悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?

菟圃(うさぎはたけ)

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ネヴィレントがラグで遊んでいると、廊下から走る足音が段々とネヴィレントの部屋に近づいてきた。
勢いよく扉が開くと、ラグザンドが扉を開いた勢いのままネヴィレントの元まで駆け寄ってきた。

「本当に…ネヴィなの、か…?」

ラグザンドもハンスと同様やつれており、目の下に隈を作っている。

「そうだよラグ」

ネヴィレントは近くで跪いているラグザンドの頬にそっと手を寄せ優しく撫でた。
ラグザンドは優しく撫でられる状況にそっと目を閉じ、撫でられるのを甘んじて受け入れていた。

満足したのかネヴィレントの手を優しく掴むと、そのままネヴィレントをベッドに押さえつけた。

「な、何するの?」

困惑した声を上げるネヴィレントを無視して、ラグザンドは強くネヴィレントをベッドの上に押さえ込む。

「お前は誰だ」

「何を、言って…う…」

「体は本当のネヴィのものだが、魂は全く違うモノだ。お前は何故私のネヴィの中に存在しているんだ」

ラグザンドにバレている事がわかったネヴィレントは抵抗をするのをやめた。
抵抗するのが無駄だと理解しているかのような行動だった。

「話を聞きたいのであれば、私の上から退けてくれないか?この体がどうなっても良いのであればこのままで良いが」

明らかネヴィレントとは違う話し方にラグザンドの表情が歪んだ。
小さく舌打ちをしながらネヴィレントの上からラグザンドが退くと、ネヴィレントは肩を痛そうにしながらゆっくりと体を起こした。

「加減というものを知らぬのか。この体は本来その力に耐えられないが?」

ネヴィレントは肩を回しながらじとっとラグザンドを見つめた。

「ほう…日の下を歩く者デイ・ウォーカーに好かれている体とはなんと行幸か」

口を三日月のように歪めながら笑うソレはネヴィレントとはかけ離れた形相だった。

「お前はなんなんだ?」

「私か?私闇から生まれた者だ。そうだな…君たちのような者からすれば、私は魔王、と呼ばれる存在であろう」

胸を張って答えるネヴィレントは見た目だけで言えば、子供が偉そうにしているだけに見える。
だが言っている内容が本当であれば早めに対処しなければならない存在である。

魔王はとある文節の一文程度にしか情報が残っていなかった。
だがその一文が魔王を重要視するからのに十分な内容だった。

『世界を滅亡に導きし存在』
これが魔王を表した一文だった。

その存在がラグザンドの目の前に存在している。
魔王本人である存在は悠々自適にラグで遊んでいる。

「ネヴィ本体はどこにいるんだ」

「この体の持ち主のことかい?この子は私に主導権を素直に渡したからまだ体の中で消滅せずに存在しているよ」

自身の心臓部分に手を置きながらラグザンドの質問に答えた。

「そんなにこの体の持ち主が心配なのかい?」

ネヴィレントは意地悪気な表情をラグザンドに向ける。
ネヴィレント本体の記憶を持っていながら、問いかけた質問はかなり意地の悪いものだろう。

「心配に決まっている。私のネヴィを魔王である貴方なら返せるだろう」

「勿論返す事はできるさ。ただし、この体以外に器が必要になるがな?」

その答えにラグザンドは言葉を失うしかなかった。
他に器を用意する。

それは魔王の存在を容認するから事に他ならない。
その存在を容認すれば常に魔王に怯えて過ごさなければならない。

ラグザンドは魔王が存続するのが不安でしかない。

「良い取引をしよう」

「取引、とは…?」

ネヴィレントはベッドから降りてラグザンドの元に向かった。
ラグザンドの胸元に手を置き、そしてこうラグザンドに伝えた。

「お前の体を引き渡すのであればこの体から出ていってやろう」
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