絆物語

藤原葉月

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大切な人との別れ

第41話

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その頃・・・・

「( -ω- `)フッバカだな、わたしは・・・」

アルフはまたひとり物思いに耽っていた。


「お前が幸せにしてやればいい」

そういったヨシというやつ。

「なぜ他人の・・しかも恋敵を応援するような発言を・・・」



彼は敵対する国の王子だ。もっともその自覚がないようだが・・・・。

「あなたも知ればわかるわよ。ヨシはそんな人じゃないって」


「(はぁ、よりにもよってあんな男の・・・・)」
アルフは1人溜息をつき、馬に乗って帰ろうとした。

だが、その時だった!

「やめて!!」

助けを求める声?

「えっ?何事だ?」

「・・・・」

「あの娘はこの間の」

目の前にいるのは、この間ネックレスを落としたと言っていた少女?

【渡せ。それを渡せば危害は加えない】

相手は、その娘が持つ物を奪おうとしている?
「いやです!これは大切な形見なんです。あなたたちに渡すものではありません!」

娘は抵抗をしている。
そう言えば娘は言っていたな・・・

確か・・・

「これは大切なお守りなんです」

大事そうに持って帰っていたからどうやら嘘ではない。
なのにそれが狙われるなんて・・・・


【聞き分けのない小娘め!切り捨ててやる】

やつは、娘を切りつけようとしている!

「・・・(もうダメ)」

ミナミはもうダメだと思って目を瞑ったその瞬間!


カシャン
「!」

剣と剣が擦れ合う音がして、ミナミはそっと目を開けた。

「そなたがたは何者だ!!」

守ってくれた人が目の前にいた!

【ほぉ。お前はこの娘の恋人か?】
「何が目的ですか?金か?名誉か?」
【そんなんじゃねぇぜ】

と答えるやつら。

「あの・・・・」
「こいつらはどうやら魔物では無いようですね」
と、ミナミにコソッと言うアルフ。

「えっ?魔物?」

「ここは、逃げますよ」
と、ミナミの手を握るアルフ。
「えっ?でも・・・」

「いいですか?走りますよ?こいつらの相手をしている暇はないから」

「は、はい・・・・」

ミナミは手を握り返すと一緒に走りはじめた。



【待て!】

すると奴らは追いかけてきた。

「こっちです!」
逆にミナミは、アルフの手を引いた。

2人は、彼らから逃げ続けていた。



その頃・・・1人佇んでいるのはゴウだった。


手のひらを見つめ・・・

「力が・・・・」

何やら呟いていて?


そこに近づいてきた人物がいた。
「!?」
「そんな警戒するなよ。
ってか大丈夫か?」

「・・・なんだ。ヨシさんかよっ」
「なんだとはなんだ。遅いから迎えに来ただけだ」
「はいはいわかりました」

「なぁ、なんか隠してるのか?」

「!?」

なぜかピタリと止まるゴウ。
「僕たちに言えない何かがあるとか?」

「・・・あるわけないだろ?そんなこと。あをんたは心配しすぎだっちゅうの」
と、言ってヨシの横を通り過ぎた。


「・・・・・」

ヨシは混乱していた。

わからない。彼の何を見てればいいんだ。

「あー腹減った」

「・・・・・(彼のなにを見てろというんだ)」

ヨシはゴウの後ろ姿を見ながらレイナに言われたことを考えていた。

「やっぱり彼の・・・・」

遠く離れたレイナは気づいていたが・・・


なぁ?レイナ・・・僕にはまだ、わからない。

そう思いながら彼を追いかけていた。

そして、一足先に宿に着いたゴウは、迎えでてくれたジュンに

「あれ?兄さん。ヨシさんは?」

なんて言われたので・・・・、
「あのさぁ、1人で帰れるのに迎えにこさすなよなぁ!子供じゃねぇんだし」
「彼が迎えに行きたいと言ったんですよ?凄いレアじゃありませんか」

と、ヒロは言った。
「そうかもしれねぇけど、俺ら、並んで歩くように見えるか?」
「あはは!確かにー」
と、ケンは笑った。

「でもさ、ヨシさんも疲れていると思うのに・・・兄さんを迎えに行きたいっていってくれたんだよ?」

「にしては遅くねぇか?」

とマサ。

その頃ヨシは・・・

「ちくしょう、迷った」

↑方向音痴か?

