それぞれの空

藤原葉月

文字の大きさ
8 / 15
突きつけられた真実

第8話

しおりを挟む
それから2週間、彼らのもとへ通い続けた。
東條が、倒れてからなぜか彼が気になって仕方がなかった。
だから、決めたんだ。
劇団・・・というか、サークルに入るって・・・・。
しばらく彼らといてわかったことがある。
「楽しい」って。
やっと、そう思えるようになった。
・・・というのもあるけど・・・・
俺にはまだ、よくわからない。

ただ彼が・・・、
東條が・・・
どこか遠くへいってしまいそうな予感がするからだ。
仲間を残して・・・・。
あんな夢を見たあとだし・・・
俺、おかしいのかな。
そう思って東條の方を見ると・・・・

「理子さんと東條・・・・」
俺はいつのまにか夏木さんを、理子さんと呼んでいた。
二人は、外でなにかをはなしている。
「お願い、宏人戻って・・・。
じゃないと、あなた・・・」
また、雨が降りだしている。
今度は誰の心を示しているのだろう。
「なっちゃん、ごめん。今は戻れない・・・。だって今戻ったらやりたいことできないもん。もう少しだけこのまま・・・」
そう言って、東條は走っていってしまった。
「あの・・・理子さん」
「西田さん・・・・」
「あの?戻るってどこへですか?」
「・・・ごめんなさい。言えないの。いくらあなたでも・・・まだ・・・」
「えっ?まだって、どういうことですか?」
彼女は、なにも言わずにいなくなってしまった。
これが、どういうことなのか俺は、知らなかった。
やっぱり、東條は人に言えない秘密を抱えている気がする・・・。
あの二人をぎこちなくさせる何かがあるんだ。

そして、その不安が的中した。
ある日、俺の携帯が鳴った。
正也さんからだった。
「えっ?東條が?」
その電話の内容に驚いた。
「・・・うん、わかった。大丈夫。いま、試験終わったから。すぐ行くよ」

西田病院 
「父さんの病院だ。」
よかった・・・。
なぜかそう思った。
俺はまだ、東條に伝えたいことあるのに・・・・。
「はぁはぁ」
俺は息を切らしていたけど、落ち着かせたつもりで病室に入った。 
「西田君、どうしたの?そんなに息切らして・・・
試験は?
それに、びしょ濡れじゃん。」
「おまえがまた、倒れて、今度は入院したって聞いたから・・・・」
「なんかね、風邪をこじらせちゃったみたいで、検査入院ってやつだよ。熱が下がれば、退院できるって。大袈裟だよね。ごめんね。」
「・・・無理するなって、言っただろ?」
「心配して走ってきてくれたんだ」
傘を挿すのも忘れるくらい心配だった。
母さんが、倒れたのもこんな雨の日だった。
ただの風邪だから心配するなって笑っていたけど・・・・。
「ばかやろう・・・」
「西田君?」
「お前、やっぱりどこか悪いんだろう?夏風邪なんて嘘だろ?まだ、顔色悪いし・・・ちゃんと、話してくれよ!」
「大丈夫。寝不足なの」
「お前はそればっかりだ。心配してるのに・・・」
「それよりさ、ここって・・・」
「あぁ、俺の父さんの病院だ。」
「西田君のお父さんって医者だったんだね。」
「お前変わってるよな。この前俺が言ったこともう、忘れたのかよ」
「そうだよね。しかも、お父さんが僕の担当してくれるみたいだし。これって、偶然かなぁ?」
「あぁ、聞いたよ」
「西田君は、継がないの?」
「兄さんたちがいるからな。俺は好きなことやっていいって」
「そっか、そう言えばそんなこと言ってたね。いいなぁ~兄弟がいて。
僕はね、一人っ子だし、なんか、うらやましいな」
「・・・・・」
「っていうか、実は親に捨てられたんだよね。だから、兄弟もいるかさえ知らないし、わからないの。
気がついたら、施設にいたし。 
「えっ?捨てられた?お前が?」
「話してなかったっけ?」
「初耳だよ」
「意外?」
「そりゃあ、お前が明るいから・・・・」
そんな素振りを誰にも見せなかったから。
確かに、東條は、まだ、自分のことを話してくれてないのもあるけど・・・ 
「これでも1人で頑張ってきたんだよ?」
「そっか、お前ももしかしたらひとりで抱え込み過ぎたんだよ、きっと。」
「そうかな」
「そうだよ。だから、たまには、休息も必要だ」
「西田君が、そんなこと言ってくれるようになるなんて」
「お前のせいだよ」
「僕のせい?」
「そうだよ。だから、ゆっくり、休めよ?俺はこれから大学に戻ってみんなに、お前の具合の報告するから。正也さんも行けなくてごめんなさい。って言ってたし。」
「もしかして、サークルに入ってくれるの?」
「お前がちゃんと、風邪を治したら、考える」
「本当?じやわあ、頑張ってみる」
「頑張ることかよ(笑)約束だ。無理をしないことと、病院は、抜け出すなよ?お前のことだから何かあると絶対抜け出しそうだから・・・・」
「うん、・・・わかったよ」
「じゃあ、お大事に」
俺は、そう言って病室を、出たが、今度は違う胸騒ぎがした。
病院を、出たところでラッキーが、来ているのに気づいた。
「ラッキー?どうした?」

