悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん

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第135話 晩餐会4

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「馬鹿な、馬鹿な、そんな馬鹿なぁ!認めない!エレノアは僕の婚約者だぞ!」

ベルウッド卿と呼ばれた若者が座ってイスから立ち上がり大声で叫んでいる
どこの世界にも空気が読めないバカっているもんだよな
このタイミングで婚約破棄した相手とよりを戻そうなんて不可能だとゴブリンのわたしでも分かりますよ
まわりの貴族たちも白けてしまってむしろ可哀そうな子供を見るような目で見ている
ダンドール夫人と王妃様は用意してきた「ざまぁ」が成功して満足気だ
美しい娘を見せつけて悔しがらせるだけのつもりがまさか隣国の王子との婚約にまで話が飛躍するとは思ってなかっただろうが・・・

「ベルウッド様、これはあなたから破棄された婚約ですよ?公式の場で3人以上の貴族が同意すれば正式に認められますし、今回はここに大勢の貴族家、さらには王妃様も認められていては撤回は出来ませんわ、それに・・・エレノアはたった今アマルダン首長国へ輿入れが決まったのです、余計な横やりは控えていただきたく存じます」

ダンドール夫人はここぞとばかりに正論で追い討ちする、よっぽど悔しかったんだな

「うるさい、うるさーい!婚約を破棄する話し合いもついていないうちに新しい婚約に乗り換えるだとぉ、この尻軽女め!す、少しくらいきれいになったからって調子に乗るなよぉぉ!この下等生物の分際でぇぇ!」

おいおい、悔しさのあまり自分が人間じゃないってカミングアウトしていますよ
それにブチ切れて目が赤く変色してきているし・・・これはダメな奴だ
こんな王城で正体がバレたら即討伐ですね、バカはバカのまま狩られるがいいゴブ
あとは近衛師団とか宮殿騎士団とか知らんが国家最高戦力に任せてわたしは関係無いのでお嬢様の後ろでのんびり見学しておこうゴブ

「そこまでじゃな・・・血気盛んなのはよいことじゃが、今回はどう見てもお前が不利じゃ、自分の不手際を反省してこれ以上ワシに恥をかかすな・・・」

いつの間にかベルウッド卿と呼ばれた若者の少し奥のイスに白髪まじりのナイスミドルなおじ様が座ってワインを飲んでいる
血色の悪い顔色、少し尖った耳、妖しく光る金色の眼・・・そしてこの威圧感
どうみても人間じゃない・・・っていうか見たまま上位種ヴァンパイアだゴブ

「しかし!・・・大じい様、こいつらは人間のクセにこの俺を騙して婚約破棄させたうえにこんなに大勢の前でベルウッド家に恥をかかせたんですよ!これを許せば!」

「黙れ・・・恥をかく原因を作ったのはお前じゃ、この場でねじり切られたく無ければもうその軽い口を塞いでおけ」

まわりにいた貴族たちも圧倒的な存在感に気圧されて動けないようだ
このじいさんはヤバい!わたしは背中のぞわぞわを越えてもうお腹が痛くなってきた
ヘタをすればこの国の貴族が全滅してしまうのでは?なんとか逃げなければ

「うぉぉぉ!この程度のプレッシャーには負けないぞぉ!僕は勇者なんだ!」

静寂に包まれた会場で勇者君の雄たけびが響いた
ナイスだ!名前を忘れてしまったけど自称勇者君、これでみんな動けるようになった
勇者君は近くに控えていた近衛兵の剣を素早く拝借しそのままベルウッド家の若造君に切りかかる

「勇者奥義!フレイムストラッッッシュ!!」

「なっ!?貴様ここをどこだと?ぐはぁぁ!」

勇者君の剣が轟音とともにクリーンヒットしベルウッド家の若造君が吹っ飛んだ
勇者奥義とか言っていたけど切りながら火魔法を発生させただけゴブな・・・
音と光は激しかったが実質ただの斬撃とファイアーボールを別々にぶつけただけだ
それなりに器用なことをするもんだ、勇者と呼ぶレベルかは知らんけど

「ぐぅぅ、この奥義は自分にも技の余波をくらう諸刃の刃・・・僕はしばらく動けない・・・あとは頼みます、聖女様」

勇者君はそう言うとがくりと膝をついた
って、おいぃぃ!?至近距離でファイアーボールの爆発を自分もくらってんじゃん
器用な奴だなと思ったが前言撤回、こいつはやっぱり出来ない奴だった
そして大ボスを残したままキラーパスをアイラお嬢様に投げてきやがったな
わたしは恐る恐るちらりとベルウッド家のおじい様を見ると獰猛な笑みを浮かべてこちらを見ていらっしゃいます

「ほほぅ、勇者に聖女か・・・懐かしいではないか、今生の勇者がどれほどのものか確かめてみるのも一興じゃ、わざわざ出向いて来たかいがあったということか」

どひぃぃぃ!?完全にロックオンされていますよ、アイラお嬢様!
ここは関係無い野良ゴブリンは早々に退散させていただきます!!
ミセッティは逃げ出した!・・・しかし回り込まれてしまった!(マリーに)
マリーの奴がわたしを抱っこしてアイラお嬢様の隣りに立つ

