半分お忍びで遊びにきたのは父上のわがままなんだよ、なんでもこの国に女神様の化身が現れたとか聖女がいるとかの噂を聴きつけてね」

「女神様の化身ですか・・・それはまた仰々しいですね」

聖女見習いならここにもおられますけどね

「父上の珍しいもの好きにも困ったものだよ、僕の婚約者を探してくるっていう無理やりな理由をつけてなんとか母上を説得して国を飛び出してきたのさ」

国王のわがままと大義名分のために成人前の王子も付き合わされたってことですね

「それでもあなたのような美しい女性と知り合えただけでもこの国にわざわざ来たかいはあったかな?先程の聖魔法も素晴らしかったし、もしかして最近現れたという聖女様はあなたのことだったりしませんか」

殿下はアイラお嬢様の方をまっすぐに見て微笑みかけている
深い碧色の目が宝石のように美しい
アイラお嬢様も王子にまっすぐに見つめられて嬉しそうだ
これは・・・ひょっとして恋の予感ですか?
イブラヒム殿下!うちのお嬢様は容姿端麗、頭脳明晰の優良物件ですぞ
それに今なら聖魔法をちょっぴり使えるゴブリンも付いてきますし
砂漠の国での王族暮らしもきっと悪くないゴブ!

「あ、あの私もあなたのような・・・」

アイラお嬢様がはにかみながら何かを言おうとした時、中の会場からおおきなどよめきが起こった
見ると先程ネックレスで話をしていたダンドール夫人が青年貴族と向き合って激しく言い合いをしている
わたしたちも気になるので近くまで行って話を聞くことにした

「つまり、どうしても私の娘との婚約は破談にされるということですか!これはベルウッド家とダンドール両家で正式に発表した婚約ですよ、嫡男であってもあなたの一存だけでは決定できないと思いますが!」

「あ~うるさいババァだな、昔は家同士で決めて子供は従うってのがしきたりだったらしいが今は当事者の意思が優先されるって変わっただろ?エレノアとの婚約は破棄させてもらうぜ、それともその理由をこの場で大きな声で聞きたいのか?俺は別に構わないぜ~恥をかくのはそっちだからな?噂は本当だったんだ~ってな!」

どうやら青年はエレノア様の婚約者らしい
恰好はきちんとした身なりで上品だが言動は下品なクソ野郎だな
こんな奴が婚約者だったらこっちから断りを入れたくなるゴブ
それに・・・奴をみると背中からケツの辺りがぞわぞわして気持ち悪い
弱小魔物の本能が危険信号を発している・・・奴は人間じゃないぞ!

「ぐっ・・・それではそちらの意思は婚約を破棄したいということでよろしいですね?あとは我が娘エレノアの気持ちを確認して正式な手続きに入ります、これだけ大勢の貴族家の前で宣言したのです、もう後戻りは出来ませんよ?」

ダンドール夫人が青年に詰め寄る、心なしか口元が笑っているように見えるな

「あ~あ~はいはい、さっきから何度もしつこいっての、俺の気持ちは変わらないぜ、ベルウッド家に中古品はいらないって言ってるんだよ、あんな男みたいな女じゃ
俺だったら金を積まれて依頼されても抱く気は起きねぇけどな!ぎゃははは」

こいつ・・・今のは自白だな、やっぱり金を払ってエレノア様を襲わせたってことか
自分の都合のために一人の女性の人生を滅茶苦茶にしても平気なクズめ

「分かりました・・・エレノア出てきなさい、聞いていましたね?ベルウッド卿はあなたとの婚約を破棄したいそうです、あなたの意思はどうですか」

ダンドール夫人が呼びかけると後ろの扉が開いてエレノア様が入ってこられた
今日のドレスはまた気合が入って花嫁さんのようだゴブ
そしてそのドレスにも負けない神々しいばかりに美しく気品があるエレノア様がゆっくりと顔をあげて微笑みながら発言した

「ええ、お母様聞いておりました、真に残念ではありますがベルウッド様よりの婚約破棄の意思を私エレノア・ダンドールは慎んでお受けいたします」

会場からはエレノア様の女神のような美しさと婚約破棄が成立した驚きでざわついた

「なっ!お前は本当にエレノアなのか?バカな!姿形が全然違うぞ、こんなに美しいとは別人に違いない!こんなに美人なら俺は無視したり襲わせたりしない!」

さっきまで態度が悪くふんぞり返っていた青年が動揺している
自分のマズい発言に気付いていないな
そしてエレノア様の後ろから王妃様が数名の文官を連れて登場した
タイミングが完璧ですね、これはもう完全に筋書き通りの展開だな

「婚約者を無視をしていた?襲わせた?今の発言は問題がありそうですね、まぁひとまずはいいでしょう、貴族院からエレノア嬢の純潔証明を発行したことを報告します、正式な日付は一昨日になりますけどね、もちろんエレノア・ダンドール本人である魔力紋証明も付帯してあるということをここに宣言いたします」

おお~っと会場がまたひと際大きくざわついた

「それではダンドール家には何も落ち度など無いではないか・・・」
「ベルウッドの小倅も思い込みで婚約破棄するとは愚かじゃ、あんなに美しいのに」

どうやら一連の事件はダンドール夫人とエレノア様の完全勝利で終わるようだ
辺境伯といっても王妃様が出てこられ大勢の貴族の目の前で一部始終を見られていたならもうどうしようもないだろうな

「わーはっはっは、やはりこの国はおもしろい!珍しい料理に音楽、若く美しい婦人たち、それにこのような女神の化身のような美しい女性を婚約破棄するなど信じられん!良い土産話が出来て来たかいがあったものじゃな、そう思わんかイブラヒム」

王様の隣りで一緒に杯を交わしていた小太りのおっさんが大声で笑いだした
少し肌色が褐色なのといい、服装がアラビアン風なのでさっきの若様の父上、つまり隣りの国の王様ってところですか

「美しい・・・」

アイラお嬢様の隣りに立っているイブラヒム様はエレノア様から目が離せないようだ
そして父王と国王陛下の前に進み出て膝をついた

「父上、今回の訪問は僕の伴侶探しもかねているとおっしゃっておりましたね!僕は今、心に決めました!女神のように美しい彼女こそ我が伴侶にふさわしい、国母となられるお方です、セントラル陛下!どうか僕のわがままを許可していただきたい!」

おおお~っと会場からまた割れんばかりの歓声があがる
婚約破棄されて絶望(?)に沈んだ美しき令嬢が隣国の王子にプロポーズされる
こんな素人が考えたような小説みたいなことが現実に起きるとは

「あなたの美しさの前ではどんな宝石でも道端の小石にすぎません、またどんなに着飾った令嬢でもあなたの隣りでは畑の案山子にしか見えないでしょう、僕の生涯をかけてあなたを幸せにいたします、どうか我が国に、僕の隣りに来てくれませんか」

そう言ってエレノア様の前に進み手を差し出された
エレノア様は母であるダンドール夫人と王妃様が頷いているのを確認されるとゆっくりと進みイブラヒム殿下の差し出された手をとる

会場は今日一番の拍手と歓声に包まれる

「セントラル王国万歳、アマルダン首長国万歳!」

事情を知っているわたしも少し感動して涙が出そうだゴブ
良かったゴブ~美しさは全てを解決するゴブ

「どんなに着飾っても畑の案山子ですか・・・ふふふ」

アイラお嬢様がまた何かぶつぶつ言って目が細くなっているゴブ
こんなにめでたい時にノリが悪いゴブ~
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