悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん

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第145話 破滅の足音6

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わたしたちはそそくさとコスタリア領の領邸に戻ってきた

「ゴブ~」(ふぃ~死ぬかと思ったゴブ~)

「さすがは初代英雄王様の結界装置ですね、あれだけの広範囲を囲う結界なんて人で発動させるなら一体何人の術者が必要になるか想像できませんわ」

「私たちの領都にも設置してほしかったわ~まぁ500年前はこの辺りは延々と街道が続いている中の小さな宿場町の一つだったでしょうけど」

「いえ、奥方様、ここの聖水が溢れる街というのもかなり特殊だと思いますよ?来るまでに様々な情報が寄せられていましたが他の領内では各所で瘴気が噴き出し畑や井戸の汚染だけでなく街の中まで汚染が進んでいるとか・・・私の実家も苦しんでいるようでした」

カタリナさんが重苦しい雰囲気で話している
コスタリア領の聖水風呂から毎日各地へと聖水が運ばれているらしいがさすがに全国の畑や街を浄化するのは難しいでしょうね
領邸の特濃聖水も主要都市のために出荷したようだけど気休めにしかならないそうだ

「ゴブ」(わたしは少しくらい瘴気がある方が快適なんだけど~)

「もう、ミセッティったら魔物みたいなこと言って!大人にも有害な瘴気は体力のない子供達や病気を患って弱っている人には本当に毒なんですよ!」

アイラお嬢様に怒られたゴブ
わたしが魔物だって忘れているゴブな、こんなに可愛らしいから仕方ないけど

「こんなに瘴気が溢れてしまっては世界樹も元気が無くなりますよね・・・」

誰かがぽつりとつぶやいた

「ゴブ!」(そうだ!世界樹だゴブ、オタさんが何か言いたそうにしていたゴブ)

王都に急に出掛けてしまったけどその前にオタさんと世界樹ネットワークで話をしていたんだったゴブ
何か異常が発生していて困っているとかなんとか、きっとこの事だったんだな

わたしたちは急いで馬小屋の裏の世界樹の若木の生えているところまできた
なんだか前よりもしなびてしまってせっかく生えた小さな葉っぱも茶色くなっている

「ゴブ~」(あちゃ~、1週間水をあげてないだけで枯れそうゴブ~)

「水・・・だけじゃないと思われますわ、でも一応うちの浴場から聖水を汲んであげてみましょうか?」

「ゴブ」(ただの水でも大丈夫ゴブ、この場で聖水に変えてあげてみるゴブ)

「そうですね、我が家には生きる聖水発生装置があったですものね」

アイラお嬢様がからかってくる、自分は聖女認定されているくせに

「ゴブッフ」(本当は結界も作れるけど自分中心になるからやらないゴブ!)

全く聖魔法と魔物の相性が悪すぎて困ったもんだゴブ
これでダメージが無ければ史上初のゴブリン聖女として歴史に名を刻んだのにな~
教会にバレたら神輿の中で一生軟禁状態、飼い殺しの未来もありそうだけど

そうこうしていると世界樹が少し元気になった気がしてきた
やっぱり神樹というだけあって聖水や聖魔法で効果があるようだ

「おや?またコスタリアの反応があるし、お~いミセッティなのか~い?こっちはオタだよ~聞こえてる~もしもーし」

「ゴブゴブ」(もしもし~、聞こえてるゴブ~久しぶりゴブ~)

電話のようなものとはいえ友人と久しぶりに話すのはいいもんだゴブ~

「・・・この前は話かけてる途中でぶった切って中断したんだけど?」

おっと、そうだったかな~ゴブリンだからよく覚えてないんだよな~
まぁ電話をぶっちしただけで私たちの厚い友情にヒビが入ることはないゴブ

「まぁ、いいけどね・・・それよりも今この大陸中で瘴気が溢れ出しているんだよ!観測者として各地の管理者へと情報伝達したいんだけど世界樹が一番始めに影響受けてしまって連絡もままならない緊急事態だったのさ、精霊や小竜を飛ばして最低限の状況は伝えてみたけどみんな動いてくれているかな~」

「もしかして貴方様は[災害の警告者]オタ賢者ですか?何度も大規模災害やスタンピードを予見して神託をくださるという伝説の」

なんだアイラお嬢様も知っていたんだオタさんは世界を監視している管理者なのだ
実際はたくさんの画面で株価の動きを見ている株のデイトレーダーみたいだったけど

「ミセッティ、お願いがあるんだけど、そこの若木からでいいから世界樹に浄化魔法を掛けてくれないかな、せめて世界樹ネットワークだけでも復活させたいんだよ」

「ミセッティ、賢者様からのお願いよ、世界樹を回復させてあげて」

「ゴブ~」(分かったゴブ~終わったらカップラーメン送るゴブ~)

わたしはす~は~と深呼吸して世界樹の若木に両手を添える

「ゴブ!」(全開ゴブ!浄化ゴブ!!)