「こ、ここまできたらもう逃げられません、お嬢様、ミセッティ様!勇者様と一緒に戦いましょう!私も聖水を作ってサポートいたします!」

ぽんこつマリーめ、こんな時だけやる気になるんじゃない!そしてわたしを下ろせ

「お嬢様には指一本触れさせません、私が肉の盾となりお守りいたします!」

カタリナさんもアイラお嬢様の前に進み出て迎えうつ気まんまんだゴブ
ふぅ・・・もうこうなったら仕方がないゴブな
カタリナさんがわたしを見てこくりとうなずく

「神秘のビスチェ、偽装結界を解除!防御結界へ全魔力を移行します」

カタリナさんがモードチェンジを宣言するとカタリナさんが淡く輝き、これまでの初老の姿から若々しく20代前半となったカタリナさんが立っていた
全身が防御結界に覆われていて淡く金色に輝いたままになっている

「ゴブ!」(神秘のビスチェの戦闘モードだゴブ~)

実はカタリナさんは結構以前に若返っていたのだが周りにバレると厄介なのでわたしが特別に作った派手な下着に偽装結界の効果を付与していたのだ
そしてピンチの時には強力な防御結界モードに切り替えられるようにしておいたゴブ
通称『神秘のビスチェ』某ゲームでも実用と趣味を兼ねたロマン装備だゴブ~

「ミセッティ・・・あなたはまたそんなことを無断でやっていましたのね」

アイラお嬢様があきれた顔でこっちを見てくるが今は緊急事態なので無視だゴブ

「ふはは、おもしろい!強力な聖魔法を感じるぞ、さすがは聖女といったところか」

カタリナさんが素早い動きでベルウッド伯に肉薄し打撃を加える

「ぐぉぉ、やるではないか、なかなかのスピードとパワー、だが我が闇の衣は貫通できぬまい、そら!ブラッディウェーブ!!」

ベルウッド伯の足元から赤黒いトゲが波のようにカタリナさんを襲う
ガガガガッと鈍い音が響きカタリナさんが正面から受け止める
着ていたメイド服やカチューシャがズタボロになってしまったがカタリナさんのお肌とビスチェは無傷のようだ、ふぅ、少しあせったゴブ
戦闘モードに魔力を全振りした神秘のビスチェは物理防御だけでなく魔法防御、毒物、呪い無効そして身体強化まで入る優れものなのだ

「防御は高いようだがそれだけでは儂は倒せぬぞ」

そんなことは百も承知でこちらは挑んでいるゴブ
ライアンの奴、遅いゴブ!会場にいたのは確認しているから早く剣を持って来るゴブ
しょうがないゴブ、こっちはこっちでやれることをやるだけゴブ

「ゴブ!」(マリー!準備は出来たゴブ?!)

わたしはマリーの方を見て準備が出来たか確認する

「準備出来ました~、くっふっふ、マリーの雑巾しぼり汁、特濃です~」

「ゴブー!!」(おらぁ、局所聖結界だゴブ、これで動けないゴブ!)

わたしは小さな結界をベルウッド伯の両手両足に展開し体を固定してやった

「うぬぅ!?結界か?これはまた器用なマネを・・・」

「ええ~ぃ、くらうです~マリーの雑巾一番しぼり特濃聖水ですぅ~」

そう言ってマリーは花瓶に目一杯ためた水をベルウッド伯にぶちまけた

「ぐぉぉぉ!これは・・・強力な聖水か?ぐはっこの儂にこれほどのダメージを」

ベルウッド伯が顔を抑えながら崩れ落ちる

「ゴブ!」(やったゴブ!バーカバーカ、強いからって油断しているからゴブ~)

わたしは崩れ落ちたベルウッド伯の頭をげしげしと蹴りまくってやった
これでもう安心だゴブ~悪は滅びたゴブ~
後ろを振り向くと頭を抱えた王様とゲラゲラ笑う王妃様、白目をむいて倒れそうなうちの奥方様と旦那様、微妙な顔つきの貴族たちがいた

「ゴブ?」(みんなどうしたゴブ?貴族に化けた魔族をやっつけたゴブ~)

「ぶひゃひゃひゃ!やっぱミセッティたちは最高っス、師匠が膝をついて崩れ落ちるところなんて初めて見たっスよ!あ~マジで最高っス」

見るとライアンの奴が腹を抱えて笑っている、お前の参戦が遅かったからこっちは苦労したってのに何がおかしいんだゴブ

王妃様まで笑い転げていたが落ち着いてきたようで真面目な顔で話し出した

「こほん、ベルウッド辺境伯がエルダーヴァンパイアなのは上流貴族では誰でも知っている常識ですよ?というよりベルウッド様は勇者パーティの一員でこの国を興した建国の英雄その人、ご本人なのです、成人したらそれとなく教えることになっているのですけどね・・・アイラちゃん達は成人してなかったり上流貴族じゃないから知らなかったのね?雑巾のしぼり汁を建国の英雄に・・・ぷっふふぅー、もうダメ~」

わたしはげしげしと蹴り続けていた足をそっとしまってアイラお嬢様の脇まで戻った

し~ん・・・会場がまた静寂に包まれてしまった

「「ど~もすみませんでした~!!」」

私たち4人(3人と1匹)はベルウッド辺境伯の前で深々と土下座をした
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