ラッキーが、怪我をしている?
でも、これ・・ラッキーの血じゃない・・・。
まさか、東さんの?」 
「ワンワン!」
ラッキーは、この間と同様、ついてきて!という感じで俺をみた。 
そして、大学に戻ると・・・・
「東さん!!」
俺は、練習場の小屋の近くで倒れている東さんを発見した。
「大丈夫ですか?」
「その声は・・・西田さん?」
弱々しく答える東さん。
足に怪我をしている。
「僕は大丈夫です。でも、せっかくみんなで作ったセットが・・・」
そして、傍らで怯えている3人の姿が・・・。
「みんな!大丈夫ですか?」
「西田さん!西田さんのことを、探しています」
「えっ?俺を?」
「彼が・・・」
榊さんが、震える手で俺に紙を渡す。
その紙には・・・・ 

゛小屋の中にいる゛と、書かれていた。

「誰?」

小屋にはいると、そいつは、振り向いた。
「久しぶりだな。西田君。」

不気味に笑っているそいつは、俺が、一生・・・
二度と会いたくなかったやつだ。
「なんでお前がいるんだ。一体、なんのようだよ」
「それは、こっちのセリフ。お前さ、こんなちんけなことやってるんだ。あんな障害者たちと一緒にいて、楽しいのかよ」
「ちんけなこと?これのどこが、ちんけなことなんだよ!これは、立派なことだ。彼らだって、必死に生きてるんだ。」
「耳が聞こえないやつとか、目が見えないやつとか、必要以上に震えるやつとか・・・はっきり言って使えなくてつまんねえじゃん
お前も本当は、そう思ってるだろ?」

そりゃあ、最初は、驚いたけど・・・・
でも、俺は、この数週間で彼らといることが、自分にとってすごく居心地がいいってわかったんだ。


「あなた一体なにしたの!」
そこへ、理子さんも来てしまった 
「理子さん!来ちゃダメだ!」
俺は、思わずいつもの名前で言ってしまった!
「へぇー、理子さんかぁ。そう言えば、西田、お前の愛しい女も゛里子゛って言ったよな?可愛かったなぁ・・・ヒヒヒ」
彼は、不気味な笑みを浮かべた。
「理子さんには、手を出すな。他のみんなも、これ以上手を出すな。
俺が憎ければ、俺だけを傷つければいいじゃないか!」
これ以上誰かが傷つく姿を見たくない。
もう二度と、あんな思いもしたくない!
「お前のせいで俺は、どれだけ傷ついたかお前にはきっと、一生わからないだろうな。
だけど、今、俺は、彼らのおかげでもう一度生まれ変わろうとしてるんだ。邪魔するなよ」
「ふーん。それは、それはご苦労様」
「お前のことを、親友だと思っていた俺がバカだったよ。お前とはもう、縁を切ったはずだ。頼むから、もう二度と俺の前には現れるな!」
「それはあいにくできないね。いいはなしを持ってきたんだ。俺とお前の仲じゃん。」
「もう二度と、その手には乗らない。そのせいで里子は・・・・」
「ふふふ。お前が言うことを聞かないからもう一度愛しの理子さんを・・・」
「やめろ!理子さんは、関係ない!ここにいるみんなは、俺の大事な仲間なんだ。やっと、心からそう思えるようになったんだ!傷つけたら、許さないから!
さっきも言ったけど、俺だけで充分だろ?さぁ、外へ行こう」

この場から離れなきゃと思った。
そうしなければ同じことを繰り返してしまうって。
「物足りないんだろう?」
「よくおわかりで」
そいつは、理子さんの手を離そうとしない。
「痛い!離して!!」
「ワンワンワン!!ウー」
「な、なんだこの犬!」
思わず、理子さんの手を離し、あっちにいけと言ってるが、歯を剥き出しにして、怒っているラッキー。今にも噛みつきそうだ。
「みんな!今のうちに逃げて!
なっちゃんも!西田くんも!早く!」
そこに現れたのは・・・
「東條?な、なんで・・・」
「理由は、後だ!とにかく、早く!」
でも、東條は、倒れそうだ。