だが、なぜか邪気を感じた。
「・・・・・!?」

そこに居たのは・・・

「どうも」

「えっ?君はアイカさん?目覚めたのか?」

「ねぇ?ジュンはどこにいるの?」

「・・・・〈身体がうごかない〉」
ヨシは金縛りにあったように身体が動かせずにいた。


【会いたいわ。居場所を教えて?】

こえがかわった!!

「あ、あんた・・・まさか操られて・・・・」

【いいから教えなさい!】

「な、なんだ・・・この空気は」

重圧をかけられていた。



「・・・!?」

ゴウが何かを感じたみたいだ。

「どうしたの?ゴウ・・・・」


「風が・・・・」

風が・・・・風向きが変わった?


【風使いのヨシ。さぁ、ジュンの居場所を教えなさい】




「くっ・・・・」

しかし、

「俺ならここにおるで?〈アイカ〉」


後ろにいたのは紛れもなくジュン本人。

いつの間に?

「ジュン!ダメだ!この子は操られている!」

「兄さんの代わりにヨシさんを探しに来たんや。来てよかったわ」

と言うジュン。

「聞けよ!この子は・・・・」

「実はさ、アイカの異様な気配を感じたんや。ヒロさんや、ケンの彼女さん達みたいに・・・・」
「えっ・・・・」

「大事な人の異様な気配をね・・・」

ジュンはヨシを守るように立った。
「なぜ・・・」

「だって、アイカが探しとるのは俺やろ?」

「ダメだ・・・・」


【ならば話しははやい。】

アイカは、ジュンの前に行き、
【この娘の魂を返す代わりに、あなたのその剣の力をくれる?】

「やはり、敵の狙いは剣!」

だが、ヨシは身体が動かせず何も出来ない。

剣をジュンに向け、

【私と勝負よ!ジュン】

「な、なんで!戦わなくちゃならないんだ!」

ヨシは叫んだが、
「ええで、アイカ。俺、散々お前に意地悪言うたし・・・。本当の名前もちゃんと言えやんかった」
「・・・・?なんか緩んだ気が・・・・」


「俺はそれでもお前を愛してる」

「・・・・!?(やっぱり、邪気が緩んでる)」

見ると、アイカさんの顔が変わってる?

〈愛してる〉

ジュンのその言葉で本当のアイカの心は目覚めたのだ。


「ジュン・・・・・」

彼女の声だ。
「・・・・・」

「ありがとう」
「アイカ?戻ったんか?」
元に戻ったアイカは、

「ジュンのためならこの生命、無くしてもいいよ?」
「えっ?まさか」
アイカは自分に剣を向けると・・・・・

「アイカ!止めろ!」
グサリと、アイカは自分を刺した!


「ジュン!今だ!」
ヨシは叫んだ!
「う、うん!」

ジュンは言う通り、出てきた敵を叩き切った!!

【ぐえー】



だが・・・・

「・・・・・・・」

「アイカ!アイカ!!」


「こ、これが・・・・・」



アイカは血を流していて・・・・

「なんでや!なんでこんなことに!!」



「・・・ジュンに会えて・・・・よかっ・・・た」

彼女はそれきりめをあけなかった。


「これが命の法・・・・」

ヨシも何も言えずにいた。
駆けつけた仲間たちも・・・・何があったのか
聞けずにいた。



「・・・・・ジュン・・・・」


「・・・・愛する人、大切な人に使えるたった一度の女の人の使命・・・・・」


彼らはただ、呆然とするしか無かった。












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