悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん

文字の大きさ
61 / 155

第61話 コスタリア領都にて

しおりを挟む
コスタリア領都のにぎやかな中心街から少し脇に入った雑貨屋。
そこは第一線を退きつつも目利きが利いて王都で流行っているものやダンジョンから出土した珍しいアイテムなどが少々割高な値段で売っている、知る人ぞ知るこだわりの逸品を扱う老舗のお店だ。

からんからん。

来客を告げる扉に吊り下げた鐘がなり、深くフードをかぶった年の頃成人したてのような少女が入ってきた。

「店主様をお願いします」

「ああ、嬢ちゃんか・・・少し待ってな、店長を呼んでくるぜ」

しばらくして少し腰の曲がった眼光の鋭いお爺さんが奥から出てきた。

「ひひひっ、また来たのかい。お嬢ちゃんも好きだねぇ」

「頼んでいたものは手に入りましたか?」

「ひひひっ、もちろんさ。嬢ちゃんの好きそうなものをたっぷり仕入れてきたぞ」

「今回もこれで支払います。小銀貨1枚で銀貨1枚として計算してよいですよね」

どんっと音がするぐらいの袋に大量の硬貨が入っているが中味は全て小銀貨だった。

「おおっ、今回はまたけっこう多いでないかい。ひひひっ、お嬢ちゃんもちゃんと分かってるじゃないか」

「ちゃんと数えていますから。ちょうど30枚あります」

「出どころは深く聞かないがこの”浄化の銀貨”は仲間内の商人にも受けがよくてね、財布に持っているだけで浄化の作用があるだけでなく魔除けの効果もあるらしいって評判だよ」

「深い詮索はやめた方が良いですよ。このリボンを見てから考えてくださいね」

少女はちらりとフードから深緑に金のラインが入ったリボンを見せる。

「きひひっ。上級貴族家に直属で仕えるメイド様に難癖つける勇気はないさ」

上流貴族には家に決められた旗印とは別に専用の組み合せの色も持っている。
そしてその貴族家に縁のある者は服のどこかにその色の入った装飾をしているのだ。

昔はドレスや礼服が全面に専用カラーになっている服を身に着けていたが、あまりにダサい!とおしゃれ婦女子たちの大反対にあい、一部分の装飾品を身に着けることになったのだった。

そしてここ、コスタリア家の専用カラーこそが深緑に金のラインなのだった。

「わ~い、これで王都の流行りのお菓子がいっぱい買えますぅ」

「・・・何度もしつこいが本当に盗んできてないさね。ひひひっ」

「大丈夫です~。これはちゃんと同じ小銀貨でしてきただけですから」

「まぁ、女神の天秤も少ししか揺れていないから完全にウソをついている訳ではなさそうだがね。まぁ何にせよ、商談は成立さ。きひひっ」

「その、ひひひって笑うの何か悪だくみしている悪徳商人みたいです~」

「ひひひっ悪かったね。いい商売をしているとクセでこの笑いが出ちまうのさ。お嬢ちゃんには世話になっているからおまけで王都で新発売の焼き菓子をおまけするさ」

「わ~い。さすが店主さんですぅ。」
(ミセッティ様の磨いた小銀貨を持ってくるだけで銀貨に交換なんて嬉しすぎます)

「きひひっ。また持ってきたら珍しいお菓子を仕入れてくるからね。きひひっ」
(王都の大棚の商人たちに金貨1枚で交換できるからねぇ。ボロい商売さね)

「えへへへっうふふっ」

「き~ひっひっひっ」

マリーも店主も笑いが止まらないようだった。

その小銀貨が王都の大貴族や名門鍛冶屋に金貨20枚(200万円相当)で取引されているのを店主も知らない。

~~~~~~
「そろそろ社交界では秋の感謝祭とパーティの時期ですから、ドレスを新調しなければいけませんね」

カタリナさんがお嬢様を見てつぶやく。

「お嬢様も成長されましたし、あと2年ほど成人まであるとはいえ、侯爵家に恥じない装いをしてもらわなければいけませんしね」

「王都では黒髪の一族由来の新しいデザインのドレスが作られているようですぅ」

「さすがマリー、情報が早いですね。そして今、王都では新たな鉱物、精霊銀なるものが発見されて話題になっているようです」

「見た目は銀と変わらないようですが、わずかに浄化の効果があるとか。王都の研究機関によると永く女神様の身許にあった銀が変質したとか、ダンジョンの奥深くでようやく発見できるとか、まだまだ謎が多いようですが」

「ふふふ、カタリナも情報通ですね。じゃあこれはどうかしら?じゃじゃ~ん!なんとその精霊銀を糸にして刺繍として織り込んだリボンよ。我が家に出入りしている商人さんに無理を言って買ってきてもらったわ」

「奥方様の目端の良さにはいつも感服いたします。まさか精霊銀の装飾品をすでに注文されていたとは」

「旦那様のネクタイとアイラちゃんの分のリボンと合わせて金貨2000枚もしたんだから!でもこれでこの秋は王都で馬鹿にされることは無いわ」

「若く美しくなられた奥方様を小馬鹿にする方などおられないでしょう。それに加えてしっかりと流行りの装飾品を身につけられておられれば完璧ですね」

「お~ほっほっほ。カタリナもよく分かっていますわね」

「ゴブ~」(何だか盛り上がっているゴブ)

「もぅ、何言ってるの。これからはミセッティも私の隣りでパーティに参加するのよ。テイマーとしてしっかり従えているところを皆にアピールするんだから」

アイラお嬢様はそういうが本人もあまり嬉しくなさそうだゴブ。

「ゴブ~」(え~、めんどくさいゴブ~。銀貨を磨くのに忙しいのに)

こっちの銀貨は本物の銀を使っているからなのか、毎日磨いていないとすぐにくすんでくるからな~。磨いても磨いてもすぐにいつの間にかくすんでいるゴブ。

だからこうして毎晩まごころを込めて一生懸命に磨いているゴブ。
顔が映るぐらいにピカピカにすると気持ちいいゴブからな。
寝る前の至福のひとときだゴブ。

「ミセッティ様~。今晩も精がでますね~。これ今王都で流行っている焼き菓子なんですって、頑張っているミセッティ様にもおすそ分けします~」

「ゴブ~」(ぽんこつマリーのくせに気が利くゴブ~)

わたしはさらに気合が入ってため込んだ小銀貨の半分ほどをピカピカに磨いた。

「ゴブ~」(ふ~、今日もいい仕事したゴブ。疲れたのでもう寝るゴブ)

「おやすみなさ~い、今日も1日お疲れ様でした~。きひひっ」

最近のマリーはご機嫌ゴブな~。彼氏でも出来たか?
いや、お菓子を抱えてきゃっきゃっしているレベルだからまだまだ子供だゴブ。
侯爵家に仕えるメイドとして精霊銀の小物ぐらい手に入れてこいだゴブ。

ーーーーーーーーーー

ミセッティ→(両替?小銀貨)→ マリー(銀貨) → 雑貨屋(金貨) 
→ 王都(金貨20枚)→ 精霊銀に認定(金貨100枚) → 鍛冶屋、服飾屋
→ コスタリア家(金貨2000枚)→ ミセッティ(小銀貨10枚とお菓子)
以下 くり返し
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ? ――――それ、オレなんだわ……。 昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。 そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。 妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...