37 / 39
第32話
しおりを挟む
「ただいま」
《おかえりなさい》
そう、凛子ちゃんと、榊さんは付き合いはじめようとしていた。
《東さんは?》
「《それがまだみたいで・・・。さっき、遅くなるって》」
《そうですか。もう、寝ましょう。疲れているでしょう?》
と、凛子さんの車椅子を部屋まで押して、行こうとしたが・・・
「《裕!》」
《えっ?》
凛子ちゃんは、榊さんを《裕》と呼んだ。
「《私があなたの苦しみや悲しみを・・・・あなたのその思いも、全部受け止める!だから・・・・》」
と、車椅子で彼に抱きついた。
《・・・・・・》
と、そこへちょうど東さんが帰ってきて
2人のそんなシーンを見てしまい
「・・・・!?」
ズキン
「・・・・・」
彼は、2人にわからないように部屋に入った。
パタン
《・・・・・!?》
そんな僅かな音に、榊さんは気づいた。
そう、誰かが来たら光センサーが教えてくれるはずで・・・・
《・・・・・》
「《あれ?大地くん帰ってきたのかな・・・・》」
《・・・・・みたいですね。》
夜遅いから、呼び鈴も鳴らさなかったのだろう。
そして東さんは
「・・・・・・・」
(どうして見えるようになっちゃったんだろう。
ふたりを・・・笑って祝福するって決めたのに・・・・・。どうすれば・・・・)
《・・・・・・》
ドアにもたれて暫く動けずにいると・・・・
コンコンと、ノックをされ、
「大地くん!おかえりなさい!」
と、凛子ちゃんの声。
「た、ただいま。ごめん。もう寝てると思ったから。(あと・・・邪魔になると思ったから、声かけなかった。)」
「もう、帰ってきたならちゃんと声かけてよ!夕飯は?まだでしょう?」
「ううん。実は食べてきたから。ごめん、連絡しなくて」
「そうなんだ。わかったわ。」
「おやすみ、凛子ちゃん、榊さん」
「おやすみ!」
僕はこれ以上2人とは居られないかもしれない・・・。
それから数日して、東さんは正也さん達の店の手伝いにきていた。 一樹さんも休みのようだ。
「東さん、今度ダンスイベントやるんだけど、どうかな?」
「なにそれ!楽しそうですね」
「すごいじゃん。イベント任されるなんて」
「まぁ、このイベントにはある条件があるんだ」
「条件?」
「必ずペアで参加して欲しい!」
「えー?また無茶なことを・・・・」
一樹さんは、少々あきれているみたいだ。
「1年に一度の七夕なんだぞー」
「なるほど、七夕にちなんでね。ってか最初から、そう言えよ(笑)」
「ちなみに、参加費は無料です」
と、和葉さんはニコニコして答えた。
「えっ?いいの?」
「まぁ、これはボランティアみたいなもんだし」
「でも、たくさんの人に来てもらいたいからみんな、張り切ってクチコミよろしくね!」
「なんか楽しそう!僕も仲間誘ってみる」
「それがいいよ。あと、東さんは、榊さんと凛子さんも誘っておいてな?」
「うん、OK!もちろんだよ!」
ザァーザァー
「今日は、やな雨だよなぁー」
そう今日は、朝から大雨。
「嫌な雨・・・・」
その頃凛子さんは1人デザイン画を書いていた
「東さん、遠いのに手伝ってもらっちゃってありがとうな。今日のバイト代はちゃんと出すから」
「そんなのいいですよ!どうせ、暇ですから!いつでも呼んでくださいよ。この雨だから、外でダンス出来ないし」
「・・・・・・」
と、妙に明るく振りまう東さんに正也さんは気づいていて・・・
「もしかして、凛子さんと2人きりになるのが怖いとか?」
「えっΣ(゚д゚;)そんなまさか何言ってるんですか」
「・・・・(ふーん。図星だな)」
正也さんは勘づいていた。
その頃、
カラン
筆ペンを落としてしまい・・・
「あっ、拾わなきゃ・・・・」
落としたペンを拾おうとした瞬間、胸に激痛が走り・・・・
「・・・・・っ・・・・」
その反動で、車椅子から落ちてしまった凛子さん。
ガッシャーン
「わお」
「ごめんなさい、正也さん」
割れたカップを拾おうとして・・・
「っ」
東さんは、指を切ってしまい
「大丈夫か?東さん。和葉!包帯」
「あっ、大丈夫、コレくらい」
「ダメです。バイ菌入ったら大変だから」
「ワンワン」
異常を感じたラッキーは凛子さんの傍に来た。
「・・・・・ラッキー、携帯・・・・取って・・・」
「ワンワン」
ラッキーは、携帯をくわえ、凛子さんに渡した。
そして、彼女はかろうじて誰かに電話をかけようとしていた。
「よし、これで大丈夫」
「ありがとうございます」
そして、凛子さんがかけた相手に電話が・・・・・・
ピリリリピリリリ
「・・・・・・」
鳴っているのは東さんの携帯。
「・・・・・!?」
東さんも、掛けてきた相手にビックリしたようで?
