子悪党令息の息子として生まれました

菟圃(うさぎはたけ)

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イディの血の覚醒が落ち着いてからも僕たちは一緒に過ごす事が少なくなっていった。
私が母上から学んでいる拷問の際にどうしても血の匂いが服に染み付いてしまう為、一緒に過ごさないような生活になっていった。

イディは私に対しての執着がかなり酷くなっていて、一緒に過ごさない様な時間をしている筈なのに気がついたら私の隣にいるというホラーを何度か経験している。
そのホラーが起こるたびに父上がイディを即座に回収していく光景を何度も見ている。

母上はその光景に爆笑しているし、父上はイディの行動に頭を抱えている。

「母上は他人事だから笑ってられるんだ」

最近教えてもらった小さな武器の扱いを体に覚え込ませる為に私はナイフを触っている。
今の体であれば最も扱い易い武器ではあるから最も覚える必要がある武器だろう。

手に馴染んだぐらいで的に投擲すれば呆気なく外れた。

「イディの行動は他人事じゃないよ?あれラグも同じ事を僕にしてたからね」

あまりにもの発言に既に手に取っていたナイフを落としてしまった。
父上が母上にイディと同じ事を行った?

あの冷静な行動を行う父上が?
生きている中で一番あり得ない話を聞いた気がする。

「なんならイディがしている事はまだ可愛いよ?ラグは婚約者がいる僕を脅したりしてたんだから。隣に居る程度なら可愛いよ」

「父上はそんなに母上に対して見境がないのか」

落としてしまったナイフを手に取ってもう一度的似狙いを定めて投げた。
またナイフは的から外れてしまった。

投げナイフというのはこんなに難しい物だっただろうか。
前の体では簡単にこなせた事がこの体では面白いほど全て失敗する。

「血の番って奴でね。ラグに取って僕は一生現れる事がない存在だったみたいでね。婚約者が居ようが居まいが関係なかったみたいだよ」

イディは父上に似た感じで育って欲しいと考えて居たが、一番似てはいけないのはどうやら父上だったようだ。
そう考えると一番似て欲しいのはお祖父様だろう。

あの人がこの屋敷内で常識人だからな。

「でも僕と婚約が決まってからはすごく落ち着いて紳士的になったよ。多分僕限定で暴走するけど、それ以外はいい人だから僕は気にしないようにしたんだ」

母上笑顔で言う内容ではない。
内容的に諦めて付き合った人みたいになっている。

「その血の番というのは吸血鬼にとってはそんなに重要なのだな」

投げたナイフがようやく的に当たったが、的の端すぎて最早これは当たったと言ってもいいのだろうか。

「ホロも関係ない話じゃないよ」

「は?」

「あれ?ラグからまだ聞いてなかった?今回イディの血の覚醒でホロの血が必要になった原因が、ホロがイディの血の番だったからだよ?」

私とイディが血の番?
父上と母上と同じような状態になると?

「いや、しかし…私たちは兄弟だぞ?普通は有り得んのではないのか?」

そうだ。
私たちは兄弟なのだからそもそも血の番として成立するのがおかしいではないか。

そんな事が許されれば兄弟婚がこの国で話題になっているだろう。
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