絆物語

藤原葉月

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大切な人との時間

第40話

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その頃・・・

「・・・・・」
アルフは1人物思いに耽っていた。
レイナの言葉が頭から離れず・・・


「アルフ、ごめんなさい。私はヨシが好きなの」

「なぜだ、なぜあの男が・・・」

「たとえ報われない恋だとしても、思いが届くことがなくても・・・私は信じてる。ヨシが必ず心から笑ってくれることを」

「・・・・(納得がゆかない!)」
アルフは1人、馬に乗り走り出した。


辿り着いたのは・・・・


「ミュウ!」

ミュウが急に飛び出した、
「ミュウ?どうした?」

ヨシが追いかけて、抱き抱えると人影が近づいた。


「わたしは納得がゆかない。なぜ、おまえなんだ」

現れたのはアルフだった。
「!?」

「あ、あんたは・・・(たしかレイナさんの)」

「・・・・よけいなことをするな。この者は僕に用があってきたのだろう」
ヨシは勘づいたみたいだ。

「よくお分かりで」
「なんの用かはわからないが・・・あっちで話そう」

と、2人は歩き出した。

「俺はなんとなくわかる」
と、言うマサと、

「うん、僕も。きっとあのこと・・だよね?」


「ふーん?嫉妬ってやつか」

ゴウも気づいたみたいだ。

「・・・・・・・」

ジュンは少し違う目で見ていた。


「・・・・・・」

「手短に頼むよ」


「率直に聞く。お前はレイナ様のことをどう思っている」

「はぁ?どうって、別に・・・・・」


「お前は敵対する国の者!殺そうと思えばこの場で殺せる。だが、レイナ様のことを思えばそれは出来ぬ。レイナ様はお前といたら幸せになれない!!」


「・・・・ならお前が幸せにしてやれ」

とヨシは即答した。
「なっ!?」

「その方が、レイナが幸せになれるのだろ?」
「な、なんてこと!(こいつ、何を言っている)」


「そばにいてやれ」

「・・・・・」

「彼女はその必要はないのか?言っておくが守られたのは僕の方だ」

「・・・・・」

「いつも危険から救ってくれたからな」

ヨシは正直に答えた。

「・・・・・」

「そこは黙るところじゃないだろ?変なことを言ったか?」
「・・・・もういい(こんな鈍感なやつだったなんて。こんなに自分の気持ちに気づかないやつがいるだなんて)」
「なんだよ、もういいって!人に刃物を向けながら・・・」


「お前がもし、本当の気持ちに気づく時が来れば、その時は潔く諦めてやる」
「はぁ?なんの事だ」


「わたしは信じてる。ヨシが必ず心から笑ってくれることを・・・・・」



「なぜそんな顔をする!」


「そもそもお前が笑えば問題はないのだがな」

「笑うだと?この僕が?どういう意味だ」

「そこの仲間たち、世話をかけた。ヨシを返すよ。失礼する」

「ちょっと!」

「さらばだ」

その《アルフ》って人は馬に乗ると行ってしまった。

「何しに来たんだ?あの人は・・・(さらばって)」

「借りた人間を返すってこういうこと言うんだね(笑)」

「つまんない。ヨシさんってば全然言い返さないんだもん」
「お前らもしかして、ずっと聞いていたのか?」

ヨシは呆れている。

「そうだな、あの人に同情するよ。あんたがちっとも気づかないでいるからあの人は呆れたんだ」

「呆れた?何に気づいてないと言うんだ」
と、ヨシはゴウに聞こうとしたが、


「気づけばええんやろ?」

何故かこたえたのはジュンで・・・
「って、なんでジュンが答えるんだよっ」
「だから、ヨシさんが思いに気づけば・・・・」

「・・・・えっ?」

「いや?俺や・・・。俺があいつの思いに気づかなかったからあんなことに・・・・・」

「・・・・・ジュン?」

「みんなはええよな・・・・なんだかんだ思いが通じあっていて」

「ジュンどうした?落ち着けよ」

なぜかジュンの様子がおかしい。



【フフ】

「・・・・!?」

ヒロの顔色が変わった。

(この気は・・・・・)

