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最終話
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僕にとって最後の公演の日が来た。
多分これが、人生最期の日になると思う。
その、最期の公演の日。
車椅子に乗る僕を押してくれているのは、西田君だ。
「東條。いや、宏人。俺はお前に出会えて、本当に良かった。お前に会わなかったらきっと、閉じこもったままだった。人と笑って話すことも、前にむくことも出来なかった」
「・・・・そうだね。間に合ってよかった」
「青い空を見ることが出来たのは・・・、全部お前のおかげだよ。ありがとう」
「西田君、なんか詩人になったね」
「これもお前の影響だよ、きっと」
「まさか、西田君のお父さんが担当だなんて・・・・」
「俺も、父さんの患者だとは思っていなかった。父さんも、宏人も途中まで気が付かなかったんだよな?」
「(笑)うん、そうなんだよ。今となっては、いい笑い話だよ。お父さんによろしく伝えてよね!お世話になりましたって」
「・・・・・・・」
西田君から、笑顔が消える。
「ねぇ?なんで黙るの?そこ、笑うとこだよ?」
「宏人・・・お前まさか・・・・」
「さぁ、行くよ?時間ないんだから」
体も痺れてきて、手足がゆうことをきかなくなっていた。
薬の効果もすぐに切れてしまうだろう。
だから、いまのうちに伝えられることは伝えなきゃ。
「ねぇ?西田君、なっちゃんのこともよろしくね?」
「「えっ?な、何言ってんだよ。彼女はお前の・・・・」
「信じてる。西田君ならきっと・・・・。ううん・・・、絶対なっちゃんを幸せにしてくれるって。なっちゃんを任せられる人だって。なっちゃんを幸せに出来るのは、もう、西田君しかいないんだよ?」
「・・・・・・」
「約束だよ?」
と、小指を出した。
最初は戸惑っていた西田君だけど・・・・同じく小指を出してくれて・・・・
「わかったよ」
と、言ってくれたんだ。
これで、安心して逝けるよ。
「西田君に会えて良かった。西田君が、変わってくれてよかった」
と、西田君の方を見て言うと・・・・
「宏人・・・・」
と、照れくさそうに呟く。
「もう、何時でも天国にいける。だって、僕の願いはもう、叶ったから」
「お前の願いって、俺に会うことだけだったのか?」
「うん、そうだよ?大学の受験の日が運命の始まりだったな。」
「何かの恋物語かよ」
「あれ?これってまだ話したこと無かったっけ?」
「初耳ですが」
「その時の西田君の顔、よく覚えてるよ?
僕が、病院で命の短さを知った時よりも死にそうな顔してた。よっぽどショックが大きかったんだろうって」
「・・・・・・」
「でも今は違うね。ちゃんと前を見てるから。」
「宏人」
「ねぇ?僕の最期の演技、見てくれる?」
「でも、これ以上・・・・」
「いいんだ・・・・。もうダメだって自分でわかるんだ。だけど、僕のちゃんとした演技、みんなに見てほしい。」
その時間は、思ったより早くやってきた。
「・・・・これが最後だよ?みんな、よく見ていてね」
「東條さん」
みんなは泣きながら、僕の方をじっと見つめている。
みんなに伝える最期の言葉。
「さよならは、言わないでおくね?寂しくなっちゃうから」
車椅子から降りると、僕はニッコリと笑い、最後の最後まで体を使って踊り続け、演じ続けた。
音楽が止まり、演じきったと安心したら、全身の力は抜けて僕の目の前は真っ暗になった。
もう、僕はこの世には戻れない。
でもね、僕は今までの僕にさようならと、これからの僕にこんにちわを言うように演じたんだ。
きっといつかまた彼らに会えるって信じてるから。
そして、数年後のある日・・・・
東條によく似た男の子が元気よく走っている。
その後ろを歩いているのは、なっちゃんと、西田君だ。
「なぁ?理子。宏人は、あの宏人ににてるよな?」
「・・・・そうね、とてもよく似てる。特に目が似てるわ。同じ名前をつけたからかしら」
と、二人は幸せそうに笑っている。
「きって、俺たちの子供だから・・・。いや、あいつの生まれ変わりだから・・・だろうな」
「(笑)そうね、そうかもしれないわ」
二人は手をつなぎながら歩いていて幸せはそうだ。
あの桜並木を、3人並んで歩いていた。
そうだよ!僕は2人に逢いに来たんだよ!
これからもよろしくね!
「あれ?なんか言ったか?」
「えー?なにも言ってないわよ?」
「パパ!ママ!早く早く!」
宏人は、2人を急かしている。
これから会う仲間がいるんだ。
幸せにね!2人とも!!
ぼくはいつまでも見守っているからね!!
