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第12話
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「東條さんって、本当にお人好しですよね・・・」
東さんが呟いた。
見えないながらも今のやり取りが彼には見えていたのだろうか?どんな風に映っていたのだろう。
「あんなに傷つけられたのに・・・・」
ぼくは、そういうみんなの会話に入ろうとした。
「みんな、大丈夫?」
「こっちこそ、ごめんな?東條・・・。俺のせいで・・・・。大丈夫か?」
「ねぇ?僕、20歳になったよ!」
「そっか、今日は、誕生日だったんだな。おめでとう!みんなでお祝いしなきゃな」
「本当だ!宏人さん、おめでとう!」
みんなは、口々に僕にお祝いの言葉を言ってくれた。
「宏人、おめでとう・・」
西田君が名前で呼んでくれた?
「西田君、初めて名前で呼んでくれたね!嬉しいよ、ありがとう!」
それが一番のプレゼントだよ
でも僕は、目の前が真っ暗になりかけていた。
だけど倒れちゃダメだと思った。
いま、倒れたら・・・・みんなにバレてしまう。
きっと、戻れなくなる
「・・・・・・」
「東條?」
「だ、大丈夫・・・片付けしよう・・・・・」
「でも、顔色が普通じゃない。すぐ、医者に・・・・・」
「うん、そうだね・・・・・少し疲れたかも・・・・・」
僕はやはり、立っていられなくなり意識を失った。
「東條!大丈夫か?」
西田君は、抱きとめてくれたみたいだけど・・・・僕にはその一言しかきこえなかった。
ねぇ?西田君。
この半年間、僕の心はすごく充実していたんだよ?
やっと念願叶って君に会えたから。
西田君は、僕のために泣いてくれた。
病気だと知った僕のことを守ろうとしてくれた。
そして、初めて名前で呼んでくれた。
「宏人!お前が、俺の空だよ!」
僕が、西田君の「空」だと言ってくれたこと。
「お前に会えてよかった」
西田君が、初めて笑ってくれたこと・・・・。
忘れたくないんだ。
死ぬ前にもう一度見たかったなぁー・・・・。
「お前も1人で苦しむなよ。今は、他人のことより自分のことを考えてくれよ!宏人!」
僕の病室で泣きながら叫ぶ西田君の声が聞こえた!
「西田君?」
僕はまだ、生きてる?
目を覚ますと、見慣れた天井と、西田君の顔・・・・。
「宏人、大丈夫か?いま、父さんを呼んでくるから」
「へへっ。まだ、死ねないね。だって大事な公演がまだ残ってるし・・・・」
「許さないから・・・・」
「えっ?」
「これ以上、無理をしたら許さないからな」
そう言った西田君の目から涙が見えた。
・・・・もしかして、怒ってる?
「・・・いいから、寝てろ!」
照れ隠しなのか、それ以上何も言わずに病室を出ていった。
西田君のそんな心がやっぱり嬉しかった。
西田君が僕のために泣いてくれたこと。
涙声でそう言われてなんだか救われたんだ。
これが僕が叶えたかったことの全てだよ?
そのあとぼくは、みんなを集めて全てを話した。
僕の病気が進行していること、あと少しの命だということ。
それでも西田君のお父さん、先生はみんなと一緒にいる時間が大切だと、少しの間だけ外出を許してくれた。
そんな僕の事情を知ってみんなは涙を流してくれた。
そして、僕を引き止めることもしなかった。
「みんな、ありがとね。もう思い残すことはないよ。お客さんが楽しんでくれたらいいんだ」
と言うと
「そんなかっこいいこといま、言うなよ。お前は、生きるんだ!助かるんだ・・・・!俺たちはそう信じてる」
「・・・・うん」
怖くて逃げ出したいこともあった。
それは、みんなが優しすぎるから。
それでもこう言ってくれた。
「宏人、あなたはちゃんと生きてるじゃない。自分を信じて生きてきたんでしょう?だったら、最後まで生き抜いてよ。あなたらしく・・・・。それがあなたなんだよね?」
なっちゃんにそう言われて僕はどんなに救われたか。
みんなが帰ったあと、初めてなっちゃんの前で涙を流したぼくは・・・・
「宏人が泣くなんてね・・・・」
そうやってぼくの肩にもたれた。
「一つだけ叶わない夢は、みんなとずっと一緒にいたいという夢。
ずっと一緒に笑っていたいって心の底から言えるのに・・・。叶わないんだよね・・・」
そう呟いた。
僕は、実感したんだ。
いま、すごく幸せなんだと。
大好きな仲間に囲まれて、大好きなことをやっているから・・・・。
東さんが呟いた。
見えないながらも今のやり取りが彼には見えていたのだろうか?どんな風に映っていたのだろう。
「あんなに傷つけられたのに・・・・」
ぼくは、そういうみんなの会話に入ろうとした。
「みんな、大丈夫?」
「こっちこそ、ごめんな?東條・・・。俺のせいで・・・・。大丈夫か?」
「ねぇ?僕、20歳になったよ!」
「そっか、今日は、誕生日だったんだな。おめでとう!みんなでお祝いしなきゃな」
「本当だ!宏人さん、おめでとう!」
みんなは、口々に僕にお祝いの言葉を言ってくれた。
「宏人、おめでとう・・」
西田君が名前で呼んでくれた?
