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「ネヴィ、どうして子供の場に親の私たちを呼んだんだい?」
お父様の話し方は優しそうだけど、言い方は僕を問い詰める時の言い方だ。
服は見た目濡れている様に見えないから、お父様は気が付けてないみたい。
「本来子供の場に呼ぶ事をしたくはなかったのですが、直ぐに解決すべき事がございましたので及び立て致しました」
「つまらん事で呼んだのなら分かっておるよな?」
この親にしてこの子ありだなって思った。
いつぞやの本で読んだ典型的な子悪党みたいでちょっと笑ってしまった。
「何を為されるかは存じあげませんが、まずは男爵のご子息が起こした事をお伝えさせて頂きます」
社交の場でははしたない行為だけど、僕はズボンの裾を膝上まで上げて真っ青に変化している膝を披露した。
かなり痛かったし、小さい体ではうまく受け身を取れなくて怪我を負ってしまったんだ。
「その怪我は一体?」
「皆さんと楽しくお話ししている間に急に後ろから押されてしまったのです。そして頭にジュースをかけられてしまいました。後ろから押されたのも本来は当たってしまったで終わらせる予定でしたが、ジュースをかけられてしまえば下剋上になってしまう可能性があったので、私のご両親とゴゴット男爵令息のお父上をお呼び致しました」
にっこりと男爵に笑いかけると苦虫を噛み潰した様な表情になったけど知らない。
自分で言った発言は自分でどうにかしてください。
「私の考えは間違っていますか?ゴゴット男爵様?」
トドメの一言を言ってやれば男爵は沈黙を貫いた。
「男爵、何故私の息子の質問に答えぬのだ?」
男爵の顔が段々と青くなっていく。
そりゃ不利になることは発言したくないだろう。
「そうか認めるのも貴族の矜持というものであるが、付き合いを改めさせて頂くことにしよう」
「そ、そんな!」
お父様の言葉には反応できるみたいで、僕は伯爵家に所属しているけど結局は子息だから下に見られていたんだ。
まだ僕自身に力がなくて悔しいけど、それは大きくなりながら頑張って獲得しているものだから今は我慢の時だ。
「伯爵!どうかお待ちください!」
「ネヴィの着替えを持ってこなかったのは失敗したね。一度ネヴィの身長でもきれる服がないか確認してみよう。少しの間気持ち悪いだろうけど我慢できる?」
「できます」
「もう少しタオルを持ってきて下さるかしら?」
お父様とお母様の後ろで騒ぐ男爵がいるけど、僕たち親子は聞こえないフリして3人で会話した。
「お父様を無視するなー!!!」
男爵令息の声に驚いて固まっていたら、何か紙を貼られた。
その紙を剥がす前に閃光が走って目を瞑った。
光が収まって目をゆっくりと開けるとそこはパーティ会場ではなくて鬱蒼というかした森の中だった。
どうしてここにいるか分からないし、理解したくなかった。
ガサガサっと草の音がして体がビクッとした。
見える草から出てきたのはうさぎだった。
危ない動物でなくて一安心したけど、でも会わないとは限らない。
もし会ってしまったら僕なんてすぐ死んでしまう。
どうにかして隠れられる場所を探すけど、足が遅くて広い範囲を探すことができない。
怖くて怖くて、目から涙がこぼれ落ちた。
涙で視界が歪むけど、それを気にせずに頑張って歩き続けた。
唯一見つけた隠れ場所は木の根の下にできた穴で、僕一人ぐらい入れる隙間だった。
穴に潜り込んでから穴を手で掘って、少し座れるスペースを作ってから穴の入口を少しだけ塞いだ。
ぬいぐるみたちも居なくて僕は完全にひとりぼっちだった。
膝を抱えて僕は泣くしかできなかった。
寂しくて、怖くて、自分一人では何もできない。
狼の鳴き声が聞こえて恐怖が押し寄せてきた。
ガタガタと体の震えが止まらなくて、涙も止まらなくなった。
声を上げて泣けば危険な動物に襲われるから声を押し殺す。
泣きたくないけど、勝手に流れる涙は止められない。
ガサガサと草をかき分ける音が段々と近づいてきて、僕は息を押し殺して穴の奥まで体を寄せた。
近場で音が止まったから去るように祈った。
ざりっ…
穴の入口が少し掘られ僕は絶望した。
ああ見つかってしまったんだ。
大きく入口の穴が広げられた時、黒いものが伸びてきて僕の腕を掴んだと思ったら僕を穴から引きづりだした。
食べられると思って目を瞑ったけど、僕にきた衝撃は思ったよりも柔らかい感触だった。
ゆっくりと目を開けたら、視界いっぱいに広がったのは真っ黒な布だった。
視線を上に上げると、今日会った子息より大きい子供だった。
陶器の様な白い肌に、鋭めの目つきから覗く金色の瞳がとても特徴的だった。
真っ黒な髪色は前世に見慣れた色で少しだけ親しみを感じられた。