「なんやイラついてきたわ」


ヒロは外に出てその気のする人物の近くに来た。
「待て!」
【あら、よくわかったわね】

「・・・・なぜだ」



【あの彼に仲間を裏切る〈種〉を仕掛けておいたわ】


「種?どうやって仕掛けたんだ!カナ!」

【あなた達が必要としている物にね】


「・・・・」
「ジュン!どうした」
ジュンは仲間に剣を向けていた。


「なるほどね。後悔ってこういうことかよ」

ゴウは気付きかけていた。
「僕らが必要としている物ってまさか・・・・」

ヒロは、宿に目を向けた。


「なんだよ、操られてるのか?」

「・・・・・!?」

「ヨシさんと同じ・・・」


「僕と?」

「ヨシさんが僕達をまだ信じてなかった頃と同じ目をしているよ?今のジュンは」
「・・・・・・」
「あの女(ヒト)の狙いは、たぶんだけど・・・。俺たちが持つそれぞれ《剣の力》だと思う」
「となると・・・・・」


「【お前たちの力を】」

ジュンの声が邪鬼を浴びたこえになる。

「ヤバいな、何とかしないとヒロさんもジュンもやられる」

同じ頃、カナと対立しようとしているヒロはなやんでいた。



「ここで力を使って攻撃をしたらきっとジュンくん本人にも影響が出る。どうすれば」


【その男を助けたければ・・・お前ら全員の剣の力を今すぐここで使いなさい】


「・・・・っ」

「君がそんなことのために使う力ではない!!」


「・・・・」


【待っていたわ。お前たちが心が通じなくなるのを】

とカナは言ったが・・・


「はぁ?心が通じなくなるだって?」

「どこが通じてないんだよ!!」

【この剣の力をまだ1度も試してないんでしょ?】



「カナ!」


【ふふふ、ムダよ。あの少年は既に】


「確かにまだ全部の力は出し切ってないかもな」

「(僕がまだ信じ切ってないから)」



【未熟な戦士たちが『仲間のために使う力』。あなたもまだ、信じてないでしょう?】


カナは、ニヤリと笑った。


【彼らが本当にその力を使いきれるか】


「・・・・・やめろ、ジュン」

「・・・・信じますよ・・・」

ヒロは真っ直ぐにカナを見た。


「僕は彼らを信じます」

彼らだってもう大人だ。

ここで何をすべきか、どうすればいいかもうわかるはずだ。


【その魂を掴んだらお前は死ぬよ?】

「それでも、大事な仲間のためだ!!」

魂に、剣を差し込んだのはヒロの方だった!


「な、なに?何が起きたの?」

じは頭を抱え始めた。

「うっ・・」


「ヒロさん・・・」

「さぁ、いきますよ」

ヒロが駆けつけた。


「ラジャー!待ってたぜ」

「・・・・・((。_。`)コク)」

「うん」
「よっしゃ!」

ビシッ

カナが持っていたクリスタルにヒビが入った。



「甘く見すぎですよ、カナ」

【・・・・・】

「僕たちの心はもう既に繋がっています」


「・・・・・」

「ジュン!大丈夫か?」
倒れかけたジュンを、ゴウは抱きとめた。


「・・・・兄さん?俺・・・」

「元に戻ったんだな。よかった」
と、優しく背中を叩いた。



「頭の中に聞こえてきたんだ。女の人の声で・・・・」
「・・・・」

【ちっ】
「・・・・・」

【でも、面白い。その力ますます奪いたくなる】

「カナ、奪いたいなら僕を倒しなさい」

と、ヒロがカナに向かう。
だが、

【いいわ!また今度・・・】

と、花吹雪と共に消えていった。


「待て!」

だが、彼女は姿を消してしまった。

「・・・・・」

ガクッと崩れるヒロ。

「ヒロさん!!」
駆け寄るケン。

「すまない。また逃がしてしまって・・・・」

「何言ってるんですか。ヒロさんも怪我をしている」
「僕は大丈夫です」

と、立ち上がった。

「ヒロさん、やっぱりあの人は・・・・」

「今回はなんとか戻せましたが・・・・こんなことが続けば・・・・」


「こんなことを続けていたら命を縮めるだけだ」
と、口を挟んだのは意外にもヨシで・・・・

「ヨシさん」

「な、なんだよ・・。僕は心配して・・・・」
「あんたさ、最近よくしゃべるようになったな・・・」


「わ、わるいか?な、なんだよみんなして・・・」

「いや?別に・・・・」


それでも、ジロっと睨まれ・・・・

「いや、だからなんで、睨むんだよ」

と焦るヨシを


「あはは!なんでもなぁーい。」
と、笑っているのはケンだけだった。

「まっ、いっか」
と言うマサと、

「そうだな。まぁ、いいや」

と言うゴウ。

「なんだよ、まぁいいって・・・・」


「・・・・・」


彼らは、確実に仲間として絆が深くなっていた。




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