「東さん?」
「凛子ちゃんからだ」
「出てあげなよ。なんかあったんじゃないか?」
「もしもし?」
東さんがその電話に出ると・・・・・
「・・・・もし・・・もし?裕・・・・助けて・・・・・」
すごく苦しそうな彼女の声・・・。
しかも、助けてって・・・・
「もしもし?大丈夫?凛子ちゃん?」
「・・・・・」
その声は、聞こえなくなってしまい・・・・
あの日の東條さんを思い出してしまう。
「どうした?」
「・・・正也さん、どうしよう。凛子ちゃんに何かあったみたい・・・・すごく苦しそうだった」
「そりゃあ、大変だ。東さん、今すぐ行ってやれよ。西田さんに連絡しとくから」
「えっ?でも・・・・」
「いいから、行ってやれよ!早く行かないと・・・・彼女、苦しんでるんだろ?」
「うん・・・(きっと、凛子ちゃんは榊さんを呼びたかったんだよね)」
そう思いながらも僕は、家に向かった。
お願いだ!無事でいて!
「凛子ちゃん!」
急いで中に入り・・・・
倒れている彼女をベットに運んだ。
彼女は、すでに気を失っていた。
そのあと、西田さんと、西田さんのお兄さんも来てくれて診察をしてくれた。
「・・・・・」
凛子ちゃんは、落ち着いたみたいだ。
「疲れが溜まってるみたいだから、2、3日ゆっくり休ませてあげてだって。」
「良かったぁー。声が聞こえなくなった時はどうしようかと思ったぁー。ありがとう、西田さん」
「うん」
「・・・・・」
東さんの横顔を見た西田さんは勘づいた。
「(東さん、もしかして彼女のこと)」
だけど、これはきっと聞いちゃいけないこと。
「東さん」
「はい?」
「・・・榊さんには、連絡した?」
「・・・・はい。でも、すぐには行けなくてごめんなさいってさっきメールもらいましたから」
「そっか。でも、呼んだ相手が、東さんだからよかった。意識失いそうになっていて全然知らない人に電話かけちゃうよりは・・・・」
「・・・・・」
「それじゃあ、俺はこれで失礼するよ。またなんかあったら呼んでな?」
「本当にありがとうございます」
「そう言えばさ、思い出した。東條が倒れた時も、東さんが見つけてくれたんだよな?」
「はい、僕も同じこと思ってました。でも、あの時は何も出来なかったけど・・・・」
「東條さん!しっかりしてください!」
「だけど、ラッキーに誰かを呼んでくるように頼んで」
「来てくれたのが西田さんでしたね。」
懐かしい。
懐かしいのに、なぜか切ない
「じゃあ、おやすみなさい」
「うん、おやすみ。」
そう言って西田さんは帰って行った。
程なくして、
「・・・・・あれ?」
凛子さんが気がついた。
「あれ?ここ・・・・」
じぶん、確か・・・胸が痛くて・・・
「あっ!凛子ちゃん、気がついたんだね。気分はどう?」
「うん、もうだいぶいいみたい」
「そっか、良かった。倒れていた時すごく苦しそうだったから」
「えっ?でもどうして大地くんが?」
「(覚えてないんだ)君が電話してきたのは、榊さんじゃなくて僕だったから。ほら」
と、履歴を見せる。
「ほ、本当だ。」
「ほら、最初のあ行だから!」
と、笑って見せた
「そう、だったんだね・・・」
「榊さんは近くにいないからすぐに来れないんだって。僕は正也さんの店にいたから。」
「・・・・・・」
「・・・・・」
沈黙が少し流れたあと、
「そ、それよりさ、疲れが溜まってるって聞いたよ?ねぇ?また、徹夜したでしょ。それに、朝から具合い悪かったんじゃないの?」
「えっ・・・・」
「朝ごはんあんまり食べてなかったの、僕知ってるよ?見てないとでも思った?」