薄い唇が開かれるまで僕はぼうっとその子を見ていた。
お父様の話し方は優しそうだけど、言い方は僕を問い詰める時の言い方だ。
服は見た目濡れている様に見えないから、お父様は気が付けてないみたい。
「本来子供の場に呼ぶ事をしたくはなかったのですが、直ぐに解決すべき事がございましたので及び立て致しました」
「つまらん事で呼んだのなら分かっておるよな?」
この親にしてこの子ありだなって思った。
いつぞやの本で読んだ典型的な子悪党みたいでちょっと笑ってしまった。
「何を為されるかは存じあげませんが、まずは男爵のご子息が起こした事をお伝えさせて頂きます」
社交の場でははしたない行為だけど、僕はズボンの裾を膝上まで上げて真っ青に変化している膝を披露した。
かなり痛かったし、小さい体ではうまく受け身を取れなくて怪我を負ってしまったんだ。
「その怪我は一体?」
「皆さんと楽しくお話ししている間に急に後ろから押されてしまったのです。そして頭にジュースをかけられてしまいました。後ろから押されたのも本来は当たってしまったで終わらせる予定でしたが、ジュースをかけられてしまえば下剋上になってしまう可能性があったので、私のご両親とゴゴット男爵令息のお父上をお呼び致しました」
にっこりと男爵に笑いかけると苦虫を噛み潰した様な表情になったけど知らない。
自分で言った発言は自分でどうにかしてください。
「私の考えは間違っていますか?ゴゴット男爵様?」
トドメの一言を言ってやれば男爵は沈黙を貫いた。
「男爵、何故私の息子の質問に答えぬのだ?」
男爵の顔が段々と青くなっていく。
そりゃ不利になることは発言したくないだろう。
「そうか認めるのも貴族の矜持というものであるが、付き合いを改めさせて頂くことにしよう」
「そ、そんな!」
お父様の言葉には反応できるみたいで、僕は伯爵家に所属しているけど結局は子息だから下に見られていたんだ。
まだ僕自身に力がなくて悔しいけど、それは大きくなりながら頑張って獲得しているものだから今は我慢の時だ。
「伯爵!どうかお待ちください!」
「ネヴィの着替えを持ってこなかったのは失敗したね。一度ネヴィの身長でもきれる服がないか確認してみよう。少しの間気持ち悪いだろうけど我慢できる?」
「できます」
「もう少しタオルを持ってきて下さるかしら?」
お父様とお母様の後ろで騒ぐ男爵がいるけど、僕たち親子は聞こえないフリして3人で会話した。
「お父様を無視するなー!!!」
男爵令息の声に驚いて固まっていたら、何か紙を貼られた。
その紙を剥がす前に閃光が走って目を瞑った。
光が収まって目をゆっくりと開けるとそこはパーティ会場ではなくて鬱蒼というかした森の中だった。
どうしてここにいるか分からないし、理解したくなかった。
ガサガサっと草の音がして体がビクッとした。
見える草から出てきたのはうさぎだった。
危ない動物でなくて一安心したけど、でも会わないとは限らない。
もし会ってしまったら僕なんてすぐ死んでしまう。
どうにかして隠れられる場所を探すけど、足が遅くて広い範囲を探すことができない。
怖くて怖くて、目から涙がこぼれ落ちた。
涙で視界が歪むけど、それを気にせずに頑張って歩き続けた。
唯一見つけた隠れ場所は木の根の下にできた穴で、僕一人ぐらい入れる隙間だった。
穴に潜り込んでから穴を手で掘って、少し座れるスペースを作ってから穴の入口を少しだけ塞いだ。
ぬいぐるみたちも居なくて僕は完全にひとりぼっちだった。
膝を抱えて僕は泣くしかできなかった。
寂しくて、怖くて、自分一人では何もできない。
狼の鳴き声が聞こえて恐怖が押し寄せてきた。
ガタガタと体の震えが止まらなくて、涙も止まらなくなった。
声を上げて泣けば危険な動物に襲われるから声を押し殺す。
泣きたくないけど、勝手に流れる涙は止められない。
ガサガサと草をかき分ける音が段々と近づいてきて、僕は息を押し殺して穴の奥まで体を寄せた。
近場で音が止まったから去るように祈った。
ざりっ…
穴の入口が少し掘られ僕は絶望した。
ああ見つかってしまったんだ。
大きく入口の穴が広げられた時、黒いものが伸びてきて僕の腕を掴んだと思ったら僕を穴から引きづりだした。
食べられると思って目を瞑ったけど、僕にきた衝撃は思ったよりも柔らかい感触だった。
ゆっくりと目を開けたら、視界いっぱいに広がったのは真っ黒な布だった。
視線を上に上げると、今日会った子息より大きい子供だった。
陶器の様な白い肌に、鋭めの目つきから覗く金色の瞳がとても特徴的だった。
真っ黒な髪色は前世に見慣れた色で少しだけ親しみを感じられた。
薄い唇が開かれるまで僕はぼうっとその子を見ていた。
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