終わり
多分これが、人生最期の日になると思う。
その、最期の公演の日。
車椅子に乗る僕を押してくれているのは、西田君だ。
「東條。いや、宏人。俺はお前に出会えて、本当に良かった。お前に会わなかったらきっと、閉じこもったままだった。人と笑って話すことも、前にむくことも出来なかった」
「・・・・そうだね。間に合ってよかった」
「青い空を見ることが出来たのは・・・、全部お前のおかげだよ。ありがとう」
「西田君、なんか詩人になったね」
「これもお前の影響だよ、きっと」
「まさか、西田君のお父さんが担当だなんて・・・・」
「俺も、父さんの患者だとは思っていなかった。父さんも、宏人も途中まで気が付かなかったんだよな?」
「(笑)うん、そうなんだよ。今となっては、いい笑い話だよ。お父さんによろしく伝えてよね!お世話になりましたって」
「・・・・・・・」
西田君から、笑顔が消える。
「ねぇ?なんで黙るの?そこ、笑うとこだよ?」
「宏人・・・お前まさか・・・・」
「さぁ、行くよ?時間ないんだから」
体も痺れてきて、手足がゆうことをきかなくなっていた。
薬の効果もすぐに切れてしまうだろう。
だから、いまのうちに伝えられることは伝えなきゃ。
「ねぇ?西田君、なっちゃんのこともよろしくね?」
「「えっ?な、何言ってんだよ。彼女はお前の・・・・」
「信じてる。西田君ならきっと・・・・。ううん・・・、絶対なっちゃんを幸せにしてくれるって。なっちゃんを任せられる人だって。なっちゃんを幸せに出来るのは、もう、西田君しかいないんだよ?」
「・・・・・・」
「約束だよ?」
と、小指を出した。
最初は戸惑っていた西田君だけど・・・・同じく小指を出してくれて・・・・
「わかったよ」
と、言ってくれたんだ。
これで、安心して逝けるよ。
「西田君に会えて良かった。西田君が、変わってくれてよかった」
と、西田君の方を見て言うと・・・・
「宏人・・・・」
と、照れくさそうに呟く。
「もう、何時でも天国にいける。だって、僕の願いはもう、叶ったから」
「お前の願いって、俺に会うことだけだったのか?」
「うん、そうだよ?大学の受験の日が運命の始まりだったな。」
「何かの恋物語かよ」
「あれ?これってまだ話したこと無かったっけ?」
「初耳ですが」
「その時の西田君の顔、よく覚えてるよ?
僕が、病院で命の短さを知った時よりも死にそうな顔してた。よっぽどショックが大きかったんだろうって」
「・・・・・・」
「でも今は違うね。ちゃんと前を見てるから。」
「宏人」
「ねぇ?僕の最期の演技、見てくれる?」
「でも、これ以上・・・・」
「いいんだ・・・・。もうダメだって自分でわかるんだ。だけど、僕のちゃんとした演技、みんなに見てほしい。」
その時間は、思ったより早くやってきた。
「・・・・これが最後だよ?みんな、よく見ていてね」
「東條さん」
みんなは泣きながら、僕の方をじっと見つめている。
みんなに伝える最期の言葉。
「さよならは、言わないでおくね?寂しくなっちゃうから」
車椅子から降りると、僕はニッコリと笑い、最後の最後まで体を使って踊り続け、演じ続けた。
音楽が止まり、演じきったと安心したら、全身の力は抜けて僕の目の前は真っ暗になった。
もう、僕はこの世には戻れない。
でもね、僕は今までの僕にさようならと、これからの僕にこんにちわを言うように演じたんだ。
きっといつかまた彼らに会えるって信じてるから。
そして、数年後のある日・・・・
東條によく似た男の子が元気よく走っている。
その後ろを歩いているのは、なっちゃんと、西田君だ。
「なぁ?理子。宏人は、あの宏人ににてるよな?」
「・・・・そうね、とてもよく似てる。特に目が似てるわ。同じ名前をつけたからかしら」
と、二人は幸せそうに笑っている。
「きって、俺たちの子供だから・・・。いや、あいつの生まれ変わりだから・・・だろうな」
「(笑)そうね、そうかもしれないわ」
二人は手をつなぎながら歩いていて幸せはそうだ。
あの桜並木を、3人並んで歩いていた。
そうだよ!僕は2人に逢いに来たんだよ!
これからもよろしくね!
「あれ?なんか言ったか?」
「えー?なにも言ってないわよ?」
「パパ!ママ!早く早く!」
宏人は、2人を急かしている。
これから会う仲間がいるんだ。
幸せにね!2人とも!!
ぼくはいつまでも見守っているからね!!
終わり
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