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旅の五日間はとても辛かった。
最初の二日までは良かった。
それ以降は変わり映えしない風景に、何もできない暇さが相待って寝ることが唯一の逃げ道ではないだろうかと思ってしまったぐらい辛かった。
五日のうちの二日は自分がやらかしてしまったせいで、馬車から一切降りれなかったから足がパンパンになった。
本も案外早く読み切ってしまったから読み終わって以降が一番辛かったと思う。
辛さを噛み締めながら、馬車から降りると一度見たイラストと同じ光景に開いた口が塞がらなかった。
メインストーリーが繰り広げられるのは今から数えて9年後。
その舞台が目の前にあるんだと思うと少し感慨深くて、ぎゅうっとラグくんを強く抱きしめてしまった。
ザインハルト様とはなるべく適切な距離をとっているし、外では大きな問題も起こしたことはない。
家族の前では気を抜いてやらかしてしまうことがあるけど。
「ネヴィ王都はどうだい?」
「大きくてびっくりしました。僕は将来ここで勉強をするんですよね?」
「そうだよ。今は見慣れない風景だけど来年の今頃には見慣れた風景になっていると思うよ」
お父様に抱っこされながら、王都を少し回ることになった。
僕は小さいし簡単に拉致されてしまう可能性があるから、抱っこの方が安全だってお父様が言っていた。
お祭りでもないのに王都はとても賑わっていた。
露天が所狭せしと並んでいて、食べ物の露天、道具屋の露天、いろんな露天が目に飛び込んでくる。
「お父様あれはなんですか?」
気になった物を指差して聞く度にお父様は面倒臭そうな顔一つもせずに全部教えてくれた。
お母様は他の家のご婦人にお茶会に呼ばれているとかなんとかで、王都についてから別れて行動することになった。
夜には会えるから寂しいけど、お父様と一緒に回った王都をお母様に話すんだと意気込んでいた。
お父様と沢山見回って、噴水の近くで休憩する事になった。
噴水の水は少し濁っていてお世辞に綺麗とはいえなかったけど、水が落ちる音が心地よくてそれがなんともいえない安らぎを感じさせてくれた。
お父様に王都にいた頃の話をねだって沢山楽しい内容を聞かせてもらった。
お母様と出会った時の事。
お父様が爵位を引き継ぐ前はなんと王都で最年少で王都の騎士団長をしていた事。
騎士団長の時代に大公殿下をお助けした話。
沢山お父様の事を知ることができてとても楽しかったし、嬉しかった。
かなり話し込んで少し日が暮れた時間になり始めたので、お父様に抱っこされながら王都に滞在する為の宿屋に向かった。
貴族は王都に本邸とは違い別邸を持つ事が多いんだけど、僕たちの家では王都に別邸を維持する費用を出すぐらいなら、遠征費や騎士団の維持費に当てたいという考えの元別邸を持たないようにしていたみたい。
王都に別邸を持つのは地方都市の領主達にとってはステータスの一つになるみたいだけど、維持費もそうだけど人件費もバカにならない程高いのにその費用はどこから捻出されているんだろう。
下世話な考えが出てくるのは許してほしい…
宿屋に到着すると一瞬どこかの館かと思う程大きな宿屋に辿り着いた。
え?これが宿屋?
お父様は躊躇なく館に入ると、中は精巧な作りだけど無駄が省かれた機能的美が全面的に出された造りになっていた。
受付にまで行くと、従業員のお兄さんが一礼してから口を開いた。
「ツェーリア伯爵様、お連れのご子息様、遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。私当館の案内をさせていただいておりますモリスと申します」
従業員のお兄さんのモリスさんが宿屋としての利用する際の注意事項を教えてくれた。
僕たち家族は基本的に自分の事は自分で行うがモットーだから、問題ない内容だったけど普通のお貴族様では嫌な人が出そうな注意事項が多かった。
これ他の貴族が別邸を持つくだらない理由の一つがこれだろうなと思った。
「それではご利用頂くお部屋にご案内を致します。先にお送り頂きましたお荷物は全てに解きを完了し、ご利用頂きやすいようにセッティングもしております」
モリスさんは足音もなく僕たちをお部屋まで案内してくれた。
宿屋は元々どこかの貴族の館を改造して作られたのらしい。
部屋の扉には木札が掛けられており、精霊の絵柄と4の数字が書かれていた。
精霊はお父様が精霊池の守り手だから分かりやすい物だと思うけどなんで数字の4が書かれているんだろう?
