運命のルーレット

藤原葉月

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8話 最終話

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「僕も実は運命の出会いをしたよ?」
「えっ?ウサギさんも?」
周りからは不思議に思われる光景だろう。
着ぐるみを着たまま話すなんて・・・。
「なんか、変だね(笑)」
(ほんとだ。君と僕の間には、偶然がたくさんあったから)
「花火、きれいだね。
こんなときに。花火なんて」
・・・・いろんな偶然・・・
それがたぶん・・・僕たちの"運命" 
「その運命の出会いをした男の子には、好きな人がおったんや。年上の幼なじみで、すごくきれいな人・・・その人、1度だけうちに会いに来たんやで?
「告白したから、付き合うことになりそうだ」って。
だから、よかったね!って言うたんや。なぜなら、その彼にはずっと笑顔でいてほしかったから」
「・・・・・・」
「しあわせでいてほしかったから、相談にも乗ったんや」
「・・・・・・・」
「けど、ある日気づいてしもたんや・・・
うち、その男子のことが・・・好きやって・・・
大好きやって・・・」
「!?」
「って、なんでウサギさんに話してるんやろ(笑)でも、スッキリした・・・・・キーホルダーは、諦める。あんなに人がおったもん。
きっと踏まれたか、盗られたかどちらかやわ。あきらめろってことやわ」

僕(勇気)と知らずに自分の気持ちを伝えてくれたみとさんが愛しくて・・・・

「(あの)」
「ウサギさん、聞いてくれて、おおきに」
「・・・・・」
「じゃあん。これ、なぁんだ」
「・・・?」
どうみても誰かに渡すプレゼントにしか見えないけど・・・・

「早いね。もう、バレンタインだよ?」
「あっ、そっか。日付変わったのか・・・」
「これはな、さっきの男の子に渡す予定やったんやけど・・・・」
(えっ?僕に?)

「うちからの、ささやかなプレゼントや❤️」
そう言って、みとさんは、そのプレゼントを、僕に渡そうとしている。

「聞いてくれて、ありがとう」
「(いいの?)」
ちょっと手話っぽく話してるのに、なれてきた(笑)

「うん、ええよ❤️ふふっ、ほんまに知り合いみたいやな。ほな、さようなら」
彼女は、それだけ言うといってしまった・・・・

僕はしばらく放心状態だった。
「ちょっと!勇気!なんで、追いかけねぇんだよ!」

「えっ?見てたんですか?」
思わず着ぐるみをはずす僕。
「当たり前だろ?せっかく告白されてんのに、正体もあかせないなんてどんだけびびってんだよ💢」
「いや、でも、僕、ウサギですよ?」
「とにかく、ちゃんと返事しろよ」
「どうやって?」
「お前がみとと知り合ったきっかけを、教えろよ」

「話してませんでしたっけ・・・・。バスのなかで、みとさんが荷物の忘れ物をしたんです」
「えっ?荷物?」
「あっ、はい。すごくたくさん荷物を、持っている子だなって、乗ってるときから、思ってましたが・・・・案の定、降りるときに忘れていって・・・・」
「ははっ、みとらしいな」
「僕も、降りる予定でいたんで・・・」
「へぇーそんな出会いしてたんや」

だから、名前知ってたんや

「でも、そのときの僕は、美鈴さんを見かけたから降りる予定でいて・・・」
「つまり、見かけなかったら、降りなかったし、荷物を渡してあげることもなかったってことか?で?そのあと、どうしたんだ?」
「その荷物が重そうだったから、家まで運んであげました。たくさん荷物があるのは、失恋したから模様替えするためだとか・・・・」
「・・・・・」
「初めて会った女の子の部屋に、初めて会った日に行くなんて、失礼だし、どうかしてるとは思ったけど・・・・そこには彼女らしい写真がたくさんあって・・・・
そう考えたら、大阪に戻るのは意味あるものだなって・・・」
「それから?」
「それから、お互い、また会う気がするよねって言って・・・」

