絆物語

藤原葉月

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大切な人との別れ

第45話

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数日後のことである。

「・・・・・・・」

アルフがなぜか1人で佇んでいて、それを発見したのは・・・

「アルフ?」

もうここには来ないと言っていたのに・・・・・。


そしてミナミはそっと近づくと・・・・


「ねぇ?どうしたの?」
と、かおをちかづけた。

「!?」

「もう来ないかと思ったのに」

「来るつもりはなかった・・・・」

「アルフって、逃げたい時にここに来るの?」

「違う!」
「じゃあ、私に逢いに来たとか?」

「それも違う!1人にさせてくれ・・・・」

と、切ない顔をされ・・・

「ふーん?素直じゃない人・・・」
とミナミはつぶやき、とりあえず1人にした。


近くにいた子供が、
「ねぇねぇ、ミナミねえちゃん、あの人はだぁれ?」

「しーっ🤫1人になりたいんだって。そっとしておきましょう?」
と、言った。
「じゃあ、早くこっち来てー」
と、子供に手を引かれ行ってしまったミナミ。

ミナミは子供たちと、歌を歌ったりして楽しそうにしていた。
そう言えば教会で働いていると言ってたな。

彼は穏やかな顔をしていつの間にかミナミをみていた。


「あら、アルフってばまた何処に行ったのかしら」


アルフは、なぜかレイナにどこへ行くのか報告せずにいた。



「ねぇねぇ、ミナミ姉ちゃん!あのお兄ちゃんは、本当は恋人でしょう?」
「・・・・!?」

↑何故か聞いている。

「・・・・・」
「あー!赤くなるってことは本当!」

「勝手なこと・・・」

と言いに行こうとしたが、
「違うわよ」

「えー?そうなの?」

「彼にはすごく好きな人がいるのよ?」

と、説明するみなみ。
「・・・・・!?」
それを聞いて動けずにいるアルフ。
「えー?だれだれだれ?」

子供たちは知りたいらしい。

「すごく綺麗な女王様よ?」
「えー?女王様?素敵だね!」


「・・・・(なぜ暴露する)」

と、それ以上動けずにいると・・・・

「ミナミ・・・・」

「ジョー・・・」

ある男性がミナミに近づいてきた。


「久しぶりだな」
「本当に久しぶり」

ミナミは笑顔を向けている。
「誰だ?あいつ・・・」

アルフはしばらく観察していた。


「アルフ兄ちゃん知らないの?」

「えっ?いつの間に私の名前を」

近くにいつの間にかきた子供にびっくりしたアルフ。

「あの人はね、ミナミ姉ちゃんの好きな人なんだよ?」

「えっ?」


なぜかちくんとむねがいたんだ。

そう言えば、自分には見せたことがない笑顔を向けている。

「ふーん?」



だが、私には関係ない事だ。



「ねぇ?ユーナは?結婚したんでしょう?」


「お前に頼みがあって・・・・」
「えっ?」



「あいつ、妻がいながらミナミに近づいているのか?」


「って言うかさ、その前にあの男誰?」

と、アルフは自分が指をさされていることに気づく


「えっ?(ギクリ)」

「アルフっていうの。ただのお友達よ?」

「ただのお友達のアルフだ」

「へぇ。お前の恋人かと思った」

「・・・・そう見える?」
「男だからな。そう見えるな・・・。少なくともお前の好みのタイプじゃないのか?」
「・・・・!?」

そんなことを言われ、下を向いたミナミは、涙を堪えながら・・・・

「ジョー・・・・頼みって?」

いや、ミナミはなみだをながしている。


それに・・・・今一瞬だけ、ジョーってやつに邪気を感じたような?


「俺の妹が人質に取られそうなんだ」


「えっ?人質?」

「・・・・・・」

「俺は妹を人質にしたくない」
と言う彼・・・・

だが、
「人質とはどういう事だ」

いても立っても居られなくなったのかアルフは、ジョーに問いただした。
「この国の〈掟〉だ。あんたには、関係ないだろ?」

「そのような掟はこの国に作ってなどいない!」

「な、何故それを知ってる」

「アルフ?」

「お前まさか〈城の者〉か?」
「・・・そうだ」
と言いかけたが

「アルフ、帰って!!」

と、前にミナミに立たれ、
「いや、しかし・・・・」

「・・・・・わかったわ・・・ジョー・・・・。私が代わりに人質になってあげる。幼い妹さんを大事にしたいですものね」

と、決意したように言うミナミ。

「ミナミ!!ダメだ!」

「いつ行けばいいの?」

アルフの叫びを無視し、ジョーに向き直るミナミ。

「悪かったなミナミ。たぶん、迎えが来るはずだ」


「・・・わかったわ」

「な、なんだ?この違和感は・・・・」


「・・・・・・」

「(あの男から悲しみの感情が、感じられない・・・・)」



「・・・・・・」

「(まるで物の怪にでも操られているかのようだ)」

「それじゃあ、ミナミ・・・・僕はこれで失礼するよ」
「えぇ」




そう言って行ってしまった。

「ミナミ!どういうこだ!」

「ねぇ?アルフ・・・・」

「えっ?」

「もう、アルフに会えなくなるかもしれないわね。せっかく知り合えたのに・・・・」

「ミナミ?」

「人質に取られたら、きっとここには生きて戻れないかもしれないし・・・・」

「まて。お前はまだあの男が好きなのか?」

「そうかもしれません。
例えあの人が、私のことを・・・・」


「だめだ、ミナミ!!」

アルフは、ミナミを後ろからだきしめた。

「アルフ?」

なぜだかわたしはミナミを抱きしめてしまっていた。


あの男のために涙するミナミに・・・・。
「やだ、アルフったらどうしたの?」
「いいか?ミナミ、子供たちを残して死ぬなよ?」
と、なぜか熱く語るアルフ。


「大丈夫よ、アルフ。必ず戻るから。死んだりしないわよ。さっきのは冗談よ?」
と、笑顔を向ける。

さっき戻れないかもしれないと言ったじゃないか!!

冗談に聞こえなかったでは無いか!!



わたしは心配だった。
〈人質〉に取られることがどんな試練であるのかミナミは知らないと思っていたから。

そして・・・

「ミナミ、今日は・・・あっいや、さっきはすまなかった」

あんなことして・・・・

「いえ」

「えー!アルフ兄ちゃんもう帰るの?」
「こら、わがまま言わない。彼には帰るおうちがあるのよ?」
「・・・・いや、また来るから」

「女王様が心配しておられるからねー?」

「・・・・・」

言い方。

「そ、それじゃあ」
「またねー!兄ちゃん」

子供たちは無邪気に手を振ってくれていた。
ミナミも笑顔で手を振る。


だが、わたしは不服にもさっき、彼女のことを守りたいと思った。
これは、嘘偽りではない。



「あなたにもきっとできるわよ」


そしてこの時に、はっきり気がついたのかもしれない。


彼女のことを
【愛している】と。

だが・・・・・


「・・・・アルフ・・・」

ミナミは、涙を流していた。

「ミナミ姉ちゃん?」
子供たちは心配そうにミナミの顔を見る。




「さようなら・・・・アルフ・・・・・」



ミナミが密かにそう呟いたのを知らずにいたのだった。











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