絆物語

藤原葉月

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大切な人との別れ

第47話

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「ハックシュン」

なぜかクシャミをするヨシ。

ケンとヨシは、再び川釣りに来ていた。

「大丈夫?ヨシさん・・・・」
「大丈夫だ。問題ない・・・・ごめん、びっくりさせたか?」

「えっ?ヨシさんがくしゃみくらいで謝るなんてらしくないよ?」

「・・・・誰か噂でもしているのかもな・・・・」
と、苦笑い。
「あー!わかったぁ!ずばり女王様だ!」

「いや、なぜそうなるんだ」

「なんでかなぁ?(笑)それは多分・・・・」

「・・・・・?」
「だって、2人ってさ、時々どこかで会っていたりするでしょう?密会ってやつ?
こないだなんて、2人で見つめあったりしてたって・・・・」


「・・・・・・」
「でもなんかそういうのすごくいいなぁって」

「・・・・・」

ヨシは黙って聞いていた。
「ほら、1度会えなくなったらずっと会えないから。ヨシさんたちの関係がすごく羨ましいなぁって」


「・・・・俺とレイナの国は敵対している。・・・今でもだ。僕たちが旅立つ少し前からずっと・・・・」

「・・・・・」

「だから、彼女とは一緒にはなれないんだ。
いや、ならない方がいいのだろう。
国同士の掟でもあるし・・・・」

悲しそうな顔になるヨシ。
「ヨシさん・・・・」

「なんで出会ってしまったんだろうな・・・・」

不意に零した言葉・・・

「・・・・」


「あつ!ヨシさん!!引いてるよ」
「えっ?」

引いていた。
「早く早く!」


そして・・・・

「どうした、今日はこんな大漁で」

「あのね?男同士でもりあがっちゃった!ねっ?ヨシさん!」

「・・・まぁ、そうとも言う」
と、少し笑顔を見せたヨシ。
「あっ!ヨシさんが笑った!!」

「・・・・えっ?」

「やっと打ち解けてくれたんですね」

とヒロ。

「どうかな・・・・」


ジュンとケンは、疲れたのか寝てしまっている。


「今でも戦うことに迷いはありますか?」

「あるよ・・・すごく。でも・・・・・」

「・・・・・」

「彼らの気持ちが少しわかった気がする」


「・・・・僕もです。みんなのことを知る度にそう思います」


「守りたいものが出来たらオトコは強くなれるんだな」

「はい」

その頃、

「ミナミ!!」

「アルフ?」

「助けに来ました」

「もう逃げられないぞ?アルフ・・・・」


「なっ!?こいつ・・・・」


【お前は邪魔者だ!】


シャキーン


「・・・・!?なんだ」

ヨシは飛び起きた。
「ヨシさん?どうしました?」

ヒロも、目を覚ました。

「ちょっと行ってきます」

「えっ?こんな時間に大丈夫か?雨降りそうだぞ?」

マサは止めようとしていた。

ゴロゴロ

遠くで雷の音がしている。

「妙な風を感じて・・・。それを退治しに行ってきます」
と、ヨシは行こうとすると

「ヨシさんは兄さんに似てるよね」

「えっ?どこがだ」

「そうやって、誰にも頼ろうとしないところ」

「・・・・・」

「・・・・・!?」

「行きましょう。」

「あぁ」

そして・・・・

「・・・・」



【やっと見つけたわ】


「ミナミ!」
「アルフ?!」

アルフはミナミの手を取り、

「逃げますよ?」
「ダメよアルフ、にげて!」


【よく交わしてきたわね】

と、アルフに剣を向けたのは見知らぬ女だった。



「ここだ!」

ヨシはある建物にきた。

みんなと共に。

「あっ!」

「あっ・・・」

ヨシは、女に剣を向けられているアルフと目が合った。


「な、なぜここへ来た!」

「ばかっ!うしろ!!」

後ろから襲われそうになり、

ガシャン

「全く・・・あんたって人は・・・」

「・・・・!?」

ヨシの仲間?