「すげ~」
「そのあと、岡田が女の子を、紹介してくれるって言う話を持ってきたんだ」
「なるほどな」
「まさか、みとさんが告白してくれるなんて・・・・」
「今日は、バレンタインデーだから、女からの告白は当然だろ?それに、お前の返事はもう、《yes》なんだろ?おまえの心はみとに向いてるんだろ?
だったら、運命を、信じろよ!」
「だけど、みとさんは今日の朝、大阪に・・・・」
「おいっ!勇気!いま、何時だよ」
「何時って・・・もう、深夜1時ですよ?」
「よし、今日は、帰ろうか。きっと神様は味方してくれる。
勇気、しっかり休めよ?寝不足で、目の下にクマができてたら、みっともねぇしな」

(今日の、幸助さん、なんだかはりきってるな)

「はぁ~、なんかつかれたわ」

自分の部屋に戻ってきたうちは、その場に座り込んだ。


そして、朝、目が覚めると・・・・荷物を改めて整理した。
「この部屋ともしばらくお別れやな」

カーテンを開けて、深呼吸をした。

「今日も、ええ天気になりそうや」
そう言って、カーテンをしめて、出かける準備をした。

朝日が差し込むこの部屋が好きやった。


その頃、

「勇気、これ・・・」
「これって、みとさんの?
なんで、岡本が、持ってるんだよ」
「あっ、これ、岡本が見つけてたらしくて・・・」
「な、なんで言ってくれなかったの?」
「いや、偶然外れてくれて・・・・シナリオ考えてたんや」
「はぁ?」
「そしたら、全然違う方向いくし・・・渡せなくなるし・・・」
「まぁ、いいじゃん。これで、次のシナリオは決まったしさ!」
「えっ?シナリオって・・・
ドラマみたいな結末にする自信はないけど・・・・」
「いいから、昨日のウサギはお前だって
気づかせろよ」
「・・・でも・・」
「そうしなきゃなー、このシナリオの意味がねぇんだよ!」
「そうですけど・・・」
「俺たちは、手伝うだけだ。
あとは、お前がなんとかしろ」
「ほら、あのバスだろ?」

みとさんが乗るバスに、僕も乗った・・・

気付かれないように・・・


いつもと変わらない・・・

懐かしいな・・・

たった、12日前なのに・・・・

ビー

みとさんがボタンを押した。

と、一緒に降りて(気付かれないように・・・)
(話さなきゃ・・・昨日のウサギは僕だって)
そう、決意したとき・・・

「あの~、すみません」
「えっ?」
おばあさんが、困っていて・・・
「この店にいきたいんじゃが・・・地図がよくわからなくてねぇ」
「あっ、その店なら・・・」
僕は、ついいつもの癖で人助けをしてしまった

そうこうしている間に、みとさんを見失った。
当たり前か・・・

「なにやってるんだよ、あいつ」
「人助けをしとるで?こんなときに・・・・」
「二人とも助けて!」
「えっ?」
「二人が、ずっとついてきてるの知ってましたよ?どうせ、様子気になっていたんでしょ?みとさんが、どっちいったか、知りませんか?」
「えーっと」
岡本は、正直に答えようとしてくれたが、

「バカっ!勇気!運命は、自分で切り開くもんなんだ!自分で考えろよ」
「そんなこと言われても・・・」
「大丈夫。みとはまだ、東京にいるから」
「ありがとうございます。僕がんばります」

僕はしばらくバス停を探していた。

「みとさん」
みとさんは、空を眺めながらベンチに座っていた。
そういえばみとさんは、待ち合わせをすると、空を見上げていたっけ?


「空って色んな表情するんだよ」
「うん。わかる」
「そういえば、みとさんが撮る写真は空の写真だね」
「ねぇ、勇気君。神様の存在って信じる?」
「僕は信じてるよ。でも、ある人にはバカにされるんだ。」
「勇気君は、お医者さんになって色んな人を助けるからまさに神様になるんだよね!」
「なれたらね。そんな存在になれたらいいけど・・・・」

「なれるよ!勇気君なら!優しいし、イケメンだし!」
「そうかなぁ~」
みとさんはいつも、僕の味方をしてくれた。

そういうみとさんも、僕と過ごした日々を思ってくれていたんだ。

「勇気君の宿題とても、難しそう」
「そりゃあ、難しいよ。でも、医者になれたら全部役立つことばかりなんだ。」
「そうやんな。勇気君、やさしいし。きっと、患者さんも信頼してくれるいいお医者さんになれるよ!勇気君なら、きっと救ってくれるって思えるわ」

