悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん

文字の大きさ
34 / 155

第34話 辺境伯家4

しおりを挟む
「ゴブ」(きりがないゴブ)

「辺境伯様はスタミナが無限なのでしょうか?」

回復魔法を全員にかけてもう2巡はしたゴブ。

「おらぁおらぁ!まとめてかかって来い!てめぇら!ペースが落ちてるぞぉ!」

辺境伯様は上機嫌でまだまだ余裕がありそうだ。
スマホゲームとかである、全員で戦闘に挑むイベントボス並みにしぶといな。
少しイライラしてきたゴブ。

イライラしているのには少し理由もあるゴブ。
キズだらけで運ばれてきた重傷者を見てわたしはピンときたゴブ。
忘れていない[吸収]スキル。
瀕死の状況で取り込むとスキルを吸収できるのだゴブ。

つまり、運ばれてきた瀕死の奴らから回復させるついでにスキルをいただくゴブ。
くくく、思う存分暴れてきてわたしの養分となりに帰ってくるが良いゴブ。

と、期待に満ち溢れていた頃がありました。

意識がもうろうとして口がパクパクしている重傷者の血を舐めても[吸収]出来ない
〈瀕死〉の定義はかなり厳格なようだゴブ。
本当に死ぬ1、2分前とかでないと発動しないのか?
お嬢様・・・危なかったゴブな。

そして今さらながらスライムに転生しなかったのが悔やまれるゴブ。
スライムだったら全身ごと取り込んで息絶えるまでゆっくり待つだけでスキル獲得のチャンスが毎回あったんだゴブな・・・。

それでも一応、運ばれてくる重傷者を期待しながら簡易鑑定してみる。
かなりジっと見ないと所持スキルまでは見れないゴブ。

[大声]
[料理]
[彫刻]
[縄術]

こいつらみんな微妙なスキルなんだゴブ・・・
もっと分かりやすい[剣術]とか[火魔法]とか持っているヤツいないのかよ!
そして何気に戦闘で少し役に立ってそうでムカつくゴブ。

「何をブツブツ言っているのです?ケガ人がまだまだ並んでいるのですよ。少し疲れてきましたか?私は役立たずですね」

わたしは椅子に座ったお嬢様に抱っこされながら回復魔法をかけ続けているのだ。
そして時々わたしの顔色を見て回復ポーションを飲ましてくれる。
ええ子や・・・。

「侯爵様のご息女は聖女様の素質をお持ちであったのか」
「我らを癒す時のあの申し訳なさそうな憂いを含んだ慈愛の表情よ」
「杖の替わりに従魔が必要という噂は本当だったようだ」

ムカ。やっぱり今回もお嬢様の手柄になっているゴブ。

「ミセッティ。ごめんなさいね。辛かったら一旦やめてもいいのよ?」

「ゴブ」(いや。ムカついたから本気出すゴブ)

良さそうなスキルが無いと分かった以上、さっさと終わらせて帰るゴブ。

ちなみに辺境伯様は[狂戦士化]だったゴブ。いらねぇ~。
狂戦士化したゴブリンなんて即、討伐対象だゴブ。

それではわたしの本気を見せてやるゴブ!
[回復]ではなく[復活]を順番にかけてやるゴブ。
これなら体力だけでなく、失った血液もスタミナも全回復だゴブ。

おらおら、完全回復してやったんだからさっさと辺境伯をぶっ倒してくるゴブ!

おっとイケない。いまはかわいい乙女(ゴブリン♀)に転生したんだったゴブ。
言葉遣いと所作には優雅さを残さないといけないゴブ。

「さぁ。皆さんもう少し頑張ってきてくださいね」
「ゴブ」(次から金とるゴブよ~)

わたしとお嬢様は満面の笑みでみんなを送り出す。

「うぉぉ。体が軽いぞ。まだまだやれる!」
「何か視界が開けたような・・・昔に戻ったようだ」

みんな見違えるような素早い動きで辺境伯を取り囲んだ。

「おぅ。なんだ、まだそんな動きが出来るんじゃないか。いいぞぉ!」

さらに獰猛な笑みを浮かべて斧を頭上より高く掲げる。
さらに狂戦士のギアを上げたようだ。

「ほう、父上をあそこまで昂らせるとは今回はみんな気合が入っているな」

イケメン息子が帰ってきたようだ。ちゃっかり隣りにマゼンタ嬢がいる。

「父上は殺気に敏感なのだ。あれだけあからさまに殺気立っていると反応されて反撃をくらうぞ。私が気配を殺して背後から奇襲をかける。マゼンタ殿、いけるか?」

「はい。私も皆の殺気に紛れてあなたの作る一瞬のスキを見逃さずに攻撃します」

言葉少なかったが今からする作戦をマゼンタ嬢は完全に理解しているようだ。

「ゴブ」(なんだかもう夫婦みたいゴブ)

辺境伯は動きの良くなったまわりに気を取られてサミエル様の動きに気付いていない

「わはは、なかなかやるではないか!だがまだまだ!ぐおぉ?」

背後からサミエル様が辺境伯の左足を長剣で突いている。

辺境伯が後ろを振り向いた瞬間、マゼンタ嬢が音もなく飛び出した。

「ふっ」

辺境伯の首元をかすり、盛大に血しぶきが上がる。

殺意高すぎだって・・・義理の父親になるのを分かっているゴブか?

「くぉぉ。見事なり。我にここまで手傷を負わせたのは久しぶりである!」

いやいや、手傷どころではないですよ?通常では致命傷ですから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ? ――――それ、オレなんだわ……。 昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。 そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。 妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...