悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?

菟圃(うさぎはたけ)

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なんでこんな事になっているのか聞きたい。
こんな事を思っている理由を現在の状況を見たら誰でも考える筈…だと思いたい。

僕は今赤ちゃんになってる。
そう、赤ちゃんになっているんだ。

「ばぶぅ…」

声もこの通り、ばぶばぶしか言えずまともに喋ることも叶わない。
なんで赤ちゃんになっているかもわからないし、だだっ広く、豪華な部屋も庶民出身の僕は未だに慣れない。

寝返りをうつこともできないぐらい生まれたてだし、何もできなくて暇すぎるのが今の本音。
たまに人も来るけど、お母さんらしき人もお父さんらしき人もまだ見かけたことがない。

僕ってもしかして要らない子に生まれ変わってしまったのだろうか!?
そんな事も考えた事もあるけど、僕のお世話をしてくれる人達に無碍にされているわけではないから、多分要らない子ではないと思いたい…

そういえば、僕はなんで赤ちゃんになったんだろうか。
こうやって思考できている通り、僕は前世の記憶というものがある。

西口晴にしぐちはるという名前で、サラリーマンとして過ごしていた。
前世も今世も男性であるから、これが今の僕にとって一番の幸運であるとも言える。

「お坊っちゃま、今日もいい子にしておられますね」

白髪混じりの灰色の髪をもつ、老齢のメイドさんが僕を見てお坊っちゃまと呼びにこやかに笑う。
お坊っちゃまと呼ばれてるから僕はいいところの子供であるのもこれで知った。

カーテンを開けて、日の光を入れると僕のところにメイドさんが来た。
メイドさんが僕を抱き上げると、顔をのぞいてくる。

「今日はようやっと伯爵ご夫妻様とお会いすることができます。奥様の容態も安定されたので、ようやくお目通が叶ったのは嬉しいことでございます。下のメイド達もこれでお坊っちゃまを無碍に扱った事を後悔するでしょう」

最後に言った言葉にぷるっと震えたけど、その前にメイドさんが話してくれた両親と会えるという言葉に嬉しくなった。
お母さんもお父さんも会えなかっただけなんだと思うと、ほっとしてほにゃあと泣いてしまった。

「おやおや、元気にお泣になられてどうされましたか?」

メイドさんにあやされ、泣き疲れた結果僕は寝てしまったようだ。



ーーーーーーーーーーー

ぱちっと目を開けたら、日が暮れかけている時間帯になっていた。
こんなに寝ているなんて…赤ちゃんって恐ろしいわ!!

「ばぶー」

手を動かして遊んでいたら、くすくすと笑う声が聞こえた。
首を動かそうと思ったけど、思った通りに動かなくて目をキョロキョロと動かしても笑い声の出所が分からなかった。

「だーうー」

もっと手をばたばたと動かすと、大きな手に手が包まれた。
優しい手つきだったけど、びっくりして手が止まった。

ベビーベッドに覗き込んできたのは、優しい緑色の目を持った女性だった。
ゆっくりと僕を持ち上げて、ふわりと優しく僕を抱きしめてくれる。

「この子が私の可愛い坊やなのね。旦那様、私達にそっくりですわ」

もう一人、いることに気がついてなくてキョロキョロと見渡すと、ぽわっとした雰囲気の男性がいた。
この人も優しい茶色の目を持った人だった。

「ああ、とてもそっくりで愛らしい。生まれてきてくれてありがとう」

涙を浮かべながら、笑う男性は僕のお父さんだとはっきりわかった。
僕を抱いてくれている女性は、僕のお母さんなんだと。

「この子に初めてのプレゼントをあげましょう」

初めてのプレゼント?
一体なんのプレゼントなんだろうか。

「ネヴィレント。この子の名前はネヴィレントだよ」

僕の名前?

「とてもいい名前ですね。私達のネヴィレント」

僕の初めてのプレゼント。
今世での僕の名前。

嬉しくて嬉しくて堪らなくて、僕は本日二度目の大泣きをした。
両親が凄く慌てふためいているけど、なんだかそれも嬉しくて余計大泣きしてしまった。
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