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出会い
第2話
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「西田君、おはよう!」
「・えっ?おはよう?」
気が付くと、日が暮れていた。
「って、なんでおまえがここにいるんだよ」
「そっちこそ~そんなところで寝ていたら、風邪引くよ?」
「・・寝てた?俺が?」
「呼んでもなかなか返事ないし、来てみたら寝てるし。
あっ、でもねぇ・・・・起こしちゃ悪いと思って、ずっと寝顔見てたよ」
「気持ち悪いことするなよ」
「・・・泣いてたの?」
「お、おまえには、関係ないよ」
自分の泣き顔を見られるのがいやだから、そっぽを向いた。
「あ、今からさーサークルのみんなで飲みに行くんだけど、よかったら一緒に行かない?」
「・・・行かないよ・・・」
「西田君は、まだ二十歳じゃないの?」
「・・・・・」
「そういう僕は飲まないんだけどね。というか、正確には、まだ飲めなくて。」
「じゃあ、誘うなよ。悪いけど、俺も飲まないから。二十歳になっても飲もうとは思わないし・・・」
「いいじゃん!僕は、西田君と友達になりたいから誘いたいって言ったんだ。
それに、みんなと飲むって言っても、お酒とは限らないよ?みんな飲む人には見えない人ばかりだから。」
「俺は、友達なんかいらないよ」
「ふーん・・・」
「わかったんなら、さっさと帰れよ。俺は、忙しいんだ」
「もしかして、なにかから逃げてるの?」
「えっ?」
「そんな生き方して疲れない?」
「うるさいな・・・しつこいよ」
「なんで人の顔見ないの?僕は、西田君にちゃんと前を見てほしい。」
「なんで、おまえにそんなこと指図されなきゃならないんだよ」
「それは・・・・僕は、君の気持ちがわかるから・・・・」
そう言うと、東條は泣いた。
「・・・なんで泣いてるんだよ・・・」
これは演技か?
俺は騙されないぜ?
演技に決まってる。
「とにかく僕は、西田君と友達になりたいだけなんだ。
君が、うんって言うまでしつこいから。」
「・・・・・?」
「だから、覚悟してね」
そう言ってにっこりした。
「勝手にしろよ!」
そう言って、俺は窓を閉めた。
「友達なんて・・・2度と作らない・・・」
そう呟いた。
あいつも同じなんだ。
きっと・・・・
だけど、あいつが流した涙のいみを、深く受け止めていなかった。
もし、あのとき彼のことをもっと早く知っていたら、きっともっと長く彼といられたんだろう。
それに気付くのはもっと先のこと。
俺が人と向き合うようになるのも・・・・
気になって外を見るとあいつは・・・東條は・・・・
まだ俺を見ている。
気づかれるのが嫌でそっぽを向いた。
「夕飯でも食べるか・・・・」
と、一人黙々と作り始めた。
あいつの顔を忘れようと必死だった。
「・えっ?おはよう?」
気が付くと、日が暮れていた。
「って、なんでおまえがここにいるんだよ」
「そっちこそ~そんなところで寝ていたら、風邪引くよ?」
「・・寝てた?俺が?」
「呼んでもなかなか返事ないし、来てみたら寝てるし。
あっ、でもねぇ・・・・起こしちゃ悪いと思って、ずっと寝顔見てたよ」
「気持ち悪いことするなよ」
「・・・泣いてたの?」
「お、おまえには、関係ないよ」
自分の泣き顔を見られるのがいやだから、そっぽを向いた。
「あ、今からさーサークルのみんなで飲みに行くんだけど、よかったら一緒に行かない?」
「・・・行かないよ・・・」
「西田君は、まだ二十歳じゃないの?」
「・・・・・」
「そういう僕は飲まないんだけどね。というか、正確には、まだ飲めなくて。」
「じゃあ、誘うなよ。悪いけど、俺も飲まないから。二十歳になっても飲もうとは思わないし・・・」
「いいじゃん!僕は、西田君と友達になりたいから誘いたいって言ったんだ。
それに、みんなと飲むって言っても、お酒とは限らないよ?みんな飲む人には見えない人ばかりだから。」
「俺は、友達なんかいらないよ」
「ふーん・・・」
「わかったんなら、さっさと帰れよ。俺は、忙しいんだ」
「もしかして、なにかから逃げてるの?」
「えっ?」
「そんな生き方して疲れない?」
「うるさいな・・・しつこいよ」
「なんで人の顔見ないの?僕は、西田君にちゃんと前を見てほしい。」
「なんで、おまえにそんなこと指図されなきゃならないんだよ」
「それは・・・・僕は、君の気持ちがわかるから・・・・」
そう言うと、東條は泣いた。
「・・・なんで泣いてるんだよ・・・」
これは演技か?
俺は騙されないぜ?
演技に決まってる。
「とにかく僕は、西田君と友達になりたいだけなんだ。
君が、うんって言うまでしつこいから。」
「・・・・・?」
「だから、覚悟してね」
そう言ってにっこりした。
「勝手にしろよ!」
そう言って、俺は窓を閉めた。
「友達なんて・・・2度と作らない・・・」
そう呟いた。
あいつも同じなんだ。
きっと・・・・
だけど、あいつが流した涙のいみを、深く受け止めていなかった。
もし、あのとき彼のことをもっと早く知っていたら、きっともっと長く彼といられたんだろう。
それに気付くのはもっと先のこと。
俺が人と向き合うようになるのも・・・・
気になって外を見るとあいつは・・・東條は・・・・
まだ俺を見ている。
気づかれるのが嫌でそっぽを向いた。
「夕飯でも食べるか・・・・」
と、一人黙々と作り始めた。
あいつの顔を忘れようと必死だった。
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