「西田君、初めて名前で呼んでくれたね!嬉しいよ、ありがとう!」
それが一番のプレゼントだよ
でも僕は、目の前が真っ暗になりかけていた。
だけど倒れちゃダメだと思った。
いま、倒れたら・・・・みんなにバレてしまう。
きっと、戻れなくなる
「・・・・・・」
「東條?」
「だ、大丈夫・・・片付けしよう・・・・・」
「でも、顔色が普通じゃない。すぐ、医者に・・・・・」
「うん、そうだね・・・・・少し疲れたかも・・・・・」
僕はやはり、立っていられなくなり意識を失った。
「東條!大丈夫か?」
西田君は、抱きとめてくれたみたいだけど・・・・僕にはその一言しかきこえなかった。
ねぇ?西田君。
この半年間、僕の心はすごく充実していたんだよ?
やっと念願叶って君に会えたから。
西田君は、僕のために泣いてくれた。
病気だと知った僕のことを守ろうとしてくれた。
そして、初めて名前で呼んでくれた。
「宏人!お前が、俺の空だよ!」
僕が、西田君の「空」だと言ってくれたこと。
「お前に会えてよかった」
西田君が、初めて笑ってくれたこと・・・・。
忘れたくないんだ。
死ぬ前にもう一度見たかったなぁー・・・・。
「お前も1人で苦しむなよ。今は、他人のことより自分のことを考えてくれよ!宏人!」
僕の病室で泣きながら叫ぶ西田君の声が聞こえた!
「西田君?」
僕はまだ、生きてる?
目を覚ますと、見慣れた天井と、西田君の顔・・・・。
「宏人、大丈夫か?いま、父さんを呼んでくるから」
「へへっ。まだ、死ねないね。だって大事な公演がまだ残ってるし・・・・」
「許さないから・・・・」
「えっ?」
「これ以上、無理をしたら許さないからな」
そう言った西田君の目から涙が見えた。
・・・・もしかして、怒ってる?
「・・・いいから、寝てろ!」
照れ隠しなのか、それ以上何も言わずに病室を出ていった。
西田君のそんな心がやっぱり嬉しかった。
西田君が僕のために泣いてくれたこと。
涙声でそう言われてなんだか救われたんだ。
これが僕が叶えたかったことの全てだよ?
そのあとぼくは、みんなを集めて全てを話した。
僕の病気が進行していること、あと少しの命だということ。
それでも西田君のお父さん、先生はみんなと一緒にいる時間が大切だと、少しの間だけ外出を許してくれた。
そんな僕の事情を知ってみんなは涙を流してくれた。
そして、僕を引き止めることもしなかった。
「みんな、ありがとね。もう思い残すことはないよ。お客さんが楽しんでくれたらいいんだ」
と言うと
「そんなかっこいいこといま、言うなよ。お前は、生きるんだ!助かるんだ・・・・!俺たちはそう信じてる」
「・・・・うん」
怖くて逃げ出したいこともあった。
それは、みんなが優しすぎるから。
それでもこう言ってくれた。
「宏人、あなたはちゃんと生きてるじゃない。自分を信じて生きてきたんでしょう?だったら、最後まで生き抜いてよ。あなたらしく・・・・。それがあなたなんだよね?」
なっちゃんにそう言われて僕はどんなに救われたか。
みんなが帰ったあと、初めてなっちゃんの前で涙を流したぼくは・・・・
「宏人が泣くなんてね・・・・」
そうやってぼくの肩にもたれた。
「一つだけ叶わない夢は、みんなとずっと一緒にいたいという夢。
ずっと一緒に笑っていたいって心の底から言えるのに・・・。叶わないんだよね・・・」
そう呟いた。
僕は、実感したんだ。
いま、すごく幸せなんだと。
大好きな仲間に囲まれて、大好きなことをやっているから・・・・。
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