そういってくれるのは、あとにも先にもみとさんだけだった。

「さようなら、勇気君。うちの運命の人・・・・」

そう呟いているのを聞きつつ・・・・

「 みとさん」
「えっ?勇気君?なんで?なんで、いるんや」
「みとさん、これ忘れ物・・・・」
勇気君が、うちの手のひらにに渡してくれたんは、ウサギのキーホルダー・・・・

「えっ?なんで?なんであるん?
それに、踏まれてないし・・・・どういうことなん?」
「それは、みとさんに会いたいっていう僕の気持ちが、そのキーホルダーに伝わったから」
「・・・・・」
「神様のイタズラってやつじゃないかな」
「なんで?忘れようと思ったのに・・・」
「忘れるって、僕のことを忘れようとしたの?」

「だって勇気君は、美鈴さんを忘れられなくて、それに付き合うんやろ?」
「僕はそれを直接君に話したかな?」
「美鈴さん以上に好きになった女の子がいるって言うてたのを聞いてしもて・・・」
「なんだ、途中まで聞いていたんじゃん」
「怖くてこれ以上聞けやんくて・・・だから」
「だから、大阪に逃げようとした?」
「違うもん。逃げようとしてないもん。」
「でも、僕のことを忘れようとしたんでしょ?」
「忘れようとしても、忘れられやん!どうしてくれるんや!!」
(どっかで聞いたセリフだ。
・・・あっ、美鈴さんも、言ってたセリフか(笑))

「で?そっちこそどうしてくれるの?僕の気持ちをちゃんと、聞いてないでしょ?」

「そんなんわかってるわ。勇気君はうちのことを、友達としか見てないんやろ?
それに、チョコはもうないんや。だから告白する必要が・・・」

「チョコって、これのことかな?」

「えっ?」
勇気君は、小さな包みを見せる。
そう、勇気君の手には昨夜、ウサギの着ぐるみに渡したはずのチョコがある。
「な、なんで、勇気君がそれを持ってるんや・・・・」
「なんでって。君が僕にくれたんでしょ?」
「えっ?だって、うちはウサギに・・・・なんでや」

みとさんは、パニクっていた。
自分の気持ちも、チョコもしっかり僕に届いている驚きと、戸惑いと、嬉しさが1度に押し寄せていた・・・・・・
「僕の返事を、聞いてくれる?」
「いや、あのな・・・えーっと・・・それ、義理なんや、ほら、勇気君には・・・・」
「なんで、逃げるかな?」
みとさんは、なぜだか後ずさりしている。

うち、言うてしもたんや・・・
着ぐるみに?
「うち、その男の子のこと好きや」

中身を勇気君と、知らずに・・・

「えーっと、昨日は・・・・」
うちは、わけわからん。
後ずさりしていたけど、

「きゃあ」
「みとさん!」
ぐいっと引っ張られ、勇気君の胸に抱かれている・・・・・?
「僕も、みとさんが好きだよ」
「うそや」
「嘘じゃないです。本気で好きだ」
「・・・・・・」
うちは、涙が出てきた・・・

「勇気君・・・ありがとう・・」
「そこは、関西弁じゃないの?」
「あはは。どっちでもええやん!」
うちは、勇気君の腕のなかですごく幸せやった。


「やっと、くっついたのかよ。世話が焼けるぜ」
「幸助さん、あそこにおるの千里さんやろ?」
「うわっ!やべ!待たせてたの忘れてた」
「(笑)また、怒られますね」
「うるさい!お前は仕事に行けよ」
「は~い」

そんなやり取りをしている二人・・・
見たかった。

「ねぇ、勇気君、うちは週一回会いに行くわ」
「じゃあ、僕も会いに行く。」
「遠距離恋愛になっちゃうね」
「大丈夫だよ。電話もメールも、ちゃんとするし」
「ほんまに?」
「(笑)ほんまに」
「約束やで?」
「約束・・・・」
そういって、静かに見つめる勇気君。
「どうしたの?勇気君・・・」
「みとさんが、可愛かったから・・・もう一回・・・確かめさせて・・・・」
勇気君は、優しく抱き締めてくれた。

「大好きや」
そのあと、うちら、キスをした。

「じゃあ、勇気君またね!」
「うん。みとさん、元気でね」
わたしたちは、これからも続いていく。

運命のルーレットは、ハッピーエンドで止まった。

大好きだよ!運命の人、勇気君!
    
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