歴史を習った際に精霊池の守り手は国内最強か、最強の二番手しかなれない役割で、家族だからといって守り手の役割を引き継げるわけではないと聞いた。
お父様もツェーリア家では最初の守り手だから4という数字が連想できない。
モリスさんが扉を開けると、三つのベッドとドレッサー、それに少し大きめの机と椅子が三脚、小さなクローゼットあるだけの実にシンプル名部屋だった。
もっと豪華な部屋もあるんだろうけど、お父様とお母様があえて選んだお部屋なんだろうな。
「こちらがお部屋の鍵でございます。それでは御用がありました、フロントにおります従業員までお願い致します。それでは失礼致します」
モリスさんがお部屋から去ると、お父様と二人っきりになった。
お父様がベッドの上に下ろしてくれて、お昼寝をするようにいってくれたけど興奮がまだ冷めてなくてどうしても寝ることができなかった。
ベッドからお父様の隣の椅子に座ろうとしたけど、身長が足りなくて僕は椅子に座る事に苦戦した。
苦戦するかも僕を見かねて僕を椅子の上に乗せてくれたお父様にお礼をすると、お父様に噴水の前で話してもらった内容をもっと聞きたいとお願いし倒した。
沢山お願いして、許してくれたお父様に喜びながら僕は楽しいお話を聞いていた。
最初の二日までは良かった。
それ以降は変わり映えしない風景に、何もできない暇さが相待って寝ることが唯一の逃げ道ではないだろうかと思ってしまったぐらい辛かった。
五日のうちの二日は自分がやらかしてしまったせいで、馬車から一切降りれなかったから足がパンパンになった。
本も案外早く読み切ってしまったから読み終わって以降が一番辛かったと思う。
辛さを噛み締めながら、馬車から降りると一度見たイラストと同じ光景に開いた口が塞がらなかった。
メインストーリーが繰り広げられるのは今から数えて9年後。
その舞台が目の前にあるんだと思うと少し感慨深くて、ぎゅうっとラグくんを強く抱きしめてしまった。
ザインハルト様とはなるべく適切な距離をとっているし、外では大きな問題も起こしたことはない。
家族の前では気を抜いてやらかしてしまうことがあるけど。
「ネヴィ王都はどうだい?」
「大きくてびっくりしました。僕は将来ここで勉強をするんですよね?」
「そうだよ。今は見慣れない風景だけど来年の今頃には見慣れた風景になっていると思うよ」
お父様に抱っこされながら、王都を少し回ることになった。
僕は小さいし簡単に拉致されてしまう可能性があるから、抱っこの方が安全だってお父様が言っていた。
お祭りでもないのに王都はとても賑わっていた。
露天が所狭せしと並んでいて、食べ物の露天、道具屋の露天、いろんな露天が目に飛び込んでくる。
「お父様あれはなんですか?」
気になった物を指差して聞く度にお父様は面倒臭そうな顔一つもせずに全部教えてくれた。
お母様は他の家のご婦人にお茶会に呼ばれているとかなんとかで、王都についてから別れて行動することになった。
夜には会えるから寂しいけど、お父様と一緒に回った王都をお母様に話すんだと意気込んでいた。
お父様と沢山見回って、噴水の近くで休憩する事になった。
噴水の水は少し濁っていてお世辞に綺麗とはいえなかったけど、水が落ちる音が心地よくてそれがなんともいえない安らぎを感じさせてくれた。
お父様に王都にいた頃の話をねだって沢山楽しい内容を聞かせてもらった。
お母様と出会った時の事。
お父様が爵位を引き継ぐ前はなんと王都で最年少で王都の騎士団長をしていた事。
騎士団長の時代に大公殿下をお助けした話。
沢山お父様の事を知ることができてとても楽しかったし、嬉しかった。
かなり話し込んで少し日が暮れた時間になり始めたので、お父様に抱っこされながら王都に滞在する為の宿屋に向かった。
貴族は王都に本邸とは違い別邸を持つ事が多いんだけど、僕たちの家では王都に別邸を維持する費用を出すぐらいなら、遠征費や騎士団の維持費に当てたいという考えの元別邸を持たないようにしていたみたい。
王都に別邸を持つのは地方都市の領主達にとってはステータスの一つになるみたいだけど、維持費もそうだけど人件費もバカにならない程高いのにその費用はどこから捻出されているんだろう。
下世話な考えが出てくるのは許してほしい…
宿屋に到着すると一瞬どこかの館かと思う程大きな宿屋に辿り着いた。
え?これが宿屋?
お父様は躊躇なく館に入ると、中は精巧な作りだけど無駄が省かれた機能的美が全面的に出された造りになっていた。
受付にまで行くと、従業員のお兄さんが一礼してから口を開いた。
「ツェーリア伯爵様、お連れのご子息様、遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。私当館の案内をさせていただいておりますモリスと申します」
従業員のお兄さんのモリスさんが宿屋としての利用する際の注意事項を教えてくれた。
僕たち家族は基本的に自分の事は自分で行うがモットーだから、問題ない内容だったけど普通のお貴族様では嫌な人が出そうな注意事項が多かった。
これ他の貴族が別邸を持つくだらない理由の一つがこれだろうなと思った。
「それではご利用頂くお部屋にご案内を致します。先にお送り頂きましたお荷物は全てに解きを完了し、ご利用頂きやすいようにセッティングもしております」
モリスさんは足音もなく僕たちをお部屋まで案内してくれた。
宿屋は元々どこかの貴族の館を改造して作られたのらしい。
部屋の扉には木札が掛けられており、精霊の絵柄と4の数字が書かれていた。
精霊はお父様が精霊池の守り手だから分かりやすい物だと思うけどなんで数字の4が書かれているんだろう?
歴史を習った際に精霊池の守り手は国内最強か、最強の二番手しかなれない役割で、家族だからといって守り手の役割を引き継げるわけではないと聞いた。
お父様もツェーリア家では最初の守り手だから4という数字が連想できない。
モリスさんが扉を開けると、三つのベッドとドレッサー、それに少し大きめの机と椅子が三脚、小さなクローゼットあるだけの実にシンプル名部屋だった。
もっと豪華な部屋もあるんだろうけど、お父様とお母様があえて選んだお部屋なんだろうな。
「こちらがお部屋の鍵でございます。それでは御用がありました、フロントにおります従業員までお願い致します。それでは失礼致します」
モリスさんがお部屋から去ると、お父様と二人っきりになった。
お父様がベッドの上に下ろしてくれて、お昼寝をするようにいってくれたけど興奮がまだ冷めてなくてどうしても寝ることができなかった。
ベッドからお父様の隣の椅子に座ろうとしたけど、身長が足りなくて僕は椅子に座る事に苦戦した。
苦戦するかも僕を見かねて僕を椅子の上に乗せてくれたお父様にお礼をすると、お父様に噴水の前で話してもらった内容をもっと聞きたいとお願いし倒した。
沢山お願いして、許してくれたお父様に喜びながら僕は楽しいお話を聞いていた。
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