「み、みてたの?」
「朝ごはんは、しっかり食べなきゃ!」
「・・・・・」
「ごめん、説教して。今日はもう、ゆっくり休みなよ。で、徹夜はしばらくは禁止!!また、倒れて欲しくないし。それから、これ、薬。」
「・・・ありがとう、大地くん」
「それじゃあ、おやすみなさい!また、明日」
と、部屋から出ようとしたが
「待って」
と、凛子ちゃんに袖を掴まれ
「えっ?」
「あの、眠るまでいてくれないかな?」
と、言われた。
「・・・・・いいよ」
そして、薬を飲んだ凛子ちゃんは、薬が効き始めたのか、寝息を立て始めた。
そして僕は、心の声をつい、呟いてしまった。
「ねぇ?凛子ちゃん・・・・。もしも、もしもだよ?榊さんに振られることがあったら・・・・そのときは、僕が付き合ってあげるからね?だって、僕は・・・・」
「・・・・ん」
「!!!( ゚д゚)ハッ!!!!」
(やばい)
「・・・・・」
よかった。寝てる
そして
「おやすみ、凛子ちゃん」
これ以上自分が変なこと言わないように、部屋から出てきた。
そして、ドアを閉めると?
「・・・・(大地くん?)」
なんか言ってた?
そして、ドアの向こうでは
「(な、何言ってんだ僕は・・・・・)」
頭を抱えてしゃがみ込んだ。
(あの後のセリフは?)
凛子さんが、東さんが行ってしまったドアを見てそう思っているのを知らずにいた。
・・・僕は、「凛子ちゃんのことが好きだ」と言ってしまいそうだった。
だから、部屋から出てきた。
そして、ぼくは少しずつ決意した。
《おかえりなさい》
そう、凛子ちゃんと、榊さんは付き合いはじめようとしていた。
《東さんは?》
「《それがまだみたいで・・・。さっき、遅くなるって》」
《そうですか。もう、寝ましょう。疲れているでしょう?》
と、凛子さんの車椅子を部屋まで押して、行こうとしたが・・・
「《裕!》」
《えっ?》
凛子ちゃんは、榊さんを《裕》と呼んだ。
「《私があなたの苦しみや悲しみを・・・・あなたのその思いも、全部受け止める!だから・・・・》」
と、車椅子で彼に抱きついた。
《・・・・・・》
と、そこへちょうど東さんが帰ってきて
2人のそんなシーンを見てしまい
「・・・・!?」
ズキン
「・・・・・」
彼は、2人にわからないように部屋に入った。
パタン
《・・・・・!?》
そんな僅かな音に、榊さんは気づいた。
そう、誰かが来たら光センサーが教えてくれるはずで・・・・
《・・・・・》
「《あれ?大地くん帰ってきたのかな・・・・》」
《・・・・・みたいですね。》
夜遅いから、呼び鈴も鳴らさなかったのだろう。
そして東さんは
「・・・・・・・」
(どうして見えるようになっちゃったんだろう。
ふたりを・・・笑って祝福するって決めたのに・・・・・。どうすれば・・・・)
《・・・・・・》
ドアにもたれて暫く動けずにいると・・・・
コンコンと、ノックをされ、
「大地くん!おかえりなさい!」
と、凛子ちゃんの声。
「た、ただいま。ごめん。もう寝てると思ったから。(あと・・・邪魔になると思ったから、声かけなかった。)」
「もう、帰ってきたならちゃんと声かけてよ!夕飯は?まだでしょう?」
「ううん。実は食べてきたから。ごめん、連絡しなくて」
「そうなんだ。わかったわ。」
「おやすみ、凛子ちゃん、榊さん」
「おやすみ!」
僕はこれ以上2人とは居られないかもしれない・・・。
それから数日して、東さんは正也さん達の店の手伝いにきていた。 一樹さんも休みのようだ。
「東さん、今度ダンスイベントやるんだけど、どうかな?」