「理子さん、行くよ!」
俺は、理子さんの手をとると、走り出した。
そして、倒れそうな東條の手を取ると、
「東條・・・大丈夫か?」
「・・・うん、なんとか」
そう言っていつもの笑顔をくれる。
「待て西田。まだ、話は終わっていない。」
「もう二度と来るな!なにも言わずに消えてくれ」
このままだと何をするかわからない。
俺は、やつの顔を見ずに言った。
「へぇー、お前今にも死にそうな顔をしているな。
っつーか死ぬんじゃないの?あははははははは
西田、おまえは、とことん不幸なやつだな」
「・・・君が、西田くんを傷つけた、元親友って人?」
東條は、彼に歯向かおうとしている。
「東條、いいから行こう」
これ以上、ここにいたら・・・
「君のような人は、もう二度とここには入れないよ。
というか、君のような人は、仲間に入れないよ」
「死にそうなやつがに偉そうなこと言ってるんだよ」
「やめろよ!」
俺は、彼が東條の胸倉を掴んだから押し倒した。
「彼は、俺の大事な親友だ。悪いけど、お前以上に、大事な親友なんだ。やっと見つけた心許せる親友なんだ。」
「何が親友だよ!くだらねぇ!そうやって一生、お友達ごっこでもしてろ!!」
そう言って、机を蹴り飛ばし、出ていった。

「東條さん!大丈夫ですか?西田さんも・・・」
「うん、大丈夫だよ。みんなに、怪我がなくてよかったよ」
「よくないよ、東條。なんできたんだよ!抜け出すなって言ったばかりなのに・・・・」
「見えたんだよ・・・西田君が、血相を変えてラッキーと、病院を出ていったのを、見ちゃったんだ・・・
そのあと、ここへ来たら、ラッキーの鳴き声が普通じゃないし・・・・」
東條は、そういうと、なんだか苦しそうにしている。

「いいから、少し寝てろよ」
約束しただろ?今は、自分の身体を、治すことを考えるって。これ以上無理をすると、入院長引くぞ?」 
「・・ごめんね、みんな」
「・・・もい、こないですよね?」
正也さんと、一樹さんは、震えている。
「驚かせてごめんなさい。
もう、大丈夫。
思う存分練習してください」
「でも、東さんが・・・・」
「大丈夫です。躍りには差し支えありませんから。」
「西田君、やっと笑ってくれたね」
東條は、椅子に座って言う。
「久しぶりなんだ。こんな風に誰かを守りたいって思えたのは・・・・。 」

きっと、忘れていたんだと思う。
「宏人、大丈夫?」
「なっちゃん・・・ごめんね、心配かけて」
「なんだよ。仲直りしたじゃん」
「仲直り?」
二人は同時に振り向いて答えた。
「付き合ってるのに、ぎこちないし」
「僕たちケンカなんてしてたっけ?」
「そんな風に見えました?すいません。お騒がせしました」
「いいえ、どういたしまして」
「西田さんの彼女も、゛里子さん゛って言うんだね。さっきの彼が・・・・」
「なっちゃん、それは・・・」
「いいんだ、東條。俺の彼女は、佐々木里子って言うんだ。彼女は、この世にはもう、いない」
「えっ?いないって・・・」
「さっきの彼にに騙されて、襲われて、そのショックで自殺したんだ」
「自殺・・・?そんな・・・わたしったら・・・ごめんなさい!!」
「それだけじゃない・・・彼は、俺から無理やり里子を奪ったんだ。・・だから・・・」
俺は、すべてを、話そうと頑張ったけど・・・・
言葉がつまってうまく伝えられなくなってきた。
「もう、いいよ・・西田君・・・」
「でも、ちゃんと話さないと・・・・」
「そんなの話す必要ないよ。辛いこと思い出させる権利なんてないもん。」 
「そうですよ、西田さん。西田さんが、こうやって、僕たちを助けてくれただけで充分です。」
「・・ありがとう、みんな」
そして・・・

「東條、1度病院に戻ろう・・・
父さんも心配している。メール入ったから・・・

理子さん、よろしくね」
「はい」
「えー、みんなともっといたいよ」
「検査入院が終わるまで外出禁止。ここにも立ち入り禁止」
そして、呼んでおいたタクシーに無理やり乗せた。
「西田病院まで」
と、運転手に伝えた。
不服そうな彼の顔がなんだかおかしくて・・・

「早く治せよ?」
そう言った。
彼が重い病気じゃないように願いを込めて・・・・

だけど、俺の願いは叶わなかったんだ。
こんな形で知ってしまうなんて・・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

Husband's secret (夫の秘密)

設楽理沙
ライト文芸
果たして・・ 秘密などあったのだろうか! むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ  10秒~30秒?  何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。 ❦ イラストはAI生成画像 自作

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。

設楽理沙
ライト文芸
 ☘ 累計ポイント/ 180万pt 超えました。ありがとうございます。 ―― 備忘録 ――    第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。  最高 57,392 pt      〃     24h/pt-1位ではじまり2位で終了。  最高 89,034 pt                    ◇ ◇ ◇ ◇ 紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる 素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。 隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が 始まる。 苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・ 消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように 大きな声で泣いた。 泣きながらも、よろけながらも、気がつけば 大地をしっかりと踏みしめていた。 そう、立ち止まってなんていられない。 ☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★ 2025.4.19☑~

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...