それぞれの空~another story~

藤原葉月

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第28話

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衛は、怜香さんの元へ行き、
「怜香さん!本当にこのままでいいんですか?あなたも好きだと言ってたじゃないか。一樹の写真・・・・」
「えぇ、すきよ。だから私、賭けてみたいんだ。彼の写真に・・・・・」
「えっ?」

戸惑う衛。
でも、怜香さんの目は本気だ。
「実はね、彼の仲間の人って人から会社に電話があったのよ。衛は、知ってるわよね?ほら、彼が倒れたときに連絡した・・・・」
「確か、《ひまわり会》の仲間の正也って人?」
「えぇ。彼の様子がおかしいから何があったか聞かせてくださいって。」
「俺、彼にはカメラマンを続けてほしいんです。」
「説明したら必死であの二人を戻す方法考えますからって言ってくれて・・・・」
「そうだったんですね。たしか、1番仲がいいやつって聞いたから・・・」
「えぇ、彼には相談していると思ったのに。彼にも、仲間にも話していなかったらしくて」
「・・・・・やっぱり・・・・。」

あのお披露目会のときに、俺もそれ知ったから。
「彼は、同じ道に進む予定でいたみたいね。でね、彼のことを怒ってないか聞いてみたの。そしたら・・・・・」

「最初は、裏切られた気持ちでいました。約束したのにって。でも、あいつがカメラを構える姿とか、写真見せてもらっていくうちに、彼の本気が伝わってきたんです。彼の本気を信じようって思って」

「彼のことを信頼しているからこそ、応援したいって彼は言ってたわ」
「・・・・なるほど。いい仲間ですね。ところで、2人を戻す方法って、何か策はあるんですか?」
「・・・・それは、きっとここね」
写真集のあるページを見せて、
「・・・えっ?ここ?・・・・」
「実はね、この写真集が間違って出てしまってときに、消去してしまおうかと思っていて・・・でもね、莉佐ちゃんが・・・・」
「まって、怜香さん。このまま出して貰えませんか?」
「えっ?でもこれだけは莉佐ちゃんの写真なのよ?」
「この写真を見たらあいつが・・・・会いに来てくれる気がするんです」

「えっ?会いに来る?」
「なんて、逆に利用するみたいでごめんなさい」
「・・・・会いたい人がいるの?」
「・・・・・はい。馬鹿で単純なヤツなんですけど、大好きです」
彼女の正直な気持ちを聞いた。
そして、その通りだった。
彼は、迷いなくやってきた。

「この写真集を、出した人に会わせて!」
「えっ?」

「彼は・・・。斎藤くんは、本当のことを知らないままここに来たの。莉佐ちゃんも、なぜか言わずにいて」
「へぇー、そうだったんだ」
「もしもあの二人が元に戻るなら、この桜の木の前で会わせたらどうかって言うのが正也さんの意見なの。気まぐれな桜らしくて、毎年花が咲いたり咲かなかったりなんですって。」
「・・・・ははっ。なんだそれ」
「もんだいは、2人ともその場所を今でも覚えているかなのよねー。莉佐ちゃんは、ともかく、斎藤くんには、よくない思い出もあるらしいから」
「・・・・大丈夫。彼らのことを信じましょう」
「そうね。そうしてみましょうか」


二人は、ただ願っていた。


「えーっと・・・・・」
資料室で調べ物をしようとして、
ドン
「きゃあ」
誰かにぶつかり、
「ごめん、大丈夫?」
そこに居たのは・・・

「一樹先輩?」
「あれ?めぐみちゃん・・・遊園地に行ってたんじゃ・・・・」
「えっ?ちょっと待ってください。なんでそれを知ってるんですか?」
「あっ、いや・・・たまたま見かけたんだ、僕もいってたから・・・。休みだったんじゃ?」

「住田くん、急用で呼ばれちゃって・・・・。お兄さんが事故に遭ったらしいの」
「えっ?それは大変」
「あたしも行こうかと思ったんだけど、心配かけたくないからって・・・・」

「そうだったんだ」
「でね、色々気持ちを落ち着かせたくて、そしたらたくさんの写真を見たくなって・・・・。前にも言いましたよね?写真の宝庫だって・・・・」
「うん、そうだったね」
「あたしも撮りたいなぁー。ううん、撮れるようになりたい。人の生きている姿。先輩みたいに」
と、にっこり笑ってくれて。
「大丈夫だよ、めぐみちゃんなら。僕なんかよりも、ずっとずっといいカメラマンになれるよ!僕が保証する」
「・・・・・えっ?」
「だから、頑張れ」
と、彼女の頭に手を置いた。

「じゃあ!僕はこれで・・・・」


そう言って去っていく一樹先輩を見てわたしは、なんだか嫌な予感がした。

「一樹先輩?」

何があったの?