「なにそれ!楽しそうですね」
「すごいじゃん。イベント任されるなんて」
「まぁ、このイベントにはある条件があるんだ」
「条件?」
「必ずペアで参加して欲しい!」
「えー?また無茶なことを・・・・」
一樹さんは、少々あきれているみたいだ。
「1年に一度の七夕なんだぞー」
「なるほど、七夕にちなんでね。ってか最初から、そう言えよ(笑)」
「ちなみに、参加費は無料です」
と、和葉さんはニコニコして答えた。
「えっ?いいの?」
「まぁ、これはボランティアみたいなもんだし」
「でも、たくさんの人に来てもらいたいからみんな、張り切ってクチコミよろしくね!」
「なんか楽しそう!僕も仲間誘ってみる」
「それがいいよ。あと、東さんは、榊さんと凛子さんも誘っておいてな?」
「うん、OK!もちろんだよ!」
ザァーザァー
「今日は、やな雨だよなぁー」
そう今日は、朝から大雨。
「嫌な雨・・・・」
その頃凛子さんは1人デザイン画を書いていた
「東さん、遠いのに手伝ってもらっちゃってありがとうな。今日のバイト代はちゃんと出すから」
「そんなのいいですよ!どうせ、暇ですから!いつでも呼んでくださいよ。この雨だから、外でダンス出来ないし」
「・・・・・・」
と、妙に明るく振りまう東さんに正也さんは気づいていて・・・
「もしかして、凛子さんと2人きりになるのが怖いとか?」
「えっΣ(゚д゚;)そんなまさか何言ってるんですか」
「・・・・(ふーん。図星だな)」
正也さんは勘づいていた。
その頃、
カラン
筆ペンを落としてしまい・・・
「あっ、拾わなきゃ・・・・」
落としたペンを拾おうとした瞬間、胸に激痛が走り・・・・
「・・・・・っ・・・・」
その反動で、車椅子から落ちてしまった凛子さん。
ガッシャーン
「わお」
「ごめんなさい、正也さん」
割れたカップを拾おうとして・・・
「っ」
東さんは、指を切ってしまい
「大丈夫か?東さん。和葉!包帯」
「あっ、大丈夫、コレくらい」
「ダメです。バイ菌入ったら大変だから」
「ワンワン」
異常を感じたラッキーは凛子さんの傍に来た。
「・・・・・ラッキー、携帯・・・・取って・・・」
「ワンワン」
ラッキーは、携帯をくわえ、凛子さんに渡した。
そして、彼女はかろうじて誰かに電話をかけようとしていた。
「よし、これで大丈夫」
「ありがとうございます」
そして、凛子さんがかけた相手に電話が・・・・・・
ピリリリピリリリ
「・・・・・・」
鳴っているのは東さんの携帯。
「・・・・・!?」
東さんも、掛けてきた相手にビックリしたようで?
「東さん?」
「凛子ちゃんからだ」
「出てあげなよ。なんかあったんじゃないか?」
「もしもし?」
東さんがその電話に出ると・・・・・
「・・・・もし・・・もし?裕・・・・助けて・・・・・」
すごく苦しそうな彼女の声・・・。
しかも、助けてって・・・・
「もしもし?大丈夫?凛子ちゃん?」
「・・・・・」
その声は、聞こえなくなってしまい・・・・
あの日の東條さんを思い出してしまう。
「どうした?」
「・・・正也さん、どうしよう。凛子ちゃんに何かあったみたい・・・・すごく苦しそうだった」
「そりゃあ、大変だ。東さん、今すぐ行ってやれよ。西田さんに連絡しとくから」
「えっ?でも・・・・」
「いいから、行ってやれよ!早く行かないと・・・・彼女、苦しんでるんだろ?」
「うん・・・(きっと、凛子ちゃんは榊さんを呼びたかったんだよね)」
そう思いながらも僕は、家に向かった。
お願いだ!無事でいて!
