絆物語

藤原葉月

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大切な人との別れ

第46話

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アルフが城に帰ると?
「アルフ?遅かったわね」
と、レイナに迎えられ・・・ハッとした。
「すいません、レイナ様。あなたに頼まれたことを忘れてしまいました」


な、なんてことだ。私としたことが・・・。
「しっかりしなさいよ。」
「す、すみません。すぐやります」
「それにしても、あなたがそんなドジをするなんてね」

「・・・・」

「何かあったの?」
「い、いえ?特に何も無いですけど?💦」

でもなぜか顔を赤くするアルフ。

正直者である。

「それともいいことがあったのかしら?それとも・・・・悪いこと?」

「・・・・!?」

「・・・・・」

「悪いこと・・・。確かにこれは悪いことなのかもしれません」

「えっ?」
「あの?国の掟に、女を人質に取るとかあるのでしょうか・・・・?【ある男】が妹の代わりに、ミナミに・・・・」

と、その名を聞いたレイナは
「あら、アルフってばミナミに会いに行っていたのね」
と、からかった。
「いや、ですから最後まで話を・・・・」

「国の掟にそんなものは無いわよ?もしかしてその依頼した【男】に少しでも邪気を感じた?」

「はい・・・・ほんの少しですが・・・・」

「そう。だったらあなたはミナミを救いなさい」

「えっ?救う?」

「あなたしか助けられないわ」

「いや、しかし・・・・」

「人質にはいつ?」

「確か迎えが来ると言ってました・・・・」

「しっかり聞いていたのね」
「・・・・・」
「アルフ、頼んだわよ?」

「・・・・・・」

「他にも捕らえられてる人がいるかもしれないわ。ミナミ以外の娘さんたちも救ってあげて?」

「・・・・・はい」



アルフはすぐに向かっていった。



その頃。

「マサ!!」
嬉しそうにそう叫んでマサに抱きついた。


「ナミ!」
「おかえり!」

マサとナミが再会をしていた。



「ナミさん、元気そうだね」

「はい、よかったです」

ケンと、ひろの姿もあった。
「・・・・・」

もちろん、ヨシとジュンもいる。


「ナミ、あのさ・・・・」

「また、行ってしまうのね」

「ナミ、ごめん」

「寂しい・・・」

ナミさんの本音だ。

「あなたが帰ってこないかもって思ったら・・・・」
「・・・・・」

「ナミ・・・」

まさがなにか言おうとした時だった!


「また、この風!?」

「・・・・」
「ゆっくりしている暇はなさそうですね」
と、ヒロも呟いた。


「ナミ、お前は家に帰れ・・・」

「マサ」

マサの袖を掴むナミ。

「お前一人の体じゃないんだよな?」

「えっ?それって・・・・・」

「まぁ、そういうことだ」

「新しい生命があるってこと?」

「マサさんってばいつの間に・・・・」

「俺に帰る楽しみを与えてくれているだろう?」

「・・・・・・」

「必ず帰る。その子が産まれるまでに・・・!それが目標だ!」

「うん、そうだね」


「・・・・・」

「行こう!」


「・・・」

「大丈夫だから」

「信じてる」

そう言って行こうとしたが・・・・

【フフフフ、馬鹿な人間達だ】

「・・・・・」

よしは後ろを振り返った!


「ヨシさん?」

ヨシは矢を構えた!
「そこにいるのは誰だ!」

「・・・・・」


「お前か?」

【バカばかり】

「!?」


「ナミ!?」
いつの間にかナミを人質に捕らえられていた!

「なんでだ?」

「この女の・・・・・」


「マサ!逃げて!」

「やつの気配に気づきませんでした。すみません」
とマサに告げるヒロ。

「あぁ、俺もだ。どうすればいい・・・」

「このままじゃナミさんが・・・・」


「・・・・・!?」


「逃げて!!皆さん!」

ナミは叫んだ。。



「父さん、教えてください・・・」

ヨシは小さく呟いた。

すると・・・・


《今のお前ならあの時の力を使えるだろう・・・・》


そう剣が答えてくれた気がした。


「ヨシさん・・・」


「ケン、お前の剣を借りるぞ?」

「いいけど・・・・。どうするつもりなの?」

「・・・・・・」

ヨシさんは何かを唱えてる。

「ヨシさん・・・・」


「今だ!マサさん!!」

「よし!」
【ぐっ】


見事敵をやっつけた。
「・・・・・・」


「ナミ、ごめんな?怖い思いをさせて」


あの後あの敵は・・

「マサ・・・・・」

「えっ?」

「マサ、気をつけろ・・・・」

「えっ?リョウ?」


そう、リョウさんの変わり果てた姿だった。

「俺、バカだな。二回もマサに・・・・」


「やはり、黄泉の世界に?」

「俺は見守っている。2人をずっと・・・・・」


そう言いながら消えていった。


「・・・・・」

「リョウは、私たちのことを1番に心配してくれていたね」
「・・・・・」

「あなたがいない時、あなたの代わりになってくれた。彼は私を庇って怪我をしたこともある」

「ナミ・・・・・」

「リョウに守られているんだね、私たち・・・・・」



「・・・・・・」

そして、


「マサさんいいの?このまま旅立って・・・」

ケンは泣きそうな顔をして言う。
「お前が泣きそうな顔してどうする」
とくしゃりとあたまを撫でた。
「だって・・・・・」

「いいんだよ。ゆっくり休んでくれた方が・・・・・」


ナミが眠っている間に旅立とうと決めたのはマサさんだった。

しっかりナミとの時間を過ごしたから大丈夫だと言い聞かせていた。


「よし、行こう」

決意が鈍らないうちに。



そして、アルフはミナミの元へやってきた。

「ミナミはいるか?」

「アルフ兄ちゃん・・・・」

涙目な子供たち。

「どうした?なぜ、泣いている・・・」

「ミナミ姉ちゃんが・・・変な男に・・・・」

「えっ?変な男?」

「大丈夫よ?心配しないで?」
そう言っていたというけれど、子供たちにはそうは見えなかったらしい。


「それにあいつはなぜ・・・・。ジョーと言うやつはなぜ、妹の代わりに人質に取られたというのに何をしている」

「よぉ?」


奴がやってきた。
この前となんだか雰囲気が違う?

「なぜミナミを助けないんだ。少しでも気があるなら・・・・」


「あいつバカだよなー。俺の嘘にまんまと引っかかるなんてさ」

「嘘だと?お前、妹のことは嘘なのか?」
「俺の妹は、こないだ病気で死んだよ」

「なっ!?」

「そのことを知らないミナミは利用しやすかったよ」
「なぜそのような嘘を!!」


彼の顔も声も邪気を浴びたものに変わる。



【あいつのあの力が必要だからだ】

「あの力?」

【フフ。今頃あの女は捕らえられたほかの娘と共に・・】


「・・・・・・」

アルフは剣の先を彼に向けた。

【殺せよ】

「よっぽどあいつよりも殺しがいがあるな、あんた」

【へぇ?お前にもいたんだな。そんなやつ。
殺したくなるほど憎いやつ】

「今はお前が憎い!」

あのお方が幸せになるなら!


あのお方が笑顔でいられるなら!!




「わたしはあいつに譲る!!」

と、アルフは心で叫んだ。









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