まばゆい光の柱が天高く打ちあがる
上手く収束させないとこっちにまで浄化の光でヤケドしますからなぁ
フルパワーの魔力開放をコントロールするのは高等技術ですよ?
野球と同じで最速の球を狙った位置にきっちりと投げるようなもんだゴブ

「すごい・・・これがミセッティちゃんの全力ですか、王宮の魔導士以上ですね」

奥方様もカタリナさんも驚いている
ふふふ、MPにポイント全振りのロマンステータスは伊達じゃないんですよ
それ以外はゴミステータスですが・・・
せめて知力にあと3ポイント振っておけばよかったゴブ

世界樹の若木がキラキラと輝きそしてわたしと同じくらいの高さだったのが奥方様ぐらいの大人の背格好の高さまで成長した
これだともうトイレの時に掴まれるいい位置に枝が無くなってしまったゴブ・・・
葉っぱの生えている場所も高くなって拭くためにはわざわざ登らないといけないな

「ミセッティ・・・また何かしょうもないことを考えていたでしょう」

「ゴ、ゴブ!」(いえ、大きくなって立派になったな~と思っただけゴブ!)

こんな末端の若木から世界樹に栄養なんて本当にまわるのかな

「おおっ!いいね~世界樹の機能が回復したよ、すごいね~聖属性の精霊たちは数も少ないし気位が高いからなかなか労働に応じてくれなくてね~」

「ゴブゴブ」(まったく聖属性精霊とか働く気が無いなんてとんでもない奴らゴブ)

大陸中が苦しんでいる時に自分だけ良ければいいとかあり得ないゴブ
少しはわたしを見習えってことだゴブ!

「聖属性精霊ですか確かにあまり聞きませんわね、ゴブリンに説教されたら怒り狂いそうですけれども・・・」

「ついさっきまで少しくらい瘴気があっても快適だから自分には関係ないって言っていたのに、急に偉そうですね・・・」

「ゴブ~」(ふ~やれやれ、これにて終了、一件落着ゴブ~)

仕事も終わったし今日はあとお菓子を食べてごろごろして終わりですかね
世界樹も元気になったしネットワーク?も復活したようだしもう安心だゴブ
みんながほっと胸をなでおろして気を緩ませているとオタさんが重い声でつぶやく

「いや、これは・・・思っていたよりもかなり深刻だよ、地形的に一部に集中しているのだろうとは思っていたけど・・・本当に大陸中が汚染され始めている・・・特に難関ダンジョンと火口付近からの噴出がひどい、これは受け持ちの管理者とも連絡がとれない訳だ・・・」

「ゴブ・・・」(それってつまり・・・)

「大陸中が一斉にスタンピードの発生、もしくは魔界化するってことだ、つまりは人類の滅亡クラスの災害だね!やばすぎるよこれは!」

「えええっ!そんなこと急に言われましても、わたしたちにも準備が必要です!王妃様はここまでの状況だと理解されているのでしょうか!?」

「今、この大陸中の管理者と王家と神官たちに情報共有の神託を送ったけど・・・個人レベルはもちろん国家レベル・・・連合国レベルで対応しても対応が間に合うかどうか・・・くそっ、今回の召喚は文化人だけだっておっしゃっていたからな~」

「ゴブゴブ」(それよ、それ!女神様に助けを求めるゴブ~)

「セレスティア様は恐らくもうご存じだよ、女神様は条件を満たさない限り現世に直接介入できないから・・・そのために僕ら管理者を置いているんだけど、今回は後手に回りすぎたかも・・・すまない、やれるだけはやってみる!」

「ゴブ!」(もう人類滅亡クラスの危機なんじゃないかゴブ!)

「神界の規定はよく知らないけど介入されないってことはまだ条件を満たしていないってことだね、たぶんだけどこの瘴気噴出はこの大陸だけで他の大陸には出ていないから・・・この星全体の人類絶滅の危機としては認定されていないのかも」

「ゴブー!」(全く~どいつもこいつもお役所仕事で他人事ゴブ~!)
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