「マサさん」

【へぇ?お仲間が助けに来るなんてな】

「そなたたち、なぜここへ来た!」

「・・・・こいつにに妙な風を感じたから」

「こいつに?」
【フフ、だったら私とやる?】

ニヤリと笑う女。

「お前の相手は私だ」
と、ヒロ。


「アルフ?」

ミナミ達は隠れていた。捕らえられている他の女と一緒にさっき、隠れているように言われたからだ。
私たちを助けに来てくれた人達がいることも・・・・。

「ねぇ?私たちどうなるの?殺されるのかしら」
怯えている女性たち。

「大丈夫です。きっと、あの人が・・・・。あの方たちが助けてくれるはずです」

ミナミは、祈っていた。
自分も怖いはずなのに・・・平常を保っていた。


【フフフフ、見つけた】



「えっ?」

女は、ミナミに向けて攻撃した!
「きゃあ」


「ミナミ!」

「・・・・・」

【私の目的はあなたの力】

「えっ?」
【手に入れたらほかの女はもう用無しなの】


「やめろ。そなたには心がないのか」

「あっ!」

「私だけ必要なら、他の人は返してあげて」

「ミナミ!何を言うんだ」

「そうしてあげて。私だけが必要なのよね?」

ミナミは敵の女にそう言っている。

「・・・・・」

「・・・・」

【いいわ。助けてあげる】

「なっ」

【だけどそのためには、周りの男も始末しないとね】

と、女は睨んだ。

「やっぱり!?」

「アルフ・・・、さようなら」

「えっ?」
「ほんの数日間だったけど、あなたと過ごせてよかった」

ミナミが悲しそうに笑った。
そして、走り出した。


「ミナミ?」

「どうする気だ?」
と、ヨシ。

【フフ】
敵の女がミナミをおいかけていく。

「まさかあの少女・・・生命の法を使う気か?」

ヨシがこぼした言葉に

「そんなことわたしがさせない!!」

アルフは、聞いていて走り出す。
「えっ?」

そして、追いかける女に、剣を振りかざした!!


【・・・・なっ!?】

女は怯んだ。

「わたしはレイナ様に言われたのだ。ミナミの命を救ってやれと」

「アルフ・・・・」

ミナミは無事でいた。


「アルフさん、あとは俺たちに任せて2人で逃げろ」


マサは言った。

「行くぞ、ミナミ」

「えっ?でも・・・・」

「すまない、みなさん。借りは必ず返しますから」

「・・・・」


と、アルフはみんなの方を向いた。

(ヨシ・・・君にだ)

「・・・・えっ?」

なぜか自分に微笑まれた気がして、
「えっ?笑ってるのはなぜだ?」
と戸惑うヨシを、

「(わからねぇのかよ)」
と、呆れてるマサさんだった。


【くっ、よくも】

女が立ち、また攻撃しようとしたので

シャッ

「女でも手加減はしませんよ?」
トドメの1発をヒロが仕留めた。

【うぎゃぁぁぁぁああああ】


「ヨシさんの感じた風はあの女の邪気だったんだな」

「てっきりカナのものかと思いましたが・・・・」

「あの二人、恋人同士なのかな?」

ジュンが興味を持ったのは違う所だった。


「さぁな・・・」

とだけヨシはいった。


すると?


「あれ?俺、なんでここに?」


操られていた男が正気に戻ったようで・・・


「あんた、操られていたんだよ。覚えてないのか?」

「村の女を集めていたようだけど?」
「えっ?村の女?俺が?嘘だろ」


やはり、覚えていないみたいだ。

「あんたは嘘をついて、《ミナミ》って言う少女を騙して・・・・」

と、ヨシがそこまで説明していると

「えっ?ミナミ?ミナミは無事なのか?まさかミナミを連れてきたのか?」

「・・・・・!?」

と、ヨシにかおをちかづけ

「なぁ!ミナミは無事か!」

「・・・・・!?」

と、さらに顔を近づける。
「無事も何も・・・・アルフと言うやつと共に逃がしたから安心しろ。それより離れてくれないか?近いんだけど?」


「(近づきすぎだよね)」
と、ケン。
「(僕らだってあんな近づいたことないのに)」

と、ジュン。

「えっ?アルフ?アルフって誰だ?」

「ってあんたアルフのことも知らなかったのか」

「えっ?」
「最近良く教会に来ていた者か?」

「そうだよ」
「ミナミはそいつとよく話していたな。あの二人はどういう関係になった」

「それ、俺たち言ってもいいのか?」


「・・・えっ?」

「あいつ、アルフはこの間まで僕のことをライバル視していたのに」

説明し始めたのはなぜかヨシ。

そしてその頃・・・

「ミナミ・・・・・」


2人きりになり、歩くスピードになる。
「ねぇ、アルフ・・・どうしたの?」


アルフも自分では信じられなかったのだろう。


「女王様に言われたのね?私を救ってあげてって」

「・・・・!?」

「女王様の命令だもんね」

「ミナミ、違う・・・」

「違わない!!」

ミナミは、涙を溜めてアルフを見た。

「アルフは私に同情しているのよ!本当は私の事なんか!」

「ミナミ!!」

アルフはミナミを抱きしめた?

「・・・・・アルフ?」

「ミナミ、わたしはさっきそなたが《生命の法》を使おうとしているんじゃないかて聞いて、とても胸がいたんだ」
「えっ?生命の法?」

「ミナミ、命を粗末にするな!!他の男のためにも使うな!!」

「・・・・・アルフ?」

抱き締め返したミナミは、アルフの温かさを実感する。


「私なんかでいいんですか?」
「・・・!?」

「わたしで女王様の代わりになりますか?」

「・・・・ミナミ・・・」

彼女は、自分がレイナの代わりにこうしていると思っていることに気がつき・・・・

「ミナミ、たった今言ったはずです。命を粗末にするなと。
そなたを愛しているからだ」


「・・・・・・」

アルフはミナミの涙を拭いながら続けた。

「もう泣くな、ミナミ。わたしがずっとそばに居る。信じてくれ」

「・・・・・信じます」

ミナミはアルフを真っ直ぐに見つめて、
「アルフ、ありがとう。私を愛してくれて」

「あぁ」


2人の気持ちが通じあったのだった。
    
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