呆然と彼を見送るしか出来なかった。


そして

「・・・・・」
「・・・・・」
東さんの練習スタジオに、姿を現したのは、凛子さん。
「あれ?凛子ちゃん?」
と、気づいたけれど、そこへ・・・
「はい!大地君!」
と、女の子が、たおるをかける。
凛子さんが行くよりも早く。
そして、なにかを耳打ちして

「あっ、いや彼女は・・・」
と、赤くなっている。
その様子を彼女は、微笑んでみていた。

「やっぱり図星だ」
「そ、そんなにわかりやすいかな・・・・(凛子ちゃんに知られたら大変だ)」

そんな様子を
「いいなぁ。仲良くて」

「えっ?そう?」
「それに、大地君、いつも楽しそうだね。好きな女の子でもいるの?例えばさっきの・・・」

「・・・・彼女は、違うよ。って言うか、今はいないよ」
「へぇー、そうなの?なんか意外かも。モテそうなのに」
「えー?ぼくはモテたことないよ?ダンスやってる方が楽しいから」
「そっか、そうだよね。高校生の時も彼女作ってなかったよね?」
「・・・・まぁね・・・」
「しばらく見てていい?」
「いいよ。」
そう言って、練習を続けた。
けれど、なぜだか・・・・

「ねぇ?キスして・・・裕」

榊さんと、彼女のキスシーンが頭から離れず・・・・


「・・・・・」

「大地?大地!」

「( ゚д゚)ハッ!は、はい・・・・」
「大丈夫か?もう、上がってもいいぞ?」
「す、すいません。」
「お前今、考え事してただろ」
「あっ・・」
「あと、さっき見学に来てた彼女、帰っちゃったよ」
「えっ?うそ!いつのまに・・・・」
知らなかった。

「あと、これ差し入れだってさ」
そう言って渡された紙袋。
「・・・・・・あ、有難うございます!」
「じゃあ、戸締りよろしくな」
「お疲れ様ー!」
「お、お疲れ様でした・・・・」

と、みんなを見送ると、女の子・・・
由紀子さんと2人きりに。
「ねぇ?女の子って、失恋した時にバッサリ髪切る時あるよ。男にはそう言う決意ってないの?」
..「い、いきなり何をいうんですか?」
「だって、あなたが彼女を切なそうにみていたから」
「!」
「まぁ、確かにこれはな・・・」
自分の少し伸びた髪をみて
「僕も切っちゃおうかなー(どうせ、失恋だし・・・・切ろうとも思っていたし)」
「?大地さん?」
「有難うございます!由紀子さん」
「えっ?なにが?」
「決意出来ました」
そう言うと、
「お疲れ様でした!」
と、そそくさと出ていった。
「ちょっと!何を決意したのよ!教えなさいよ!」
と、取り残された由紀子さんだった。
「やった!宏人、これで完成だな!」
「やったぁ!」
「よく、頑張ったな」
「うん!ありがとう、正也兄ちゃん」
「宏人!正也さん、ただいまー」
「あー!パパとママ!おかえりー」
「正也さん、ごめんなさい。3日も預かって貰って・・・・」

「いや、こっちは大丈夫だよ。楽しかったし。なっ?」
「うん!お兄ちゃんのおかげで完成したから」
「そっか、良かったな!正也さん、本当にありがとう」
「それより、事故に遭った人は大丈夫だったの?」
「子供を助けようとしたんですって、その人・・・・」
「意識不明らしくてさ・・・。あと・・・3日後には、結婚式を控えていたらしいんだ」
「・・・・・・・」

「父さんは、最善を尽くすって言ってた。」
「そっか。」
「・・・・・・」
「暗い話は、それくらいにしない?・・・」
それ以上は、詮索しないことにした。
「あっ、そうそう。正也さんに頼まれたこと、兄さんたちが色々調べてくれたよ」
「そっか。助かる」

そして、こちらは・・・
「ただいまー」
「おかえりー、大地君・・・ってあれ?」
東さんの後ろ姿を見て
「ねぇ?大地君、髪切ってきたの?」
「うん。そろそろ切ろうかと思っていたから帰りに寄ってきちゃった」

「ワンワン」
「あれ?変・・・・かな?」
「変じゃないよ?カッコイイ!」
「凛子ちゃん、差し入れありがとう!すごく美味しかった」
「良かった」

思いはもう届かないかもしれない。

そう思っている東さんなのだった。



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