「凛子ちゃん!」
急いで中に入り・・・・
倒れている彼女をベットに運んだ。
彼女は、すでに気を失っていた。
そのあと、西田さんと、西田さんのお兄さんも来てくれて診察をしてくれた。
「・・・・・」
凛子ちゃんは、落ち着いたみたいだ。
「疲れが溜まってるみたいだから、2、3日ゆっくり休ませてあげてだって。」
「良かったぁー。声が聞こえなくなった時はどうしようかと思ったぁー。ありがとう、西田さん」
「うん」
「・・・・・」
東さんの横顔を見た西田さんは勘づいた。
「(東さん、もしかして彼女のこと)」
だけど、これはきっと聞いちゃいけないこと。
「東さん」
「はい?」
「・・・榊さんには、連絡した?」
「・・・・はい。でも、すぐには行けなくてごめんなさいってさっきメールもらいましたから」
「そっか。でも、呼んだ相手が、東さんだからよかった。意識失いそうになっていて全然知らない人に電話かけちゃうよりは・・・・」
「・・・・・」
「それじゃあ、俺はこれで失礼するよ。またなんかあったら呼んでな?」
「本当にありがとうございます」
「そう言えばさ、思い出した。東條が倒れた時も、東さんが見つけてくれたんだよな?」
「はい、僕も同じこと思ってました。でも、あの時は何も出来なかったけど・・・・」
「東條さん!しっかりしてください!」
「だけど、ラッキーに誰かを呼んでくるように頼んで」
「来てくれたのが西田さんでしたね。」
懐かしい。
懐かしいのに、なぜか切ない
「じゃあ、おやすみなさい」
「うん、おやすみ。」
そう言って西田さんは帰って行った。
程なくして、
「・・・・・あれ?」
凛子さんが気がついた。
「あれ?ここ・・・・」
じぶん、確か・・・胸が痛くて・・・
「あっ!凛子ちゃん、気がついたんだね。気分はどう?」
「うん、もうだいぶいいみたい」
「そっか、良かった。倒れていた時すごく苦しそうだったから」
「えっ?でもどうして大地くんが?」
「(覚えてないんだ)君が電話してきたのは、榊さんじゃなくて僕だったから。ほら」
と、履歴を見せる。
「ほ、本当だ。」
「ほら、最初のあ行だから!」
と、笑って見せた
「そう、だったんだね・・・」
「榊さんは近くにいないからすぐに来れないんだって。僕は正也さんの店にいたから。」
「・・・・・・」
「・・・・・」
沈黙が少し流れたあと、
「そ、それよりさ、疲れが溜まってるって聞いたよ?ねぇ?また、徹夜したでしょ。それに、朝から具合い悪かったんじゃないの?」
「えっ・・・・」
「朝ごはんあんまり食べてなかったの、僕知ってるよ?見てないとでも思った?」
「み、みてたの?」
「朝ごはんは、しっかり食べなきゃ!」
「・・・・・」
「ごめん、説教して。今日はもう、ゆっくり休みなよ。で、徹夜はしばらくは禁止!!また、倒れて欲しくないし。それから、これ、薬。」
「・・・ありがとう、大地くん」
「それじゃあ、おやすみなさい!また、明日」
と、部屋から出ようとしたが
「待って」
と、凛子ちゃんに袖を掴まれ
「えっ?」
「あの、眠るまでいてくれないかな?」
と、言われた。
「・・・・・いいよ」
そして、薬を飲んだ凛子ちゃんは、薬が効き始めたのか、寝息を立て始めた。
そして僕は、心の声をつい、呟いてしまった。
「ねぇ?凛子ちゃん・・・・。もしも、もしもだよ?榊さんに振られることがあったら・・・・そのときは、僕が付き合ってあげるからね?だって、僕は・・・・」
「・・・・ん」
「!!!( ゚д゚)ハッ!!!!」
(やばい)
「・・・・・」
よかった。寝てる
そして
「おやすみ、凛子ちゃん」
これ以上自分が変なこと言わないように、部屋から出てきた。
そして、ドアを閉めると?
「・・・・(大地くん?)」
なんか言ってた?
そして、ドアの向こうでは
「(な、何言ってんだ僕は・・・・・)」
頭を抱えてしゃがみ込んだ。
(あの後のセリフは?)
凛子さんが、東さんが行ってしまったドアを見てそう思っているのを知らずにいた。
・・・僕は、「凛子ちゃんのことが好きだ」と言ってしまいそうだった。
だから、部屋から出てきた。
そして、ぼくは少しずつ決意した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる