絆物語

藤原葉月

文字の大きさ
47 / 59
大切な人との別れ

第47話

しおりを挟む
「ハックシュン」

なぜかクシャミをするヨシ。

ケンとヨシは、再び川釣りに来ていた。

「大丈夫?ヨシさん・・・・」
「大丈夫だ。問題ない・・・・ごめん、びっくりさせたか?」

「えっ?ヨシさんがくしゃみくらいで謝るなんてらしくないよ?」

「・・・・誰か噂でもしているのかもな・・・・」
と、苦笑い。
「あー!わかったぁ!ずばり女王様だ!」

「いや、なぜそうなるんだ」

「なんでかなぁ?(笑)それは多分・・・・」

「・・・・・?」
「だって、2人ってさ、時々どこかで会っていたりするでしょう?密会ってやつ?
こないだなんて、2人で見つめあったりしてたって・・・・」


「・・・・・・」
「でもなんかそういうのすごくいいなぁって」

「・・・・・」

ヨシは黙って聞いていた。
「ほら、1度会えなくなったらずっと会えないから。ヨシさんたちの関係がすごく羨ましいなぁって」


「・・・・俺とレイナの国は敵対している。・・・今でもだ。僕たちが旅立つ少し前からずっと・・・・」

「・・・・・」

「だから、彼女とは一緒にはなれないんだ。
いや、ならない方がいいのだろう。
国同士の掟でもあるし・・・・」

悲しそうな顔になるヨシ。
「ヨシさん・・・・」

「なんで出会ってしまったんだろうな・・・・」

不意に零した言葉・・・

「・・・・」


「あつ!ヨシさん!!引いてるよ」
「えっ?」

引いていた。
「早く早く!」


そして・・・・

「どうした、今日はこんな大漁で」

「あのね?男同士でもりあがっちゃった!ねっ?ヨシさん!」

「・・・まぁ、そうとも言う」
と、少し笑顔を見せたヨシ。
「あっ!ヨシさんが笑った!!」

「・・・・えっ?」

「やっと打ち解けてくれたんですね」

とヒロ。

「どうかな・・・・」


ジュンとケンは、疲れたのか寝てしまっている。


「今でも戦うことに迷いはありますか?」

「あるよ・・・すごく。でも・・・・・」

「・・・・・」

「彼らの気持ちが少しわかった気がする」


「・・・・僕もです。みんなのことを知る度にそう思います」


「守りたいものが出来たらオトコは強くなれるんだな」

「はい」

その頃、

「ミナミ!!」

「アルフ?」

「助けに来ました」

「もう逃げられないぞ?アルフ・・・・」


「なっ!?こいつ・・・・」


【お前は邪魔者だ!】


シャキーン


「・・・・!?なんだ」

ヨシは飛び起きた。
「ヨシさん?どうしました?」

ヒロも、目を覚ました。

「ちょっと行ってきます」

「えっ?こんな時間に大丈夫か?雨降りそうだぞ?」

マサは止めようとしていた。

ゴロゴロ

遠くで雷の音がしている。

「妙な風を感じて・・・。それを退治しに行ってきます」
と、ヨシは行こうとすると

「ヨシさんは兄さんに似てるよね」

「えっ?どこがだ」

「そうやって、誰にも頼ろうとしないところ」

「・・・・・」

「・・・・・!?」

「行きましょう。」

「あぁ」

そして・・・・

「・・・・」



【やっと見つけたわ】


「ミナミ!」
「アルフ?!」

アルフはミナミの手を取り、

「逃げますよ?」
「ダメよアルフ、にげて!」


【よく交わしてきたわね】

と、アルフに剣を向けたのは見知らぬ女だった。



「ここだ!」

ヨシはある建物にきた。

みんなと共に。

「あっ!」

「あっ・・・」

ヨシは、女に剣を向けられているアルフと目が合った。


「な、なぜここへ来た!」

「ばかっ!うしろ!!」

後ろから襲われそうになり、

ガシャン

「全く・・・あんたって人は・・・」

「・・・・!?」

ヨシの仲間?

「マサさん」

【へぇ?お仲間が助けに来るなんてな】

「そなたたち、なぜここへ来た!」

「・・・・こいつにに妙な風を感じたから」

「こいつに?」
【フフ、だったら私とやる?】

ニヤリと笑う女。

「お前の相手は私だ」
と、ヒロ。


「アルフ?」

ミナミ達は隠れていた。捕らえられている他の女と一緒にさっき、隠れているように言われたからだ。
私たちを助けに来てくれた人達がいることも・・・・。

「ねぇ?私たちどうなるの?殺されるのかしら」
怯えている女性たち。

「大丈夫です。きっと、あの人が・・・・。あの方たちが助けてくれるはずです」

ミナミは、祈っていた。
自分も怖いはずなのに・・・平常を保っていた。


【フフフフ、見つけた】



「えっ?」

女は、ミナミに向けて攻撃した!
「きゃあ」


「ミナミ!」

「・・・・・」

【私の目的はあなたの力】

「えっ?」
【手に入れたらほかの女はもう用無しなの】


「やめろ。そなたには心がないのか」

「あっ!」

「私だけ必要なら、他の人は返してあげて」

「ミナミ!何を言うんだ」

「そうしてあげて。私だけが必要なのよね?」

ミナミは敵の女にそう言っている。

「・・・・・」

「・・・・」

【いいわ。助けてあげる】

「なっ」

【だけどそのためには、周りの男も始末しないとね】

と、女は睨んだ。

「やっぱり!?」

「アルフ・・・、さようなら」

「えっ?」
「ほんの数日間だったけど、あなたと過ごせてよかった」

ミナミが悲しそうに笑った。
そして、走り出した。


「ミナミ?」

「どうする気だ?」
と、ヨシ。

【フフ】
敵の女がミナミをおいかけていく。

「まさかあの少女・・・生命の法を使う気か?」

ヨシがこぼした言葉に

「そんなことわたしがさせない!!」

アルフは、聞いていて走り出す。
「えっ?」

そして、追いかける女に、剣を振りかざした!!


【・・・・なっ!?】

女は怯んだ。

「わたしはレイナ様に言われたのだ。ミナミの命を救ってやれと」

「アルフ・・・・」

ミナミは無事でいた。


「アルフさん、あとは俺たちに任せて2人で逃げろ」


マサは言った。

「行くぞ、ミナミ」

「えっ?でも・・・・」

「すまない、みなさん。借りは必ず返しますから」

「・・・・」


と、アルフはみんなの方を向いた。

(ヨシ・・・君にだ)

「・・・・えっ?」

なぜか自分に微笑まれた気がして、
「えっ?笑ってるのはなぜだ?」
と戸惑うヨシを、

「(わからねぇのかよ)」
と、呆れてるマサさんだった。


【くっ、よくも】

女が立ち、また攻撃しようとしたので

シャッ

「女でも手加減はしませんよ?」
トドメの1発をヒロが仕留めた。

【うぎゃぁぁぁぁああああ】


「ヨシさんの感じた風はあの女の邪気だったんだな」

「てっきりカナのものかと思いましたが・・・・」

「あの二人、恋人同士なのかな?」

ジュンが興味を持ったのは違う所だった。


「さぁな・・・」

とだけヨシはいった。


すると?


「あれ?俺、なんでここに?」


操られていた男が正気に戻ったようで・・・


「あんた、操られていたんだよ。覚えてないのか?」

「村の女を集めていたようだけど?」
「えっ?村の女?俺が?嘘だろ」


やはり、覚えていないみたいだ。

「あんたは嘘をついて、《ミナミ》って言う少女を騙して・・・・」

と、ヨシがそこまで説明していると

「えっ?ミナミ?ミナミは無事なのか?まさかミナミを連れてきたのか?」

「・・・・・!?」

と、ヨシにかおをちかづけ

「なぁ!ミナミは無事か!」

「・・・・・!?」

と、さらに顔を近づける。
「無事も何も・・・・アルフと言うやつと共に逃がしたから安心しろ。それより離れてくれないか?近いんだけど?」


「(近づきすぎだよね)」
と、ケン。
「(僕らだってあんな近づいたことないのに)」

と、ジュン。

「えっ?アルフ?アルフって誰だ?」

「ってあんたアルフのことも知らなかったのか」

「えっ?」
「最近良く教会に来ていた者か?」

「そうだよ」
「ミナミはそいつとよく話していたな。あの二人はどういう関係になった」

「それ、俺たち言ってもいいのか?」


「・・・えっ?」

「あいつ、アルフはこの間まで僕のことをライバル視していたのに」

説明し始めたのはなぜかヨシ。

そしてその頃・・・

「ミナミ・・・・・」


2人きりになり、歩くスピードになる。
「ねぇ、アルフ・・・どうしたの?」


アルフも自分では信じられなかったのだろう。


「女王様に言われたのね?私を救ってあげてって」

「・・・・!?」

「女王様の命令だもんね」

「ミナミ、違う・・・」

「違わない!!」

ミナミは、涙を溜めてアルフを見た。

「アルフは私に同情しているのよ!本当は私の事なんか!」

「ミナミ!!」

アルフはミナミを抱きしめた?

「・・・・・アルフ?」

「ミナミ、わたしはさっきそなたが《生命の法》を使おうとしているんじゃないかて聞いて、とても胸がいたんだ」
「えっ?生命の法?」

「ミナミ、命を粗末にするな!!他の男のためにも使うな!!」

「・・・・・アルフ?」

抱き締め返したミナミは、アルフの温かさを実感する。


「私なんかでいいんですか?」
「・・・!?」

「わたしで女王様の代わりになりますか?」

「・・・・ミナミ・・・」

彼女は、自分がレイナの代わりにこうしていると思っていることに気がつき・・・・

「ミナミ、たった今言ったはずです。命を粗末にするなと。
そなたを愛しているからだ」


「・・・・・・」

アルフはミナミの涙を拭いながら続けた。

「もう泣くな、ミナミ。わたしがずっとそばに居る。信じてくれ」

「・・・・・信じます」

ミナミはアルフを真っ直ぐに見つめて、
「アルフ、ありがとう。私を愛してくれて」

「あぁ」


2人の気持ちが通じあったのだった。
    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

処理中です...